臆病者は今すぐにでも逃げだしたいみたいですよ?   作:ぱいんあっぷる

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《臆病者》
ダンダバダーダンダバダー♪

《中の奴》
…何だその妙な音楽は?

《臆病者》
これ?子供の頃に見てたヒーロー物の作品の戦闘機の始動音だよ


第六話 動き出した物語

黒ウサギは四人に正直に話してくれた

 

この世界の事を、そして黒ウサギの所属しているコミュニティはこの世界の絶対の法とも言える、ギフトゲームによって衰退したコミュニティである事を…

 

「成る程ね、つまり黒ウサギの所属しているコミュニティはこの世界の災厄にも称えられる存在"魔王"ってのに目をつけられて、今や壊滅的な状況にあるコミュニティって事…」

 

黒ウサギは、顔を下に向けたまま何も言い返さない、否、何も言い返せなかった

 

そしてそれは、黒ウサギの所属しているコミュニティに所属したところで大した利益は得られないということを何よりもその沈黙が物語っていた…

 

そして、その場にいた全員がそれ以上の事を聞いてこなかった、黒ウサギはそれも当然だと理解していた誰だってそんな厄介事を抱えてる所と、これ以上関わりを持とう何て考えないだろう、いくら特別な力を持った子供達だとはいえ、この現状を聞けば逃げたくなっても仕方がない、寧ろ当然の事だ

 

先程こそ自分達を助けてくれると言った能義だって本来は物凄く臆病な子供だ、どんな力を持っているかは知らないが、かなりの犠牲を払うことになる、そこまでして初対面の自分達を助ける理由何て無い筈だ

 

にも拘らず、正直に全てを話したのは一重に黒ウサギの人柄によるものだろう

 

「いいわ、私、久遠飛鳥は黒ウサギの所属しているコミュニティ"ノーネーム"に所属する事にするわ」

 

「…へ?」

 

黒ウサギには飛鳥の言った言葉が一瞬理解できなかった今までのやり取りの何処に惹かれる要素があったのだろうか

 

「何?意外そうな顔ね、もしかして嫌なの?」

 

黒ウサギが呆けた顔をしたまま、立ち尽くしているのを見て飛鳥は少し不満げそうな顔をした

 

「め、滅相もございませんですのよ!?寧ろ大歓迎なのですよ!ですが、飛鳥さんは良かったのですか?」

 

「私は、おおよその人が憧れるであろう、約束された将来も地位も財産も捨てて貴方の手紙に応えたのよ、今更金銭だの地位だのといったものに未練なんてものは無いわ」

 

「それよりも人手が欲しいにも関わらず不利な事も隠さずに正直に話してくれた貴方のような人がいるコミュニティに入りたいと思うのは当然の事でしょう?」

 

飛鳥という、この少女は能義が初めて抱いた印象の通り人の上に立つに相応しいだけの存在だった

 

「私も黒ウサギのいるコミュニティが良い」

 

続いて耀も黒ウサギのいるコミュニティに入ることを宣言した

 

「あら、良かったの?春日部さん」

 

「うん、私はこの世界にお友達を作りに来ただけだから」

 

「そう、それじゃあ私がこの世界に来て初めてお友達に立候補しても良いかしら?」

 

「うん、私も飛鳥とは仲良くなれる気がする」

 

「これから宜しくね、春日部さん」

 

「よろしく、飛鳥」

 

飛鳥と耀の間に何だか侵しがたいような神聖な空気が流れているような気がしたのは恐らく能義の気のせいだけではないだろう…

 

「僕も、黒ウサギのところのコミュニティが良いな、最初は助けを求めている人のところなら何処でも良いやってたんだけど、黒ウサギの話を聞いた今は違う、黒ウサギのいるコミュニティに入りたい、黒ウサギのいるコミュニティの力になりたいそう思えたんだ」

 

能義も誰かの助けになれるならという思いから、黒ウサギの力になりたいという意思に変わったようだ、能義本人も気付いてないが、此処に来てから能義は良い意味でも悪い意味でも成長する場面が多い

 

「飛鳥さん、耀さん、それに能義さんまで…!」

 

こうして三人が黒ウサギの所属しているコミュニティ"ノーネーム"に所属する事を誓った

 

そして残る最大の問題児、逆廻十六夜の元へ自然と全員の目が移る

 

「なぁ、黒ウサギ…この世界は面白いか?」

 

十六夜の質問は、他の三人も少なからず考えていた事だった、此処に集まった四人全員が自分達のいた元の世界では何かを感じられず、その何かをこの世界"箱庭"求めてやって来た者達だ

 

それは、当然、能義だって同じだ

 

能義も元の世界では感じれなかった、感じることが出来なかった、ほんの小さな些細な願いそれを叶えるためにこの世界に来たのだから…

 

「yes、ギフトゲームは人を越えた者達だけが参加できる神魔の遊戯、箱庭の世界は外界の世界より格段に面白い事を黒ウサギは保証いたします♪」

 

十六夜の質問に対する黒ウサギの回答は四人が待ち望んでいた回答、そのものだった

 

「それじゃあ、決まりだな、俺も黒ウサギのコミュニティに入ってやるよ」

 

 

 

そして、ようやく長い時間を経て問題児三人と臆病者一人の物語は幕を開けたのだった…

 

 




《中の奴》
魔王と来たか…クック、やはり争いの無い平和な世界など、地獄にも等しい、この世界を作った者と我々をこの世界に招待してくれたあの黒ウサギとかいう小娘には感謝をしなくてはならんな

《臆病者》
…まだ暫くは出番無いと思うけど…?

《中の奴》
なん…だと…?
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