天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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ハンター「この料理は出来損ないだ、食べられないよ。」
キッチンアイルー「私どものメニューにケチをつける、ということで宜しいですかニャ?」



口に入れた時点でマズいと分かってんのに、ちゃんと完食してからぶっ倒れるハンターは食材への感謝を忘れてないのか、それともただ単に意地汚いだけのか?
コゲ肉とか毒テングダケとかも平気で食べる辺りきっと後者。
とはいえ食べた結果、まともに歩けなくなるような料理はどんな理由があっても食べちゃイカンと思うのです。



天龍ちゃんと鎮守府の仲間達2

 

 

 

 

 

「どうやって注文すりゃいいんだ?全く分からねぇ……。」

 

連装砲ちゃんから渡されたメニュー表には見馴れない食材の名前が書かれているだけで、料理と思われるものの名前は1つも無かった。つーかこの米虫って何?米に付く害虫のコクゾウムシのことか?正直食欲失せるんだけど……。

 

「天龍さん、注文の仕方が分からないの?じゃあ雷が教えてあげるわ!あのね、ここに書いてある食材を2つ選ぶとコックさんがその食材に合った料理を出してくれるのよ!」

 

えぇ、何だよそのシステムは?簡単なのか面倒臭いのかよく分からんな……。ファミレスみたいに普通に注文させてくれよ。

 

「食材の組み合わせごとに違う効果が現れるわ。組み合せの数はとっても多いから、自分の好みに合った組み合わせで注文するといいわよ!」

 

「最も組み合せによってはハズレもあるがな。以前注文したドクドクドリアは凄まじい味だった。」

 

「あの時の長門さんは床を転げ回りながら悶絶していたのです。」

 

「それにこの時期のオンプウオは繁殖期だからうっかり注文しちゃ駄目よ~。オンプウオの卵巣には毒があるから食べちゃうと大変なことになるものねぇ。」

 

……ちょっと注文するの怖くなってきたな。つーか調理師免許や食品衛生法はどーなってんだよ!?

悶絶するくらいマズい飯を出したり、毒のある食材を平気で使用するって……。そんなんで金取るんじゃねぇ!!

 

 

 

 

 

「電は今流行りのチーズフォンデュを食べるのです。チーズに軽く焼いた夏野菜を浸して食べるレディにふさわしい料理だって暁ちゃんに教えてもらったのです。それにチーズは牛乳の親戚だから食べたらきっと背も伸びるのです!」

 

「雷はパンを食べるわ、穀物は1日のエネルギー源なんだから食べなきゃ頭が働かないわよ。それと果物も朝食べるのにはピッタリね!」

 

「食べるのならやはりステーキだな、肉を食べると力が湧いてくるぞ。肉と肉の組み合わせだと他のメニューと同じ値段でガッツリ食べられるから得した気分になる。一日三食肉を食えば疲れ知らずさ。」

 

「私はサラダを食べるわぁ、天龍ちゃんも好き嫌いせずに野菜を食べるといいわよぉ。それと白身魚のフライもお勧めねぇ。」

 

モタモタしている間にみんな注文を決めてしまった。まだ決まってないのはオレだけじゃん!えーい、もうこうなったら適当だ!

 

「これだっ、この組み合わせでくれっ!」

 

「カシコマリマシター。」

 

何だかよく分からない内に注文してしまった……。慌てて何を注文したのか自分でも分かってない、一体何が出て来ることやら?

 

「出来タヨー。」

 

早っ!?もう出来たのか?注文してからまだ1分すら経ってないと思うんだけど……。

 

 

 

 

 

連装砲ちゃんが注文した食事を順番にテーブルに並べていく。

電、雷、長門、龍田の前にそれぞれ料理が置かれる、どれも見るからに美味しそうだ。

そしてオレの前に置かれたのはジョッキになみなみと注がれたビールと小鉢に入った香り豊かなチーズ………………ビールとチーズ?

 

「えええぇぇぇ!?何だコレ、これが料理なのか!?どう見ても料理じゃないだろ!ビールと付け合わせのツマミとか、まるで仕事終わりのオッサンじゃん!」

 

料理とも呼べないツマミに驚くオレだが、他の4人は当然といった顔をしておりビールとチーズに疑問は無いらしい。まさかこれで驚くオレがおかしいのか?

 

「あらぁ、いい組合せを選んだじゃない。酒と乳製品の組み合わせは体力とスタミナの上昇率が特に高いのよぉ。」

 

えぇ~、納得いかねー。強力な効果を持った食事なのかもしれないけど何の因果で朝っぱらからビール飲まなきゃなんねーんだよ?これじゃあいつものタダ飯より量が少ないじゃん。

 

「そのビールは達人ビールといって、私達の鎮守府の提督が作ったビールなのよ!えーっと確か……そうそう、貴様のココロの回復薬っていうキャッチコピーで売ってるわ!」

 

「大人気商品でとっても売れていて、テレビでCMもやっているのです。みんなで飲もうぜ達人ビール!ゴクッゴクッゴクッ、プハー!イェーイ!最高だぜ!なのです。」

 

