天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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スラッシュアックスはいいぞ。

ディーエッジはカッコいいぞ。

スラッシュアックスはいいぞ。

ヘビィディバイドは無骨だぞ。

スラッシュアックスはいいぞ。

アルトエレガンはエレガントだぞ。

スラッシュアックスはいいぞ。





天龍ちゃんと一泊二日の旅2

 

 

 

 

 

「そんじゃあ姉さん達が戻ってくるまで天龍の質問タイムといこっか?聞いときたいこともあるんでしょ?」

 

北上は大井を落ち着かせると、流れるようにオレの質問タイムを設けた。

話を進めるのが上手いな、伊達に秘書艦やってるワケじゃないってことか。

 

「えーっと……んじゃまず、この鎮守府ってどのくらい狩娘がいんの?以前三日月がいるって話は聞いたんだが……。」

 

「所属の狩娘?そんなことが気になるんだ。」

 

そんなことってヒドイな……。

 

「まぁいいや、現在モガにいる狩娘は球磨型と睦月型だね。潮風丸みたいな独立した狩娘もいるけど、それを除くと球磨型が4人に睦月型が5人。でも長月と菊月と三日月と望月は昨日凍土に4人仲良く採掘に出かけたから明後日まで帰ってこないよ。今鎮守府に残っているのは文月だけ。あんな寒いところまでよく行けるもんだねぇ。」

 

凍土!?聞いただけで寒気が走るな。

それは軍艦じゃなくて砕氷船の役目だろ、砕氷船の狩娘がいるかどうかは置いとくとして……。

 

「北上秘書艦、文月のこと呼んだー?」

 

「呼んでないよ、話が面倒になるからあっち行ってて。」

 

「あっ、あなたが天龍さんねー。あたし文月っていうの。よろしくぅ~。」

 

「ほら、いい子だから戻った戻った。」

 

「はぁーい。全くもぅ、みんなあたしのことを置いて凍土に行っちゃうんだから~!文月留守番つまんなーい、ぶーぶー!」

 

北上の声が聞こえたのか、小屋の一つからひょっこりと姿を現したのは文月。

しかし北上に軽くあしらわれ小屋に戻される。

こっちはまだ挨拶返してないのに……。

 

「駆逐艦はほっとくと騒がしくしてくるから苦手なんだよねー。用がない時は引っ込めておくに限る。」

 

長門が聞いたら怒りそう……。

しかし球磨型が4人?ここに所属している球磨型の狩娘は球磨、多摩、北上、大井、木曾で5人じゃないのか?

どう考えても人数が合わないぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疑問は残るが、とりあえず話を進める。

 

「じゃあ次は多摩についてだな。ネコになったって話を聞いたんだけど、それってマジ?」

 

「ネコになった?あー、そういうことね。うんうん、そだねー。ネコになったと言えばなったとも言えるけど、どちらかと言えばなってないかなぁ?きっと潮風丸から聞いたんだね。」

 

どちらとも取れる曖昧な返事を返す北上、どういうこった?

 

「口で説明するより見た方が早いかね?多摩姉ぇー、ちょっと来てー。」

 

文月がいた小屋とは別の小屋に向かって声を掛ける北上。

 

「何にゃ?多摩は今日はお休みだから眠いのにゃ……。」

 

目を擦りつつ欠伸をしながら小屋からふらっと気怠げに出てきたのは多摩。

装備は下半身は白地に青の短パンと装甲をモチーフにした靴を履いており、いわゆる球磨型の服を着ているが、上半身は木材を加工して作られたように見える茶色いアーマーに肉球マークの描かれた緑色の肩パッド。頭にはこれまた木材を加工して作られたと思わしき緑色をした肉球マーク付きの一本角の兜を被っている。

装備こそ独特なものの、どこからどう見ても普通の多摩だ。ネコには見えない。

 

「えっ、あれっ?ネコじゃなくて狩娘?あっ、そうか!ネコになったけどもう治ったんだろ?」

 

「ふわぁ~、何の話をしているのにゃ?」

 

「ホラ、ちょっと前に潮風丸がマタタビ持ってきたでしょ?その時の話。」

 

「あー、そういうことにゃ。それじゃとくと見るにゃ。」

 

