ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
思い返せば、この小説、二人がドンパチやらかしたことないんですよね……
あ、時間軸はムーンライトとユグドセイバー復活後ですので、あしからず。
とある休日。
菖とゆりは、ユグドセイバーとキュアムーンライトに変身した状態で心の大樹の前で向かい合っていた。
「……いくわよ、セイバー」
「……あぁ」
二人の手には、自分たちの得意とする武器が握られている。
そして、二人の瞳には、明らかに闘志が宿っていた。
どうやら、これから二人は
「始め!!」
審判役を頼まれたコロンは、試合開始の合図を叫んだ。
それと同時に、セイバーとムーンライトは地面を蹴り、互いの間合いを詰めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「せやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
互いの間合いに入った瞬間、セイバーとムーンライトは激しい剣劇を繰り広げた。
両手でタクトを持ったムーンライトが、タクトを
だが、ムーンライトはそれを読んでいたらしく、危なげもなく回避すると、セイバーの胸にむかって蹴りを入れてきた。
「ぐっ!!」
「プリキュア!シルバーリフレクション!!」
蹴られたタイミングとほぼ同時に、セイバーは後ろに下がり、ダメージを最小限に抑えたが、ムーンライトは、シルバーリフレクションで追撃をしかけてきた。
むかってくる銀色の円盤を、エターニアハートではじき飛ばし、セイバーは着地と同時に、持ち直したエターニアハートを再び逆手に構えた。
その瞬間、セイバーの体は黄色の光を放つ陽炎に包まれた。
「其は堅牢なる大地、彩るは咲き誇る花――
すでに失われた古代語を口にした瞬間、セイバーは白い光に包まれた。
光そのものは一瞬で収まったが、セイバーの姿が変化していた。
手にしていたエターニアハートは姿を消し、代わりに武骨な篭手がセイバーの腕にまとわれていた。
「姿を変えたところで!!」
ムーンライトはそう叫びながら、心の花の光をボールのようにまとめて、投げつけてきた。
セイバーはそれを涼しい顔ではじき返したが、はじき返されたボールは、シルバーリフレクションへとむかっていった。
シルバーリフレクションに命中したボールは、霧散することなく跳ね返り、再びセイバーへと向かっていった。
「……あぁ、そういや
そうつぶやきながら、セイバーは跳ね返ってきたボールを回避し、同時に反対方向から向かってきたムーンライトの拳を受け止めた。
拳を止められたムーンライトは、それでも止まることなく、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
だが、セイバーはその連撃を涼しい顔で受け流し、見つけたわずかな隙を狙って攻撃をしかけた。
ムーンライトはその攻撃を反射的に回避し、ダメージを受けずにすんでいた。
しかし。
「っ?!しまった!!」
「せいっ!!」
攻撃の回避に専念していたムーンライトは、手首をつかまれ、一本背負いの要領で投げ飛ばされてしまった。
だが、プリキュアのでたらめな身体能力で空中で受け身を取り、タクトを振るった。
その瞬間、タクトが描いた軌跡から、心の花の光が刃となってセイバーにむかって飛んでいった。
だが、セイバーはその刃をなんなくはじき飛ばした。
すると、セイバーはフォルムチェンジを解除し、普段の姿に戻った。
「……次で決めよう」
「えぇ……」
時間も体力もそろそろ限界と判断したのだろう。セイバーがそう提案すると、ムーンライトはそれに同意し、タクトを構え、心の花の力を込め始めた。
セイバーも、エターニアハートを構え、心の花の力をその刃に込めた。
互いに、一歩も動くことなく、にらみ合いが続いたが、風が吹き抜けていくと、それを合図に、二人は間合いを詰めた。
「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」
「心よ、吼えろ!エターニア・ブレイドダンス!!」
二人の必殺技が同時に炸裂し、ぶつかり合い、せめぎ合った。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
互いに一歩も引くことない状態が続くかと思われたが、ムーンライトは忘れていた。
セイバーには、いや、菖には志を同じくした異国の武人から託された、獅子の名を持つ技があるということを。
「獅子戦吼っ!!」
「なっ?!きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
セイバーはムーンライトとせめぎ合いながら、エターニアハートを持っている反対の掌底を突き出した。
すると、掌底から青白い獅子がムーンライトに襲い掛かった。
当然、至近距離からのその攻撃に対抗できず、ムーンライトは吹き飛ばされてしまった。
「くぅっ!!」
「そこまで!!」
ムーンライトがはじき飛ばされ、地面に落ちた瞬間、コロンは試合終了の合図を出した。
「……負けちゃった……」
そっとため息をつきながら、ムーンライトはどこか残念そうな、しかし、すっきりとした顔で呟いた。
なお、その後、セイバーに助け起こされたムーンライトの顔は、どこかうっとりしていたそうな。
あとがき代わりの後日談(スキット風)
~植物園帰還後~
ゆり「……まさかあそこであれを使ってくるなんて……」
菖「いや、あぁでもしないと勝てないだろ?」
ゆり「だからってずるいわ」
菖「持てる力の全部を使ってこそ、意味があるんじゃないのか?」
ゆり「ぐっ……そ、そうだけれど」
コロン「……いつも以上に会話が弾んでるね……僕はちょっと席を外させてもらうよ」