天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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台風の接近が面倒臭いからクシャルダオラとアマツマガツチ狩るぞー。(八つ当たり)





天龍ちゃんと演習3

 

 

 

 

 

ドスロ級に食べられている真っ最中のオレは、何とかしてヤツの拘束から逃れようと必死にもがいていた。

 

「は~な~せぇ~!!」

 

両手でドスロ級の顎を掴んで抵抗する。

しかし相手はオレより大きな深海棲艦、そう簡単には放してくれない。

掴んだ顎を右へ捻り、左へ捻り、最後には右足で蹴り飛ばす。

 

「ロ゙ッ!?」

 

拘束が緩んだ?よしっ、チャンスだ!!更にもう一発、今度は両足での蹴りをお見舞いする。

蹴られたドスロ級は怯んで後退り、ようやくヤツの拘束から逃れることが出来た。

うへぇ、顔がドスロ級のよだれでベチョベチョだ。散々噛まれた挙句、唾液で汚れて気分が悪い。

おのれ~。この恨み、晴らさでおくべきか。

 

「やられたらやりかえす!噛まれたのなら噛み返す!!今度はオレの牙を受けてみろッ!!!」

 

すぐさま気刃斬りの構えに入る。

ドスロ級が体勢を立て直すにはもう少し時間が掛かるから、気刃大回転斬りを繰り出す時間はあるハズだ。

 

「いくぜぇ気刃斬り………………あれっ???」

 

気刃斬りを繰り出そうとするものの、何故か放つことが出来ない。

おかしいな?気刃解放円月斬りを使ったのなら、練気は使い放題になっているハズじゃあ?

 

あっ、そうか!気刃解放円月斬りを繰り出す前にドスロ級に飛び掛かられたから技が不発になっているんだ!!

 

「だったらもう一度気刃解放円月斬りを………………って、ええっ!?」

 

闘気が無くなっている!!!???何でだよ!?

ひょっとして技を発動したか、してないかじゃなくて、発動しようとしただけで闘気って消耗するのか!?

 

 

 

 

 

オレが狩技の不発に戸惑っている間に、いつの間にか体勢を立て直したドスロ級は口を一文字に閉じると両頬を膨らませ始めた。

ハムスターやカエルのようにプクーッと膨らんでいくドスロ級の頬。

 

「ロッ!」

 

そして膨らんだ頬を萎ませると同時に、口から何やら黄色くて粘性のある液体を勢いよく吐き出した。

こ、これは深海棲艦のゲロか!?汚ねぇっ!!

黄色い液体の飛んでくるスピードは大したことなく、避けるのはそう難しくはない……避けられる状態にあるならば。

未だに狩技の不発に気を取られていて動けないオレに対して、黄色い粘液は容赦無く降り掛かり……。

 

「し、し・び・れ・るぅ~~~!?あがががががが……。」

 

どうやらあの黄色い液体はゲロではなく、麻痺成分を含んだ液体だったらしい。

それをまともに浴びてしまったオレは全身が痺れてその場に倒れ込む。

もはや狩技どころの話ではない。

麻痺液は非常に強力なようで、起き上がるどころか指1本すら動かせない。

 

そんなオレに悠々と近付くドスロ級。

動けないオレの前まで来たドスロ級は、見馴れた体当たりの予備動作を取り始めた。

ワザとらしいまでにゆっくりと身体に力を溜めるドスロ級。

 

「ロッ!!」

 

「うっげぇ!?」

 

そして繰り出されるドスロ級の渾身のタックル。

当然防げるハズもなく、オレは勢いよく吹き飛ばされた。

 

 

 

バコンッ!!