寝起きというのもあってか多摩は訳が分からないという顔をしていたが、北上の説明で納得したのか、兜を脱ぎながらオレに背中を向ける。

そこにあったのは……。

 

「ホレ、これでどうかにゃ?」

 

「こ、これは猫耳に猫尻尾ォ!?」

 

そう、兜の下から出てきたのは髪と同じ色をしたピンク色の猫耳に、ちょっぴり下がっているズボンから少しだけ見えているキュートなお尻からは、これまたピンク色をした4、50㎝程の尻尾が生えている。

 

「こ、これって本物!?聞こえたり動かせたりすんの!?つーか元々あった耳はどーなったんだ!?」

 

「質問が多いにゃ。」

 

「はい?何ですか?」

 

「大井じゃなくて多いって言ったのにゃ、まぁいいにゃ。ほら、この通り。」

 

多摩が意識すると耳はパタパタ、尻尾はフリフリと動き出す。

部位だけ見れば完全にネコそのものだな……。

 

「こんな風に耳も尻尾も動かせるし、触られれば感覚もあるにゃ。でも本物の耳もちゃんとあるし、頭の耳は見た目だけで別に聞こえないにゃ。何より耳の穴なんて開いてないから、指を突っ込んでみても頭で止まってそれ以上進まないにゃ。」

 

そう言って横髪をたくし上げると、そこには確かに普通の人間の耳があった。

 

「マタタビで楽しんでいたら何故かこの耳と尻尾が生えてきたのにゃ。だけど別にネコっぽくなっただけでネコにはなってないにゃ、つまり多摩はネコじゃないもん。」

 

確かにこれだとネコっぽくはなってるが、ネコそのものになったとは言えねぇよなぁ。

神通も師匠の言うことは話半分程度にしか聞いていないって言ってたけど、こんな風に重要な部分が抜けている適当な情報ばっかりじゃあ真面目に聞く気も失せるよな。

 

「うん?あれ、ひょっとして天龍かにゃ?そっか、来るとは聞いてたけど今日だっかのかにゃ。」

 

「えっ、今更!?」

 

「寝起きで頭が働いていなかったんだにゃ。すまんにゃ、許すにゃ。」

 

片手で頭をボリボリと掻きながら非常に雑な謝罪をする多摩。

寝起きだからって目の前にいる人の判別も出来ないのちょっとヒドくね?

 

「ここに勉強しに来たんだっけ?ひょっとして多摩の魅惑のボディの調査も勉強の内なのかにゃ?」

 

「あ、あぁ。まぁそんなところだ。」

 

「しょうがないにゃあ、だったら存分に見ていくといいにゃ。あっ、だけどお触りはNGにゃ。ネコの耳や尻尾は敏感なのにゃ、提督以外には触らせないにゃ。」

 

「いや、もう充分だ。別に触りゃしねぇよ。」

 

「寝てたところを起こしておきながらいけずなのにゃ。」

 

言えない、この調査の発端が仲間とコンガを間違えたことによるものだったなんて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ?やけに賑やかだと思ったらもうクロオビ鎮守府からの研修生が到着していたのか。農場の手入れに夢中になり過ぎたな。」

 

カツカツと足音を立てながら遠目に見える小島から延びる長い桟橋を歩いて現れたのは、白地に緑のセーラー服と横向きに被った水兵帽が特徴的な狩娘。

他にも弾帯ベルト、黒地に白のマント、グローブにブーツといったものを身に着けており、何より目立つのは金色の格子状の装飾が入った右目の眼帯。

そして濃い緑色の長髪に、これまた緑色をした凛々しい左の瞳。

そう、これらの外見的特徴から導き出される若干オレとキャラの被っていそうな狩娘の正体は……。

 

「自己紹介が遅れたな。俺がモg「お前木曾か?よく見たらその装備改二のものじゃん、ってことはG級狩娘!?マジかよ?でもG級狩娘が同行してくれるってんなら心強いぜ……っと悪い、興奮しちまったな。知ってるとは思うがオレの名は天龍。フフフ、怖いか?」しく頼むぜ……ってオイ、人の話を聞け!」

 

セリフを遮られたことで怒る木曾。

だけど木曾に出会ったことで若干テンションの上がったオレの勢いは止まらないんだ、すまんな。

 

「あちゃー、やっぱりこうなったにゃ。」

 

「まー予想はしてたけどねー。」

 

「まあっ!?何て失礼!」

 

その一方で様々なリアクションを見せる3人。

あれ?オレ、何か不味いことしたか?

