Metal Gear Fate/ Grand Order 作:daaaper
……ちょっと待って、一週間経ってないのに何でもうお気に入り登録者数が3桁に届くの?
私が投稿してた方は3桁行くまで3ヶ月はかかったよ!?
皆さんに楽しんでもらえているなら何よりですm(_ _)m
そろそろ春休みが終わり、執筆時間がゼロになりそうですが、序章はすでに書き上げました。
あとはエピローグを2作ほど仕上げて今年の投稿はほぼ終わってしまいそうです……
前書きが長くなりましたが、ここまで多くの人に興味を貰えるとは思ってませんでした。
あとほんの少しではありますが、この作品にお付き合い頂けたら幸いです。
では本編どうぞ
「……ここに大聖杯がある、アーサー王もこの奥にいる」
「天然の洞窟に見えますが……」
「違うな、このクレーターは天然のものだろうがこの洞窟は人の手が加わってる。
天然の洞窟っていうのはここまで綺麗じゃない、人が歩くには随分と楽に歩けそうだ、それに中にはコンクリートらしき物も見えるしな」
「半分天然、半分人工の魔術師の工房ってところね……」
一行は決戦のため、キャスターの案内で聖杯があるという場所に来ていた。
そこは洞窟……それも相当な広さがあると見える洞窟だった。
「ピィッ!?」
「ん」
「フォウさ……!?」
「……敵だな」
「おお、言ってる側から信奉者の登場だ」
反射的にマスターである立香の前に立つマシュの視線の先には先ほど戦ったランサーの様に黒いサーヴァントがそこにはいた、どうやら残るキャスターが言っていたアーチャーのサーヴァントらしい。
そんな状況でキャスターは随分と挑発的にマシュの前に立った、……格好をつけたい訳ではないらしい。
「……私は彼女の信奉者になった覚えはないが」
「よく言うぜ、一体何からセイバーを護ってんだが」
「勝手に言え……だが相応の、具体的にはつまらん来訪者を追い返す程度の働きはさせてもらうがな」
「それは門番とそう変わらんと思うが」
「お前はっ……!?」
「……ん?」
「……まぁいい、勝手に言ってろキャスター、私は私がすべきことをするまでだ」
一瞬、スネークを見ていたがそれも一瞬、すぐに視線をキャスターに戻し……その後ろにいる盾持ちを見た。
そして自身の得物である弓を持ち、どこからか取り出した剣を番えた。
「……おい、まさかとは思うがあいつ……剣を矢の代わりにしてるのか?」
「えっ!?」
スネークの言葉に驚く立香
その瞬間、アーチャーからその剣が射出された
それは一直線に・・・マシュの顔面に向かっていた
すぐにマシュは盾を構えその矢を受けようとする
「エイワズ!」
だがその剣はキャスターの魔術によって消え去った
「……おいおい、何も俺を無視しなくても良いだろうよぉ?……良い加減俺らも決着を付けようぜっ!」
そう言ってルーン魔術を展開
そのまま火球がアーチャーの方へ飛んで行く
「ッチィ!」
とても迎撃が間に合わないため跳躍しそれらを回避するアーチャー
土煙と火煙がアーチャーの立っていた場所で舞い上がり姿が見えなくなる
その煙幕が晴れキャスターの姿を見る・・・前に1人の男が現れた
「……その程度、予想が付かないとでも?」
だがそれは戦闘での定石
煙幕で相手の目を眩ましその隙に接近する
それが遠距離からの支援攻撃を主にするアーチャーが相手ならなおさらだ
だが、このアーチャーは“剣を作る”という起源をもつサーヴァント
むしろ接近戦を得意とするアーチャーだった
手元に夫婦剣を携えその男に切り込む
その剣筋は本物であり奇襲をかけてきた相手を返り討ちにする
「その言葉、そのままお前に返す」
だが接近戦においてはその男の方が上手だった
顔前に切りかかったその右手は逸らされ刃が宙を斬る
相手を突き刺すその左手は完璧に受け止められ剣を取り上げられた
すぐに右で相手の首を狙いつつ左に新たな得物を携える
だがその右手も完璧に受け止められそのまま肩を外された
「ガァッ……!!」
痛みでつい声が出るアーチャー
だがすでに左手には新たな剣を携えていた
肩を外されたその痛みに関係なく左手の得物を相手に突き刺した
初見では幾つも宝具を手元に呼び出すとは誰も思わない
隙をついたその攻撃にアーチャーは手応えがあった
「その程度、誰でも思いつく」
だがそんなことはなかった
相手は剣で突き刺される前にアーチャーの体を突き放していた
あの手応えは幻想だったらしく、相手は全くの無傷だった
突き放された体はそのまま地面を滑る
そして3発の銃弾がアーチャーの顔面に着弾した
