まぁゲームでもクエスト中、一緒にいないはずの村長や受付嬢が何かあるたびに色々と教えてくれるからこれはれっきとした原作再現。(言い訳)
今回は(今回も)モンハンで当たり前のことを説明するだけの回。
ハンターにとっては常識でも天龍ちゃんにとっては初耳だから仕方ないね。
「ウェミダー!!イクゾー!」
鎮守府で骨を手に入れたオレは、更に龍田からチケットの半券のようなものを半ば無理矢理渡された。そしてオレは龍田にそのまま拉致同然に鎮守府から連れ出され、小型ボートに乗せられた。特に抵抗はしなかったとはいえ、初日からハイエースされるとは……。
龍田の運転するボートでオレが連れて来られたのは、鎮守府から少し離れた場所にあるテントが設置された小島。どうやらこれは誘拐ではなく、狩娘流の出撃らしい。
艦娘……じゃなくて狩娘なんだから鎮守府の前の海から直接出撃すればいいと思ったんだが、狩娘は基本的にこのテントがある場所をスタート地点としてクエストっていう名の任務を開始するんだとさ。
それにしても目の前に広がる海、見渡す限りの大海原!やっぱ海はいいよな。狩娘になったとはいえ、オレがもともと大海原を走る船だったのは変えようのない事実。船の生まれ変わりとして、海を見てテンションが上がらないワケがない。ちょっと興奮し過ぎてセリフも噛んじまったぜ。
早速飛び出そうとするが、一緒に付いてきた龍田にやんわりと止められる。
「ちょっと待ってね天龍ちゃん。これから狩りに出るんだけど、その前にベースキャンプの設備とクエストについて教えてあげるから。」
まず龍田が指差したのはすぐ後ろにあるテントとベッド。
「このベッドがあるエリアをベースキャンプと呼ぶの。ここはクエストにおいての拠点となる大切な場所だからしっかりと覚えておいてねぇ。ダメージを受けたらこのベッドで休めば回復出来るわよぉ。」
「回復?戦闘で破損したら鎮守府で入渠するんじゃないのか?」
「そんな時間とコストの掛かることはしないわよぉ。狩娘は艦娘と違ってベッドで数秒仮眠すればどんな傷でもたちまち元通り。勿論資材も必要ないわ、寝るだけだからタダでいくらでも使い放題なの。補給だって必要無し。弾薬はボウガンなら必要だけど近接武器を使う私達には関係無い話だし、そもそも艦娘が使う弾薬はボウガンと規格が合わないから持って来ても意味が無いわ。当然ボーキサイトもね。軽巡洋艦の私達にはもともと必要無いものだけど、空母だってここでは艦載機を使わないから逆に補給のしようが無いわ。」
へぇ~、便利なもんだ。入渠ってのは時間が掛かるし資材も使うからな、戦艦や空母ともなれば尚更だ。それが数秒寝るだけで修復されるっていうのは本土の奴らが知ったら羨ましがるんじゃないか?
それに狩娘は艦娘と違って弾丸もボーキサイトも燃料も何もかも必要無いんだろ?そういった資材が要らないってことは当然遠征の必要も無いから、オレや駆逐艦みたいな低燃費艦や潜水艦の酷使も無いワケだ。すげぇな、超ホワイト企業じゃん!提督があんなのだから警戒してたが、ここの鎮守府に来れてよかったぜ。
「もっとも入渠が無いだけで普通のお風呂はあるわ。中でもユクモ鎮守府にある温泉は別格よぉ。ユクモ鎮守府の狩娘はいつも風呂上りに特製ドリンクを飲みながらユクモ温泉たまごを食べてるんだって。ズルいわよねぇ~。」
やっぱりクロオビ鎮守府以外にも鎮守府ってあるのか。まぁ諸島って言ってたし当然か。しかしユクモねぇ、やっぱり聞いたことがないなぁ。
次に龍田が指差したのはテントの横にある大きな青い箱。
「これは支給品ボックスっていうの。この中には狩りの最中に役に立つアイテムが入っているわよぉ。」
さっそく中を覗いてみる。これは海図か?確かに海図は必要だ、海図無しでの航海は危険だからな。でもこれはオレの知ってる海図とちょっと違うような?海図っていうよりまんま地図だな……。
こっちはビンに入った緑色の薬品と小さい固形燃料。あれっ、やっぱ燃料っているのか?でもさっき補給しないって言ったばかりじゃん、どういうことだ?
