天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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みなさん明けましておめでとうございます。
もう14日だけど気にしない。

それでは2018年においての初投稿です。





長門さんと真犯人3

 

 

 

 

 

うぐぐぐぐ……耐えた、私は耐えきったぞぉ……。

 

ようやく神通の説教が終わった、辛過ぎてどうにかなりそうだった。

説教中に眠るワケにも痛みで姿勢を崩すワケにもいかず、このまま死ぬかと思ったぞ。

起きっぱなし立ちっぱなし説教しっぱなしの神通も同じくらい辛いハズなのに、どうしてアイツはケロッとしていられるんだ?

 

『貴女はそもそも……って、いつの間にか朝になっていますね。まだ言いたいことはありますが、とりあえずここまでにしておきましょう。今日の業務があるので、私もそろそろ着替えて準備しなければいけませんからね。それでは失礼します。』

 

そう言うと神通は去って行った………………ペタペタと足音を立てながら。

 

うぐぐぐ……鍛え方が違うとかそういうレベルじゃない、アイツの体力は底無しか?

まぁいい、とりあえず散らかしてしまった廊下を片付けよう。

先程神通にぶっ飛ばされた際に砕けたタルの破片は廊下に散らばったままだし、間違えて海水ドーナツを食べた際に慌てて元気ドリンコと海水のボトルも近くに落としてしまったからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………おかしい、何か変だ。

廊下のゴミを集めてみたが、どう見ても数が合わない。

まずは砕けたタルだが、落ちていた砕けた破片を組み合わせてみても元の形に戻らない。

パーツの数が足りないのだ。

 

続いて海水が入っていたボトルだが、これはすぐに見つかった。

廊下の真ん中に出来た海水の水たまりの中に落ちていたんだ。

蓋をせずにボトルを落としたことで、海水がこぼれてしまったのだろう。

これは雑巾を持って来て拭き取らなければならないな。

しかし海水のボトルと一緒に落としたハズの元気ドリンコは全く見当たらない。

一緒に落としたのなら、すぐ近くに落ちていなければおかしいというのにだ。

 

さては犯人だな、犯人がタルの一部と元気ドリンコを持ち去ったんだ。

とはいえいつの間に盗られたんだ?

恐らく私が神通に叱られている間に盗んでいったのだろうが、何故私も神通も気が付かなかったんだ?

 

確かに廊下は暗く、明かりは神通が持っていたライトと常夜灯の僅かな明かりくらいしかない。

それに神通は私に集中しており、私も延々と続く神通の説教と、どっと押し寄せてきた疲労で周囲にまで気が回ってなかった。

つまりタルと落としたボトルからは目を放していたのだ。

とはいえ流石に近くに第三者が現れれば、我々がその気配に気が付かないハズが無い。

特にあの神通に気付かせることなく盗みを完遂するとは、まさか相手は正真正銘の幽霊なのか?

 

 

 

 

 

………………ん?

よく見ると廊下に雫の跡が点々と続いている?

 

ペロ……こ、これは元気ドリンコ!!!

 

そうかっ!元気ドリンコも落っことした際にボトルにヒビが入ったのか、はたまたキャップが少し開いたのか、真相は知らないがとにかく少しずつ中身が漏れていたんだ。

そして犯人は元気ドリンコがこぼれ続けていることに気付かず持ち去った。

ということはこの雫の跡を追っていけば犯人に辿り着けるというワケか!?

これぞ犯人を捕らえる絶好のチャンス、もはや迷っている暇なんて無い!

掃除の続き?そんなもの犯人を捕らえた後でゆっくりとすればいい!

 

行くぞォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

進むにつれて量が少なくなってきたが、それでもわずかに続いている雫の跡を何とか辿っていくと、やがて鎮守府裏の雑木林に出た。

更に薄暗い木々の隙間を進んで行くと、やがてとても古く、そして荒れ果てた小屋に辿り着いた。

 

こんなところにこんなものがあるなんて、私は全く知らなかったぞ。

ここの鎮守府が建てられる前後に作られた仮施設か、はたまた資材置き場として使われていたのだろうか?

小屋自体はそこそこの大きさがあるが、手入れをされている様子は無く、提督や神通からも忘れ去られてしまったのだろう。

そして雫の跡は半開きになっている小屋の扉の中へと続いている。

恐らくここに犯人が潜んでいるとみて間違いない。

よしっ、もう逃さないぞ! 犯人め、正義の鉄槌覚悟しろッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小屋の中に入った私をまず最初に出迎えてくれたのは古びた埃とカビの臭い。

クモの巣らしきものが部屋のあちこちに張っており、ここの小屋が長い間誰にも使用されることなく放置され続けていたということがよく分かる。

それに人のいた気配というものがまるで無く、当然生活感といったものも皆無である。

本当に犯人がここを根城にしているのだろうか?

まさか犯人は本当に幽霊なのか?