「すまんが容赦する余裕はこっちには無くてな、消えてもらう」
さらにナイフによって心臓を一突きされ、アーチャーは完全に仕留められた
大した抵抗も許されず、一本の剣を矢として放っただけで彼は消える
「……あんた………まさか…………!」
「ほお……お前は俺のことを知ってるのか?」
「……俺は……あん……た…に………ぁ…………」
「……………」
その言葉を最後にアーチャーは光の粒子となって消えていった、おそらく英霊の座へと還ったのだろう。
彼が自分を知っていたのに驚きつつも、スネークはキャスターの方へ歩いて行ったがその顔はあまり優れて無かった。
「すまんな、お前の決闘を邪魔して」
「構わねえよ、あいつよりあんたは強え、俺も接近戦じゃああんたには勝てねえ。
それに嬢ちゃんたちを消耗させるわけにも行かねえし、確実にセイバーの野郎を倒すためにはあいつに手間をかける暇は無かったからな」
「……お体の方は大丈夫ですか?」
「そう心配するな嬢さん、あのくらいなら問題無く仕掛けられる……問題はこの後の相手だ」
その言葉にマシュと藤丸立香は背筋を伸ばした。
何せ、この先には物語の主人公であり伝承の人物であるアーサー王が待ち構えているのだ。
何も思わない方がおかしいのだ。
「そういうあんたは大丈夫なのか?これから相手するのは正真正銘の化け物だぜ?」
「……なら聞くが、相手は所詮“人の形”をしているんだろ?」
「ぁあ?……ああ」
「ならそいつは“化け物じみて強い”だけだ、本物の“モンスター”っていうのは人が相手取るには随分と手間取るものを指すんだ、人の形をしているならそいつの体を投げ飛ばせなくは無い、ナイフで仕留められないわけじゃ無い……例外はいるが」
「…………そうだなぁ」
「ちょっと!?何で2人して不安にさせるようなこと言うのよ!?」
「居るものはいるからなぁ……俺の師匠とか」
「まぁわからんでも無い」
「ちょっと!!」
「……だが、セイバーの野郎は確かにそういう類のもんじゃあねえな」
「なら問題無いだろう、十分勝機はある」
世の中、確かに例外はある。
だが例外は英霊の中であってもごく稀だ、今回相手をするアーサー王はそういった意味では“王道”の類だ。
強いは強いが絶望的な相手ではない。
「……私がどれだけお二人の御力になれるかわかりませんが……精一杯マスターのサーヴァントとして努めさせて頂きます!」
「俺も……何をやれるかはわからないけど、精一杯頑張りますっ!」
そして未熟な二人にはその言葉だけで十分にやる気を満ちさせた。
その顔は覚悟を決めている顔だった。
心でどう思おうがそれだけの覚悟があれば大抵のことはどうにかなると、2人の英雄は知っていた。
だが、同時にその覚悟は少々間違えていることにも気付いた
「そんだけの覚悟があれば十分だ……が、坊主も嬢ちゃんも一つ間違えてんなぁ」
「「・・・えっ?」」
「俺達から言わせれば、アーサー王との戦い、重要なのはお前らの方だ」
そう言ってスネークとキャスターはその場の全員に簡単な流れを説明した
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
一行は洞窟の中を進む……進むにつれて何か巨大な力を感じる事もできた
そしてソレはあった
「っこれは……!?」
「これって超抜級の魔術炉心じゃない!?何でこんな島国にこんな代物があるのよ!?」
「これが……大聖杯、なのでしょうか?」
「……来るぜ、王様がな」
「・・・ほぉ、どうやら面白いサーヴァントが居るみたいだな」
凛とした声、それが洞窟全体に響き渡る。
威厳があるその声は確かに王と呼ばれる存在の物に違いは無いだろう。
声がした方を見上げると、堤防の様にせり上がった魔術炉心に剣を携えた者が一人いた。
だが
「・・・女の人?」
「女性……ですね」
「待って、あれがアーサー王だと言うの?」
「そうだぜ、あれがブリテンの王であり誉れ高い騎士王と呼ばれるセイバー……アーサー王だ」
「……女の人だったんだ」
「まっ坊主が言いたい事も良くわかるが……覚悟決めろ」
「なんて魔力量なの……」
まず、アーサー王が女性であったという事実。
だがこれには、一般人である立香はいつかテレビで見た織田信長が女性だったというドラマを思い出し、敵ではあるものの大変だったんだろうなと勝手に思っていた。
それよりも、重要なのは……これだけの魔力を持つ敵を自分たちは倒せるのかどうかだ
そう思うマスターを守るために、マシュは盾を構えた
