天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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マグネットスパイクの投げっぱなしジャーマンのモーション大好き。





天龍ちゃんとうーちゃんさん3

 

 

 

 

 

「ゴホッ……あー臭かった。まったく何だってんだよ一体?」

 

謎の異臭はようやく治まったが、ヘ級にはまんまと逃げられてしまった。

いや、ここは見逃してもらったというべきか?

しかし謎の煙を吸ったせいで喉が痛いし、目もかゆい。おまけに鼻水も止まらないぞ。

 

「天龍さーん、大丈夫だったっぴょん?」

 

今までずっと岩陰に隠れていた卯月は、ヘ級がいなくなったのを確認するとようやく姿を現した。

 

「無事で何よりだっぴょん。いやあ、ヘ級は強敵でしたね。」

 

何やりきった顔してんだ、お前全く戦ってなかっただろ……。

 

「それより今のヤバそうなものは一体なんだよ?」

 

「ヤバそうなの?それってひえい玉のことっぴょん?」

 

ひえい玉ぁ?

何だろう、名前からして嫌な予感しかしない……。

 

「これはうーちゃん達の鎮守府にいる比叡お姉ちゃんが作った料理を素材玉に詰めたもので、うーちゃん世紀の大発明だっぴょん!」

 

えぇ……あれ料理だったのか???形容出来ない色をしていたんだけど……。

というか、作ったのお前かよ。

 

「比叡お姉ちゃんはお料理が趣味で、よく大好きな金剛お姉ちゃんと仲良しの提督の為に腕を振るってるっぴょん。だけど出来上がる料理はどれもこれもとてもじゃないけど食べられたものじゃない、というか食べたら命に関わるものばっかりぴょん。使ってる材料には何一つおかしい所は無いのに、あんなものが出来上がるなんて不思議っぴょん。謎っぴょん。ミステリーっぴょん。」

 

命に関わるってマジかよ!?オレの鎮守府にはメシマズがいなくて助かったぜ。

というかそいつを料理と呼んでいいのか?アレを浴びたヘ級の装甲が少し溶けていたような気がするんだが?

 

「当然そんなものを食べたくない金剛お姉ちゃんと提督はあの手この手で食べるのを避けようとするっぴょん。金剛お姉ちゃんが比叡お姉ちゃんの気を引いている隙に提督が作った料理を別の料理とすり替えたり、食べたふりをして誤魔化したり……。」

 

そもそも料理をさせないっていう選択肢は無いのか?

無いんだろうなぁ、というか対策してもきっとすり抜けられるんだろうな……。

 

「それで比叡お姉ちゃんの料理は厳重な管理の下で処分されるんだけど、そのまま捨てちゃうのは使われた食材達に対して申し訳ないかな~って思った心優しいうーちゃんが、試しに素材玉に詰め込んだところ完成したのがこれっぴょん!」

 

いや、その発想はおかしい。

そんな劇物オレだったら関わることすらイヤだぞ?

 

「作る際にガスマスクと厚手のゴム手袋が必要になるけど、効果は見ての通りっぴょん!これを一度でも使っちゃえば、こやし玉を使うのが馬鹿らしくなっちゃうぴょん。」

 

「こやし玉?」

 

また聞いたことの無いものの名前が出てきたな、こやしって肥料のことか?

 

「えぇ~?天龍さん、こやし玉も知らないっぴょん?そんなんじゃこの先生きのこれないっぴょん!」

 

呆れたと言わんばかりに肩をすくめ、ヤレヤレと頭を左右に振る卯月。

なんでこやし玉を知らないだけで、ここまで見下された態度をされなければならないのか?

 

「こやし玉っていうのは、素材玉の中に深海棲艦のう○こをたっぷり詰めた素敵なアイテムだっぴょん!」

 

深海棲艦のう○こ?

あぁ、そういや師匠が言っていたな。深海棲艦の縄張りには、たまにう○こ的なものが落ちてるって。

 

「当然う○こは臭いし汚いっぴょん。だからこやし玉をぶつけられた深海棲艦は、その臭いを嫌がってその場から逃げ出しちゃうっぴょん!」

 

成程、理解した。ばっちいこやし玉には深海棲艦を追い払う効果があるんだな。

そしてこやし玉よりも強烈な臭いと刺激を放つひえい玉はこやし玉の上位互換にあたるといったところか。

ヘ級じゃなくてもそんなものを顔面に受ければ逃げ出すよなぁ。

自分の作った料理がう○こ以下の扱いを受けてるなんて、比叡本人は知ってんだろうか?

