天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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コゲ肉ももえないゴミも虫の死骸もそれぞれ99個ずつ集めたくなる暇人は私です!
ハチミツの代わりに虫の死骸なんて渡せるか!大事な死骸なんだぞ!(意味不明)

普通に考えたらいくら艦娘といえども燃料は食べるんじゃなくて艤装に入れて補給するものなんだろうけど、ここでは肉の代役だから狩娘は平気な顔してむしゃむしゃ食べます。
もちろんそれと別にちゃんとした食事もあります。胃袋どうなってんのとか言わない。



天龍ちゃんと旅立ちの風2

 

 

 

「ムグムグ……ゴホッ……ングング……うっ、エ゙ェ゙ッ!?ゲホッゴホッ!!」

 

現在オレは先程焼いたコゲ燃料を食べている真っ最中だ。龍田には無理して食べなくていいって言われたが、自分のミスでこんなにした以上捨てて終わりっていうのはオレのプライドが許さない……とはいえ只今絶賛後悔中。言われた通り食うんじゃなかった。

 

これはいくらなんでもマズ過ぎる。黒コゲになったせいかガサガサしていて滅茶苦茶硬いし、噛めば噛むほど苦みが出てきてもはや苦行だ。ハッキリ言って飲み込めたもんじゃない。何だか食べる前よりも逆にスタミナが減ったような気すらする。これと比べれば携帯燃料でもご馳走だ。

マズさのあまり年頃の女の子が出しちゃいけない声まで出したぞ?ついでに鼻水まで出てきた。龍田ぁ、ポケットティッシュ持ってない?

 

龍田が焼いた燃料は外はカリカリ、中はふっくらでジューシーなのに、オレが焼いた燃料はこのザマだ。ちょっと焼き過ぎただけでどうしてここまで差が出るんだよ?……っていうかそもそも何で燃料がそんな美味しそうに焼き上がるんだ?燃料が燃えないってだけでも変なのに意味分かんねぇ。

 

 

 

 

 

建造1日目にしてメシマズゲロインと化したオレだが、龍田はオレが吐いたことなど気に留めずに淡々と話を進める。

 

「健康上の害は無いから大丈夫、好きなだけ食べて好きなだけ吐いていいわよぉ。それとね、生燃料は燃料焼きセットじゃないと焼けないから注意してね♪直接火を着けると火事になっちゃうわぁ。」

 

ここにいると段々と常識がおかしくなるな。燃料に火を着けると燃えるってのは当たり前のことなのに何で一々説明されてんだ?なんかバカにされてるみたい。それと好きで吐いたんじゃないやい!

 

「以前提督が新たな金儲けを考えるとか言って、生燃料を直接火で焼いて大変なことになったのよぉ。全身に火が燃え移ってアチアチ言いながら大慌てで鎮守府から飛び出して、そのまま海に飛び込んだの。提督の肌が黒く焼けているのはその時の後遺症よぉ、ウフフッ♪」

 

あれって日焼けじゃなかったのかよ!?それよりも提督の奴よく無事だったな、いや無事じゃなかったから黒いのか?普通人間が焼けたら真っ黒じゃ済まないと思うんだが……。ひょっとしてあのおっさんも狩娘なのか?それと自分の提督が火だるまになったっていうのに、思い出し笑いするってヒドくない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしてもここの海って見るからに変だなぁ、そこら中岩礁だらけじゃん。島に近いとはいえこの岩礁の多さは異常だ。」

 

「あら、気付いた?」

 

提督に対する新たなる謎も程々に再出発するオレ達。そんな中でつい気になったことを呟くと、聞こえていたのか龍田が返事を返してきた。

 

「ここの島にある海域は、基本的にどこでも岩礁がまるで通路を作るかのように並んでいるのが特徴よぉ。この岩礁で囲まれた広い場所をエリアって呼ぶの。エリアとエリアをつないでいる通路はそのまま通路って呼んでいいわ。」

 

「へぇ、何か不自然なくらい綺麗に岩礁が並んでいて気持ち悪いくらいだな。」

 

ズラッと壁のように並んだ岩礁は大小の差こそあれど隙間はほとんど見当たらず、普通の船どころか狩娘でも隙間を通り抜けるのは難しそうだ。

 

「まるでポ○モンの世界の海みたいね。なみのりでマップの外に行かれると困るから、外に出られないように岩で囲んでいるのよ。きっとそれと同じなのねぇ。」

 

どういう表現の仕方だ……。せめて遊泳区域のブイみたいって言えよ。

 