「……盾か……良いだろう、その守りが真実かどうか私が確かめてやろう!」
その宣言にも近い言葉と共に
騎士王は“飛んで来た”
「ッ後ろに下がってろっ!!」
そう言うが早くキャスターが火球を飛ばしセイバー自体を迎撃する
火球は全弾命中した……が、全くの無傷だった
「どうして!?」
「良いから下がるわよっ!」
勢い収まることなく
セイバーは弾丸の如く盾に向かって斬りかかった
「ゥッ!」
その威力は凄まじく、マシュの体は盾ごと空中を滑空した
体勢を崩すことは無かったがその衝撃は自分に直撃すれば即死するものだというのはマシュにもわかった
立香は、それに対して対抗手段の無い一般人は立ち竦むほか無かった。
だが事前に為すべきことがわかっていた魔術師は、一般人を後ろに引っ張り事前に用意していた魔術で飛んで来る粉塵や岩石から身を守っていた。
「……これから起こることに、あんたは“マスター”として覚悟を決めて見てなさい」
「……ハイッ」
彼女もまた自分に、彼に、何が出来るのかを理解し、何をするべきなのかを理解させた。
そして邪魔のならない場所で、マスターの役目を果たせる様セッティングした。
その間にも数撃マシュに打ち込む騎士王
その一発一発が重く、必死に盾に張り付いていなければ盾ごと吹っ飛ばされるとわかっていた
「いい加減俺のことも無視すんじゃねぇよっ!!」
だがその間にルーン魔術を展開し通常攻撃としては最大火力の火球を打ち出す
さすがにそれは自身にもダメージがあるとわかったのか、セイバーはマシュへの攻撃を止め一旦後退した
「良いか嬢ちゃん、あいつは魔力放出で体ごとぶっ飛んで来る、その威力は体験した通りだ。
それに加えて対魔力のスキルも高えから俺の攻撃もそう簡単に通らねぇ……となればだ」
「私が盾でセイバーさんの攻撃を受けている間にキャスターさんが攻撃ですね」
「そう言うこった……だがあの騎士王様はどうやら嬢ちゃんを崩しにくいと判断したみてぇだな」
「えっ?」
後退したアーサー王を見ると、とてつも無い魔力が集まっているのがわかった
どうやら一気にカタをつける気らしい
「応えようその瞳に…主を守らんとするその胸懐に……!」
騎士王の持つ剣が膨大な魔力を纏い、禍々しく圧倒的な黒い力を持つ剣と成った
規模は確実に対城兵器
どうやら宝具を解放してマスターごとまとめて始末するつもりらしい
「耐えてマシュ!」
あまりにも圧倒的なその迫力
それに耐えられずオルガマリーは盾を持った少女に叫んだ
……だが“マスター”である立香は隣で叫ぶ彼女と打って変わり、冷静に状況を捉えていた
(俺が出来ることは……マシュのマスターとして出来ること……)
「嬢ちゃん!この攻撃を耐えれば俺たちは反撃に移れる!必死になって耐えろよっ!!」
残念ながらキャスターにはマスターがいない
同じ様に騎士王の宝具を防ぐことも出来ない
だが隣にいる少女は違う
英雄でもなく、力があっても圧倒的に経験や鍛錬が足りていない
だが騎士王の聖剣を防ぎマスター達を守る力と覚悟はあった
・・・あとはこの少女が本気を出すだけだ
そうキャスターとなった御子は悟っていた
「
膨大な魔力を纏った黒い聖剣から圧倒的な質量がマシュに襲いかかった
だが彼女には十分な覚悟があった
自身の後ろで立っている二人を守るため
控えている仲間を守るため
自身が持つ盾が、自身が絶対の守り手と信じて彼女はその聖剣を真正面から捉える
そして何よりも彼女には
ここにいる自分よりも強い騎士王にも、キャスターにも無いものを持っていた
「令呪を持って命ずる!」
それは
「マシュ!宝具を展開!!」
人間らしいマスターが
信頼出来る自分の先輩がいるということ
そしてそんな彼が持つ絶対の命令権
「・・・見ていて下さいマスター!」
何よりそんな彼に、先輩に、マスターに、応える心があった
「宝具擬似登録・・・・・・・
そして応えられる力があった
盾から、彼女が待つ宝具から、仮想の壁そのものが展開された
「・・・こりゃスゲェな」
「あの盾は・・・!?」
その宝具にそれぞれが思うところはありながら
その宝具は完全に騎士王の攻撃を無力化した
聖剣の光は完全に消失し、騎士王とシールダーの間には洞窟の岩石が抉れているだけだった
だが同時に
「ッゥ……」
「「マシュ!?」」
「……流石にキツイか」
彼女には限界が来ていた。
後ろで控えていた二人は気付いて居なかったが、マシュはすでに心身ともに限界が来ていた。
特にランサーに対して時間稼ぎをした時点で彼女にかかっていたストレスは無垢な彼女には支えきれない代物だった、それこそ一般人なら発狂する程度には。