まぁいいか、そんでこれは砥石だな。これは武器を研ぐのに使うんだろ?それくらいは分かるぜ。
そして最後に………………えっ、何これ?木の棒が2本生えた石製のコンロ?イスもセットになってるな、というかコンロにイスが直接くっついてる。こんなデカい物を何に使うんだ?いくら何でもかさ張るだろ。こんなデカいの邪魔で持ち運べないぞ?
オレの疑問を余所に龍田の説明は続く。
「これらは支給品といって狩娘なら誰でも自由に使っていいのよぉ。だけどこれは飽くまで支給品、クエストが終わったら回収されちゃうから持ち帰ることは出来ないの。天龍ちゃんは今回が初めてのクエストだし、ゼニーも持ってないだろうから構わないけど、支給品とは別にちゃんと自前のアイテムを持ってこなきゃダメよぉ。お金が無くても自前のアイテムはケチらない、ケチってやられたら元も子もないものね。それとこの支給品は一緒にクエストに出ている狩娘全員で使う物だから、仲間の了承無く独り占めにするのはマナー違反になるわ。使うときは気を付けてね、まぁ今回は私はいらないから全部持って行っていいわよぉ。」
「なーるほど、そういうルールがあるんだな。だけど独り占めしようにもこんなに大量の荷物なんか持てねぇぞ?」
「そう言うと思ったわ。はいっ、これあげる。」
そう言って龍田が差し出してきたのは小さなウエストポーチと1本のナイフ、そして1枚のカード。
「このポーチは4次元ポケットってワケじゃないけど、大型魚雷が10本入っても平気な上に重さを感じない不思議なポーチよ。次元連結……じゃなくてアタリハンテイ力学のちょっとした応用によるものなんだって。荷物がかさばらないから狩りの際にはとっても便利よぉ。そしてこっちは倒した深海棲艦を解体して素材を剥ぎ取るのに使う剥ぎ取りナイフ、狩娘の必需品だから大事にしてね。剥ぎ取った素材はポーチにどんどん入れちゃうといいわよぉ。最後にこれはギルドカードっていって、狩娘の身分証明になるものよ。絶対に無くしちゃダメだからねぇ?」
「分かった、ありがたく受け取っておくぜ。」
受け取ったばかりのポーチに早速支給品を詰め込んでいく……うわっ、デカいコンロもイスごと入っちゃったよ!マジでどうなってんだコレ?しかも全然重くねぇ!
「天龍ちゃん、はしゃぐのはいいけど話はまだ終わってないわよ~。」
慌てて龍田の方に向き直す。まーた恥ずかしいところを見られちまった。
「こっちの赤い箱は納品ボックスっていうんだけど、今回は使う予定はないから説明は次回ね。それでね、基本的にクエストは1回につき50分の時間制限があるから50分以内に目的を達成する必要があるのよぉ。もし時間が過ぎても目標が達成出来ていない場合は問答無用で失敗になるから気を付けてねぇ。」
「えっ、たったの50分?1時間以下!?じゃあ夜戦とかどうすんだ!?」
「そんなもの無いわよ?」
えっ、無いの?夜戦は駆逐艦や巡洋艦にとって活躍の場じゃん、それが無いって本当か?