 

 

 

落ちた先は水面ではなく何故か木の板の上。

左の頬と両膝でだらしなく身体を支え、ケツを上に突き出した土下座よりも情けない格好で木の板の上に着地、もとい落下したオレはそのままベースキャンプへゴトゴトと運ばれて行った。

オレが落ちたのはレンタクの上だったのか……。

ということは連装砲ちゃん達も今のタイミングでオレがやられるのを分かっていて出待ちしていやがったんだな、畜生め……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴトゴトゴトゴト……ポイッ、ドサッ……ゴトゴトゴトゴト……。

 

「いってぇ……、何で毎回投げ落としていくんだよ?負けた人への罰ゲーム?既にやられて痛い目に遭ってるっていうのに、更に1回痛い目に遭わせるとか鬼じゃねぇか。」

 

ドスロ級のタックルで見事に1オチしたオレは、レンタクであっという間にベースキャンプに戻された。

麻痺液を吐いてくるとか聞いてねぇよ、ドスイ級はそんなことしなかったじゃん。

ドスロ級ってドスイ級のコンパチじゃなかったのかよ……。

 

すぐに再出撃する気にはなれず、ベッドに腰掛けて携帯燃料をかじりながら考える。

あっ、節食スキルの効果で食べかけの携帯燃料が残った!

わーい、これでもう一回食べられる………………ってそんなことどうでもいいわ!!

 

ドスロ級と戦うだけならただ単に太刀でチクチクと突いて倒せばいい。

しかしこれは太刀の使い方についての試験だ、そうやって倒すのは違うだろう。

気刃斬りと狩技は絶対に必要だ。

しかし気刃解放円月斬りも気刃斬りも今は使えないし、鏡花の構えも使うにも闘気が後少し足りていない。

だからと言って再び力を蓄えるために、のんびりと戦い続けるというのも見っともない。

この戦いはタイムが残るんだ、せっかくならビシッと決めたい。

さぁて、どうしたものか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ロ?」

 

「待たせて悪かったな、お詫びに凄ェものを見せてやる!」

 

戻って来ました闘技場、さぁて作戦通り上手くいくかな?

 

「いくぜ気刃斬りぃ!!」

 

闘技場内に戻ると同時にいきなり気刃斬りの構えに入る。

 

「ロロ??」

 

首を傾げてこちらを見るドスロ級。

不思議に思っているようだな?闘技場内に入って来たばかりでまだ練気が溜まっていないというのに、いきなり気刃斬りを繰り出そうとしたことが。

 

「だけどなぁ、出せるんだよ!!」

 

その場で太刀に練気を込め、迷うことなく気刃斬りを繰り出す。

確かに繰り出される気刃斬り、しかしドスロ級とは若干の距離があり太刀の切っ先はまったく届いていない。

 

「ロロロ???」

 

またしても不思議に思っているようだな?届かない距離から気刃斬りを繰り出したことを。

だけどそれを疑問に思う、お前の賢いオツムが隙を生むんだ!

 

「2撃目、3撃目!」

 

空振りを続けるオレを不思議そうに眺めるドスロ級。

これが無意味な行動だと思ってもらっちゃ困るな。

 

「油断したな?喰らいやがれ、気刃大回転斬りィ!!」

 

 

 

ズバァァァァァン!!!!!

 

 

 

「ロォォォォォ!!?」

 

「おっしゃあ、見事命中!上手くいったぜ!!」

 

太刀の外側に練気を纏わせるためには敵に気刃大回転斬りを当てる必要がある。

逆に言えば練気を纏いたいだけなら、普通の気刃斬りは当てなくてもいいってワケだ。

気刃大回転斬りは太刀を大きく振るから間合いが広い上に、繰り出す時に大きく踏み込む特性がある。

敵の間合いの外でワザと気刃斬りを空振りして、本命の気刃大回転斬りだけを命中させるっていうのがオレが考えた作戦だ。

 

出来ることなら前座の気刃斬りも当てた方がいいっていうのはオレだって分かっている。

だけど隙の少ない敵に接近して、時間の掛かる気刃斬りを繰り出すっていうのはリスクがデカい。

それにヒットストップって呼べばいいのか?相手に斬り付けると空振りした場合に比べて斬り抜けるまでに時間が掛かるからな。

だから空振りの連発の方が、斬撃を当て続けるよりも素早く気刃大回転斬りを放てるってワケだ。

 

 

 

 

 

「ロッ!ロッ!キューーーウ!!!」

 

「おっ、斬られて怒ったか?だけどこっちはお陰様で初期段階の白とはいえ練気を纏ってパワーアップ出来たぜ!」

 

怒りに任せて突撃してくるドスロ級、だけど来るのが分かっていれば怖くはない。

この距離なら躱そうと思えば躱せる、だけど敢えて躱さない。限界までドスロ級を引き付ける。

そして目と鼻の先の距離まで来たドスロ級がタックルの構えを取る。

来たッ、ここだ!やるとしたらここしかないッ!!