それでも彼女が壊れなかったのは、無垢だからこそ産まれた、ストレスに反発する守りたいという強い信念と彼女に憑依したサーヴァントの宝具があったからだ。
だがそれでも死という物が迫ってくる恐怖から耐えるにはあまりにも消耗していた。
キャスターとの模擬戦でその恐怖心をごまかしてはいたが、それでも応急処置でしか無かった。
水が溢れそうなコップの中身を移したところに蛇口から水をダブダブと注げばコップの中身は当然溢れる。
それこそ無尽蔵に注がれれば単なるコップで単なる水でもいつか流れてくる圧力からコップは壊れる。
それが魔力なら人の体など簡単に壊れる
「……………………………」
騎士王は再び聖剣を構え、膨大な魔力を纏わせる
「そんな!?宝具を連発するなんて不可能のハズよ!?」
「向こうは聖杯持ってんだ、魔力の無限供給くらい簡単だろうな」
「じゃあ何回でもあのビームが出せるってこと!?」
「だろうな」
立香もこれには流石に驚いた。
それこそ必殺技をインターバル無しで撃てるなどチート以外でも何物でも無い。
だがそんなチート相手に対してキャスターは冷静だった、そして立香も相手がチートじゃないかと指摘できる程度には余裕だった。
「……さて、ここからは俺たちの出番って訳だ」
「ほぉ、貴様が私の聖剣を止められるとは思えないが……その心意気だけは評価しよう」
「……元はといえばその剣も……まあ良いか、どうせ倒せば良いだけだ」
「だろうな、だがキャスターであるお前に私の心臓を貫けるとはとても思えないが」
「全くだ、今の俺とあんたじゃ相性が悪すぎる」
杖を構えるキャスター
腰を落とし両足を僅かにズラす
完全に槍を扱う構え、敵を貫くための構え
「“俺じゃあ”、な」
「・・・なに?」
ニヤリと笑うキャスター
その顔に不吉な何かを持ち前の直感で感じ取った騎士王はすぐに聖剣を放つ
「
「なぁお姫様、すまんが俺と踊らないか?」
「!?」
だがその直前に右から声がかかる
急いで右を方を向く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰もいない
「こっちだ、こっち」
真後ろを振り返る
今度は高速で剣を振るいながら
そこには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰もいなかった
「そんな物騒なものを振り回して踊られても困る」
今度は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・捕まった
「なに!?」
「すまんが時間がもったい無いんでな、こちらからリードさせてもらう」
騎士王……いや彼女の手からは武器が取られ、既に集束していた魔力も霧散し、甲冑を着ているにも関わらず彼女は拘束されていた、後ろを見ようにも身動きが一切取れない。
「動くな、でなければお前の顔に傷が付く」
筋力Aであり、しかも魔力放出のスキルを持つ彼女なら拘束を解くくらい容易
……のハズだがどう抗っても拘束から逃れられない。
「キャスター!貴様私に何をした!?」
「ああ?俺は何もしてねぇよ……まぁそいつはあの盾持ちの嬢ちゃんと坊主の協力者だ」
「……アサシンのサーヴァントか」
「生憎、俺は暗殺者じゃないがな……吐け」
セイバーを拘束してる男はそのままの状態でナイフをセイバーの首に刺し向け尋問を始めた。
サーヴァント相手に尋問などほぼ無意味、情報は持ってるだろうが殺された所で聖杯を得る機会を逃すだけで死というものはあまり脅迫対象にならない。
「……一体私に何を話せと?」
「惚けるな。
そもそもここは聖杯戦争が行なわれていたはずだ、であればすでに聖杯を手にしたお前は願いの一つ叶えられるハズだ、わざわざこの場で安住している意味は無い、それこそ俺たちを待ち構えていたなら話は別だが」
「ふっ……所詮どう運命が変わろうと私一人ではどうにもならないというだけだ」
「わかるように言って欲しいが?」
「……なら一つ言っておこう……Grand Order」
「!?」
「……何が言いたい?」
「まだ聖杯を巡る戦いは、始まったばかりだということだっ!」
「ッ!」
おそらく自身が持つ魔力を全て開放した魔力放出。
このままでは流石に耐えられないと判断した拘束者は、セイバーを自分の背後に投げた。
それと同時に彼女は魔力放出を止めたが、同時に火球がセイバーを襲った。
「そんだけ魔力を放出した直後なら、俺の攻撃もよく通るだろうよ!」
