天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

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おまえら、もしMH世界にモンスターライダー星人が攻めてきて、
向こうの大将とライダー代表がライダー勝負で対決し、
負けたらレア素材の入手確率が1%下がる事態になったら、
ライダー代表はリュートと隻眼レウスとナビルーのトリオでないとイヤだろ?
マリィと☆2のリオレウスでもいいのか?マリィ達に物欲の命運を託せるのか?
リュート達のことを忘れているやつは大陸規模で考えるんだ。





天龍ちゃんと一泊二日の旅4

 

 

 

 

 

木曾が戻ったと聞いて振り返ったオレが見たもの、それは……。

 

「グルルルル……。」

 

「ゑ?」

 

 

 

 

 

BGM:牙獣現わる!

 

二本足で立ち上がり、オレを見下ろす巨大なクマだった。球磨ではない、正真正銘の熊である。

4メートルを超える規格外の巨躯、青い毛皮、トゲだらけの甲殻に覆われた腕、そこから生える赤く鋭い鉤爪、同じく赤く光る瞳、鋭い牙が並ぶ口内とそこからだらりと垂れた舌。

 

ば、ば、化け物だ!?

 

え?何でこんなところにクマがいるの?ここ海上の鎮守府だよ?

っていうか木曾は?木曾はどこ?北上は木曾が来たって言ったじゃん。

 

「グルァ!!」

 

「うひぃっ!?」

 

目の前の非現実的な状況に理解が追い付かず固まっていると、クマは動かないオレをその巨腕で軽々と抱き上げる。

目の前にはクマの顔、というか一噛みでオレの頭を喰い千切りそうな口が!?

抜け出そうとジタバタもがくが、クマのパワーに勝てるハズもなく拘束からは抜け出せない。

 

「ぎゃあああぁぁぁ!?食べられるゥ!!助けてェェェ!!!」

 

絶体絶命!?研修に来ただけなのに深海棲艦と戦う前にクマに食われて死ぬぅ!!

しかもオレが死にそうだってのに、提督や北上達は助けるどころか静観している!?

ひょっとして何か彼らの気に障るようなことでもしてしまったのか?

アレか!?好奇心に駆られて提督のプライベートに踏み込み過ぎたか?

知り過ぎてしまったオレがクマに襲われたのをこれ幸いにと、このまま始末しようとしているのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「木曾、そのくらいにしとくクマー。天龍が困ってるクマ。」

 

この惨事にそぐわぬ呑気な声、その声を聞いたクマはオレをゆっくりとその場に降ろした。

し、死ぬかと思った……。未だに膝が震えていやがる。

つーか木曾って、まさかこのクマが木曾なのか!?

 

「災難だったクマ、でも悪く思わないでほしいクマー。これは木曾なりの挨拶クマ、別に取って食おうとしたワケじゃないクマー。そこだけは分かって欲しいクマ。」

 

「は、はひ……。」

 

クマの巨体の陰から現れたのは球磨、熊でなく球磨である。

身に着けているのは球磨型の制服ではなく、青い毛皮で作られた耳付き頭巾と腰巻きに、茶色の甲殻で作られたガントレットにブーツ、どう見ても目の前にいるクマとお揃いの格好である。

 

一際目を引くのは首から紐で下げられた赤とオレンジ色をした二本の爪の首飾り。

その爪からはただならぬ力を感じられる……ような気がする。

 

「球磨、遅かったじゃないか。俺が一足先に農場から出る際に、後からすぐに来るって言ってただろ。」

 

「提督遅れてごめんクマ。ずっと仕掛けてたツチノコトラップにようやくツチノコが掛かったんだけど、取り出す際にうっかり逃がしちゃって、木曾と一緒に頑張って捕まえ直してたクマ。」

 

そう言う球磨の片手には日本でトップクラスに有名なヘビのUMAが掴まれていた。

ツチノコ、実在していたのか……。

確かツチノコって捕まえたら懸賞金一億円くらい貰えるんじゃなかったっけ?すげぇなカリュード諸島。

 

 

 

 

 

「そうそう、挨拶が遅れたクマ。球磨だクマ。短い間だけどよろしく頼むクマ。」

 

何事も無かったかのように生きたままのツチノコを懐に仕舞いながら挨拶する球磨。

 

「あ、あぁ……オレが天龍だ……ってそれよりも!!」

 

オレも釣られて普通に挨拶してしまったけど、よく考えずともそれどころじゃねぇ!