 

 

 

「ロォーーーッ!!」

 

「勝負ッ!鏡花の構え!!」

 

 

 

 

 

ザンッ!!!!!

 

 

 

 

 

突っ込んでくるドスロ級の攻撃をいなし、そのまますれ違うように斬撃を叩き込む。

練習では散々失敗した鏡花の構えだが、本番では1発で成功したな。

本番に強い実践型の天龍と呼んでくれ!

さぁて、この強烈な斬撃を受けて未だに立っていられるかな?

 

「ロォォォ!」

 

背後から聞こえた唸り声に驚いて振り返る。

そこには牙を剥いて唸る、依然として健在なドスロ級の姿があった。

 

「げっ、あれ喰らってまだ戦えるのか!?」

 

慌てて太刀を構えて相手の様子を窺う……が。

 

「ロ、ロォ……。」

 

ドスロ級は力無くプールの水面に倒れこんだ。

 

「お、おっしゃあ~~~っ!!気刃斬りと狩技を使って勝てたぞぉ~~~!!」

 

これでノルマ達成だ!ハァ~、疲れた。思った以上に苦戦したな。

とはいえ相手の体力が低いようにも感じたな、体感的にはあの時のドスイ級よりも低いんじゃないか?

さぁてお楽しみの剥ぎ取りタイムだ!ドスロ級からは一体何が剥ぎ取れるのかなっと?

 

 

 

 

 

『応急薬を入手しました』

 

 

 

 

 

あれ?何やらおかしな物が剥ぎ取れたような……。

気のせいか?試しにもう1回剥いでみる。

 

 

 

 

 

『応急薬を入手しました』

 

 

 

 

 

あっれー、おかしいな?

常識的に考えて深海棲艦から応急薬なんて剥ぎ取れるワケないよなぁ。

あぁ、ひょっとして目が悪くなったのかな?

ずっと師匠と太刀の練習してた上に休み無しでのドスロ級との死闘だもん。

そりゃ疲れて目も霞むさ。素材と応急薬を見間違うなんて我ながらどうかしてるぜ。

 

目と鼻の間を指で摘まんでほぐしてみる、こうすりゃ疲れ目も少しは良くなるだろ?

これで視力よーし、もう見間違えることは無いな。

それじゃあ最後の1回を剥ぐとするか。

 

 

 

 

 

『応急薬を入手しました』

 

 

 

 

 

何でだよ!?3回剥ぎ取って3回とも全部応急薬とかいい加減にしてくれ!

ここは皮とか骨とかが剥ぎ取れる場面じゃないのか?

もう戦いは済んだんだよ、今更応急薬なんていらねぇよ!せめて持って帰れる回復薬にしろよ!?

 

「終ワッタノナラ帰ルヨー。」

 

「えっ、レンタク?もう来たのか、早くない?まだ1分経ってない……うわやめろ、無理矢理乗せようとするな!?うわあああぁぁぁ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ロッ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、戻って来たゼヨ。無事に勝てて何よりゼヨ。」

 

「見事ナ鏡花ノ構エダッタゼヨ。」

 

元の装備に着替えて訓練所から出てきたオレを出迎えたのは師匠とレン丸。

 

「えっ、見てたのか?」

 

「師匠として弟子の訓練を見届けるのは当然ゼヨ。訓練所内の闘技場には観客席があるから、そこから見てたゼヨ。」

 

えぇ~、じゃあオレが食べられたところやレンタクに乗せられたところ含め全部見られていたのか……。

 

「それにしても1オチした後に、気刃斬りを使ったのはどうやったゼヨ?」

 

「練気ガ無イカラ使エナイハズゼヨ。」

 

「あぁそのことか、それなら……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「練気も無い、闘気も無い、このままじゃあ打つ手が無い。無い無い尽くしは厳しいな。とりあえずベースキャンプで落ち着いていられる間に砥石でも使っとこう。ポーチにドスロ級相手に使えそうなアイテムが入ってねぇかな?魚雷でもあると心強いんだが……。」