「夜になったところで与えるダメージは一緒よ?狩娘と艦娘は違うもの。それに空母でも関係無く攻撃出来るから艦種も関係無いわ、ただただ暗くて眠いから面倒なだけよ?」
そっか、今のオレは狩娘なんだった。艦娘と同じで考えちゃダメだな……。
「どうしても夜戦がしたかったら最初から夜のクエストに行くといいわよぉ。クロオビ鎮守府には神通さんのお姉さんの川内ちゃんって娘がいるんだけど、その娘は夜のクエストに出たいからって昼はずーっと寝てるの、変わってるわよねぇ。」
いや、わざわざ夜更かししてまで夜戦に出たくはないぜ。夜は普通に寝て、朝に戦った方が健全だ。話を聞く限りメリットが無いからな。
それにしても姉の川内は
「それにしてもゼニーね、ひょっとしてコレのことか?」
オレはそう言って龍田に1z硬貨を見せてみる。
「そうそうそれがゼニーよ、カリュード諸島で使われている通貨はそれなのよぉ。だけどそれをどこで貰ったの?これが初クエストだからまだお給料は出てないでしょう?」
「いやぁそいつは提督が着任祝いとか言ってさ、オレの前に捨てていったんだよ。」
「……そう、分かったわ天龍ちゃん。(提督ったら天龍ちゃんにそんなことして……後で覚えておいてよね。)」
うっ、龍田のいる方から急にぞわっと寒気がしたんだけど、やっぱりこれって服を着てないせいなのか?相変わらず天気はいいし、寒いはずがないんだけどなぁ?
「それじゃあ天龍ちゃん、改めて出発するわよぉ。」
「おうっ、狩娘として新生した天龍様の抜錨だぜ!」
島から海面に向かって飛び移り、そのままの勢いで出航する。全速前進DA!
…………が、あまり進まない内にもう息切れしてきた。何でだよ!?龍田はまだピンピンしてるっていうのに、これが練度の差か?
とうとう息苦しくなって足が止まってしまう。
「……ハァハァ、何もしない内から疲れてきたんだが。」
もう疲れて一歩も動けない、オレの狩りはここで終わってしまうのか……?
「それはスタミナ切れよぉ、飛んだり走ったりするとスタミナを消耗するの。スタミナを使い過ぎると息が整うまで動けなくなるわ。だからスタミナが切れそうだと思ったら走るのをやめて歩いた方がいいわよぉ」
あ、そう…………ふぅ……はぁ、ようやく息が整ってきた。よっしゃ、動ける!
「ほら、支給品の中に燃料があったでしょう?あれは携帯燃料っていってスタミナの上限を少しだけ増やしてくれる効果があるの。それを飲めばもっと長い間走れるはずよぉ。私が疲れなかったのもあらかじめスタミナを増やしていたお陰だもの。」
これはスタミナ切れであって燃料切れではないのか……。考えてみればガス欠になったら息が整っても動けるワケないもんな。だけどスタミナは燃料で増やすのか?じゃあ燃料って何だよ一体?
疑問も残るが取り敢えずポーチの中からさっき入れた支給品の燃料を取り出して、言われた通り食べてみる……!?
うげっ、マズい!!何だよこの味、少し苦い上にパサパサしていて口当たりは最悪だ。だが文句は言っていられない。オレも大人だ、我慢してさっさと飲み込む。
………………おおっ、味は悪いが確かにさっきよりスタミナが増えたような気がするな。
そしてマズいにも関わらず、何故かガッツポーズをとってしまう。
「ふふっ、効果は理解出来たみたいね。スタミナが多ければ多いほど長く走ることが出来るわよぉ。それとスタミナの上限は時間が経つと減っていくから定期的にスタミナ補給をすること、いいわねぇ?」
「了解だぜ!」
さーてつまらないことで出鼻を挫かれたが、今度こそ張り切って行くぞ!
羅針盤は回してないし、そもそも持ってきてすらいないが高いテンションの前に、その存在自体も忘れて海図を片手に意気揚々と進むオレ。
そしてそんなもの無くても平気と言わんばかりに進む龍田。
そんなオレ達の前にようやく深海棲艦と思わしき黒いシルエットが見えてきた。
黒い笠を被ったような頭部に、肥大化した下半身……あれは輸送ワ級か?全部で3体いるな。
輸送艦が相手じゃあ物足りない気もするが、初陣だと思えばまぁいいか。連中はまだこっちに気付いてないみたいだし、先制攻撃のチャンスだ!
