日本にインベーダーD星人が襲来。
圧倒的なテクノロジー差にも関わらず無謀な戦いに挑むと言うお話。

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本編

 自衛隊VSインベーダー

 

 

「一体何だアレは・・・・・・」

 

 銀色の円盤群と共に地球外生命体が乗っていると思しき謎の飛行物体が来訪。

 

 彼達は自らをD星人と名乗り、一方的に日本への侵略活動を開始。

 

 どうして日本なのかと言うと、たぶん昭和からのお約束だろう。

 もしくはゲッター的な宇宙線にでも導かれたんだろう。

 

 政府は決断を下す前に成す術もなく異星人の攻撃で吹き飛ばされた。

 

 空中は円盤。

 

 地を行く異星人の戦車に黄色い防護服の様な戦闘スーツを身に纏い、レーザーガンを標準装備するD星人。

 

 更には巨大ロボットや宇宙怪獣まで投入し、一方的に蹂躙するD星人。

 

 このまま日本は、自衛隊は成す術もなく敗退するのか?

 

 

 しかし自衛隊は負けてばかりではいなかった。

 

 

「いいのか? 下手をすれば我々はテロリストになるぞ?」

 

「テロリストにならなければ国民を守れんならテロリストになるさ。もっとも国家が残っていたらの話だがな」

 

 ~とある自衛隊の幕僚達の会話から抜粋~

 

 シビリアンコントロールを逸脱し、避難しながらも首都圏を放棄し、反撃体制を整える自衛隊達。

 D星人も負けじと宇宙からの降下で戦域を確保しようとするが自衛隊も必死に迎撃を試みる。

 

 その傍らでD星人は国際社会にある取引を持ち掛けていた。

 

 曰く、自分達の技術を譲渡するから日本との戦争に手を出すなと。

 

 D星人はただの力任せの侵略者かと思えば意外と狡猾だった。

 

 国際社会はD星人の意図が図りかねず、そのまま日本の侵略の静観を決め込んでしまう。

 

 

 その一方で自衛隊は必死に反撃を試みる。

 敵よりも反日左翼がウザいのは何時ものことなので無視したいが、そんな住民をも守らなければならないのが自衛隊の悲しいところである。

 

 北陸地方、中部地方で繰り広げられる果ての無い総力戦。

 

 こう言う時、創作物では必ず秘密兵器が登場したりする物だが生憎この世界の自衛隊にんなもん都合よくない。

 

 上が不眠不休で戦略を練って指示を飛ばし、現場が戦術で頑張り、最後は気力の消耗戦を仕掛ける。

 

 今の自衛隊は日本帝国時代のアメリカがもっとも恐れた戦闘モードが起動していた。

 

 戦争はテクノロジーと数だけで決まる物ではない。

 

 今の日本は正にそれだった。

 

『奴達正気か!?』

 

『攻撃だ! 攻撃の手を緩めるな! 必ず陥落する筈だ!』

 

 D星人は様々な、地球人相手にはオーバーキルであろう最新鋭兵器を投入しまくった。

 それでも日本の守りを崩せない。

 それどころか各戦線で手痛いしっぺ返しを食らう。

 

「よろしいのですか提督? ホワイトハウスの指示に従わなくても?」

 

「構わん。日本にだけ良い格好はさせん。日本にいる異星人どもを叩き潰すぞ」

 

 その戦い振りに熱を当てられたのかアメリカの太平洋艦隊が動いた。

 

『提督。君はもっと賢い軍人だと思ってたのだがね』

 

 だが大統領がストップをかける。

 

「大統領。戦後の事は戦後になってから考えてください」

 

『戦争屋には分からんだろう。D星人から得られたテクノロジーを独占するにはタイミングが』

 

「世界の頂点を目指す姿勢は結構。ですが今ここで戦わねば、アメリカ合衆国の誇りや魂は無くなるも同然! そんな軍隊なら喜んで首を差し出しましょう!」

 

『貴様、大統領に歯向かうと言うのか!』

 

「既に日本で多くの同胞を、そして守るべきアメリカ国民を失った。大統領、あなたの選択肢はその人々に胸を張って宣言できることですか!? 今戦わねばアメリカを築いた人々を裏切るも同然だ!」