 

続いて私の目に入って来たのは小屋の中央に乱雑に積まれたガラクタの小山。

ここが古い小屋なだけあってかつては物置代わりにでも使われていたのか、はたまたゴミの不法投棄だろうか?

 

ん?雫の跡がガラクタの前で止まっている?

………………いや、違う。

よく見てみればこれはガラクタやゴミじゃないッ、これは盗品だ!!

 

 

 

 

 

近付いて小山を確認してみる。

山の一番手前に捨てられているのはほとんど中身の入っていない元気ドリンコのボトル。

間違いない、これはさっき私が落としたボトルだ!

 

更にはペンや定規といった小さな文房具から、フライパンや麺棒といった調理器具に、シャベルや土嚢といった大きくて重たい土木用品、そしてどこからどう見てもゴミ同然の空き缶からお菓子の空き箱まで……。

物の大きさや種類、そして価値なんて全く関係無いと言わんばかりにただひたすらに積み上げられ、部屋の中央に奇妙な山を作り上げていた。

 

な、何なのだこれは?

理解を超えた異様な光景を前に息を呑む。

 

 

 

 

 

ま、まぁいい。ここに犯人がいない以上、まずは盗品を確保しておかないと……。

 

「……ん?」

 

盗品の山の前に屈んで手を伸ばしていると、何者かの視線を感じた。

もしや犯人か!?やはりこの小屋にいるのか?

周囲を見渡す………………が、やはり誰もいない。

くっ、やはり犯人は幽霊なのか!?

 

 

 

 

 

シュッ!!ガシャァン!!

 

 

 

 

 

突然何かが勢いよく私の顔の横を通り過ぎていった。

慌てて振り返ると、そこに落ちていたのは壁に当たって割れた植木鉢。

植木鉢が飛んできた方向は盗品の山の上からだ。

 

「一体誰だ!?」

 

盗品の山の頂上に目を向けると、そこには1匹のカマキリが佇んでいた。

金色の皮膚に、紫色の目をしたカマキリ。

見たことの無い種だ。それにデカい、体長20センチはあるんじゃないか?

 

「なっ、何だコイツ!?突然変異か?」

 

『シュルルルル……シュルルルル……キャアアアアァァァァ!!!!!』

 

突如として女性の悲鳴のような叫び声を上げるカマキリ。

その声色も、そして音量も人間の女性の悲鳴そのものだ!

 

「カ、カマキリが咆えただとぉ!?」

 

 

 

 

 

BGM:墟城の魂たる女王

 

突然の事態に動揺する私を尻目に、カマキリは尾の先から金色の糸を吐き出し、盗品の中からコンクリートブロックを絡めとると、そのまま軽々と自分の背中の上に乗せてしまった。

カマキリが糸を吐くなんて!?それにあんなに重い物を持ち上げるだと!?

よく昆虫は自分の何倍も重い物を持ち上げることが出来ると言われるが、だとしてもコンクリートを持ち上げるなんてありえない!?

 

『シュルルルル……シュルルルル……。』

 

カマキリは突然の事態に呆然とする私に向かって、おもむろに背負ったコンクリートを投げ付けてきた。

 

「うおおおっ!?」

 

慌てて避ける、あんなものが当たったらタダじゃ済まないぞ!?

 

『シュッ、シュッ……。』

 

続いてカマキリは糸を巧みに操り数本のフォークとナイフを絡めとると、どういうカラクリかそれらを宙に浮かべ、そしてその切っ先を私へと向けてきた。

すぐさま私目掛けて矢のように次々と飛んでくる食器類。

マズい、これを全部避けるのは無理だ!!

 

「くっ、これで防げるか?」

 

私は急いで足元に落ちていた箱を手に取ると、飛んでくる食器類に向けてそれを投擲する。

 

ダンダンダン!!

 

勢い良く投げられた箱は、同じく勢いよく飛んできたフォークやナイフが次々と突き刺さり、そして勢いを失うと同時にその場に落ちる。

何本もの食器に串刺しにされ、無残な姿となった箱。

防がなければ私がこのようになっていたのだと思うとゾッとする。

 

……んっ?この箱、何か印刷されているような???

 

えーっとなになに、『那珂ちゃんドンドルマスペシャルライブ』?

 

………………うん、これは見なかったことにしよう。

ここは神通と那珂が奇跡を起こして私を助けてくれたのだと思っておこう!

 

 

 

 

 

しかし何という戦闘力だ、もはやただの虫とは思えん!

それに物の形状を理解して私への攻撃に利用するとは、知能もかなり高いと見える。

こうなったら交戦あるのみ!

 

盗品の中からシャベルをひったくると、剣のように構える。

本当は普段から使い慣れているブレイズブレイドがよかったんだが、こんなことになるなんて思ってもいなかったんで、残念ながら今は手元に無い。

しかし弘法筆を選ばずだ、使い慣れた大剣でなくても戦ってみせる!