 

 

 

 

 

しかしこの木曾、オレの知識にある木曾と若干外見が違うな。

まず下半身はスカートではなく多摩と同じような短パンになっており、更に中に3分丈程の黒のスパッツまで履いている。

また本来ならヘソも丸出しなのだが、これまた黒のピッチリとしたインナーを着込んでおり、薄っすらと鍛え上げられた腹筋が見えている。

黒のインナーを着込んでいるその点だけを見れば、まるで古鷹改二のようだ。

そして一番の違和感は胸部装甲の主張がまるでないこと、コイツって結構胸あった方だと思うんだが……。

 

その一方で身長はオレよりちょっと高い。

オレの身長が160㎝だから、コイツは大体165㎝くらいか?木曾の身長はオレと同じか、少し低いくらいだと思ってたから違和感が凄いな。

胸が成長しなかった代わりに背が伸びたのか、そういうこともあるんだな。

 

「へぇ、狩娘にも個体差っていうのがあるのか。だけどオレはお前が普通の木曾と違って貧乳長身になったとしても別に気にしないぜ!よし、オレとお前で暁の水平線に勝利を刻み込もう……って今回はオレが勉強させてもらうんだったな!」

 

片手で木曾の背中をバシバシ叩きながらそう熱弁する。

いきなり馴れ馴れし過ぎるだろって?仮にも意識したことのある相手が出てきたんだ、テンションも上がるもんだって。

 

 

 

 

 

「何が貧乳だ!?俺はれっきとしただぞ!!」

 

「は???」

 

 

 

 

 

木曾から発せられた衝撃のカミングアウト。

それと同時に半笑いの北上はオレの右腕を掴むと、木曾の胸をペタペタと触らせる。

うん、硬い。これは貧乳なんてもんじゃない、れっきとした胸板だな。

それもゴリゴリバキバキの太マッチョではないが、ちゃんと鍛え上げられた無駄のない細マッチョな大胸筋だ。

 

「まじで!?木曾が男ォ!?師匠といい、モガ鎮守府には男性の狩娘が現れる傾向にあんのか!?」

 

「……ってオイ!北上、何やってんだこの馬鹿!!」

 

「いーじゃんいーじゃん、減るもんじゃないし。」

 

未だに信じられない、脳が解を拒む。

確かに触った感覚では男らしく、無駄のない引き締まった身体付きをしている。

しかし顔といい声といいオレの知ってる木曾そのものだ。

いきなり胸を触られたことで若干頬を赤らめながらも、キッとした目付きでこっちを睨んでくるこの顔を見てこの木曾を男性だと思う人物はいないだろう。

まつ毛も長いし髪もサラサラで肌もスベスベ、どっからどう見ても美少女だ。

 

「そもそも俺は木曾でなければ狩娘でもない!俺は人間でモガ鎮守府の提督だァ!!!!」

 

「………………は?」

 

 

 

 

 

「はあああああぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

 

 

 

嘘だろ!?だってどっからどう見ても木曾じゃん!!

ここまで木曾そっくりで人間でしかも男性だなんて信じられるか!?

 

「ほい。」

 

北上が木曾の左手のグローブをスポンと引き抜く。

そこにあったのは薬指で仄かに輝くケッコン指輪。

 

「えへへー、指輪の交換も済ませたんだよ。この人が私達の提督で、そして私の旦那様。」

 

確かにこれは指輪だな。

ケッコンカッコカリの指輪は提督が艦娘に一方的に渡すものだが、実際のケッコンなら夫婦で互いに渡し合うものだ。

もしかしたら北上とは別に木曾と提督がケッコンしている可能性も無くはないが、その考え方は流石にひねくれ過ぎだろう。

何より北上が嘘吐いてまで木曾に惚気る理由があるだろうか?