 

「そのでけぇクマ!今、コイツのこと木曾って呼んだ!?」

 

「うん?そうクマ、この子が木曾クマ。」

 

「あ?え??ゑ???いや、そういう意味で言ったんじゃなくて……。」

 

何故このクマのことを木曾と呼んでいるのかと聞いたのに、どうしてそんな当たり前のことを聞くんだと言わんばかりの反応で返す球磨。

こりゃ質問するだけで骨が折れる思ったが、ここで提督から助け船が入る。

 

「大方、木曾が来ると思ったらクマが出てきてビックリしたんだろ。だがそいつがここの鎮守府の木曾だ。」

 

「えっと……多摩がネコになったみたいに、木曾もクマになったのか?」

 

「そんな事実はないぞ。」

 

「だから多摩はネコっぽくなっただけでネコにはなってないにゃ。」

 

木曾がクマに変身したワケではないらしい。

 

「じゃあ本物の木曾がクマと入れ替わって、そいつを木曾だと勘違いしてるとか?」

 

「は?何言ってるんだ?どうやったら動物と狩娘を間違えるんだ?ましてや自分の大切な部下を。それこそありえないだろ。」

 

「ウン、ソウデスネ……。」

 

同僚をコンガと間違えた事実なんて存在しない、いいね?

とにかく木曾とクマが入れ替わったワケでもないようだ。

 

「この鎮守府には最初から狩娘の木曾なんていませんよ。」

 

「ホラ、最初にアタシがこの鎮守府にいる球磨型は4人だって言ったじゃん。」

 

今度は大井と北上から説明が入る。

えっと球磨に多摩、そんで北上と大井……確かに4人だ!!

 

「つまりこの鎮守府にいる木曾は『木曾』って名前のクマであって、本物の木曾はハナからこの鎮守府にはいないってこと?」

 

「そういうことだ。」

 

木曾みたいな提督と木曾って名前のクマはいるけど、肝心の木曾がいねぇのか!?

何じゃそりゃー!?

 

 

 

 

 

「このクマはアオアシラの木曾。球磨のオトモンクマ!」

 

「グルル……。」

 

四本足で立つことで位置の低くなったクマの頭を撫でながら、そう説明する球磨。

見るからに恐ろしいこの猛獣は、まるで飼い慣らされた猫のように気持ちよさそうに喉を鳴らしている。

 

「アオアシラ?オトモン?」

 

アオアシラって何だ?青い阿修羅?オトモンは音の鳴る門のことか?

 

「アオアシラっていうのはこのクマのモンスターの正式名称のことだ。牙獣種に分類されるモンスターで、カリュード諸島の温暖な気候の土地に群れを作らず単独で生息している。ここモガ鎮守府の周辺の野山にも生息している身近なモンスターだ。」

 

ピンクのゴリラをコンガって呼ぶように青いクマをアオアシラって呼んでるのか、納得。

 

「滅茶苦茶デカいな、それに見るからに強そうだ。」

 

現在確認されている最大の陸生肉食獣はシロクマだけど、それも体長は2.5~3メートルくらいだっけ?

このアオアシラは目測4メートル前後で、最大クラスのシロクマよりも大きい。

 

「普通のアオアシラのサイズは6メートルくらいクマ、木曾のサイズじゃ最小金冠にすら届かないクマ。とはいえオトモンになったモンスターは同種に比べて小さいのは普通のことクマ。」

 

「普通のアオアシラのサイズは最小が5メートルくらいで、最大は7メートルくらいにゃ。」

 

「二つ名の紅兜アオアシラなら最大9メートルの個体も確認されているそうですよ。」

 

「エクスプロアの進撃の巨人コラボでは鉤爪一本ですら人間と同程度の大きさを持つ超大型個体も出現したんだって。いやぁここまで来るとワケ分かんないね~。」

 

「……は?」

 

こいつらは一体何を言っているんだ?

