臆病者は今すぐにでも逃げだしたいみたいですよ?   作:ぱいんあっぷる

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《中の奴》
何だか、妙な連中だな?油断するなよ、まだ味方と決まった訳ではないからな

《臆病者》
何だか、面白そうな人達だね、お友達になれるかな?


第三話 問題児たちと臆病者

上空4000mからパラシュートも無しに湖に飛び込むという、余裕で飛び込み台のギネス記録を塗り替える快挙を成し遂げ、見事生還した四人と一匹は現在、服を乾かす為、陸地へと上がっていた

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずりこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだ、クソッタレ場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ、石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「…いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう、身勝手ね」

 

そして現在、目付きの悪い学生と如何にも良いとこ育ちのお嬢様という感じの、二人が喧嘩をしている真っ最中だった

 

「ふ、二人とも落ち着きなって…別に誰かが怪我した訳でも無いんだしさ…」

 

「「服が濡れた!!」」

 

必死に喧嘩の仲裁に入る能義へ、とても先程まで喧嘩をしていた二人とは思えない程息の合った声で返された

 

「ひえええええぇぇぇぇぅ!!??」

 

その事に驚いた能義は、また腰を抜かし超高速の後退りをしながら、ズザザザザという砂の上を滑る音とドボンという水の中に落ちる音と共に湖の中に落ちた

 

「あ、また落ちた」

 

そんな状況を猫を抱かえた女の子は冷静に眺め、その状況を短い言葉で説明をした

 

そして、そんな一連のやり取り物陰から同じく覗いている存在がいた…

 

(うわぁ…なんだかどの方も一癖も二癖もありそうな方達ばかりですね)

 

物陰に隠れている存在の正体は黒ウサギと言われる存在であり、能義達を異世界に呼んだ張本人である

 

本来であればこの場に出て来て、この世界の事などを彼等に説明するべき存在なのだが…今も尚、火花散らす二人と怯えたまま陸地に上がろうとしない男と我関せずの意思を貫いてる女の子の姿を見て、とても会話が出来そうもないと考えた彼女は、もう暫く様子見をしてから出ていった方が賢明だと判断したのだった

 

「…まず、間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ、もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

このままではラチが空かないと考えたのか、目付きの悪い学生が話を切り替えた

 

「そうだけどまずは"オマエ"って呼び方を訂正して、私は久遠飛鳥よ、以後は気を付けて、それでそこの猫を抱き抱えてる貴方は?」

 

「春日部耀、以下同文」

 

「そう、よろしく春日部さん、そこの野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ、見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です、粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守って上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう、取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

「それで…最後に何時までたっても陸に上がろうとしない如何にも、イジめられっ子ぽい貴方は?」

 

「い、イジめられっ子!?僕のイメージ酷くないかい!?」

 

「だって貴方、前髪が長すぎて、目元が良く見えないし、この真夏の中そんなホワホワした服を着ているなんてイジめられてるとしか思えないわ」

 

そう言われて自分の姿を客観的に見てみると確かにそうだ、親の超過保護により滅多に外に出させて貰えない能義にとっては数ヶ月に一度だけ来る母の友人だという理容師の女の人が来ない限りは基本的に特別な手入れなどもしておらず、髪も伸ばしっぱなしになっていた

 

「た、確かに…周りの人からはそう見られてもしょうがないのかなぁ?…取り敢えず僕の名前は、柳能義だよ宜しく」

 

「ええ、こちらこそ宜しくね、能義くんで良いのかしら?」

 

「好きに呼んでくれて良いよ、でも僕…あだ名とかで呼ばれたこと無いから、あだ名とかその…つけてくれると嬉しかったり…」

 

「あだ名か…」

 

ゴニョゴニョと誰にも聞こえないくらいの声量で言ったつもりだったのだが、この場にいた全ての者達にはハッキリと聞こえていたらしく能義以外の三者が無言のまま目を合わせ…

 

「「「臆病者《チキン》」」」

 

「絶対言われると思った!!でも悔しい、初めてのあだ名に少し嬉しいとか思ってる自分がいる!」

 

顔を真っ赤にしながら、地面を転げ回っている能義を置いておいて能義を除く三人の会話はさらに進展していく

 

「それはそうとお嬢様、真夏ってのは言い過ぎだ、まだ夏になったばかりだろ」

 

「二人とも間違ってる、今は秋のはず」

 

「へ…?冗談だよね?今は冬のはずだけど?」

 

そこまで口にして、先程まで顔を真っ赤にして地面を転げ回っていた能義も事態の異常さに気付いたのか冷静さが戻ってきた

 

それぞれが違う、時間軸を差すと言う事として考えられる事は二つ、一つはそれぞれが別々の国の出身という事、そしてもう一つは…

 

「…私達全員がそれぞれ違う時間から呼び出されたという事?」

 

飛鳥の口にした、その言葉こそが、四人が考え導き出した答えと全く同じものだった




《臆病者》
フフフッ…チキンかぁ…あだ名って良いよねぇ

《中の奴》
…お前がそれで良いのなら、俺は何も言うまい…
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