 

「つーことは、本当にこの人が提督?」

 

「さっきからそう言ってるじゃねえか。そうだ、俺は狩娘の木曾じゃなくて純粋な人間で、性別は男で、そしてこの鎮守府の提督だ!」

 

「すいませんでしたーーーっ!!!数々のご無礼お許し下さい!あなたが提督だと知らなかったんですゥ!!」

 

慌ててその場で土下座する。

研修先の提督を狩娘だと勘違いした挙句、馴れ馴れしい態度を取りバシバシ背中を叩くとか速攻で研修中止になってもおかしくない。

 

「提督が木曾に間違われるのは今に始まった話じゃないからねぇ。」

 

「恒例行事にゃ。」

 

「とはいえここまで失礼な人は初めて見ました。」

 

「半分はお前達のせいだろ……。まぁいい、別に怒っちゃいねぇぞ。ほら、ツラ上げな。」

 

ゆ、許された!そして研修中止にならなくてよかった!

研修が中止になること自体も嫌だけど、オレを推薦してくれた師匠の顔に泥を塗ることになるのも嫌だし、何よりそんなことになったら神通に殺される!

到着早々に処刑確定みたいなことにならなくて本当に良かった!!!

 

 

 

 

 

「え、えっと……それでは不躾ながら、いくつか質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「無理して敬語で喋ろうとするな、気持ち悪い。俺は別にお前の上官じゃないし、部下の狩娘にも普段通りの喋り方をさせている。お前も普通でいいぞ。」

 

「ンンッ……ゴホンッ!それじゃあお言葉に甘えて……何でそんなに木曾に似ているんですか……じゃなくてェ、似ているんだ?似てるってレベル通り越して木曾そのものじゃん。」

 

「この外見は生まれつきだ。整形なんかしていないし、ウィッグも被ってなきゃムダ毛処理だってやっちゃいない。ホレ、眼もこの通り。」

 

そう言って右目の眼帯をめくる提督。その下に隠されていたのは木曾と同じような黄色の瞳であり、そして浅い切り傷も見られる。

やっぱり木曾じゃん!

 

「生まれつき女っぽい外見にコンプレックスがあってな。ガキの頃はクラスのアイドル扱いで、男女問わずクラスメイトにキャーキャー言われていたんだ。校内でいつの間にかファンクラブが出来てたし、隣のクラスの男に告られたこともあるな。隠し撮り写真がコッソリ取引されていたことすらあるんだぜ。」

 

そう語る提督の顔は苦虫100匹まとめて噛み潰したようであり、当時の出来事がいかに屈辱だったかが見て取れる。

 

「それで男らしくなりたかった俺は軍人を目指すことにしたのさ。ちなみにこの眼の傷は訓練中に付いたものだ、オレの顔が傷付いたときは士官学校の同期どころか一部の教官達すら嘆いていたぜ。そして士官学校を好成績でスピード卒業した俺は、アタリハンテイ力学への適性が認められたこともあって、カリュード諸島で鎮守府を任せられるようになり、こうしてここにいるってワケさ。」

 

なるほど、そこまで詳しく聞くつもりはなかったんだけど思っていた以上に語ってもらえた。

しかし男らしくなるため軍人を目指したらしいけど、少なくとも外見上は全く効果がなかったみたいだな……。

 

「じゃあその格好は?見た目はともかく装備まで木曾に寄せる必要なんてないのに。」

 

「この装備か、これは「あー、それね。それアタシら球磨型からの要望。」という……ってオイ、またかよ!?」

 

喋ろうとしたところを今度は北上に遮られる提督。

 

「いいじゃん別に、提督とアタシの仲でしょ?それでね、その装備に深い意味なんてないよ。提督が木曾に似てるから着せたかっただけー。」

 

あっけらかんと白状する北上。

それだけの理由で自分の提督に狩娘のコスプレをさせたのか……。

 

「でも似合ってるでしょ?提督に着せる装備はこれ以外ありえないって。」

 

北上の発言にうんうんと頷く大井と多摩。

まぁ、確かにそうかもな。オレが北上だったら同じように着せたかも。

 

「とはいえ何度も言うが俺は木曾じゃない。木曾は軍刀を使ってるんだから俺にも太刀を使えとこいつらには言われたが、俺の得物はスラッシュアックスだ。」

 

「スラッシュアックス?」

 

木曾なのに武器が太刀じゃない?いや、もともと木曾じゃないんだけど何だか物凄い違和感がある。

というかスラッシュアックスってどんな武器だったっけ?