「よしっ、行く「はいはい天龍ちゃんストーーーップ!」ぜ……ってうわわわわっ!?」
先手必勝とばかりに骨を構えて突撃しようとしたオレだが、今度は龍田にパンツの裾を掴まれて止められる。
「やめろっ、引っ張るな!脱げる脱げるっ!!」
慌ててパンツを引き上げる。自分自身ですら見たことのない(というか着任したばっかりでそんなヒマも無い)オレのお尻をお日様の下に晒しやがって……。龍田じゃなきゃ引っ叩いてたところだぞ?
「何すんだよ!?あのままバーッとやってズガーッとやってドカーンとやれば完全勝利なのに……。」
「まぁまぁ、怒らないでプリケツ・オイゲンの天龍ちゃん。落ち着いてそこで見ててね。」
誰がプリケツだ、誰が!
龍田はオレをその場に残すと武器も構えず、呑気にワ級に近付いていく。
おいおい、いくら輸送艦が相手だからって油断し過ぎだろ。
そう思ったのだが、ワ級は龍田が目の前までやって来てもまるで気にした様子がない。
仕方なくオレもワ級の前まで出てみる。うん、やっぱり無視されてるな。
「ほら見て天龍ちゃん、こんなに近付いても警戒されてないわよぉ。」
「何でだよ?戦闘能力に乏しいワ級とはいえ深海棲艦だろ。」
もう手を伸ばすと触れる距離まで近付いたぞ?
「あのね、カリュード諸島の海域で現れる深海棲艦はアタリハンテイ力の影響か、それとも純粋な環境の変化によるものかは分からないけど普通の海域で見られる深海棲艦とは生態や行動パターン、場合によっては外見まで違ってくるのよ。さっきイ級が砲撃してこなかった話をしたでしょ?それと同じで、この海域のワ級は狩娘のことを警戒しないのよぉ。」
だとしても油断が過ぎるだろ……。
することも無いので近くでワ級を観察してみる。人間に似た部位はそうでもないが、やっぱり艤装部分は結構大きい。そんでもって頭を下げてひたすら海水を飲んでいる……いや、これは海水に含まれている何かを濾し取ってる?つまり食事中ってワケか。
それにしてもこれ程近付いても敵対どころか反応すらしないとは、やる気が削がれるぜ。
しかしやる気の無くなったオレとは対照的に、ワ級に向かって龍田はおもむろに槍……じゃなくて操虫棍を構えた。
「ほら天龍ちゃん、早速狩るわよぉ。」
オレも慌てて骨を構える。戦意の無い相手を襲うってのもどうかと思うが、相手は深海棲艦だし、それに目の前に敵がいるのに油断している方も悪いか。
オレ達が臨戦態勢に入っても相変わらず無視を決め込むワ級。
そして………………
「たあーーーっ!!」
「うおーーーっ!!」
ザシュッ!!ザンッ!!
「「ワゥゥ!?」」
オレと龍田の攻撃で2体のワ級が倒れ伏す。ようやく状況が飲み込めたのか、残った1体のワ級は反撃すらせずに慌てて逃げ出した。
「オイオイ、あいつ逃げちまうぜ。」
「いいのよ、追わなくて。そもそもこの島に鎮守府が作られた最大の目的はアタリハンテイ力学の研究及び島と海域の調査であって深海棲艦の殲滅じゃないもの。生態の違う深海棲艦を調査することはあっても、クエスト中に深海棲艦を見つけるたびに狩っていったら50分なんてあっという間に過ぎちゃうわ。」
「えぇ~、何か思ってたのと違うな。もっとこう深海棲艦は弾切れや撤退中みたいな事情でも無けりゃあ、見つけ次第沈めるもんだと思ってたが……こんなのんびりとした調子で練度が上がるのかよ?」
これじゃあ練度99なんていくら時間があっても足りないぜ、ましてや150とか無理ゲーだろ。
「練度なんて無いわよ、艦娘と狩娘は違うもの。当然MVPや戦闘評価だってないわ。」
「えっ?練度が無い?じゃあいくら戦っても強くなれねーじゃん!」
ジャンジャジャーンと今明かされた衝撃の真実。
強くなれないってことは、カリュード諸島に生まれた時点で世界水準の活躍は不可能。世界最強なんて目指す以前の問題だった。