「……話は終わりだな、さっさと寝ろ」
ダメ押しに、一匹の蛇はハンドガンをセイバーの顔に3発、さらにグレネードを一個放り投げた。
直後、爆発が起こりセイバーの辺り一体の土煙が立ち込めた。
その煙が消えた時……すでにセイバーの体は消えていった。
「……終わったか」
こうして騎士王は倒された。
最後に見えた騎士王の顔は……なぜかすごく、もの凄く不満そうな顔をしていた。
しかもその顔はスネークに向けられていた。
だがその顔が見えたのはキャスターだけで、当のスネークはさっさと後ろに控えているマスターとマシュの方に駆け寄っていた。
少なくとも、この後どうなるかを想像したキャスターは考えるのを止め、最後に彼らに声をかける事にした。
「……おっ、どうやら俺もお役御免らしい」
「キャスターさん!」
同じくキャスターの体も倒してきたサーヴァントのように、光の粒子となって消えていく。
そんなキャスターを心配したのか、マシュが声をかけるが……当のキャスターは嬉しそうだった。
「おう!最後に嬢ちゃんに呼ばれただけ良いご褒美だ……坊主にスネーク!あとは頼んだぜ!」
「そうか……まぁやることはやろう」
「ケッ、最後に格好つけやがって…………次に俺を呼ぶ機会があれば、ランサーとして呼んでくれ!」
そう言ってキャスターは満足そうに消えていった。
そしてセイバーが倒れていたであろう場所に、黄金に輝く物体が落ちていた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「……キャスターとセイバーの消滅を確認しました、私たちの……勝利でしょうか?」
「まぁ随分と呆気ない勝利だがな、これでこの特異点の問題は解決したのかは知らんが」
《マシュ!藤丸君!どうやら君たちは聖杯を手にしたようだね。
こちらでも空間の歪みの解消を確認した、本当に良くやってくれた、そこにいるスネークも》
「そうか……だそうだが所長さん、このあとはどうする?」
「……………………………………」
「所長?」
「っそうね……ここに長居する気は無いわ、さっさとカルデアに帰るわよ!
ロマニ、すぐにレイシフトの準備よ、マシュはあそこにある聖杯を——」
パチッ、パチッ、パチッ、パチッ、
「……どうやら、まだ終わらんみたいだな」
「フォウ!」
「いや、まさか君たちがここまでやるとは……計画の想定外にして……私の寛容さの許容外だよ」
どこからか拍手と声が聞こえる。
見ると、最初にセイバーが立っていた場所と似たような場所に男がいた。
……その存在を訝しみながらも、スネークは銃をしまった。
「アレは・・・レフ教授!」
《レフ教授だって!?》
「……おい坊主、あの男を知ってるのか?」
「あっはい、レフ教授です、カルデアの技師ですが——」
「レフ……レフ!レフ!レフゥ!!」
「……所長に次ぐカルデアの重鎮です」
マシュが立香に変わり説明する中、思わない再開にオルガマリーは駆け出した。
それこそ久しぶりに再会した父親に駆けていく少女の様に。
「おい、だがあいつは……」
「レフ!良かった!あなたは生きていたのね!」
「やぁオルガ……君も大変だったみたいだね?」
「そうなの!もう訳がわからない事ばかりで……頭がどうにかなりそうだった……………………………………
けど!あなたがいればどうにかなるわ!!さあ一緒にカルデアへ——」
「・・・全く、予想外すぎて頭にくる……ロマニ、君にはすぐ管制室に来るよう言っただろう?」
《………レフ?》
「っ戻ってこい!・・・チッ!」
何か察したらしいスネークはオルガマリーに叫ぶが……当の少女はひたすらレフ教授へ走っている。
アレはもはや子犬と大差なく、周りの声など聞こえてないだろう。
「……君もだよオルガ」
「え?」
そこでようやく走るのをやめた少女、だがそこはあまりにも近過ぎで無防備であり、スネークも近付けない
「爆弾は君の足元に設置したのに……っまさか生きてるなんてねぇ」
「……レフ?」
そこでようやく違和感に気がついたのか、少女はレフがいる方を見上げる。
マシュや立香も違和感に気がつき、レフの方を見る。
「いや……生きているとは違うな……君はとっくに死んでいる、肉体はとっくにね!」
そこには……温厚な顔を持つ男ではなく、悪魔のような表情をして笑みを浮かべる男がいた。
「きみは生前、レイシフトの適性が無かっただろう?
・・・まさかポッドの外にいたからレイシフト出来たなんて馬鹿なことは言わないよね?」
「ちがう……の……?」
「言っただろう?君の肉体はとっくに死んだ!