 

『理想論は寝ていいたまえ!』

 

「軍人として当たり前の事が出来ないのが寝言の軍隊と言うのなら喜んで軍人を辞めましょう!」

 

『軍法会議で無事に済むと思うなよ! 世界の頂点はD星人でもジャップでもない! 我々アメリカでなければいけないのだ!』

 

 そして通信が切れる。

 シーンと空母のブリッジが静まり返った。

 その場の兵士達の気持ちを代弁するかのように副官が尋ねる。

 

「よろしいのですか提督?」

 

「構わん――最悪私一人でも行く」

 

「では私も行きます」

 

「いいのか? 合衆国に背く事になるぞ?」

 

「いいえ、ここで動かねば我々は永遠に後悔する事になるでしょう。志願者を集った上で日本に向かいましょう」

 

「すまん――」

 

 そうして太平洋艦隊は日本へと進路を向けた。

 

 一方で欧州のとある財団の屋敷にて。

 自然豊かな、緑の中で建てられた屋敷。

 ただ単にゴージャスではなく、威厳を感じさせるアンティーク調の家具が並べられる中。

 日本の状況を把握している男がいた。

 

 とある財団の代表。

 

 出生の経歴は不明。

 

 まだ二十代半ばだが彗星の如く財団に現れ、頭角を現し、一年にも満たない期間で財団の全てを掌握した男。

 金髪長身で気品漂い、婦女子が理想とする気品溢れる有能な殿方であり、そして男性にとっては理想の指導者とも言えるべき存在であった。

 

 彼はD星人からの提案やそれに乗ろうとしている欧州各国、そして世界中の人間をこう評した。

 

「エレガントではない」

 

 と。

 実質で副官である妙齢の女性がこう尋ねる。

 

「ですが、閣下――これも閣下が人類の勝者となるための――」

 

「レディ、私を失望させないでくれたまえ。それで勝者となるのなら私は敗者となろう」

 

 と、まるで何処かのエレガント星人を彷彿とさせる口調だ。

 決して宇宙空間での最終決戦の間際、次元転移でこの世界に来訪としたそう言う過去とかは無いだろう・・・・・・たぶん。

 

「私の気持ちは今も尚必死に戦う自衛隊に近いのかも知れない」

 

「何故なのですか? 平和ボケした極東の軍隊と地球を遥かに凌ぐテクノロジーを持つ異星人。子供でも勝ち目など無いのは分かる筈なのに」

 

「それは前線で戦う彼達が一番良く理解しているだろう。それでも尚、彼達は戦い続けている――それに比べて我々はなんだ? 与えられた小さなパイの奪い合いをしている、畜生にも劣る存在だ。そこに人間としての誇りの尊厳もない。もしここで異星人の提案を受け容れるような人類ならば私は悪となって人類を討たなければならない」

 

「閣下・・・・・・何故そこまでして日本に肩入れするのですか?」

 

 この男は裏であらゆる手を尽くして自衛隊に支援を惜しまなかった。

 その行動理念は通常の政治家からは理解出来ない者であった。

 

「では逆に問おう。何故勝ち目が無いにも関わらず戦う彼達を人類は拒絶しなければならない? 何故誇りを失ってでも保身に走ろうとする世界に疑問を持とうとしない?」

 

「そ、それは理想論です」

 

「ならば私は自衛隊が宇宙人に抗って見せているように私は世界に抗って見せよう」

 

 と、彼は言ってのけた。

 後日欧州各国を中心に軍隊が日本に派遣される事となる。

 

☆ 

 

 そうしてD星人にも変化が起きた。

 

『何が技術立国でありながら腑抜けの指導者しかいない国だ!! 何時まで経っても陥落出来ないではないか!』

 

 D星人の司令官はそう評した。

 確かに最初はそうだった。

 だが指導者を失ってからの日本はまるで別の国の軍隊よりも、追い詰められば追い詰める程に強固な軍隊になっていた。

 奮戦や健闘を通り越して自殺志願としか思えない戦い振りで逆に此方側が気圧されている。

 