オレが生まれの不幸を呪っていると、すかさず龍田がフォローを入れてきた。
「安心して天龍ちゃん、確かに狩娘には練度が無いからいくら戦ったところで火力や耐久力は増えないわ。だけど戦いで得た経験と知識によって狩娘本人の実力が鍛えられるのよ。戦い慣れた相手なら行動パターンや弱点も分かってくるから楽に勝てるでしょう?それに装備が強くなれば結果として火力も耐久力も上がるでしょ、装備は本人の実力を示すってさっき教えたばかりじゃない?」
言われてみれば確かにそうだ。同じ相手と戦い慣れれば、戦い方も洗練されてくる。
艦娘は練度が上がっても、何故か狙いはお粗末なヤツが多い。狩娘と比べて艦娘の方が遠距離で戦っているとはいえ、戦闘経験が豊富なくせに敵の旗艦以外を撃ち続ける艦娘は珍しくない。ようするにどれだけ練度が上がっても、艦娘の戦い方自体は大雑把なままってことだ。
そう考えると戦闘経験を頼りに無駄の少ない動きで敵を仕留める狩娘も悪くない気がしてきた。
「それに艦娘には性能差があるけど狩娘には性能差もないの。仮に練度1の秋津洲ちゃんと練度150の大和さんがそれぞれ艦娘から狩娘に転向したとしても、経験と装備の差が無ければ実力は互角になるのよぉ。何より狩娘にはレベルや艦種の縛りが無いからさっき言ったように空母だって夜に戦えるわぁ。それに初期レベルのまるゆちゃんでも好きな武器を装備出来るし、間宮さんだって大剣を振り回して戦えちゃうの。どう、面白いでしょう?」
それは確かにスゲーな。認めたくはねぇが天龍型っていうのは燃費がいい反面、性能は低い。
だから天龍型は前線ではなく遠征に出す提督が多いって聞くが、ここでならオレも名実ともに最強の狩娘を目指せるってワケか、燃えてきたぜ!
狩娘になってから取り柄の燃費が悪くなった気がするが、それは気のせいだ!
「練度がない代わりに狩娘の実力はハンターランクっていう数値で表すの。これはどれだけの功績を上げたかが基準になるから闇雲に戦い続けても簡単には上がらないわよぉ。ちなみに私のランクは5で神通さんは137、新人の天龍ちゃんは当然1よ。」
へぇ~、龍田はランク5か……ランクの基準を知らんから凄さが全然分からん!
それにしても龍田に比べて神通のランクって滅茶苦茶高いな。何をしたらそんなに上がるんだ?
疑問が顔に出ていたのかまたしても龍田の説明が入る。
「神通さんはハンターランクを解放しているからねぇ。ハンターランクはある一定までは功績によって上がっていくんだけどぉ、その一定を超えた狩娘はひたすら狩りをしてもランクは上がるのよぉ。これをハンターランク解放って呼ぶの。」
なるほどなぁ、まぁ最初はオレ自身の経験を増やすところから始めるとするか。
決意を新たにしていると、横で龍田がワ級を解体し始めていた。オレも龍田を真似てナイフを使ってワ級の解体をやってみる。
「うへぇ、人型の相手をナイフで解体するって結構キツいものがあるな。」
「そう?すぐに慣れるわよ。それにここで慣れておかないと後で困るわよぉ~。」
どうやらすぐに慣れるらしい……敵を倒すたびに毎回こんなことしなきゃいけねーのか、狩娘っていうのも大変なんだな。剥ぎ取らずに丸ごと持って帰れりゃ楽なのに……。
そんでもってワ級から剥ぎ取れたのは……粘液が滴る黒くべたつく謎の塊。何これ気持ち悪い、素手で触っちまったけど大丈夫なのか?
記念すべき初剥ぎ取りで妙な物体が剥ぎ取れて不安になるオレだったが、よく見ると龍田も平気な顔で同じものを掴んでいた。
「安心して天龍ちゃん、それは生燃料よ。ワ級は体内に良質の燃料を蓄えているの。」
なんだ、変なものじゃないのか。それなら安心………………生燃料?生ってなんだよ?