「この大量の岩礁が道みたいになっているお陰で完全に迷子になる狩娘は少ないんだけど、その代わり船はエリア内まで侵入出来ないのよぉ。だから船はベースキャンプまでしか使えないの。海域の調査が思うように進まない原因の一つはこれなのよぉ。目ぼしいもののほとんどは岩礁地帯の中にあって、外では大したものが見つからないっていうのもあるけどねぇ。」

 

「でもあそこは岩礁が無いぜ。あそこから外洋に出られるんじゃないか?」

 

オレが指差した方向には岩礁の壁が無く、広々とした海が広がっている。あそこなら大型船だって簡単に通れるぞ。

 

「そうね、じゃあ試しにそこからエリアの外に出てみてくれる?」

 

龍田に言われた通りに岩礁の無い場所から外に出るべく走り出す。

 

そう、さながら今のオレは自由を求めて大空へ飛び立とうとする一羽の鳥。

そして目の前の大空ならぬ大海目掛けてホップ、ステップ、ジャンプ……かーるいす!!と言わんばかりに勢いよく飛び出したオレは……。

 

 

 

 

 

「へぶっ!?」

 

 

 

 

 

見えない壁に激突した。

 

そう、さながら今のオレはガラス戸に気付かず飛び込むアホ犬、水槽のガラスにぶつかる水族館のマナティ。鼻が痛い、思いっきり顔面を強打した。

 

「そこから先はプレイエリアの外だから出られないわよぉ~。」

 

何だよプレイエリアの外って!?PSVRか!?

 

「クエスト中は海図に描かれているエリアの外には出られないの。クエスト中にここを通れるのは深海棲艦だけよぉ。」

 

「えぇ~、それって滅茶苦茶不利じゃん。」

 

この見えない壁の向こうから一方的に攻撃されたらたまんねぇぞ。

 

「心配しなくてもターゲットの深海棲艦がエリアの外に出ることは滅多にないし、仮に出たとしても岩礁の内側を縄張りと考えているからすぐに戻ってくるわよ。増援の深海棲艦や縄張りの横取りを狙う余所の深海棲艦がそういったところから入り込んでくることもあるけどねぇ。」

 

「それは分かったけど、見えない壁があるなら先に教えてくれよ!」

 

お陰で意味もなく顔面をぶつけたじゃねーか。

 

「だってぇ、まさか走って飛び出すとは思わなかったもの。でも安心して、何かやらかすんじゃないかなぁ~って思って今度はちゃんと録画しておいたから♪」

 

「は?」

 

そう言う龍田の片手にはスマホが握られていた。

 

「最新機種は画質が違うわねぇ~。ホラ、車に轢かれたカエルみたいに見えない壁に激突した天龍ちゃんの勇姿がバッチリ撮れてるわよぉ~。せっかくだからパソコンにもデータ転送しとくわねぇ。」

 

 

 

 

 

気を付けよう 狩娘は急に 止まれない(字余り) by天龍

 

 

 

 

 

今度はちゃんと通路を通って次のエリアに出る。これ以上アホな真似はしないぜ。

ぶつけた鼻を押さえながらも慎重に進んでいくと、突然空気が変わった。

何者かの視線を感じる、それも好意的な視線ではなく敵意を含んだものだ。

 

オレも気を引き締め視線を感じた方へ振り向くと、またしても黒いシルエットを見つけた。

ワ級よりも図体は小さく見えるが、こちらに無関心だったワ級とは違い、間違いなくそいつはこっちを見ている。

 

近付くことで明らかになったそのシルエットの持ち主はどう見ても駆逐イ級だ、数は5体。歯茎をむき出しにしてこちらを威嚇している。

戦意の無いワ級と違ってようやくまともな相手と戦える、そう思ってオレも骨を構える。

その一方で龍田は武器を……構えてない!?それどころか数歩後ろに下がってしまった。

驚くオレだが龍田は苦笑しながら理由を説明してきた。

 

「これがちゃんとした天龍ちゃんのデビュー戦だもの、それにいきなり手助けしてたら狩りの練習にならないでしょ?見守っていてあげるから頑張ってねぇ。」

 

そういうことかよ、なら仕方ねぇな。狩娘としては龍田が先輩かもしれねーが、ここで姉の実力って奴を見せてやるぜ!

 

 

 

 

 

「イイーーーッ!!」

 

睨み合いが続く中、とうとう痺れを切らしたのかイ級が1体こちらへ目掛けて突っ込んできた。へっ、誰がそんな見え透いた攻撃に当たるもんかよ!