 勝ち戦の筈がまさかの長期戦にもつれ込んでいた。 

 

『大変ですコマンダー!』

 

『何だ!?』

 

『日本軍の大規模反抗作戦です!! 各戦線ともに戦闘が激化!! アメリカと言う地域国家が参戦して来ました!!』

 

『欧州各国からの大艦隊が襲来してます!!』

 

『馬鹿な!? 日本の反抗は想像していたが世界各国とは話が付いていた筈だぞ!!』

 

 そうして戦況が動いた。

 

『西部侵攻軍被害甚大増援求む! 北部侵攻軍被害拡大中! 敵は我々の兵器を鹵獲して運用している模様!!』

 

『敵軍の中に離反者がいる模様!』

 

『ええい!! 宇宙空間に待機させている部隊を下ろせ! 最悪破壊ミサイルをチラつかせて黙らせろ!!』

 

 だがそれでも刻々と状況が一変していく。

 

『日本軍の駆逐艦接近! 空中を浮遊しています!!』

 

『なに!? まさか我々のテクノロジーをこんなに早く転用したとでも!!』

 

 そうして一隻の駆逐艦が接近してくる。

 名前はヤマト。 

 負ける事が許されない船に与えられた相応しい船である。

 

『敵駆逐艦!! 光線兵器を搭載!! 被害拡大!! 戦線を突破!! 飛行部隊と共に我々の地上本拠地に向かってます!!』

 

『何だと!?』

 

 少数精鋭による一点突破。本拠地吸収。

 自衛隊の決死の覚悟にD星人は仰天する。

 

『あいつら死ぬのが怖くないのか!? 円盤をぶつけてでも止めろ!!』

 

『ダメです!! 侵攻止まりません!!』

 

『こうなれば破壊ミサイルを使う!』

 

 破壊ミサイル。

 D星人制のクリーンな核弾頭と思ってくれればいい。

 

『大切なこの都市諸共吹き飛ぶがいい!!』

 

『敵航空部隊! 宇宙空間に突入! 破壊ミサイル! 反応前に破壊されました!!』

 

『なんだと!?』

 

 そうして叩き潰されていく、D星人達。

 そして彼達には更なる悲劇が待っていた。

 

『母星で反乱!! それの鎮圧に参加せよとの事です!!』

 

『何故このタイミングで――』

 

『映像が流れています!! これは――日本軍の映像です!!』

 

『なにぃ!?』

 

 それは日本の自衛隊の戦闘シーンだった。

 様々な種類の戦闘シーン。

 優勢な物から劣勢な物までありとあらゆるシーンが流れている。

 

 本星の良心あるD星人達にも届いていたのだ。

 自衛隊の、そして地球人の戦いぶりが。

 

 それを見て、D星人達は反抗の旗印代わりに、各同志にこの動画を流していたのだ。

 

 地球人でもやれるんだ。

 

 自分達でもやれる筈なんだと。

 

 地球侵略を任されたコマンダーはその場に崩れ落ちた。

 彼は理解できなかった。

 

 ただ一つ分かった事がある。

 

 我々は負けたのだと。

 

 

 D星人達は地球から引き揚げて行き、戦争は終わった。

 

 全てが元通りになったわけではない。

 

 しかし、それでも日本人達は世界各国の復興支援物資、そして自衛隊達の尽力により後押しされて元へと戻っていく。

 

 自衛隊を賞賛する一方でやはりと言うか守って貰っておきながら批判する声も多くあり、本当に戦争に勝った軍事組織としてどうなのか分からないが、それでも自衛隊は皆満足そうだった。

 

 彼達は勝者でもないが、敗者でもない。

 

 ただ守りたいモノを守り通せた。

 

 それだけで十分だった。

 

 今もD星人の地上本拠地後には廃艦となったヤマトが転がっている。

 

 急造艦な上に無茶し過ぎたのが原因だった。

 

 そのヤマトを祝福するように花束が捧げられ、花畑が広がっている。

 

 そしてこの戦争で亡くなった人々のための慰霊碑が建てられていた。

 

 

 こうして地球は、日本は救われた。

 

 決して大々的に賞賛される事はない防人達の手で――

   


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