肉体があったままじゃ転移できない、君は死んで初めてあれ程切望していた適性を手に入れたのだよ。
……そこにいる一般人の彼のようにね」
「そんなぁ……ウソ……」
「だから、君がカルデアに戻った時点で君は消滅する」
「!?消滅って……私が……!?」
そこでようやく少女はオルガマリーに戻った、だが目の前にいる男を未だにレフと見なしている。
「……坊主、奴が言ってることが事実なら彼女が死ぬっていうのは事実か?」
「えっ?えっと……」
《……本当です、おそらく所長は……魂だけがレイシフトしてそこにいるんだと思います》
「そうか……なら確認するが、彼女は“死んでいる”な?」
《……ええ》
「……坊主、頼みがある」
「何ですか?」
「恐らくだが——」
その間にスネークはこの場にいる二人や通信先の男から情報を引き出した。
それらから総合して一つの可能性を見つけた……が、まだ実行する時ではないと判断した。
だがその間にもレフと名乗る男は話を続けた。
「だがそれではあまりにも哀れだ…………そこで、生涯をカルデアに捧げた君に、最後の手向けとして今のカルデアはどうなっているかは見せてあげよう」
するとセイバーがいた場所にあった黄金の物体がレフの手元に突如飛んでいき、そのまま消えた。
そして彼の背後に太陽の様に赤い、地球儀の様なものが現れた
周辺には瓦礫も見える
それに見覚えがあるらしいオルガマリーは・・・ただ怯えていた
「うそ・・・よね・・・?アレはタダの虚像でしょ!?そうでしょレフ!?」
「ヒドイなオルガ……私がわざわざ君のために、時空を繋げてあげたんだ。
聖杯があればこの程度のことは簡単に出来るからね」
《……こちらでも確認した、確かに今カルデアとそこの空間は繋がってる》
「……………………」
「さぁよく見たまえアニムスフィアの末裔、これが貴様らの愚行の末路だ!」
「っ!?」
すると突如、オルガマリーの体が宙に浮いた
それこそ超能力の様に、何かに引っ張られるように
そのまま彼女の体は……あの太陽の様なものに吸い込まれるように向かっていく
「っちょっと!?一体何をする気!?」
「だから言っただろう、君への最後の手向けだよ……君の宝物とやらに触れるという、ね」
「・・・何を言ってるの!?だってカルデアスよ!?」
「ああそうだね、ブラックホールと何も変わらない、まぁ太陽かもしれないが」
そのまま彼女の体はレフを通り過ぎカルデアスに向かった
その先は……文字通り暗黒なのだろう
「そのまま、生きたまま無限の死を味わいたまえ」
「イヤァ!イヤァ!!助けてよぉ!!」
《マズい!このままじゃ所長が……!》
「っ所長!!」
「ダメです先輩!近付いたら先輩も……!!」
「坊主!」
立香がオルガマリーの元へ駆け出そうとするがマシュが手を取り止める
スネークも彼の前に立ち、行く手を阻む
いまさら人である彼が行っても
サーヴァントであるスネークが行っても
どのみち彼女に近付くことすら出来ないのは目に見えている
「どうして!どうして!?まだ誰にも褒められて無いのに!まだ何もして無いのに!!」
「オルガ……君はそこでずっと生きていればいいんだ……永遠の死とともにね」
「イヤアァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
そのまま彼女の体……いや、魂は・・・・・カルデアスによって分子レベルに分解される
令呪をもって命じる!
スネーク!
彼女の“幽霊”を捕まえろ!!
「・・・全ての哀れみ、俺に憑く力を少し貸してくれ」
悲しい
哀しい
ああ
この世は哀しい
・・・・・・されど彼女には戻る場所がある、か
「……何?」
立香は令呪を使ってスネークに命じた。
令呪とはサーヴァントがマスターに従う絶対的な命令権。
それがたとえ物理的に不可能だとしても
サーヴァントに出来ることならその能力を飛躍的に高める
サーヴァントに出来ないものでも瞬間移動程度なら奇跡として可能にする
スネークはマスターの命に応えるため“彼”と“彼ら”の力を借りた
「……なにが起きている?何故動かない?
