臆病者は今すぐにでも逃げだしたいみたいですよ?   作:ぱいんあっぷる

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《中の奴》
成る程な、…この世界の強い奴等は、この世界の中心に集まっていると言うことか

《臆病者》
え、…何の話?


第八話 新生"ノーネーム"存亡の危機

「ん?、ようやく目を覚ましおったか」

 

能義をそう言い、見つめていた白い少女は、まだ年端もいかない子供に見えた

 

「能義さん!大丈夫なのですか!?」

 

「別のコミュニティと盛大に揉めたんだってな、へえ大人しいように見えてやるじゃねえか、能義」

 

「もう、十六夜さんも少しは反省してください!」

 

どうやら、黒ウサギは十六夜を見つけれたようだ良かった…

 

思いっきり、頭をぶつけたからだろうか?思考が良く回らない、気を失う前に最後に覚えているのは自分の中にいる存在が、何度も頭の中で、避けないと死ぬと危険を知らせてくれていた事だけだ

 

だが、何とか生きているところを見ると、どうやら自分は助かったらしい

 

自分の中にいる存在が、飛鳥と耀が自分を助けてくれた事を教えてくれた

 

助けてくれた二人に何とか感謝を伝えようと、未だに思考が纏まらない頭で目だけを動かし二人の姿を探すだが、飛鳥の姿はそこにはあったが耀の姿はそこには無かった…

 

「飛鳥…耀は…?」

 

もしかしたら、自分をガルドから庇って酷い重症を負ったのではないか、そんな思いが能義の脳内を駆け巡った

 

「能義くん、目を覚ましたの?安心して春日部さんは無事よ今のところは…」

 

飛鳥の言い方には妙な突っかかりがあった、まるで耀がこれから無事ではなくなるかもしれないような

 

「春日部さんは今グリフォンとのギフトゲームとの最中よ、そしてそのチップに春日部さんは自身の命を掛けたわ」

 

「…へ?」

 

 

 

 

 

どうやら、能義が気絶している間に本当に色んな事があったようだ、まずガルドの非道な行いが判明したこと、単独行動をとっていた十六夜が大きな戦果を持ち帰ってきた事、中々店にいれてくれない店員が能義の手当てをしてくれた事、そして問題児たちが"最強"に挑んだ事

 

どれもこれも目を覚ましたばかりの能義には理解が出来ないことばかりだったが、最後のだけは今の頭でも嫌、自身の直感がヤバいと教えてくれる

 

そして、能義が何よりも驚いたのは今自分を膝枕しているこの子供が、その"最強"だという

 

それはこんな小さな子供が…こんな小さな子供が…

 

「ん?なんじゃ儂に惚れたか?それもしょうがないの~なんせ、こんな美少女に起きたら膝枕されてたんだからの」

 

最強の子供は何やら自慢気そうに何かを言っていたが能義の頭は今それどころではない…

 

そして、能義はトラウマを甦らせ、盛大に吐いた…

 

そして、"最強"の叫び声が響き渡り、その叫び声は"試練"の最中に気を失いかけていた耀の意識を取り戻し、これから全力を出そうとしていたグリフォンの意識をかき乱し、耀は命を掛けたギフトゲームに無事勝利し、新たな恩恵を手に入れたのだった…

 

 

 

 

 

「お主、人の膝の上でいきなり吐くとはどういう了見じゃ!」

 

「白夜叉様、どうか落ち着いてください!」

 

着替えの終えた、最強の子供、黒ウサギから白夜叉と呼ばれたその、子供は黒ウサギに後ろから抱き抑えられながらも扇子の先を能義に向けて抗議してきた

 

「ごめん…何だか気持ち悪くなっちゃって…うっぷ」

 

問題児三人も、白夜叉を哀れむような目で見ている、とても先程"神"にも等しいような事をやってのけた存在とは見えなかった

 

能義はとある一件によりやたらと強い子供に対して一種のアレルギーみたいなものがあるのだが、当然そんな事は此処にいる全員が知る筈もないので端から見るとこうだ

 

 

 

白夜叉が心配そうに能義を膝枕している

能義は目を覚ましたようだ

まだしっかりと意識が戻ってないようだ

おどけてみせる白夜叉

能義ここで初めて白夜叉の姿をちゃんと見る

そして、吐いた

 

 

 

「失礼にも程があろう!」

 

涙目で訴えてくる、白夜叉の姿はその姿相応の年齢に見えた、まさかこの小さな子供が千年以上の時を生きているだなんて能義には思いもしなかった

 

「あはは…えっと本当にごめんね?」

 

涙目の子供の姿に、たじたじと罪悪感とトラウマから逃げ出したい思いを何とか押さえつけようとしながら後ろに後ずさりをしていく能義

 

とても、情けない姿だが、これでも能義のいた世界では最高峰の"才能"の所有者だというのだ

 

そして白夜叉はつい、この者を試してみたくなった

 

「お主、本当に悪いと思っているのだな?」

 

「それは勿論!」

 

ブンブンと何度も首を縦に振り全面的に自分の否を認める能義に白夜叉は一つ提案を出すことにした

 

「それじゃあ、儂とお主で一つ、ギフトゲームをしようではないか、お主が負けたらお主が汚した服の代金はお主に払ってもらう、もしお主が儂に勝つことが出来たのなら、服代は要らぬし、その時はこいつをやろう」

 

そういうと白夜叉は手を叩いた、すると四枚の光る紙が突然現れ、規則正しく宙に浮いていた

 

「ラプラスの紙片!?」

 

黒ウサギの反応から見るにどうやら、かなりの高級品である事は理解できた、そしてそれは此処まで良いところ無しの能義には名誉挽回のチャンスのように感じれた

 

「聞けば、お主はまだ一度も"ギフトゲーム"を行った事がないらしいからの、特別に勝負内容はお主に決めさせてやろう、お主の得意な事で良いぞ、まあ、断っても良いがその時はこの服の代金は自腹で払ってもらうぞ」

 

「流石は"最強"、随分と優しいんだな」

 

十六夜が何処か面白くなさそうな感じで言った

 

「なーに、お主らも出発早々借金を抱えたくはないであろう?サービスじゃよ、サービス、ちなみにこれが、こやつの汚した服の値段じゃ」

 

そういうと白夜叉は何か文字の書かれた紙を差し出してきて、黒ウサギがそれを受け取った

 

「し、白夜叉様…これ?桁を四つほど間違えてお書きではありませんか?」

 

この世界に来たばかりの四人には、この世界の金銭感覚は分からないが黒ウサギの反応だけで、それが新生"ノーネーム"初の存続の危機だという事を理解させた

 

「負けるんじゃねえぞ!能義」

 

「能義くん頑張って!」

 

「負けたら承知しない」

 

「能義さん、無理を承知でお願いします!どうか勝ってください!!」

 

十六夜に叱咤され、飛鳥に応援され、耀に後がないことを教えられ、黒ウサギにを受けて勝つしか生き残る無い事を教えられた能義が出した勝負内容は…

 

 

 

 

 

「それじゃあ、ジャンケンでお願いします」

 

ジャンケンだった…そして能義の人生史上最大にして最後になるだろう絶対に負けられない、ジャンケン勝負が始まるのだった




《中の奴》
な、中々見事な、宣戦布告だったぞ、お前にしては上出来だ…ブハッ

《臆病者》
いや!笑い事じゃないからね!!?
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