「可愛い……じゃなかった、その売り上げによって身分不相応な大金を手に入れたせいで舞い上がり提督業を疎かにしているのだがな。それに性格も悪くなった、いや前から若干高慢な性格をしていたがそれが悪化したのだ。本当に金の力というものは恐ろしいな、ああも簡単に人を変えてしまうとは。全く困ったものだ。」

 

あの提督が作ったビールかぁ……。売れてるってことは美味しいのかもしれねーけど何だか嫌だなぁ、あの提督ってだけでマイナス補正が掛かるぜ。

それにオレって酒はあんまり得意じゃねぇから普段から飲まねーんだけどな。

 

「「それじゃあ、手を合わせて……。」」

 

雷と電はそう言いながら両手を合わせる。龍田や長門も一緒に両手を合わせたのを見て、オレも慌てて両手を合わせた。

 

「「「「「いただきます。」」」」」

 

気は進まないが、さっそくチーズをツマミにビールを飲んでみる………………!?

うん、意外と悪くない。オレはアルコール類は苦手なんだ、悪酔いするから飲まないって決めている。そんな下戸なオレでも美味しく感じる辺り、売れ筋のビールっつうのは伊達じゃねぇんだな。あの提督に負けたみたいで悔しいが、認めるしかないようだ。

 

こっちのチーズも口いっぱいに広がる濃厚な旨味が最高だなぁオイ!名前はロイヤルチーズっていうのか?上手く説明出来ねぇが、とにかくロイヤルな味だぜ!ロイヤルでデリシャスでデンジャラス!美味い美味い、最高だ!

 

…………だけどやっぱこれを朝飯と呼ぶのは流石に無理があるよな。ハァ、普通の飯が食いたいぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ食事も来たし、電がスキルについて教えてあげるのです。」

 

「雷も一緒に教えてあげるから、分からないことがあったらどんどん頼ってね。」

 

張り切ってオレにスキルについて教えようとする電と雷。人にものを教えるっていうのが楽しいんだろう、左右から似た声で話しかけられると若干混乱するけどな……。

 

「天龍さん、防具にはスキルポイントというものが割り振られているのです。このスキルポイントの合計値が一定数を超えるとスキルが発動するのです。」

 

「スキルが発動すると狩りの際に有利になるのよ。スキルによっては攻撃力が上がったり毒に強くなったりと便利なものばかりだから、深海棲艦に勝てないって思ったときはスキルに頼るといいわ!」

 

「だけど中にはマイナススキルっていうのもあって、これが発動すると損しちゃうのです。ちなみに現状のスキルポイントは考えれば不思議と頭の中に浮かんでくるのです、これは狩娘特有の能力なのです。」

 

なるほどな……つまり発動させたいスキルのポイントが多い防具を組み合わせて装備すればスキルが発動するってわけか、意外と戦略性が高いんだな。

そんでもって今のスキルは意識すれば分かるようになっているのか。どれ、オレのスキルポイントは……うん、見事にバラバラでどれも発動してねぇな。

 

「同じシリーズの防具には同じスキルのポイントが割り振られていることが多いのです。だから基本的に一式で装備すればスキルが発動するのです。」

 

「私と電が装備しているのは第六駆逐シリーズって言うの。今は部屋に置いてあるから手元に無いけど、暁や響とお揃いの帽子もちゃんと持ってるのよ。こういうのを一式装備っていうの。長門さんや龍田さんの装備も同じく一式装備ね。今の天龍さんは装備の種類がバラバラでスキルポイントも滅茶苦茶だから何もスキルが発動していないの。そういう統一性の無い装備をキメラ装備って呼ぶのよ。一方で神通さんみたいに装備の一部を入れ替えたり、見た目の統一性は無いけどスキルの統一性が図られている場合はキメラ装備とは呼ばないわ。」

 

あぁ……キメラってそういうこと。別にオレだって好きでこういうカッコをしてるわけじゃねぇんだけどな。

 

 

 

 

 

「そして防具とは別にお守りっていうものがあって、このお守りにもスキルポイントが割り振られているのです。」

 

「お守りは採掘することで見つけたり、クエストの報酬で手に入ることがあるわ。天龍さんはまだ持ってないでしょ?歓迎会なんだからプレゼントに1個あげるわね、はいっ。」

 

雷はそう言うとオレに綺麗な色をした小さくて丸い石を渡してきた。

へぇ~これがお守りか……スキルポイントは気絶が+8で、お守りの真ん中に小さな穴が1つ開いてるな。

 

「あっ、雷ちゃんズルいのです!じゃあ電はプレゼントにこれをあげるのです。」

 

電が渡してきたのはお守りよりも更に小さな綺麗な玉、これってさっきのお守りの穴にピッタリと入りそうだな。

 

「それは装飾品なのです。装飾品も少しだけどスキルポイントを持っているのです。装飾品は原珠っていう玉を素材にしていて、原珠も採掘で集まるのです。」

 

「私が渡したお守りに空いてる穴はスロットって言って、そのスロットに装飾品をはめ込むことでスキルポイントが追加されるのよ。スロットは武器や防具にも空いてることがあるから、穴が多いものを選んだ方が装飾品がいっぱい入ってお得ね!」