二つ名とか紅兜とかエクスプロアとか進撃の巨人とか、意味の分からない単語がどんどん出てきたけど今はそれどころじゃない。

この巨体でミニサイズ?極まった個体は人間が手のひらサイズ?何それ怖い……。

 

「呆けているところ悪いが、アオアシラはさほど強いモンスターではないぞ。下位個体のコイツで足止めを喰うようであれば狩娘なんか辞めちまえ。」

 

「はあっ!?」

 

辛辣な意見を述べる提督。

こんな化け物熊が弱い?嘘だろ、勝てるビジョンが浮かばないんだけど……。

 

「とはいえ木曾は強いクマ!身体こそちっちゃいけど、そこらのアオアシラとは比べ物にならない強さクマ!球磨の自慢のオトモンクマ!」

 

「ガウ!」

 

自慢げに胸を張る球磨と、それを真似るように胸を張る木曾。

 

「それでオトモンっていうのは?」

 

「オトモンというのはそのまんま、オトモになったモンスターのことクマ。」

 

オトモ+モンスターでオトモン、思った以上にそのまんまだった。

 

「それもただ野生動物を手懐けたワケじゃないクマ。絆石に認められたライダーが、自分の手で卵から孵化させたモンスターと絆を結ぶことで初めてオトモンになるクマ!」

 

「は?」

 

いやちょっと待て!色々と気になることはあるけど、今明らかに意味不明で理解不能な単語が!?

 

「卵から孵化!?哺乳類のクマが卵から孵ったっていうのか!?」

 

「そうクマ、球磨も卵から木曾が出てきたときは本当にビックリしたクマ!でもそういうものだと割り切るクマ、ぶっちゃけ考えても無駄クマ。」

 

なるほど、納得は出来ないが理解はした。

このことについてこれ以上考えるのはよそう……。

 

「それじゃ、ライダーってのは?」

 

「ライダーはハンターとは違った方法で別の自然との調和を図ろうとする人達のことクマ。ライダーはモンスターと心を通わせることが出来たと言われていて、モンスターと力を合わせることで困難に立ち向かったとされてるクマ。ハンターと違ってライダーは数が少ないからあんまり知られてないけど、カリュード諸島でもいくつか痕跡が見つかってるクマ。えーっと、確かラドン?いやロダンだったクマ?」

 

「レダンだぞ。」

 

「そうそう、レダンクマ!伝説のライダーレダン!全てのライダー達の起源にして、頂点!そのレダンの活躍について記された壁画が見つかっているクマ!レダンは全てのライダーの憧れにして目標クマ!そして球磨も第二のレダンとなるべく木曾と共に乗娘(ライむす)の修行に励んでいるクマ!」

 

モンスターと心を通わせる者、それがライダーか……。

そりゃ木曾みたいな強そうなクマが味方になってくれりゃ心強いよな。

とはいえ普通に考えたらそんなことを実現するのは並大抵のことじゃない、それを成し遂げたからこそのライダーか。

そんでもってハンターになった艦娘が狩娘になるように、ライダーになった艦娘は乗娘になるんだな。

しかし自分の憧れの伝説のライダーなのに提督に訂正されるまで名前が適当だったんだが、それでいいのか?

 

 

 

 

 

「それにしても絆石って実在してたんだな。クロス・ダオラの変身アイテムだから名前は知ってたけど、フィクションの世界の存在だと思ってたぜ。」

 

「実在も何も元々絆石はモンスターと絆を結ぶためにあるものクマ。クロス・ダオラに出てくる絆石は名前を借りてるだけで、本物の絆石とは特に関係ないクマ。だから持っていても別に変身とか出来ないクマ。」

 

「ありゃ?」

 

クロス・ダオラでは絆石はウェポンズの戦士が変身するのに必須のアイテムだが、作中では既に失われたアイテムであり実際に登場はしていない。

ネオウェポンズは人造絆石を使用しており、コモンドはネコの獣人シャイナスが機能を肩代わりしている。

その絆石が実在しているという事実に興奮を隠せないが、そんな機能はないと否定される。

 

「これが本物の絆石クマ!」

 

そう言って右手の甲を見せてくる球磨、そこには卵型のフレームに納められた青白く淡い光を放つ宝石があった。

 

「綺麗……。」

 

