お前なにサボってんだよ投稿よぉ~、あぁ!?
ちょっとヤキ入れてやるから来い!
なお次回のネタに大苦戦している模様。
はい、ユーです!武器として弓を貰いました!
ユーは空母じゃないし、弓を使うのも初めてだけど、不思議と手に馴染みます。
狩娘は艦娘とは全然違う戦い方をするっていうから上手く戦えるか不安だけど、みんながいるから大丈夫!
「それじゃ今度こそ出撃でち!」
ゴーヤの号令と共に海に繰り出していく…………ってあれ?
「ちょ、ちょっと待って!!」
「何?どうしたの?」
「いや、どうしたのじゃないよ!みんな潜水艦でしょ?なのに何で普通に海を歩いてるの!?」
ユーもゴーヤもイクもしおいもみんな潜水艦です。あれ?しおいは潜水空母だっけ?
まぁどっちでもいいです、とにかく潜水艦は海中を進むものなんです!
なのにみんな普通に水面をテクテクと歩きながら『何を言っているんだろう?』と言いたげな目でこっちを見てくるの?
あれっ?これユーがおかしいの?
「あー、そーゆーことね。完全に理解したのね。」
「しおい達は狩娘だからこれでいいんだよ。」
「どういうこと???」
自分だけで納得していないでちゃんと説明してほしい。
「えっとね、狩娘は艦娘とは違うルールで動いてるでち。艦娘は自分の元となった船の特徴と能力を引き継ぐけど、狩娘は艦種問わず基本的に全員海上で戦うんだよ。それは潜水艦も同じ。無理に潜ろうとしても、潜れる海域以外では溺れちゃうよ。」
「潜れる海域?」
「そうでち。ここの海には潜れる海域と潜れない海域があるでち。逆に言えば潜れる海域なら、戦艦だろうと空母だろうと簡単に潜れるよ。そしてユクモ近海は潜れない海域だから、潜水艦のゴーヤ達も水面を歩いて出撃するというわけなんでち!」
な、なるほど……。
聞けば聞くほど摩訶不思議な場所なんだね、故郷のドイツとは大違いです。
そういえばマル・ユーって名前の潜水艦は艦娘化する前のオリジナルの潜水艦である時点から潜らずに海上を移動していたって聞いたことがあるけど、海域自体が潜ることに適していなかったからだったんだね。
てっきり性能が足りなかったから上手に潜れなかったんだと思ってたけど、これってとっても失礼な勘違いだったんだ。
ヤーパンって自分の凝り固まった常識に囚われてはいけない国なんだね、カルチャーショック……。
海の上を歩くという潜水艦娘として慣れない感覚に戸惑いを覚えつつも、今のところ深海棲艦と会敵することもなく平和に海を進んでいくユー。
このまま無事に進み続けられるかと思いきや、そう上手くはいかないようで……。
「あっ、あのっ!」
「今度はなんでち?」
「さっきから汗が止まらないんだけど!」
この海域どうなってるの!?進めば進むほど気温がどんどん上がっている。
最初は気のせいかなーって思ったけど、今や汗はぼたぼたと垂れてくるし息も荒くなってくる。
あまりの暑さに頭はぼーっとしてくるし、想像以上に体力も削られたみたいで進むのが苦しい。
「そういえばもうそんなとこまで進んだでちか。ゴーヤ達はもう慣れたから気にしてなかったけど、よく考えたらユーは初体験だったね。」
ユーだけかと思ったら、よく見ればゴーヤもイクもしおいも同じように大量の汗を流してる。
なのにもう慣れた!?こんなに暑いを通り越して熱いくらいなのに苦しくないの!?
ひょっとしてこれが噂に聞くヤーパンの夏の風物詩、猛暑!?
「あのね、温泉と火山は切っても切れない関係にあるの。温泉が湧いているユクモ鎮守府の周辺にも大きな火山があるんだよ。そしてその火山地帯は海にも続いてる。ここ一帯の海域では海底火山の活動が盛んで、その影響で物凄く暑いんだよ。」
「だとしても暑過ぎない?」
しおいが暑さは海底火山のせいだと言ってるけど、だとしてもこの暑さは普通じゃないです。
試しに海の中に手を入れてみたら、火傷するかと思うくらい熱かったよ!?
「海面まで噴出孔が続いているところも多いし、場所によっては海上にマグマ溜まりまで形成されてるからね。暑さはそのせいなんだ。」
海の上にマグマ!?
そんなの流石にあり得ない……と言いたいけど、しおいが嘘を言ってる様子はないし、何よりこの普通じゃない暑さ。
事実は小説よりもナントカっていうヤーパンのコトワザ通りなんですね……。
「このくらいでへばっちゃダメなのね!イク達の目的地は何を隠そうそのマグマ溜まり!それにこの海域に生息する深海棲艦はこの暑さの中でも平気だし、大型の個体になるとマグマの中に入ってもビクともしないくらい強いのね!」
マグマに入って無事!?マグマって確か1000℃くらいあったような?