 

試しに今貰ったばかりの装飾品をお守りのスロットに入れてみる……あっ、さっきまで+8だった気絶のスキルポイントが+10になってるな。

 

「それは耐絶珠っていう装飾品なのです。雷ちゃんのお守りと組み合わせることで気絶確率半減が発動するのです。」

 

「それを装備していれば天龍さんは気絶しにくくなって狩りが有利になるわ。本来ならオートガードのお守りを渡すのが伝統なんだけど、太刀を使ってる天龍さんにオートガードは使い道が無いからこれはその代わりね。」

 

つまりこれを装備しておけば気絶確率半減のスキルが発動するから気絶しにくくなるってことか。でもオートガードっていうのも名前はカッコよくていいな、どんな効果か知らねぇけど……。

 

 

 

 

 

「ちょっと待てっ!私は雷や電からプレゼントなんて貰ったことないぞ!?」

 

貰ったばかりのお守りをポーチに着けていると、唐突に長門が騒ぎ始めた、正直に言ってちょっとうるさい。

 

「えぇ~、だって長門さんは私達より先に着任していたじゃない。」

 

「長門さんは着任当時に神通さんにお守りを貰ったって聞いたのです。」

 

「欲しいー欲しいー、私だって雷や電からプレゼントが欲ーしーいー!」

 

みっともなく駄々をこねるビッグ7。お前幾つだよ、子供じゃないんだから……。

 

「じゃあ長門さんにはこのベルナスをあげるのです。ナスは嫌いなのです、だから遠慮しなくていいのです。」

 

「なら私はポケットティッシュをあげるわね!」

 

「おおーっ、こんなに嬉しいことはない。これで後10年は戦える!」

 

フォンデュ用に軽く焼いただけで何の味付けもされていないナスと、これまた何の変哲もないティッシュを貰って大喜びするビッグ7、そんなもの貰っただけで10年間も戦うって、給料で考えたら安いってレベルじゃねぇな……。

正直言って雷と電から物を貰えれば何でも良かったんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ次は連装スキルについて教えてあげるのです。連装スキルはその名の通り連装砲ちゃんが特別な方法で作った料理を食べた時だけ発動することのあるスキルなのです。」

 

至福の表情で何の味も付いていないナスを頬張る長門を尻目にスキルの説明を続ける電。……よくあんなだらしない顔をした長門をスルー出来るな。

 

「連装スキルは普通のスキルと違って1回のクエストに出かけてから帰ってくるまでの間しか効果は続かないの。効果もボウガンで相手を直接叩いた時の威力が上がったり、ツタを登るのが上手になったりと地味なものも多いのよ。だけど受けるダメージを減らしてくれたり、やられて沈みそうになった時に持ち堪えることが出来たりと頼りになるものも多いの。ちょっとしたときに助けてくれる縁の下の力持ちよ!」

 

「だけどスキルの中には敵に狙われやすくなったり、弾丸の威力が強くなる代わりに弾が真っすぐ飛ばなくなったりと扱いが難しいものもあるのです。それと連装スキルが発動するかしないかは運次第、運が悪いとスキルが発動しないこともあるのです。」

 

「スキルを発動させたい時はなるべく新鮮な食材を選ぶといいわよ。それとお食事券を使って料理を注文するとタダで食べられるだけじゃなくて、食材を全部新鮮なものにもしてくれるのよ。だからスキルを発動させたいってときはお食事券を使って食事をするといいわ!」

 

つまり裏を返せば新鮮じゃない食材も出しているってことだよな、それって食堂としてどうなんだ?

それにお食事券を使えば新鮮な食材を出すってことは、普段からちゃんと新鮮な食材があるのに出し惜しみしているってことだよな?在庫を使ってしまいたいっていう気持ちは分かるけど、知ってて客に古い食材を出すって駄目だろ。

……まさかここではそれが当たり前なのか?まさに『カルチャーショック!』って奴だなぁ。

 

「特に今回長門さんが使ってくれた高級お食事券は絶対にスキルが発動する優れモノなのです、絶対に発動させたいスキルがある時は迷わず使うといいのです。」

 

タダ飯食うためだけの食券かと思いきや、実はすげーチケットだったらしい。恐るべし高級お食事券……。

 

そんなことを考えながら高級お食事券を使った張本人である長門の方に視線を向けてみると、長門はまだムグムグと何かを食べていた。

 

いつまでナスを食ってるつもりだよ、いい加減さっさと飲み込め……ってオイオイ、よく見たらそれナスじゃなくてティッシュペーパーじゃねーか!?ナスはともかくティッシュペーパーまで食うんじゃねーっ!お前はヤギか!?

そんでもって何で雷と電と龍田は長門の奇行を前にしても平然としてられんの?これがここの日常茶飯事なのか?『カルチャーショック!』にも限度があるだろ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頼れるはずの仲間のドンビキな姿に本当に頼っていいのか不安になる天龍だった……。

 

 

 

 






今は自前の食材を用意しなくてもいいし、おかみさんにメニューも開発してもらえる。
良い時代になったものだ……。


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