ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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スイーツといえば、ケーキやアイス、プリンにカステラなんてありますけど、饅頭とか大福とかも食べたくなりますよね……
やっぱり、日本人は餡子が好きなのでしょうか?
ちなみに、私は一時期、ケーキのクリームを食べると気分が悪くなってしまい和菓子の類(奇をてらってない奴)しか食べれなかったことがあります。


とある普通の日の菖とつぼみ

「……」

「……」

その日、菖とつぼみは二人きりで希望ヶ花市にある和菓子屋「はらや」に向かっていた。

だが、二人の間に会話はまったくなく、ただただ沈黙だけが流れていた。

――ど、どどどどどどどど、どうしましょうっ??!!

意中の相手と二人きり、という状況に、つぼみの脳はオーバーヒート寸前といったところだった。

何か話したいのだけれど、何を話したらいいのか、まったく思い浮かばない。

ただただ流れる沈黙の中、つぼみはどうにかこの状況を打開したいと思いながらも、その策が見いだせずにいた。

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そもそも、二人がこんな状況になったのは、今から一時間ほど前のことだ。

放課後になって手持ち無沙汰になった菖は、なんとなしにぬいぐるみ館を訪問した。

「こんにちは……て、コッペ様しかいないのか」

と、つぶやきながら、コッペ様の前までやってくると、菖はコッペ様に挨拶をして、足もとに座り、カバンから本を取りだして、しおりをはさんだページを開いた。

コッペ様は、そんな菖に視線を送るだけで、特に拒絶するような様子は見せなかった。

しばらくの間、菖一人が静かに時間を過ごしていると、ぬいぐるみ館に二人の来館者が姿を見せた。

「あら、菖くん。いらっしゃい」

「あ、菖さん!こんにちは!!」

「……ん?あぁ、薫子さん。お邪魔してます。でもって、つぼみはこんにちは」

本から視線を上げて、つぼみと薫子の方へ目を向けて、菖は微笑みながら挨拶を交わした。

「いま、お茶を淹れるから、待っててね」

「お構いなく」

「いえ!菖さんはお客さまです!おもてなししなくては!!」

なぜか妙に気合が入っているつぼみの様子に、菖は苦笑を浮かべながら、お言葉に甘えて、と本にしおりを挟んで立ちあがった。

いつものテーブルが用意されると、薫子が、困ったわね、とつぶやく声が聞こえてきた。

「どうかしたんですか?」

「えぇ……お茶請けのお菓子を切らしてしまって」

「簡単なものでよければ……って、植物園じゃ無理か」

台所があれば話は別なのだが、植物園には給湯室はあれど、包丁やまな板、小麦粉などはない。

作ろうにも作れないのである。

「そうね……ちょっと、待っててもらっていい?すぐに買ってくるから」

「それくらいなら、俺が行きますよ」

「あ、わたしが行ってきます!いつものでいいんですよね?」

「いや、ものさえ教えてくれれば、俺がひとっ走り……」

「いえ!菖さんはお客様ですから、そんなことはさせられません!」

「……なら、二人に行ってきてもらおうかしら?」

菖とつぼみの珍しいやりとりに、薫子は苦笑を浮かべながら、そう頼んだ。

薫子からの提案に、つぼみは目を丸くして硬直してしまったが、大好きなおばあちゃんに意見することができず、結局、その提案を飲むことにした。

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薫子の計らいで、菖と二人きりではらやへ向かうことになったのはうれしいのだが、何を話したらいいのか、つぼみはまったくわからなかった。