 

ドスロ級にベースキャンプに送り返されたオレは逆転の一手を求めてポーチを漁っていた。

物は試しと支給品ボックスの中を覗いてみたが、案の定何も入っていなかった。

 

「……ん、そういやこれが入っていたんだっけ?」

 

オレは見つけたのは、正に現状を打破するのに相応しい秘密兵器。

だけど個人的にこれだけは使いたくなかった。だけどもはや贅沢を言っている場合じゃない。

こうなったら覚悟を決めるか……。

 

「ええい、ままよっ!!」

 

意を決し、それを使う。

そう、その秘密兵器の正体とは……。

 

 

 

 

 

『狩技ドリンク』

 

 

 

 

 

ううっ、この口の中に広がる甘ったるいイチゴシロップのような味。

今日1日で何本飲んだか分からないし、この甘さのせいで飲み込むのが辛い。

だけどここで吐き出したら最低の絵面だし、逆転も出来なくなるから頑張って飲み込む。

これだからコイツには頼りたくなかったんだよ……。

せめて鼻を摘まんでから飲みたかったけど、強制的なガッツポーズのせいでその作戦すら使えない。

こういう時こそ節食が発動して欲しいのに、発動しなかったので仕方がなく全部飲み干す。

 

「うぐぐ……飲み切ったぞ……さて、次は。」

 

口の中は未だに甘いままだが、それに構うことなく太刀を構える。

狩技ドリンクのお陰で既に闘気は溜まった、ならば次にオレがやるべきことは……。

 

「気刃解放円月斬りッ!」

 

オレ以外誰もいないベースキャンプで虚しく響き渡る、オレの掛け声と空気を斬り裂く太刀の音。

 

「うーん、気合を入れたけどやっぱカッコつかねぇ。だけどこれでしばらくは気刃斬り使い放題だ!」

 

練気を溜めるだけなら相手に当てる必要の無い気刃解放円月斬り、なら安全なベースキャンプで繰り出せば絶対に妨害されることない。

それに狩技ドリンクのお陰で使えるようになったのは気刃解放円月斬りだけじゃあない。

 

「よし、後は上手く気刃大回転斬りと鏡花の構えを上手く使いこなせれば……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどゼヨ、邪魔の入らないベースキャンプであらかじめ闘気と練気を溜めておいたってワケゼヨ。」

 

「スゴイゼヨ!頭良イゼヨ!!作戦勝チゼヨ!!!」

 

「ま、まぁな。ところで倒したドスロ級から剥ぎ取ったら応急薬しか剥ぎ取れなかったんだけど、それは何でなんだ?」

 

剥ぎ取った応急薬は控室に戻される際に没収された。

代わりにドスロ級の顔が描かれたコインを数枚貰ったけど、これ何に使うんだろうな?

 

「その理由は簡単ゼヨ、演習用の深海棲艦は本当に死なせてしまうと再補充が大変ゼヨ。ここで飼育されている深海棲艦は身の危険を感じると、本当に死んでしまう前に倒れてしまうように調教されているゼヨ。だからあれは死んでいないゼヨ、思ったよりもあっさりと倒せたのはそれが理由ゼヨ。死んでいないんだから素材が剥げないのは当然ゼヨ。」

 

なんだ、だから早めに倒せたのか。

それならこっちの動きを疑問に思う賢さも、調教されたことで頭が良くなっていた結果なのかねぇ?

 

「そして演習内容によっては複数の深海棲艦と戦うこともあるゼヨ。だから妖精さんに頼んで素材の代わりに支給品を渡すようにしてもらっているゼヨ。つまりあれは剥いでいるように見えて実は何も剥げてないゼヨ。妖精さんの目にも止まらぬ早業ですり替えられているんだゼヨ。それにこれはお膳立てされた演習だから、本当に素材が欲しかったら自分で狩りに行けってことでもあるゼヨ。」

 

冗談だろ?何でも妖精さんの謎技術で完結するのやめろよ。

そういや前回も妖精さんに一瞬で着替えさせられたっけ?