思わずそう呟く。

放つ光は寒色系であるにも関わらず、何故か不思議と暖かみを感じる。

 

「絆石は持ち主の心によってその色を変えるクマ!素の状態では紫色をしているけど、良い心の影響を受けると青く、そして悪い心の影響を受けると赤く光るクマ。当然青く光っている方がいいクマ、赤く光らせるようじゃライダー失格クマ!そして絆石の輝きはオトモンとの心のつながりが強くなればなるほど強まるクマ。つまり絆石の輝きは心の強さそのものクマ!本当の強さは力の強さではなく心の強さ、球磨はこの絆石に恥じない立派な乗娘になってみせるクマ!」

 

「ガウゥ!!」

 

そう宣言する球磨と、それに合わせて咆える木曾にまるで呼応するように、一瞬だが強く輝く絆石。

その様子は彼女らの未来を祝福しているかのようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし絆石なんてどこで手に入れたんだ?採掘したのか?それともどっかのお土産屋さんにでも売ってるとか?」

 

「いくら何でも土産屋で売ってるワケねークマ。」

 

本物の絆石なんて今まで見たことがなく、ずっとフィクションの産物だと思っていた。

カリュード諸島に来て日が浅いオレはもちろん、一緒にテレビを見ていた雷も電も長門も絆石が実際にあるとは思っていなかった、その程度にはマイナーなアイテムである。

だからこそ出所が気になった、まぁ流石にお土産屋さんには売ってねぇか。

 

「これは提督に貰ったものクマ!」

 

そう言われて思わず提督の方を見るものの……。

 

「気になってるところ悪いが、それは俺がハクム鎮守府の提督から貰ったものを球磨に与えたものだ。それ以上の出所は知らん。」

 

「え?人から貰ったものを更に人にあげちゃったのか!?」

 

それは人としてどうかと思うんだが……。

 

「そう言うな。俺がいらないから球磨に押し付けたワケじゃない。絆石が球磨を選んだから球磨に与えただけだし、ハクムの提督も俺の部下に絆石を持つに相応しいヤツがいることに気付いたから俺に託しただけに過ぎねぇ。」

 

「???」

 

「よく分からないって顔してるな。まぁそんなもんさ、俺だって完全に分かっているワケじゃない。だがな、絆石を持ってりゃそれだけで誰でもその日からライダーというワケじゃない。絆石を持つに値する者だけが真の所持者になれるということさ。」

 

 

 

 

 

「えっと、その絆石がハクム鎮守府から来たものだってのは分かったけど……じゃあ何でハクム提督は絆石を持っているんだ?」

 

絆石がそこらで手に入るものではなく、持ち主を選ぶってことは今までの話で分かったが、結局ハクム提督が持っていた理由が分からない。

そんな貴重かつ使い道の限られるものを何故持っていたんだろう?

 

「何だそんなことか、そりゃ簡単だ。何たってハクム鎮守府の提督自身がライダーだからな。」

 

「えっ?」

 

「ハクム鎮守府のリュート提督は俺よりも年下の文字通り子供提督、そしてカリュード諸島では唯一のライダー提督だ。提督としてはまだまだ甘いところもあるが、ライダーとしての実力は間違いなく最高峰。レダンを目指す球磨には悪いが、レダンに最も近いのは間違いなくリュートだ。子供特有の真っすぐな心が絆石と相性がいいのかもな?」

 

子供提督、バルバレ鎮守府でも話は聞いたとはいえ、本当に実在しているのか。

薄い本とか、そういう系のSSとか、そういった世界にしか存在しないと思ってたぞ。

適性さえあればお子ちゃまでも鎮守府の提督という重要ポストに就けるとか闇が深いな。

まぁ目の前には高校生の男の娘提督というそれ以上に非現実的な存在がいるワケだが……。

 

「ハクム鎮守府の近くには巨大な絆石の原石がある、詳しい場所は秘密だがな。そして不思議なことに絆原石は周囲の土地を守る力を持っている。絆原石のお陰で自然の均衡が保たれているんだ、土地神様みたいなもんだな。だから必要がない限り採掘はしないし、場所も公表していない。これが絆石が市場に出回らない理由だ、元から需要も少ないしな。」

 

なるほど、そりゃ誰も絆石が実在してるなんて思わないワケだ。

実質秘蔵されているようなもんだしな。

 

「ちなみにハクム提督のオトモンって何?」

 

球磨のオトモンがクマなら、最高峰のライダーのオトモンはライオンか?それともシャチか?