更なる疑問にオレが頭を悩ませていると龍田は慣れた手付きでポーチから石製のコンロを取り出した。取り出したそれを当たり前のように海面に置き、イスに座りながらコンロに火を着ける。何で石で作られている物が水の上に置けるんだ?
そしてコンロに着いた火の上に棒で串刺しにした生燃料を……って危ない!燃料に火を着ける奴があるかぁーーーッ!!
BGM:肉焼きのテーマ
そう思ったのだが何やら香ばしい匂いと共に燃料に焼き目が付いていく。そして龍田は程よく焼けた燃料を片手にイスから立ち上がる。
「上手に焼けました~♪」
龍田の奴、頭がおかしくなったのか?いやおかしいのはオレの頭か?きっと幻覚が見えてるんだな。うん、そうに違いない。
「どこもおかしくないから大丈夫よぉ。これはこんがり燃料っていってね、生燃料を燃料焼きセットで焼くとこうなるの。もともとは肉を焼く道具だったんだけど、竜人妖精さんが燃料を燃やさず焼けるように改造してくれたのよぉ、凄いでしょ?」
凄いよ!何が凄いって意味が分からな過ぎて凄い!!
「生燃料のままでは食べられないんだけど、火を通すことで美味しく頂けるようになるの。携帯燃料とは比べ物にならない程美味しいし、スタミナ回復量も多い狩娘の定番アイテムの一つよぉ。ほら、天龍ちゃんも支給品の燃料焼きセットを持ってるでしょ?焼いてみて。燃料を焼かずして狩娘ライフは始まらないわ!」
押し切られる感じでオレも燃料焼きセットを出して生燃料を串に刺して焼いてみる。燃料を焼くってまるで意味が分からんぞ!?不純物が混ざっているから精製しないと使えないってのなら分かるが、生だから使えないってどういうこった?
余計なことを考えながら焼いていたせいか香ばしいを通り越して何やらコゲ付いた臭いが漂ってきた。龍田の時の匂いとは全然違うなぁ…………ん?やべっ、コゲてんじゃん!?
慌てて燃料を火から上げるが燃料はコゲコゲになっていて、とてもじゃないが美味しそうには見えない。
「あらあら、それはコゲ燃料よぉ。食べてもいいけどオススメはしないわぁ。まぁこれから上達しましょうねぇ♪」
記念すべき初めてのクエストで、これまた記念すべき初めての狩りも成功させたというのに、狩りの結果は大失敗して真っ黒にコゲ付いたのであった。トホホ……。
ゲーム的に言うとキャンプを出てアプトノスを倒し、肉を焼くだけでこの長さ。
先が思いやられる。
ところで深海棲艦の数え方って1人、1匹、1体、1隻のどれなんだろ?
それにしても飛竜の甲殻や尻尾が99個ずつ入るのに、力及び守りの護符と爪を入れるだけで空きが4箇所も埋まる謎のポーチ……というかアイテムボックス。
調合書や素材で空きが埋まるガンナーは辛いなぁ。
さて、ここで問題です。
実質裸の天龍ちゃんは今までどこに1z硬貨を隠し持っていたんでしょう?
答え:特に考えてなかった
おまけ:龍田ちゃんの現在の装備
武器:龍田ロッド、マルドローン
頭:龍田Sリング
胴:龍田Sスーツ
腕:龍田Sカフス
腰:龍田Sスカート
脚:龍田Sブーツ
護石:王の護石
スキル:乗り名人、痛撃、龍属性攻撃強化+1、息継ぎ倍化
名前が龍田だし服も黒と紫なので雰囲気的に龍属性攻撃強化が発動し、武器の龍田ロッドも当然龍属性の武器に。他の龍が付く艦娘まで龍属性が出るかは不明。またSっけがあるので乗り名人も入れてみた。痛撃はお守り込みでの発動。潜水艦が苦手なのでマイナススキルとして息継ぎ倍化。
くどいけどこの設定に特に意味は無いです。