これがえりかかいつきであれば、ファッションの話や学校での話で、ゆりであれば、花の話で盛り上がるのだが、菖の興味はそのどれにも向いていない。

いや、少なくとも、花については、その花にまつわる伝承や伝説には食いついてくるのだが、あいにくと、つぼみはその手の話には疎かった。

さて、どうしようか、と延々と悩んでいるうちに、二人ははらやに到着した。

「ここだな」

「ふぇ?……あ、はい!ここです!」

「つぼみも薫子さんも、よく買いにくるのか?」

突然の菖の問いかけに、つぼみは焦ったが、すぐに平静を取り戻し、うなずいて返した。

「はい!ここの大福がとてもおいしくて……ほんのり塩気の効いた甘い餡を、もっちりとした白いお餅が包みこんで、絶妙なハーモニーを……」

うっとりとしながら、つぼみがはらやの大福の魅力を語りだしたのだが、ふいに菖が聞きに徹していることに気づき、顔を紅くして、すみません、と謝罪してきた。

だが、菖はまったく迷惑に思ってはいなかったようで。

「謝らなくても大丈夫。というか、つぼみ、花とかファッション以外にもちゃんと好きなもの、あったんだな」

「え?」

「はらやの大福、あそこまで熱っぽく話せるってことは、それだけ好きってことだろ?」

にっこりと笑いながら、菖がそう問いかけると、つぼみは顔を紅くしたまま、首を上下に振った。

その様子を微笑みながら見ていた菖は、俺もここの和菓子は好きだよ、と返してきた。

「俺の場合は饅頭だなぁ。蒸したてほかほかの皮の柔らかさと使っている小麦が持っている甘さが餡子と絶妙にマッチしてさぁ……でもって、これまた緑茶が合うんだよ」

「わかります!ちょっと濃いめに淹れた緑茶とお饅頭……これはもはや最強の組み合わせではないでしょうか?!」

つぼみが目を輝かせながら、菖に同意すると、菖もまた、にっこりと笑みを浮かべ、サムズアップを向けていた。

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あまり長い時間、はらやの和菓子談義をしているわけにもいかないため、菖とつぼみは途中で談義を切りあげて、用事を済ませようとした。

が、目的の大福を買って、帰ろうとしたとき。

「あ、つぼみちゃん、ちょっと待って!」

「はい?」

突然、売り子のお姉さんに呼び止められ、つぼみと菖は立ち止まり、カウンターの方へ振り返った。

「今度、うちで新しく販売しようと思っている試作品があるの。よかったら、食べて感想を聞かせてちょうだい?そこのかっこいい彼氏さんもどうぞ」

どうやら、菖をつぼみの彼氏と勘違いしたらしい。

だが、彼氏、という単語につぼみは顔面どころか首から耳まで真っ赤に染めて、頭から湯気まで出してしまい、ついには。

「か、彼氏……しょ、菖さん(しょーしゃん)が、かれし……」

と、ふらふらしながらうわごとのようにつぶやいていた。

「あ……あらあら……」

「あの、売り子のお姉さん?俺はつぼみの先輩であり、友人であって、彼氏彼女の間柄じゃないですよ?」

「あら、そうなの?……けど、まんざらでもないんじゃない?」

菖の顔を見ながら、売り子さんはニヤニヤと笑みを浮かべて、菖に返した。

言われている菖の顔は、若干ではあるが、紅くなっていることを見逃していなかったのだ。

が、菖はここでさらなる反論をしてきた。

「いや、まぁ……だって、つぼみみたいな可愛い女の子が彼女だったら、誰だってうれしいんじゃないですかね?」

菖の口から、かわいい、という単語を聞いてしまったつぼみにとって、それが致命的な一撃となった。

かろうじて残っていた理性が、ついに限界突破を迎え、つぼみの頭はショートして、そのままぱたり、と倒れてしまった。

むろん、それに気づいた菖に支えられて怪我をすることはなかったのだが。

そんなつぼみの様子を見ていた売り子は。

――あらあら……けど、これはこれで面白いわね♪

なんだかんだ言っても、売り子さんは女性(女の子)なのだ。

他人の惚れた腫れた(コイバナ)には目がないのである。

それが、常連さんの孫娘のものであればなおのこと。

――応援してるわよ、つぼみちゃん♪

店内に設置されている椅子に横にされながら、うんうん、唸っているつぼみの顔を見て、売り子さんは心のうちでこっそりつぼみにエールを送り、試作品を取りに店の奥へと向かっていった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~倒れたつぼみが目を覚ましたあと~
売り子「これが新商品の試作品よ!」
つぼみ、菖「「いただきます!……(パクッ、もぐもぐ)おいしい!!」」(*^ω^* )
売り子「よかったぁ」
つぼみ「おいしいです!いままでの餡子とは違った甘さですね……けど、これは?」(・ω・?
菖「……干した果物……干し柿ですか?」
売り子「あら、よくわかったわね?そうよ。お砂糖を少し控えめにする代わりに、干し柿を混ぜて甘さを加えたの!」
つぼみ「すぐに見抜いちゃうなんて……菖さん、すごいです!」
菖「ん?いや、ロンドンに行ったとき、ロンドン一おいしい中華屋に行ったことがあってさ。その時に、この餡子を使った月餅を食べたんだ」
つぼみ「そうなんですか?!」Σ(・ω・
菖「なんでも、戦前、革命家の孫文が考案したものらしいよ?」
売り子「へぇ……」
つぼみ「初耳です……学校でも習わないですよ」(・_・;
菖「そらそうだよ。俺だって、世界一教養のある考古学者の先生から聞かなかったら、知らないままだったよ」
つぼみ「へぇ……」
菖「ちなみに、ゆりとももかは会ってたことがある」
つぼみ「えぇ??!!ど、どこでですかぁっ?!」
売り子「……もしかしなくても、わたし、お邪魔?」(^ω^;
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