 

「最も想像以上に威力が高過ぎたせいで、近距離で使ったり素手で投げたりするのは自分もダメージを受けちゃうから危険っぴょん!自爆を避けるためにもスリンガーを使って遠距離から狙うのがベストっぴょん。」

 

「そりゃそうだ、だってあれ近くで嗅いだらとんでもなく臭かったからな。つーか臭いを通り越して痛かった、ありゃ化学兵器だろ…………待てよ、オレの顔の調子が悪いのはそのせいか!?お前オレが近くにいるの分かってたのに使いやがったな!」

 

「テヘペロ、こやし玉を持ってなかったから仕方なかったんだっぴょん♪許してねっ?」

 

可愛らしく笑って誤魔化そうとする卯月。

こやし玉を持ってなかったとは言うが、ひえい玉はしっかりと用意している辺り確信犯だろ。

まぁお陰でヘ級に張り倒されなかったから許すけど、なんだかなぁ……。

 

比叡は自分で調理していて、よく無事でいられるなぁ。

自分で作ったものだから耐性があるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし助かったのは確かだが、その代わりにヘ級を見失っちまったな。」

 

ヘ級はペイントボールをぶつける前にどこかへ消えてしまった。

ドスイ級みたいに海面を泳いで逃げるのなら行先も目視で分かるが、海中に潜って移動されるとどこに逃げられたのか見当も付かない。

これを追跡するのはかなり骨が折れるぞ。

 

「それなら安心、実はもう一つ新兵器を持ってきたっぴょん!」

 

そう言って卯月が取り出したのは、仄かに緑色の光を放つ物体が入った小さな金属製のカゴ。

 

「これは?」

 

「これは導虫だっぴょん!」

 

「しるべむしィ?」

 

また虫か……猟虫といい狩娘ってやたらと虫を扱いたがるな。

ひょっとして虫が好きな奴が責任者の中にいるのか?オレはそんなに虫好きじゃないけど。

かわいい小鳥とか綺麗な小魚とか、もっと一般受けするような小動物はいねぇのかな?

 

「そう、そしてこのカゴは導虫を入れる虫カゴ。導虫には物の臭いを覚える習性と、覚えた臭いを追跡する習性があるっぴょん。だから導虫に深海棲艦の臭いを覚えさせれば、ペイントボール無しでも深海棲艦の位置が分かっちゃうっぴょん。つまりこの虫を飼い慣らして虫カゴに入れておくことで、いつでも簡単に深海棲艦を追い掛けることが出来るようになるっぴょん!」

 

なぁるほど、臭いで探索する警察犬や災害救助犬みたいなものか。

これならわざわざペイントボールを使う必要が無くなるから、深海棲艦を見失う事は無くなるってワケだ。

うーん、虫を訓練するより犬が水上を歩けるようになるモジュールでも開発した方が早いんじゃ?

でも戦闘になったら犬は足手まといになるよな。アタリハンテイ力に適応した深海棲艦とも戦える犬を探すとなると流石に割に合わないか?そもそも深海棲艦と戦える犬なんているワケないよなぁ。

えっ、猫なら足手まといどころかちょっとした戦力にすらなるだって?いやいや、なんで犬が駄目で猫ならいいんだよ!?