そのままの勢いで大口を開けて喰らい付こうとするイ級の攻撃を身体をずらして回避、隙だらけの横っ面に骨を振り下ろす!

 

「オラァッ!!」

 

「イ゙イ゙ッ!?」

 

流石に削っただけの骨じゃあ斬れ味が悪いのか一刀両断とはいかないみたいだが、頭を斬られたイ級は軽く吹き飛び海面に倒れるとそのまま動かなくなった。

 

「「「「イイーーーッ!!」」」」

 

仲間が倒されたのを見て、残ったイ級もこちらに襲ってくる。

 

「いいぜ、まとめて相手してやる!掛かってこい!」

 

1体目の体当たり……避ける!2体目の噛み付き……これも避ける!3体目と4体目の同時攻撃……くっ、突っ込んでくる3体目の顔面を叩き斬って仕留めるが、4体目に右腕を噛まれる。だがこの程度のダメージでやられる天龍様じゃないぜ。

 

「よくもやりやがったな、こいつはお返しだ!」

 

「ギッ!?」

 

イ級の脳天に骨を叩き付け仕留める、だがその隙に別のイ級の体当たりを受け吹き飛ばされる。

人が裸同然だってのに酷いことしやがるな。だがまだ大丈夫、まだやれる。この程度で死にはしない。

急いで起き上がると先程のイ級が大口を開け目の前まで迫ってきていた……って危ないっ!

 

「クッ!?」

 

「!?」

 

とっさに振り下ろした骨がイ級の頭部をかち割り断末魔も上げずに絶命する。

 

「オラッどうした、残りはお前だけだぜ?」

 

「イイッ!?」

 

残ったイ級に骨を向けると怯えたのかイ級は背を向けて逃げ出した……ってその方向には龍田が!?

 

「あらあら、もぅ仕方ないわねぇ。」

 

慌ててイ級の後を追うオレだが、その前に龍田は笑顔のままで慌てることなく操虫棍を振るう。

龍田の操虫棍の切っ先は吸い込まれるようにイ級の顔面に命中し、吹き飛ばされたイ級はそのまま動かなくなった。

 

 

 

 

 

「フゥー、どうだい龍田。初陣にしちゃ悪くないだろ?」

 

「うーん、最後に1匹逃しちゃったのは頂けないけど初めてにしてはまずまずってとこね。だけど最後まで油断しちゃダメよぉ。」

 

勝ったのに怒られる情けないオレ……。まぁ龍田の言うことも正しいし、ここは真摯に受け止めるか。オレは妹の忠告にも真面目に向き合う出来る姉だからな!

 

「天龍ちゃんが今倒したのがこの海域固有のイ級よぉ。神通さんが言った通り砲撃してこない代わりに噛み付いてきたり、体当たりをしてきたでしょ?イ級は1匹1匹は弱い代わりに群れを作って集団で襲ってくるのが特徴よぉ。」

 

倒したばかりのイ級を観察してみる。見た目は普通のイ級と変わらない。全長は2メートル前後ぐらいか?力任せに斬り付けたわりには死体が傷付いてないな。やっぱり骨じゃあ斬れ味に難があるのか?

 

そして最初に群れがいた場所を見てみるとそこにはワ級の死骸が転がっていた。これってさっき逃げたヤツだよな?ワ級にはかじられた痕もあって、それはイ級の歯形と一致している。

 

「気味が悪いな、こいつら共食いするのか?」

 

「そうじゃないわよぉ。基本的にワ級はワ級としか群れないし、イ級もイ級としか群れないわ。本来の深海棲艦は船種問わず集まれば編隊を組むんだけど、ここの海域の深海棲艦は基本的に同型艦以外とは群れを作らないの。そして他種の深海棲艦と縄張り争いをしたり、襲って食べたりするのよぉ。簡単に言えば草食動物と肉食動物みたいなものね。シカはシカ、オオカミはオオカミと群れるのが普通で、シカとオオカミは一緒に群れないでしょう?そしてオオカミはシカを襲って食べるわ、ここではシカがワ級でオオカミがイ級ね。もっとも強力な深海棲艦なら群れを作らずに単独行動するのも多いけどねぇ。」

 

へぇ、この海域の深海棲艦は随分と個性的なんだな。そりゃ海域や深海棲艦そのものの調査もするわけだ。

 

 

 

 

 

さて、勉強も程々に倒したばかりのイ級から剥ぎ取ってみるか。……これはイ級の皮に骨か。おっ、歯も取れたな。これで服が作れんのかな?

