ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
見に行きたいけど、平日休みいつとるか……
あるいは、地元でやるのを待つか?……いや、あそこ日曜しかやらないもんなぁ……
あ、今回はTOZの序盤のシーンを参照してます
それから今回はあとがきはありませんので、ご容赦を
翌日。
シャルルとアストの宿泊している宿屋に、一人の来訪者がありました。
明るい、亜麻色の髪をしたその少女は、ルーナ姫の使者、と名乗り、二人に用向きを説明しました。
「本日、教会にて伝説の導師に関係する祭りが執り行われるのです。姫から伺いましたが、お二人は伝承に興味を抱かれているのだとか。よければ、ぜひ、参列してみてください」
サフラ、と名乗った侍女のその言葉に、シャルルもアストも目を輝かせて、二つ返事で、ぜひ、と答えました。
お祭りが好き、というわけではありません。
伝説の導師が関わっている、というところに興味を抱いたのです。
その反応に、サフラは
しかし、このときの三人は、まさかあのようなことになるとは微塵も思っていなかったのでした。
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数時間後、シャルルとアストは教会にやってきていました。
理由は言わずもがな、導師が関わっているという祭りを見学するため、あるいは、このお祭りに参加するためです。
この祭りの始まりは、こんな伝承が関わっています。
古の時代、多くの人々の嘆きを聞き入れた神が、その救い手となる人間を選定するために、石畳に一振りの剣を突き刺し。
「これを引き抜いた人間に、多くの民を救うための力を授ける」
と宣言したことから、多くの人々が剣を引き抜こうと挑戦しました。
ですが、誰一人としてその剣を引き抜くことのできませんでした。
誰もが諦めたその時、一人の年若い青年が、その剣を石畳より引き抜きました。
その青年こそ、後に、導師として語られ、数々の伝説を生み出すこととなった青年だったのです。
……という伝承にちなんで、毎年、石畳に突き刺さった剣を引き抜くことで、その年の導師を決めるというのが、このお祭りの内容となったのです。
毎年、この祭りには力自慢の男たちが参加していたのですが、今年は。
「うわぁ……すごい数だな、これ」
「だな……さすが、導師様ってところか?」
「というより……それだけ、人々が救いを求めてるってことなんだろうな」
二人が感想を漏らした通り、かなりの人数が集まっていました。
理由は、教会に安置されている、いまだ引き抜かれたことのない剣が、今回の祭りで使われる、ということもあるのですが、今の時代が大きく影響していました。
たしかに、今は戦争もなく、平和な時代ですが、世界では今もまだ大きな国家間での緊張は続いていました。
幸いにして、シャルル達が滞在しているこの国と、友好関係を結んでいる隣国との間にそのようなことはないのですが、第三勢力からの侵攻がいつまた始まるともわからないこの時代に、民は不安を抱いているのです。
そして、その不安が、この祭りに現れているのでした。
「まぁ、幸い、この国と隣国の王族は民草と上手くやっていっているようだから、心配はないみたいだけど」
「そうみたいだな……っと、シャルル。お前の番だぞ」
「お?サンキュー」
アストに促され、シャルルは剣が突き刺さった石畳の前に立ちました。
その途中で、ルーナ姫がこちらを見て、薄く笑みを浮かべている姿を見つけました。
シャルルはその笑みに、微笑みを返し、剣の柄に触れました。
その瞬間。
「ふざけるな!」
「祈りがなんだってんだ!!」
「それで俺たちの仕事がもどってくんのか?!」
突然、教会の入り口から複数の男たちの罵声が聞こえてきました。
どうやら、今の時代に対する不安が、暴動という形で爆発してしまったようです。
「静まれっ!静まらんかっ!!」
「国営市場が武具や商品の販売権を独占してるのは戦争の準備をしてるからなんだろ?!俺たちをこんな茶番でだませると思ってんのか?!」
「……貴様っ!!」
「おやめなさい!!」
「やめろ!!やめろと言ってるだろ!!」
暴徒の言葉に、激高した衛兵の一人が、剣に手をかけた瞬間、ルーナ姫とユリウス王子の怒号が響きました。
ですが、それで収まるほど、暴徒たちの怒りは小さくはありません。
王族からの命令だけでなく、民衆に剣を向けることができない衛兵は、詰め寄ってくる暴徒を抑えることができず、暴徒の凶刃がルーナ姫に襲い掛かろうとしていました。
「やめろっ!!」
シャルルは剣をつかんだまま、暴徒にむかって走り出しました。
その瞬間。
しゃん……
何か固いものがこすれ合うような音が響きました。
その正体を確かめないまま、シャルルはルーナ姫の前に飛び出し、
その何かを目にした群衆と、ルーナ姫、ユリウス王子を含めた国の重鎮たちは目を見開きました。
シャルルの手に握られていたのは、この教会に安置されていた、さきほどまでシャルルが触れていた、選定の神剣だったのです。