ひょっとして恐竜だったりしてな、実際アプトノスみたいな生き物も実在してるし。

 

「あぁ、リュートのオトモンはヲ級だ。それも隻眼のな。」

 

「は???」

 

 

 

 

 

ヲ級……?

 

 

 

 

 

「ヲ級ってあのヲ級?正規空母で、深海棲艦で、一部では深海のアイドルともいわれるあのヲ級!?それも隻眼のヲ級といえば異なる世界線において、とある鎮守府を壊滅させる活躍を見せたものの、画面外でいつの間にか雑に処理されて轟沈していたというあの伝説の!?」

 

「どのヲ級かしらんが、お前が頭の中で想像したそのヲ級で合ってると思うぞ。それと別世界の話はするな。そのヲ級は平行世界の同一人物なんかじゃない、破損箇所が同じなだけの赤の他人だ。」

 

「アッハイ。」

 

「ちなみにそのヲ級はリュートの最初のオトモンにして初期艦でもあり、鎮守府所属のれっきとした狩娘として扱われているぞ。何より面白いのはカリュード諸島周辺の深海棲艦は独自の環境に適応して角を生やしたり、体の一部を発達肥大化させるなどして、本来とは異なる姿に進化したというのに、リュートのヲ級は今まで確認されていた個体と全く変わらない姿をしているんだ。身長もお前とそう変わらないしな。」

 

「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」

 

思わず大声が出てしまう。

深海棲艦、それもヲ級がオトモン!?しかもそれが初期艦で狩娘!?挙句の果てには秘書艦まで!?というか文字の読み書きが出来るのか!?信じられん!!

 

「そんなに驚くことか?お前の鎮守府にだって深海棲艦がいるだろう?」

 

提督には呆れられるがそれとこれとは全然違う!!

オレのとこの深海棲艦は所詮訓練相手にに過ぎないし、絆を結んだオトモンじゃなくて、その辺の海から捕まえて訓練しただけのシロモノだ。

ライダーについて知識のない自分でも別物だと分かるぞ。

 

 

 

 

 

「というか鎮守府に深海棲艦がいるというだけでそこまで驚くとは、さてはお前ら面倒臭がって紹介してないな?」

 

「うっ……。」

 

「~~~♪」

 

提督はジロッと北上と大井の方に目線を向けるが、大井は気まずそうに下を向き、北上に至っては明後日の方向を見ながら口笛を吹いている。

 

「ったく、仕方ないな。文月、聞こえるか?」

 

「はーい、しれーかん。文月に何かご用~?」

 

先程の小屋の出入り口から頭だけニュッと出して返事をする文月。

さっき出てくるなって言われてたのに、普通に出てきてる。

まぁ秘書艦の命令より、提督からの命令の方が優先度は高いか。

 

「近くにあいつらはいるか?いるんだったら連れてこい。」

 

「今一緒にいるよ~、仲良くテレビ見てたとこ。ちょっと待って~。」

 

文月は頭を引っ込めると、小屋の中でドタバタと騒がしく音を立て始めた。

あいつら?誰?そんなことを考えているうちに静かになり、小屋から文月が姿を現す。

文月は園児並みに小さい子供二人の手を引いているようだ、このチビ達が提督の言っていたあいつらか?

ん?というか、この子供どこかで見覚えがあるような……?

 

「キャッキャッ!」

 

「キュッキュッ!」

 

「ほら、こいつらが俺の鎮守府の深海棲艦、PT小鬼群だ。」

 

ゲェーーーッ!!!???こいつら子供じゃねぇ、深海棲艦だ!!

深海棲艦が普通に鎮守府内の建物の中から、それも狩娘に手を引かれながら出てきたァ!?