 

「なぁ龍田、これで武器や防具が作れるのか?」

 

「流石にそれだけじゃ無理よ~、素材が少なすぎるわぁ。それにイ級の骨や歯は装備の素材としては小さいし貧弱だから他の素材のつなぎにするか、ボウガンの弾の素材にするのが一般的よぉ。」

 

クッソー、やっぱこんだけじゃダメかぁ。服着てないせいかイ級に攻撃されたとこが痛いんだよな~。だけど傷自体は見当たらない。血も出ていなければ、アザすらない。傷が無いのに痛いって太極拳の発勁みたいだな。

 

「傷が無いのが気になるんでしょ?それもアタリハンテイ力によるものなのよ。攻撃を受けるとちゃんとダメージは受けるんだけどぉ、それでも目に見える傷は出来ないの。だけど傷が無いからってやせ我慢しちゃ駄目よぉ、精神論で耐えられるものじゃないからねぇ。」

 

艦娘は攻撃を受けると服や艤装にダメージがいくけど、力場の中ではそうならないって言ってたな。今のオレは下着姿だから、下着が破れたら流石に困る。

とはいえ、あれだけ暴れていながら外見上は傷一つ無い上に、汚れてすらいないってのも変な話だな。傍から見たら全然苦戦していないように勘違いされるんじゃないかコレ?

外見上の傷が無くてもダメージがあるのなら、戦い続ける為にもこの見えない傷をどうにかして癒す必要があるな……。

 

オレが傷の手当てについて考えていると、龍田はポーチから緑色の液体が入ったビンを取り出してオレに見せつけてきた。

 

「ダメージを受けて消耗した時はベッドで休むこと以外にこの回復薬で治療出来るわよ~、天龍ちゃんもさっき応急薬を取ったでしょ?それも回復薬と同じ効果があるわぁ。支給品だから遠慮なく使った方がいいわよ~。それに戦った後は砥石も使わないとねぇ。武器も使い続けると斬れ味が落ちてきて威力が下がっていくの。体力、スタミナ、斬れ味。この3つを保つことが狩娘としての基本よぉ。」

 

それ青汁じゃなかったのか……。てっきりクエスト中の栄養補給に使うものだと思ってた。

試しに青汁……じゃなくて応急薬を飲んでみる。ングッ……うーんマズいっ、もう一杯!……いや、言うほどマズくは無いな。ちょっと青臭い味がするけどこれで薬だと思えばむしろ飲みやすい。携帯食料も見習えばいいのに……。

ん?おおっ、確かに痛みが無くなった!しかもこれは痛みそのものを誤魔化しているんじゃなくて、実際に受けたダメージが治っているっていうのが体感的に分かる。そして飲み干すと同時に、またしてもその気がないのにガッツポーズをとってしまう。どうなってんのコレ?副作用?

 

まぁいいや、続いて砥石も使ってみる。砥石を使うのは初めてだが不思議と使い方が分かる、というか身体が勝手に動いて砥いでくれる。骨を砥石で研ぐっていうのも変な感じだが、研いだ骨の刀身も心なしか光り輝いているような気がするぜ!

そんでもって使った砥石はその場にポイッと捨てる。……いやオレの意思じゃないんだ、身体が勝手に!まだ1回しか使ってないんだぞ、勿体ないだろ!?それと海にゴミを捨てるなよ、石とはいえ不法投棄は良くないって!!

 

あれ……そもそもまだ刃の片面を4回砥いだだけのような?これで本当に砥げてんのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、天龍ちゃん。クエストには失敗条件があるように、成功条件も当然あるのよぉ。今回のクエストはイ級6体の討伐でぇ、今ので5体倒したから残り1体やっつければおしまいよぉ。」

 

「まぁ成功しないクエストなんて受けたくないけどな……。それじゃあ最後のイ級を探しに行くとするか、そいつを倒して今日のクエストは終わりだ!」

 

クエストの成功を目指して龍田と共にイ級を探していると、早速遠方に1匹のイ級を見つけることが出来た……が、こちらに気付いたイ級はこちらと戦う意思が無いのか逃げ出した。

 

「あっ、逃げるんじゃねぇ!待ちやがれ!」

 

「もうっ、深追いしちゃダメよ~。」

 

龍田は引き留めようとするが、無視してイ級を追い掛ける。丁度1匹だし、仮に逃げた先に群れでいたとしてもイ級程度に負ける気はしねぇ!