それにシャベルは世界大戦においても武器として活躍したんだ、武器として不足は無い!

この害虫め、退治してくれるッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カマキリが投げ付けてくる盗品をシャベルで叩き落としつつ、反撃の機会を窺う。

しかし相手が小さい上に、盗品の間を素早く動き回るものだから中々狙いが定まらない。

何回かシャベルで叩こうとしたが簡単に避けられ、逆に近くにあった盗品を破壊してしまった。

クソッ、こんなことになるんだったらブシドースタイルかブレイヴスタイルの練習でもしとくんだった!

 

…………ッ!?何だ?急に右足が動かなくなったぞ?

慌てて足元を確認すると、私の右足は何本もの金色の糸で床にガッチリと絡めとられていた。

引き剥がそうにも、強靭な糸はビクともしない。

いつの間にこんなものを!?

 

ふと周囲を見てみると、カマキリが歩いた後にうっすらと金色の糸が残されているのが見えた。

そうかっ、アイツはただ闇雲に動き回っていたんじゃない!

少しずつ罠を作って、そこに私が掛かるのを待っていたんだ!

クソッ、虫にしてやられるとはそれでも私は狩娘か!?

自分が情けない!

 

 

 

 

 

『シュルルルル……。』

 

私が動けなくなったのを確認したカマキリは、盗品の山の上に陣取ると中から古びた室外機を取り出した。

そんなものまで隠し持っていたのか!?室外機なんてぶつけられたくないぞ!?

 

「ええいっ、外れろ!」

 

どうにか糸から逃れようとするが、金色の糸は驚くほど丈夫で中々ほどけない。

このままじゃ室外機を避けられない、では避けられないのであればどうするか?

そりゃ迎撃あるのみだ!倒れるときは前のめり!!

 

『シャッ!!』

 

「うおりゃああああっ!!」

 

遂に飛んできた室外機、それをシャベルをバットのように構えて迎え撃つ!

大剣の溜め斬りの要領で力を込め、タイミングを見極めて全力で振り抜くんだ!!

 

 

 

 

 

カァン!!

 

 

 

 

 

見たかッ、やったぞ!

私が放った渾身の一撃は見事に室外機を捉え、そして跳ね返した!

我ながら惚れ惚れとするスイングだったな、若干腕が痺れたが……。

 

『シャアッ!?』

 

ガアァァァン!!ガラガラガラガラ!!!

 

まさか跳ね返されるとは思っていなかったのか、意思を感じさせないハズの冷たい複眼に困惑の色を浮かべるカマキリ。

そしてそのまま戻って来た室外機の下敷きとなり、その衝撃で崩れた山の中に埋もれてしまった。

 

完璧な当たり具合だ、これこそホームランだな。

……えっ、こういう場合はピッチャー返しと言うのか?

すまん、野球はあまり詳しくないんだ。

 

あの素早いカマキリでも、流石にこれは避けられなかったようだな。

いや、想定外の事態に避けるという発想自体が浮かばなかったのか?

昆虫でありながら驚いたりする辺り、やはり見た目より知能が発達していたのか。

まぁヤツが潰れた今となってはどうでもいいことだが。

 

 

 

 

 

しかし盗難事件の犯人がカマキリとはな、未だに信じられん。

ここに私の元気ドリンコや神通の持ち物である那珂ちゃんのBDを含めた数々の盗品があったことから、ここに盗品を溜め込んでいたというのは間違いないが、まだ別に犯人がいて偶然そこにカマキリが紛れ込んでいたという方がまだしっくりくる。

とはいえこのカマキリが高い知能を持っていて、道具を使うことが出来るというのは紛れもない事実。

やはりこのカマキリが自分で使うために盗んだのだろう。

 

 

 

 

 

しかしこれで謎は解けた、それでは改めて名探偵ナガトの名推理をご覧に入れよう!

 

いくらこのカマキリが大型種とはいえ所詮は小さな昆虫、こんなものが鎮守府に入り込んでも誰も気付かない。

この身体の大きさなら通気口の中だろうが、格子だろうが簡単に通り抜けることが出来る。

そして虫とは思えない怪力と強靭な糸、そして小さな身体による隠密性を活かして鎮守府中で盗みを働いていたんだ。

それに虫の価値観は我々とは異なる、価値の有る無し関係無く物を盗んでいったということにも納得がいく。

 

だが私がカマキリを退治したことで事件は解決した。

後はこの盗品を回収して、ことの顛末を報告すればお仕舞いってワケだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シュルルルル……シュルルルル……。』

 

………………ッ、この不気味な声は!?まさかッ!!

 

 

 

 

 

そう、勝負はこれで終わりなのではなく、ここからが本番だったのだ。

 

 

 

 

 







犯人は最初からコイツにすることに決めてました。
みんなは気付けたかな?

えっ、ノックスの十戒?
犯人は物語の序盤に登場していなければならない?

それはノックス自身がジョーク扱いしてるから。(震え声)



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