臆病者は今すぐにでも逃げだしたいみたいですよ?   作:ぱいんあっぷる

11 / 12
《中の奴》
"お遊戯"とはいえ、俺を楽しませてくれるだけの存在とこうも早く出会えるとは…!

《臆病者》
負けたら確実に破産するような、ギャンブルは"お遊戯"なんてレベルのものじゃない気がするんだけど…?


第十話 才能

白夜叉とのジャンケン勝負、勝利したのは新生"ノーネーム"の柳能義だった

 

「ジャンケンとはいえ、この儂にあれほどのプレッシャーを感じさせるとは…いやはや、実に見事であったぞ、もしや、お主、元の世界では、さぞかし名のある"神童"だったのではないか?」

 

白夜叉が嬉しそうに、能義を見つめていた

 

その顔は、久々に良い退屈しのぎが出来たらしく、とても満足げだった

 

「いえ、僕はそんな大したものじゃないですよ!…それに今の勝負だって、勝たせて貰っただけだと僕は思ってますから」

 

そう、今の勝負は決して、対等なものなどではなかったのだ

 

勝負内容を決めさせて貰い、相手の精神的弱点を突き、その上で、二対一というハンデを利用して初めて勝利するが出来たのだ

 

とはいえ、その勝利も圧倒的な勝利とは言えないものだったのだが…改めて、目の前の存在がいかに規格外なのかを教えさせられた気分だった

 

「…何はともあれ勝ちは勝ちじゃ、ほれ、約束の"ギフトカード"じゃ持ってけ」

 

白夜叉が手を叩くと、再び四枚の光輝く"ギフトカード"がそれぞれ、十六夜、飛鳥、耀、そして能義の前に現れた

 

「能義さーん」

 

突然、自分を呼ぶ黒ウサギの声が聞こえ、振り返って見るとそこには黒ウサギと問題児三人組が集まっているのが見えた

 

「能義さんもこっちに来てこれを機に、皆さんと"ギフトカード"の使い方についてお勉強しましょう!」

 

どうやら、黒ウサギが何やら、四人に"ギフトカード"の使い方を教えてくれるようだ

 

「ありがとうございます、楽しいゲームでした!」

 

能義は白夜叉に頭を一度下げてから、黒ウサギ達の方へと走っていった

 

 

 

 

「勝たせて貰ったか…勝たせてやるつもりはこれっぽっちも無かったんだがの」

 

遠ざかっていく能義の後ろ姿を見ながら、白夜叉は誰にも聞こえないくらいの小さな声で言った

 

そう元々、白夜叉は服の代金の事も気にしておらず、景品として賭けた超高価な恩恵である"ギフトカード"《ラプラスの紙片》の事さえも、ただで渡すつもりだった

 

だが、それをしなかったのは単純に、能義の力を見てみたいと思ったからなのだが…

 

何故、この世界に選ばれたのか、予測もつかない程の弱者である能義がいったいどんな力を持っているのかを見てみたいと考えたからだ

 

もし、能義が負けたところで適当に、コミュニティ再建の前祝いだとか何とか都合の良いことを言って景品は渡すつもりだった…

 

だが、実際はどうだ?

 

能義は自らの力で、勝利をものにした、それも勝ちにいったはずの自分に対してだ

 

そして、何よりも白夜叉に敗北感を感じさせたのが…

 

「まさか…この儂が初めて"ギフトゲーム"をする小僧を相手に手に汗を握る事になるとはな…手に汗を握るなどいったい、いつ以来振りかのう」

 

白夜叉は自分の掌に確かに滲んだ汗を見て、能義との勝負がもし、今日やったような"お遊戯"などではなく"決闘"だったらとそこまで考え、自分の口元がつり上がるのを抑えきれなかった

 

「これはまた、面白い奴が来たの」

 

 

 

 

 

 

現在、黒ウサギ先生の授業も終盤に差し掛かっていた

 

最後の項目は自分の"才能"を鑑定してみようだった

 

此処まで順調に進んできた授業だったのだが、ここで問題が発生した

 

まず、飛鳥は無事に自分の"才能"について知ることが出来たようだ

 

飛鳥の"才能"《威光》は黒ウサギが言うには他者を支配する事が可能な力だと言う

 

思い返して見れば飛鳥の言葉には、不思議と言葉の重みを感じる場面があった、あれはその能力による影響だったようだ

 

しかし、自分が言葉の重みを感じていたとき黒ウサギは何ともない様子だったのだが、あれはいったいどういう事なのだろうか?

 

そして、耀も同じように問題なく自身の能力を知ることが出来たようだ

 

耀の"才能"《生命の目録》は自分が友達になった動物の生物的な利点、例えば犬なら嗅覚、鳥なら視力といったように動物から恩恵を貰える恩恵というような感じらしい

 

ただ、他にも何か重要な事があるような気がするのだが…思い出せそうもない

 

そして、次に十六夜だが、ここで問題が発生した、"才能"名が表示されずに"正体不明"というエラーを示す言葉が表記されたのだった

 

どうやら、十六夜の"才能"は"ギフトカード"《ラプラスの紙片》でも識別出来ないほど超レアな"才能"らしい

 

そして、最後に能義なのだが…

 

そこには、何も表記されなかったのだった

 

十六夜のようなエラーの文字も、所有してるであろう筈の"才能"の事も、そして、そこまではまだ良かっただがその後…

 

突然、"ギフトカード"《ラプラスの紙片》が赤黒い、霧のようなものを発し始めたのだった…

 

 




《臆病者》
…えっ?何この赤黒い霧?

《中の奴》
気を付けろ、どういう訳か、この"ギフトカード"の中に俺の力の一部が流れ込んだようだ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。