名前からして斧なんだろうけど、身近に使っている狩娘がいないからどんな武器か全然思い出せない。

 

「スラッシュアックスを知らねぇのか?しょうがねぇな、大井!」

 

「はい?」

 

「執務室から俺のスラッシュアックス持ってきてくれ。」

 

「しょうがないですね、分かりました。」

 

提督からの指示を受け執務室……というか小屋の一つに入っていく大井。

オレの知ってる大井ならこんな雑用を命じられたら『何で私が……。』とかぶつくさ文句を言いいそうなもんだが、ここの大井は随分と従順なんだな。

 

「提督、持ってまいりました!」

 

「ありがとうな、大井。」

 

「いえ、そんな……。」

 

大井が持ってきたのは、青い石の塊のようなトゲトゲした見慣れない物体。

オレの想像とは随分違うな、どう見ても斧には見えない。

大井はそのトゲトゲを提督に手渡すと、お礼とばかりにクシャクシャと頭を撫でられて、まんざらでもなさそうな顔をする。

あっ、分かった。従順というより惚れた弱みじゃん!

いや、それどころか飼い主に喜んでほしい犬の反応だよこれ!

 

「さて、スラッシュアックス使いとしてはスラッシュアックスを知らない狩娘がいるっていうのは堪えるもんがあってな。」

 

未だに顔を赤らめてクネクネしている大井をスルーして、何事も無かったかのように話を進める提督。

全く動じる様子がない辺り、このやり取りがここの鎮守府の日常風景であることが見て取れる。

 

「見てな、これが俺の魂!ヘリオスクラッシャーだ!!」

 

提督が構えると、ガシャンと重たい音を立てて不思議な形をした石は姿を変えていく。

その形は確かに斧!未だに想像していた斧とは随分異なるが、トゲトゲの部分を刃にした巨大な片刃の斧がそこにあった。

 

「うわっ、斧だ!これがスラッシュアックス……。」

 

「フッ、驚くのはまだ早い。」

 

提督はオレのこの反応を予見していたかのようにニヤリと笑うと、柄にあるスイッチをカチリと押す。

すると再びガシャンと音を立てながら、斧の刃が手元まで下りてくる。

その一方で刃の逆側にあったもう一つのトゲトゲの部位が起き上がり、柄の刃と合わさることで一本の巨大な刃と化す。

 

「何だこれ!?斧が大剣に変形したァ!?」

 

「そうだ。斧と大剣、二つの形態に変形するこの機構こそスラッシュアックスの真髄だ!」

 

「か、かっけぇ……。変形する武器とかそれだけで爆アドじゃん!」

 

「そうかそうか、お前にもこの良さが分かるか。」

 

これがスラッシュアックス、最初はどんなイロモノ武器かと思ったが滅茶苦茶カッコいいじゃねぇか……。

スラッシュアックスを褒めると提督の機嫌も良くなったのか、さっきのニヒルな笑いとは違ってニコッと花が咲いたような可愛らしい笑顔を見せる。

何だよこの可憐な美少女、やっぱりこの人女の子でしょ……。

 

 

 

 

 

狩娘だけでなく、提督までもがインパクト抜群なモガ鎮守府。

しかしこの提督にはまだまだ秘密があり、そして全ての狩娘にも出会ってない。

天龍のモガ鎮守府研修はまだ始まったばかりである。

 

 

 

 








「パンパンゼミ」について…お話しします…

みんな「パンパンゼミ」って知ってるかな?
「パンパンゼミ」というのはね
例えばモンスターの柔らかいところにスラッシュアックスを突き刺すと
気持ちがいいとか
あるいは装衣を着てゴリ押しクラッチすると気持ちがいい
といったことを「パンパンゼミ」というんだ

よい子のみんなの心は通常の立ち回りにあるんだよ
そして斬り上げループとパンパンゼミ
どちらが上かな?
もちろんパンパンゼミの方が名前がカッコ悪いから下だよね?

手軽さとDPSに心が集中するとね
その子はにわかのフンターに生まれ変わるんだって
イヤだねぇ

今パンパンゼミを行っていない子は
これから先パンパンゼミをしないようにしようね
今パンパンゼミを行っている良い子はやめようね!

そして狩友、モンスターを含めたみんなを大事にして
楽しい狩りをするために生きようね!





厳密には通常の立ち回りと織り交ぜてバランスよく遊ぼうね!




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