……まぁ良い、オルガ!君はとっくに死んでいる!さあ君の願いを叶えよう!さあカルデアスに——」
「黙ってろ、彼女は助けろと言っている、女性が助けを求めて無視とは最低だな?」
突然彼女が空中で止まったことに驚きながらも、レフがオルガマリーに話しかける
だがスネークが堂々とそんな彼に向かって喋り出す
「……ほざけ使い魔が、貴様にはなにも出来まい、近付いただけで貴様らもカルデアスに飛ばしてやろう」
「ぉお怖いな……だが彼女は“魂”そのものだ、肉体を持たない“幽霊”に等しい」
「………それが何だと言うのだね?」
「それなら“奴"の領分だ、奇跡も使い物にならん」
「なにが言いたい」
「単純だ、“あいつら”は彼女を捕まえた、それだけだ」
「……なに?」
「わからないなら黙っててくれ、俺は少し彼女に用がある」
それだけ言ってスネークはオルガマリーに尋ねる
「オルガマリー、お前はどうする」
「どうって!?」
「いま、お前はそいつに殺されかけてるが、どうする」
「助けてよっ!!私はまだ死にたくない!!」
「自分ではどうにも出来ないか?」
「だから助けてよっ!」
「・・・ふざけるな」
『!?』
「お前に意思はないのか、助けて欲しいのはわかる、だが自分でどうにか解決しようとしたか?」
「どうしようも出来ないじゃない!!」
「お前の近くに敵が居るのにか?」
「ふざけないで!!早く私を——」
「・・・・・ふざけてるのはどっちだ!!」
「……おやおや、仲間割れかい?君も大変だねオルガ」
「…………………」
「ふざけてるのは誰だ、お前を殺そうとしてるのは誰だ?」
「君はもう何もしなくていいんだ、オルガ」
「…………………」
「お前がいま為すべきことは!出来ることは!一体何だ!?」
「君はもう役目を果たしたんだ、もう君がすることは無いんだよ」
「………………」
「お前が!この坊主を守ったのは何故だ!?」
「オルガ、あの男が言っていることはデタラメだ、君はもう、大丈夫だ」
「…………………」
突然始めた問答
その意図にレフも、立香も、マシュも、ロマニも、誰もわからなかった
ただ、空中で静止しながら問答を受けていたオルガマリーはただ疲れたのか黙り込んでいた
「……残念だったな使い魔、彼女はもう私の暗示にかかってる、もう何も喋ることは出来んよ」
「そんなっ……所長!!」
「ダメです先輩っ!」
「………………………………」
「そうだ、所詮貴様らには何も出来ないのだよ、ただ貴様らはこの私に、2015年担当者の私に——」
「…………………よ」
「……オルガ?」
「……残念だったのはお前の暗示みたいだな」
「……………でよ」
「はぁ・・・オルガ、もう君には出来ることなど無い、だから目を閉じていればいい」
「もう一度聞くぞ嬢さん!お前がいま、為すべきことは、出来ることは、一体何だ!?」
「………ないでよ」
「オルガ、君はもう——」
「いい加減さっさと気付け!お前の今するべき事は何だ!?」
「ふざけ…………ふざけんなぁアァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」
心がブレれば照準がズレる
だが強い意志があればブレは収まり照準は合う
空中で浮きながらも彼女は
オルガマリー・アースミレイト・アニムスフィアは
決して的を外そうとせず
決して相手に屈しようとはせず
ただ単純に
ここで死にたくなど無かった
発砲
その魔力でできた塊は
寸分の狂いもなく
対象の頭に向かっていた
「……残念だが、私にそんな物は効かないよ」
だが対象は……レフは何も意味が無いかのごとく。
実際、彼にとっては何の意味も成さない彼女の魔術を消しとばしたらしい
だが彼女にとってそれは大いに意味にある行動だった。
「……良いだろう、連れて来い!」
スネークのその言葉通り
オルガマリーの体はゆっくりとスネークの方へ移動していった
それこそどこか天空の城のようにゆっくりと
「……貴様、一体何をした?」
「俺は何もしていない、ただ“奴"と“彼ら”が手伝っているだけだ」
「・・・まあいい、彼女は私を殺そうとした、なら殺せば良いだけだ」
そう言ってレフは手をかざし、何らかの攻撃魔術を放った。
それは素人が見ても恐ろしいもので魔術師である彼女にはそれが呪詛の類のものを集めたものだと判った
そして触れれば即死だと言うのも優秀である彼女は察した
だが
『……哀しい』
「……何!?」
何らかのモノがその呪詛を拒むかのように
その魔術は“完全に打ち消された”
「無駄だ、彼女が“魂”である以上一切の攻撃は“奴"によって無効化される」
「……貴様!まさか超能力者か!?」
「そんな訳が無いだろう……」
“奴”はスネークの言葉通りで魂を集めることに長けた者
だからと言ってスネークを率先して助けることは無い
ただ常に側にいて向こう側にいる
そうして死者の魂をいつも集めていた……こうして今も
「それとだな、お前は戦闘に慣れて無いようだから言わせてもらうが、そこにはセイバーが居た」
「ぁあ?ああ、知っているとも、あのセイバーは余計な手間を取らせた。
……そうだDr.ロマン、最後に忠告をしといてやろう、未来は消失したのでは無い、未来は焼却されたのだよ」
《……外部の連絡が取れないのはそもそも外部はもうすでに消え去って何もに無いからか》
「そんな……!」
「そういうことだ、お前らは進化の行き止まりで衰退するのでも、一族との交戦の末に滅びるのでも無い!