おっと話がズレてきた。

 

「因みにこれもまだテスト段階のもので、香取お姉ちゃんのところからこっそり借りてきたものだっぴょん!」

 

これって絶対後で怒られるパターンだよな……。

オレは何も聞いちゃいないし見てもいない、オレは卯月が試作品を持ち出したことなんて全く知らないぞ~。

 

「それじゃあ早速追跡開始だっぴょん!導虫よ、行けぇ~!」

 

そう言って虫カゴを両手で高らかに掲げる卯月。

そして虫カゴから緑色の光を放つ導虫が飛んで………………いかない。

 

「…………うん、あれ?えっと???…………よぉし導虫よ、行けぇ~!」

 

カゴから出てこない導虫を疑問に思いながらも、仕切り直してもう一度虫カゴを掲げる卯月。

今度こそ虫カゴの中から導虫が飛んで………………いかない。

 

「んんっ?……あっ、そっか!そっかそっか、だからかぁ~。」

 

何やら一人で騒いで、一人で納得してしまった卯月。

何が何やらさっぱり分からん、分かるように説明しろ。

 

「何が『そうか!』なんだ?」

 

「えっとね、導虫は覚えた臭いを追っていく性質があるって言ったでしょ?だけどひえい玉の臭いが強烈過ぎて、ヘ級の臭いが分かんないみたいっぴょん。」

 

「だったら導虫にひえい玉の臭いを追わせれば……。」

 

「それが嗅覚がとっても敏感な導虫にとって、ひえい玉の臭いはキツ過ぎるみたいで外に出るのが嫌みたいっぴょん。」

 

「はぁー?それじゃあ追跡出来ねぇじゃねぇか。」

 

先程までヘ級がいた場所はひえい玉の残りカスがプカプカと浮かんでおり、その周囲には敵の追跡どころか作戦の続行すら躊躇われるようなケミカルな泡が未だにゴボゴボと沸き立っている。

更には不気味な煙もモクモクと立ち昇っており、そこから凄まじい悪臭を放ち続けている。

そりゃ導虫とやらが出てこられないのも納得だよ、オレだって帰りたいもん。

というかこれは規模こそ小さいが、ハッキリ言ってシャレにならないレベルの水質汚染なのでは?

 

「だったら導虫の代わりにうーちゃんが臭いを追っかけて探すっぴょん!うーちゃんはウサギさんだから鼻はいいっぴょん。何たってウサギは1キロメートル先に落ちたニンジンの匂いだって嗅ぎ取ることが出来るんだっぴょん!」

 

ウサギが優れているのは嗅覚ではなく聴覚なのでは?

というか卯月はウサギっぽいだけでウサギではないだろ……。

そもそも1キロメートル先に落ちたニンジンとか、そんなのどう考えても無理だって。

 

「えへへ、今の信じた?実はウッソぴょーん♪でもただでさえ臭いの強いひえい玉ならペイントボールの代わりにもなっちゃうっぴょん、だからうーちゃんの鼻でも追跡は難しくないっぴょん。導虫ならぬ導卯月だっぴょん!」

 

そうなのか?オレの鼻はさっきひえい玉が至近距離で炸裂したせいで、完全に詰まってしまって全然分からねぇや。

 

「でもその前に……。」

 

卯月は懐から白い粉の入った小ビンを取り出すと、それを惨劇の跡に振り撒いた。

粉を振り掛けられた汚物は徐々に反応が沈静化していき、やがて煙も泡も出なくなった。

 

「今度は何だよ?またしても試作品の薬品か?」

 

「これ?これは消臭玉と抗菌石とウチケシの実をまとめて粉末にして混ぜたものだっぴょん。消臭玉には消臭効果があるし、抗菌石とウチケシの実には殺菌及び浄化作用があるっぴょん。ひえい玉を使った後にはこれを絶対に使わなきゃいけないんだぴょん。これを使わないと環境破壊になっちゃうぴょん!」

 

「分かってんなら尚更使うなよ……。」

 

「そもそも普段はひえい玉は作るのも使うのも、提督と香取お姉ちゃんに止められてるんだけどね。でも旅の恥はかき揚げって言うし、スリンガーだってせっかく持ち出したんだっぴょん。使わなきゃ損でしょ?」

 

出先でバレないからってやりたい放題しようと思ってやがんな。

それとかき揚げじゃなくてかき捨てだな。

 

「それじゃあ改めまして、導卯月出動だっぴょん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして卯月の案内でヘ級の追跡を開始した天龍。

しかし一癖も二癖もある卯月の案内で、果たしてヘ級に辿り着くことが出来るのか?

その結果は案内をする卯月のみが知るのであった。

 

 







ガンランスの竜杭砲のアクションもカッコよくて好き。
えぐりこむように打つべし。



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