狩娘ですら見切れないスピードで渡すとか、どっちが戦ってるんだか分かったもんじゃないな。

 

あれ?そういや提督や憲兵は狩娘と互角かそれ以上に強いらしいし、妖精さんも凄いスピードで動ける。

そしてオレは複数いたとはいえ連装砲ちゃんにすら負けかけた。

ひょっとしてカリュード諸島の鎮守府にいる連中の中で狩娘が一番弱い?

そんなバカな……。

 

 

 

 

 

「さて、ちゃんと狩技と気刃斬りを使ってドスロ級討伐演習を終わらせたオヌシの試験は文句無しに合格ゼヨ。もう日も暮れてきたとはいえ、1日で全て終わらせるとは立派ゼヨ。とはいえこれに慢心することなく精進を続けることゼヨ!」

 

「はい師匠!」

 

変な師匠とはいえ褒められて悪い気はしない。

 

「しかし勿体ないゼヨ、少し時間があったらワシのネバネバ剣法も伝授してやれたゼヨ。どうゼヨ、来週もワシは来るからその時にネバネバ剣法の勉強もしていくゼヨ?」

 

「えっ!?いや、それは遠慮しとく……。」

 

「そうかゼヨ、残念ゼヨ~。」

 

1日つきっきりで太刀の使い方を教えてくれたのは感謝しているが、流石にそんな変な剣法を習わされるのは勘弁してくれ。

 

「それではこれにて特別授業は終了ゼヨ、解散ッ!」

 

「ありがとうございましたっ!」

 

「シーユーアゲインゼヨ!次来ル時ハ商品買ウゼヨ~、安クシトクゼヨ~!」

 

さぁて帰るか。今日1日で全部マスターしたってことを龍田にも教えてやらねぇとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……帰ったゼヨ?」

 

「……帰ッタゼヨ。」

 

「天龍殿には1つだけ申し訳ないことをしたゼヨ。」

 

「ソレハショウガナイゼヨ。勝ッタコトデ自信ト達成感ヲ得タノニ、ソレニ水ヲ差スヨウナコトハ出来ナイゼヨ。」

 

「そうかゼヨ、ならばきっとこれで良かったんだゼヨ。」

 

スマンゼヨ。勝てたことを嬉しそうに報告するオヌシには言えなかったけど、実はあのドスロ級は普通のドスロ級ではないゼヨ。

ドスロ級を超越した()()()()()()ゼヨ。

オヌシは全力で戦った上での勝利だと思ってるんだろうけど、本当は物凄く手加減してもらっているゼヨ。

ドスロ級さんが倒れたのは危機に陥ったからじゃなくて、今日はこのくらいで勘弁しといてやろうの精神ゼヨ。

あんなに頑張って戦ったにも関わらず、部位破壊出来なかったのが何よりの証拠ゼヨ。

なんたってあのドスロ級さんを捕らえて演習用に調教と訓練を施したのは他ならぬ神通殿ゼヨ。

鍛え上げられたドスロ級さんはオヌシが最初に戦った装甲空母姫よりよっぽど強いし賢いゼヨ。

ドスロ級さんは賢いから手加減だって手慣れているゼヨ。

もしあのドスロ級さんが本気を出したら今のオヌシじゃ秒殺ゼヨ。

ここの鎮守府で本気のドスロ級さんを倒せるのは神通殿だけゼヨ。

それをオヌシに言えなかった心の弱いワシを許してほしいゼヨ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、じゃあ無事に勝てたのね?(可哀想だしドスロ級さんに手加減されたことは秘密にしといてあげよ。)」

 

「そういうこった。これからは生まれ変わったスーパー天龍Mk-2と呼んでもいいんだぜ?」

 

「んー、それはちょっとダサいから呼ばないかな?」

 

「あ、そう。(ガッカリ)」

 

オレは現在自室でくつろぎながら、さっき帰って来た龍田に今日の修行の成果を話していた。

龍田の狩猟の方も無事に終わったみたいだし万々歳だな。

 

「そうそうそれでね、今日は頑張った天龍ちゃんにお土産を用意してきたのよ~。」

 

そう言って龍田が取り出したのは、片手に収まる小さなサイズのプレゼント箱。

 

「天龍ちゃんが演習を頑張っているんだろうな~っと思って、私もクエストついでに採集してきたのよぉ。はいっ、あげる♪」

 

「おっ、ありがとな。中身は何なんだ?」

 

持った感じだとそんなに重たくはないが、少しヒンヤリとしているな。

 

「うふふっ、美味しいモノよぉ。お店じゃ売ってない珍しい物だから、よぉく味わってねぇ。」

 

「食いもんか、じゃあ冷たいうちにさっさと頂くことにするぜ!」

 

「はい、召し上がれ♪」

 

中身は何だろう?冷たいしアイスかケーキか?でも店では売ってない物だって言ってたよな?