自らの無意味さに!自らの無能さに!
我らが王の寵愛を失ったが上に、何の価値も無いゴミくずのように跡形も無く燃え尽きるのだ!!」
随分と声高々に宣言したレフ、その内容はカルデアにいるスタッフも驚く内容だった。
その言葉には当然マシュや立香も驚き、絶望するような内容だった
・・・・・のだがそれ以上に
「・・・はぁ」
呑気に葉巻を吸い出した男がいて絶望などしなかった
「……お前、俺が言ったことを覚えてないだろ?」
「……ああ、聞こえてなかったのか?
ゴミくずと何ら変わらない存在ごときの言葉を私が覚えているとでも思ってるのか?」
「……そうか、ならその余計な手間を取らせたセイバーが何故最初にお前が立っている場所に居るかわかるか?」
「はぁ?そんなものどうでも良いだろう?」
「……そこが一番周りを見張るのにちょうど良いからだ」
「……ああ、確かにあの女はここで辺りを意味も無く見ていたな」
「……どうやらこれ以上は無意味だな、忘れてくれ」
「はっ!ああ、貴様らももうすぐ焼却される運命に変わりは無い!
貴様らはすぐに人理焼却の炎によって存在もろとも燃え尽きるゴミに変わりはない!!」
「…………………………」
「ハッハッ、ハッハッハッ、ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
声高々に笑うレフ、それは完全に勝ったも同然の物だった。
だが考えても見て欲しい
見張りやすい場所というのはつまりアーチャーの様な狙撃屋が攻撃しやすい場所だ。
そしてスネークはセイバーとの交戦中、最初は全く関わってなかった
それは一体何故か?
「ならお前から燃え尽きろ」
横にオルガマリーが付いたのを確認し
葉巻を投げ捨て
胸から何かを取り出した
それは真ん中が赤いボタンだった
そして何の躊躇いもなくそのボタンを押した
瞬間、レフが立っていた場所ごと“崩壊した”
その威力は凄まじく、堤防の様に築かれていた土の山が“爆ぜていた”
騎士王の放つ聖剣の様な暴風がその場にいる全員を襲った
とてもその暴風には敵わず、マシュの後ろに立香とオルガマリーは隠れた
……が、スネークは飛んできた葉巻を取り、律儀に葉巻入れに燃えカスをしまった
同時に立香が持つ無線に叫んだ
「ドクター!レイシフトを実行しろ!恐らく洞窟が保たん!!」
《わっわかった!けど所長は……!?》
「安心しろ、彼女はとっくに固定化されている!」
《……んぁあわかった!けどそこの空間自体が間に合わないかも知れない!!》
「だったらさっさとやれ!
坊主!さっさとこの場から撤退するぞ!マシュは走れるか!?」
「ハッハイ!!」
「ならマシュは坊主を担いで走れ!俺はそこの所長を背負う!とっとと走れぇ!!」
そのままスネークは言うが早く、所長を担ぎ洞窟の出口へ走った。
それに釣られてマシュも立香を背負い走り出した、だがそんな中でオルガマリーは暴れだした。
「ちょっと!?レフは——」
「あれは多分生きてるだろうな!空間を繋げることが出来るならどうにかして逃げただろう!
だがおかげで俺らは洞窟が崩れる前に逃げれば問題無い!!」
「何で洞窟が崩れるのよ!?」
「崩れているのはこの空間では!?」
「俺が事前に仕掛けた爆薬だぁ!あのセイバーの仲間が他にいるとも限らんからな!事前に罠を張っていた!
洞窟ごと破壊する必要は無いと思っていたが嫌な予感がしてな!仕掛けておいて良かった!!」
「・・・じゃあスネークさんの所為なんですか?」
「…………そこは……ほら、あれだ……あのレフとかいう奴が現れなければ良かったんだが」
「それってつまりスネークさんの所為じゃないですか!!」
「っほらさっさと走れ!崩壊するぞ!!」
マシュの指摘から逃げるかのようにスネークはスピードを上げた。
その速さは少なくとも40代男性が出すような速さではなく
いくら俊敏Dとはいえマシュが置いていかれるのはいささか異常だった
「よし出口だ!踏ん張れよ!!」
目の間に出口が見えた
外は暗く、夜ではあったがとても輝いているように見えた
そして・・・・・・・彼らは・・・・・・・
TO BE CONTINUE
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