 

「ほら、二人とも挨拶するの。」

 

「キャッキャッ!オレサマが栄えある深海棲艦のホープ、パトルだキャ!よろしくっキャ!こっちの冴えないヤツははオレサマの手下っキャ!」

 

「キュッキュッ!ワガハイが深海棲艦の未来を背負って立つ若きエース、トッピだキュ!こっちの情けないヤツはワガハイの子分っキュ!」

 

「「あ?」」

 

「誰がお前の子分っキャ!?お前みたいなドジに未来のエースなんて無理っキャ!」

 

「そっちこそ何が手下っキュ!?いっつも足引っ張ってるのに偉そうにするなっキュ!」

 

二人のPT小鬼群は文月に促されて自己紹介をする……が、仲が悪いのかすぐに取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。

 

「また始まったか、まぁほっときゃ収まる。気にすんな。」

 

「いつも喧嘩してるけど、パトルもトッピも本当はとっても仲良しなんだよ~。」

 

「いや、喧嘩はいいけど……PT小鬼群ってそもそも三人組じゃなかったっけ?」

 

目の前で喧嘩をしているパトルとトッピと名乗ったPT小鬼群は見ての通り二人、しかしPT小鬼群は本来三人一組の深海棲艦である。

 

「あぁ、そのことか。察しの通りそいつらは元々三人組だ。カリュード諸島に現れるPT小鬼群は、ある程度成長すると一人前の深海棲艦となるために三人で修行の旅に出る習慣があるらしい。ところがこいつらは旅の途中で仲間の一人とはぐれちまった挙句、他の深海棲艦の縄張りに迷い込んで襲われてたんだ。そこを俺の狩娘達に偶然助けられたんだが、どういうワケかそのまま勝手についてきた挙句、ここに住み着いたのさ。一人前の深海棲艦になるのと、はぐれたもう一人を見つけ出すまではこの鎮守府を拠点として活動するんだと。」

 

「よ、よく許可したな……。」

 

たまたま助けただけの深海棲艦、昔話みたいに恩返しが目的で住み着くっていうならともかく、自分の目的のためだけに勝手に鎮守府に居座るとか、オレだったら叩き出してると思うぞ。

 

「フッ、俺だってお人好しでこいつらを住まわせてるんじゃない。間近に深海棲艦を置くことで生態調査に役立てているのさ、深海棲艦はまだまだ謎の多い存在だからな。それにこいつらもたまに修行と称して狩りに同行して、サポートしてくれている。単なる穀潰しじゃないのさ。」

 

なるほど、ちゃんと考えがあってのことなんだな。

というか深海棲艦が狩りのサポートをしてくれるなんて、まるでオトモ連装砲ちゃんみたいだな。

 

「とはいえ鎮守府に深海棲艦を住ませるなんて初めてだからな、日頃から深海棲艦を戦力として運用しているハクム鎮守府を頼ったのさ。絆石はそのとき半ば押し付けられるような感じで貰ったもんだ。」

 

あいつには球磨がこうなるってことが見えてたのかねぇと遠い目をしながら呟く提督。

しかしすぐに姿勢を正すと、提督らしく命令を下す。

 

「さて、お喋りはここまでだ。大井と球磨、分かってるな?お前らはモガの代表として出すんだ、あまりみっともない真似はするなよ。球磨は言われるまでもないとは思うが、木曾の手綱を握ることを忘れるな。それでは球磨、大井、木曾、そして天龍、出撃だ!モガ鎮守府の戦いってヤツを教えてやれ!」

 

「了解です!」

 

「了解クマ!」

 

「ガゥ!」

 

「了解!」

 

さぁ待ち望んだ出撃だ!…………って、なんでみんな目の前の海から出ないで桟橋を渡って向こうの島の方に行こうとしてるんだよ???

 

 

 

 

 

さも当然というように桟橋を渡っていく二人と一匹に遅れないよう小走りで後を追う。

ギシギシと鈍く軋む桟橋の音、それはまるで現状が理解出来ないオレの内心の不安を現してるかのようだった。

 

 

 

 







あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは モガ鎮守府の狩娘を球磨型で固めようと思ったら

 いつのまにか提督が木曾に 木曾がアオアシラになっていた」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが

おれも何でこうなったのか わからなかった

頭がどうにかなりそうだった…

寝ぼけて書いただとか入力ミスだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいその場のノリというものの片鱗を 味わったぜ…



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