何だろな~、楽しみだな~。それっ、オープン!

 

 

 

 

 

『氷結晶イチゴ』

 

 

 

 

 

「……こ、これは?」

 

「それはねぇ氷結晶イチゴといって、限られた土地でしか採集出来ない熱帯イチゴっていう果実を氷結晶で凍らせたものよぉ。採集してすぐに凍らせてあるからとっても新鮮なの、天龍ちゃんのためにわざわざ作ったんだからねぇ。」

 

うぐぐ……イチゴ……狩技ドリンク……龍田がオレのために作ってくれたイチゴ……イチゴ……食べるんだ……食べなきゃ……狩技ドリンク……演習……。

 

 

 

 

 

パクッ……。

 

 

 

 

 

「どぉ、美味しい?」

 

「…………。」

 

「天龍ちゃん?どうしたの?天龍ちゃんってば……!?」

 

「…………。」

 

「そのままの姿勢で白目を剥いて気絶してるぅ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は電が話すのです。

どうやら天龍さんはイチゴを咥えたまま気絶をしてしまったらしく、3日も寝込んだのです。

 

目が覚めた天龍さんに対して平謝りする龍田さんという珍しい光景が見られたのですが、肝心の天龍さんは演習を終えて鎮守府に帰った後の記憶が無いらしく、自分が倒れたという自覚も無いので当然龍田さんの謝罪にも心当たりが無くて首を傾げていたのです。

 

だけどこの日以降天龍さんはイチゴを見ると気絶するようになったので、鎮守府では天龍さんの前でイチゴを食べるのは厳禁という新しいルールが生まれたのです。

天龍さんには電と雷ちゃんがプレゼントした気絶半減スキルがあるにも関わらず、気絶させちゃうことが出来るイチゴは凄い果物なのです!

 

 

 







ドスロ級:ロ級の群れを率いるリーダー個体。
大きな体格とまるでサメの背ビレのようなトサカが特徴的。普通のロ級とは違い足も生えている。
基本的にはドスイ級と同じような行動を取るが、体内に麻痺性の毒液を蓄えた袋を備えており、狩りの際や身を守る際には相手にそれを吐き掛けて麻痺させる。
そのような戦い方を得意とするが故に、卑怯者扱いする狩娘もいる。

ロ級:ドスロ級に率いられる小型の個体。ドスロ級よりも小柄で足もトサカも未発達。
体内に麻痺性の毒液を蓄えた袋を備えているが、ドスロ級のものに比べると袋は小さく麻痺液の量、勢いともに劣る。
しかしドスロ級の指揮のもと、相手を群れで取り囲み四方八方から麻痺液を吐き掛ける戦法は非常に厄介。
モデルはゲネポス及びにドスゲネポス。ただし麻痺攻撃はゲネポスのような噛み付きではなく、ラングロトラのような麻痺液攻撃になっている。



潮風丸の装備

武器:南蛮刀【鮫斬】
頭:ホクシン【添髪】
胴:ホクシン【上衣】
腕:ホクシン【袖】
腰:無し
脚:ホクシン【袴】
護石:無し
スキル:ネバネバ剣法、水属性攻撃強化+1、体力+50

スキルは4Gの時のもの、だけど実は潮風丸自身はG級狩娘ではなく上位狩娘だったり。
えっ、武器も防具も発動スキルも大体想像が付いてた?
すごーい、ひょっとしてエスパー!?

剣レン丸の装備
武器:北辰納豆流レン蛮刀
頭:納豆流レンバラ髪
胴:納豆流レンバラ袴

えっ、こっちも知ってたって?
謎や。ミステリーや。


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