えっ、妹の忠告を真摯に受け止める出来た姉はどこに行ったのかだって?まぁ残り1匹だし大丈夫だろ。(慢心)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタミナの許す限り走り続けたオレは、ようやくイ級を追い詰めた。

 

「2つもエリアを走らせやがって……。ふぅ、さぁて観念しな。もう逃げられねぇぞ。」

 

「イィ~!イィ~!」

 

イ級は逃げられないと判断したのか、大きな鳴き声を上げ始める。何だよ、1匹じゃ勝てねぇからって仲間でも呼ぼうってのか?呑気にそう考えるオレだが、本当に仲間が来たのかバシャバシャと大きな水音が近付いてきた。本当に増援かよ、面倒臭いな。

だが、その方向に顔を向けたオレが見たのは信じられないものだった。

 

 

 

BGM:喧々たる来訪者

 

 

 

新たに表れたのは確かにイ級だ、だけど近くで見ると普通のイ級との違いがはっきり分かる。

デカい!俺が最初に抱いた感想はそれだった。目測だが目の前のイ級と比べるとその体格は2倍以上、ヘタしたら3倍もある程の巨体だ!そして本来イ級には無いはずの鋭い角が額に1本生えている。そう、まるでナントカのS型、指揮官機に生えているようなブレード状の角が!

そういや龍田がイ級はイ級同士で群れるって言ってたな、じゃあこいつがイ級の群れのボスなのか?そんでもってピンチになった部下を助けに来たっていうのかよ?

 

大型イ級は今にも飛びかかってきそうだ。やんのかコラ?いくらデカいからってイ級の分際で絶好調の天龍様に勝てるつもりか、あぁん!?そこのイ級のついでに片付けてやるぜ!

……ん?今のオレの思考って三下のチンピラっぽくてちょっとダサい?まぁいいか。

 

「先手必勝だ!食らいやがれ!」

 

ザンッ!!

 

大型イ級の脳天に振り下ろした骨の一撃は間違いなく命中し、確かな手応えを感じた。

普通のイ級ならこれで倒せる、デカいとはいえ脳天にぶち当てたんだ。例え死んでなくても大ダメージは必至だろ?

 

……ん?おかしいな、コイツ何時まで経っても倒れないぞ?

 

「ギイッ!」

 

突如大型イ級は激しく頭を左右に振り始めた。頭に食い込ませたままの骨もその勢いで弾かれ、その勢いでオレも一緒に吹き飛ばされる。

 

「なっ、コイツ!?全然効いてねぇのか?」

 

よく見ると頭に付けたハズの傷もねぇ!確かに骨を食い込ませてやったってのにどうなっていやがる!?

 

体勢を崩して隙だらけのオレに大型イ級が迫る!大型イ級の噛み付き!突進!頭突き!動揺していたせいで回避が疎かになっていたオレはどの攻撃も避けることが出来ない。防御力が貧弱なこともあってあっという間に削られていくオレの体力。

遠目にようやく龍田が追い付いてきたのが見える、だがオレの体力も風前の灯火だ。

 

そして…………。

 

 

 

 

 

「イイーーーッ!!」

 

「があっ!?」

 

大型イ級の渾身の体当たりを受けたオレは派手に吹き飛び、立ち上がろうにも身体に全く力が入らない。そしてオレは倒れたまま徐々に海に沈み始めた。これって……まさか轟沈か……?

 

クッ、情けねぇ……初陣でやられちまうなんて……。それも妹の忠告を無視して独断で深追いした上に……自分の力量も考えずに格上に喧嘩を売って……その結果がこのザマなんて……本当に三下のチンピラじゃねーかよ……。死ぬまで戦わせろとは言ったが……別に好きで死にたいワケじゃない……。

 

オレとの再会を……あんなに喜んでくれた……龍田の目の前でやられて……妹を悲しませちまうなんて……姉失格だよな……。

 

「龍田……悪ぃ……先に逝くぜ……。」

 

 

 

 

 

海に沈んでいくオレが最期に見たのは悲しみに暮れる妹の顔……ではなく、しょうがないわねぇとでも言わんばかりの呆れ顔だった。

 

何でだよ……自業自得とはいえ……目の前で姉が死ぬんだぞ……もうちょっと……悲しんでくれても……いいだろ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………そしてオレの意識は完全に闇に閉ざされるのであった。

 

 

 




モンハンってたのしーなー
だけど天龍がイ級に殺されていったいどうなるだろう(棒)

天龍ちゃんが轟沈したのでこの作品はこれで終わりです、ご愛読ありがとうございました!





嘘です。最終回じゃないぞよ。
もうちっとだけ続くんじゃ。(もうちょっとで終わるとは言っていない。)


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