それって本当に生物なの?勝てる気が全然しないんだけど……。
「勝てなくて当然なのね、ここの海域の深海棲艦はイク達の装備じゃ流石に手に余るのね。だから会敵しないルートを選んで進んでるのね!だけど鎮守府、そしてトモちゃんの為なら危険も何のその!目的のブツさえ手に入れれば、さっさと撤退なのね!」
あぁ、だからさっきから深海棲艦と全然会わなかったんだ。
貰ったばかりの弓には申し訳ないけど、ユーもいきなり実戦はちょっと自信が無いし敵に会わないと聞いてちょっとホッとしました。
そしてヤーパンでも潜水艦娘は資材集めからは逃れられないんだ……。
「でもこのままじゃ深海棲艦にやられる前に暑さでやられそうなんだけど……。」
「ふむ。もうちょっと先で飲むつもりだったけど、慣れないユーもいるなら仕方ないでち。」
そう言ってゴーヤがユーに渡したのはビンに入った青い色をしたドリンク。
「これは?」
「これはクーラードリンク!クーラードリンクは飲むと一時的に暑さから身を守ってくれる素敵な飲み物でち!これさえあればここの灼熱の環境にも耐えられるんだよ!装備と予算の都合上、耐暑スキルを積めないゴーヤ達にとってはなくてはならないアイテムでち!暑いのが辛いならグイッといくでち!」
ちょっと下品だけど、暑さから逃れたい一心で恥も外聞もなくラッパ飲みにする。
ちょっと変な味がするけど、この際文句は言ってられない。
ドリンクが喉を通っていくと同時に汗が少しずつ引いていく。
体感温度はまるでエアコンの効いた涼しい部屋にいるみたいで、暑さを全く感じない。
「ちなみにそのクーラードリンクは、にが虫っていう青い虫をすり潰して絞り出した汁が原料になってるでち。」
「ゴボッ!?」
思わず吐き出さなかった自分を褒めてあげたい……。
虫を食べるどころか飲み物にしてしまうなんて流石はヤーパン、食にこだわりのある国ですね。
クーラードリンクのお陰で暑さに耐性を得た一行はその後も歩き続け。ようやく目的地に到着する。
「うわっ、本当に海の上にマグマ溜まりがある!」
海の上に突き出した噴出孔、そこからは常に赤く煮えたぎったマグマが流れ続けている。
広がったマグマは海水と触れることで受け皿のような形に固まっており、その様子はまるでマグマのチョコレートファウンテンである。
「さ~て、それでは目的の物を……。」
ゴーヤは煮え滾るマグマの近くまで平然と近付くと、マグマが固まって出来た亀裂にピッケルを振り下ろし亀裂を掘り広げていく。
やがて亀裂が充分に大きくなったのを確認すると、そこに両手を入れた。
「ふんぬっ!」
ゴーヤが亀裂から取り出したのは直径60㎝はありそうな赤熱した岩石。
「その岩は?」
「この岩は火薬岩、これを持って帰るのがゴーヤ達の任務でち。今回のクエストはこの火薬岩を二つ持ち帰れば任務完了になるんだよ。」
「二つ?でもイクとしおいも岩を持ってるんだけど?」
ユーとゴーヤが話している間にイクとしおいも亀裂から火薬岩を取り出して抱えていた。
これだと数は三つである。
「そりゃ当然でち。火薬岩を持って帰るのって、とっても大変なんだもん。だから誰かが失敗しても取り返しがつくように他のメンバーも持つんでち。それに火薬岩ってとっても高値で納品出来るからね、余った分も無駄にはならないでち。」
「えっ、全員?」
「そう、全員。つまりユーも持つんだよ。」
「えええぇぇぇぇぇ!?」
赤熱した岩は見るからに熱そうである。
(嫌だなぁ、持ちたくないなぁ……。でも鎮守府の予算のためだし、岩を運ぶだけなら深海棲艦と戦うことに比べてきっと楽だよね?仕事として割り切ろう……。)
渋々亀裂に両手を入れたユーは中にあった岩の一つを掴む、その次の瞬間。
手のひら全体に鋭い針で刺されたような激しい痛みが広がった。
岩はクーラードリンクでは抑え切れない程の高熱を発しており、触れている場所からはジュウジュウと文字通り肉の焼ける音がする。
「火薬岩は熱過ぎるから持ってるとどんどん体力を奪われるでち。」
ユーと同じように岩を持っていながらまるで他人事のように話すゴーヤ。
ゴーヤだけではない、イクとしおいものほほんとしたすまし顔である。
「ねっ、ねぇ!?みんな熱くないの!?痛くないの!?」
「そりゃ熱いし痛いし苦しいのね、でももう慣れたのね。このくらい痩せ我慢出来るのね。」
「騒いだって熱いのが収まるワケじゃないからね。熱がって無駄に体力を消耗するより、普通にしていた方が楽なんだよ。」
(こ、これがしんとーめっきゃく……。しんとーめっきゃくはヤーパンのコトワザで、心を無の境地に辿り着かせることであらゆるものに耐えるという無敵の秘技。無の境地っていうは確かブッキョーを信仰している人が目指す最終境地だったと思う。つまりヤーパン人は標準で悟りの心を持ってる?流石は宗教に対しておおらかだからこそ、逆に信心深いとされるヤーパン人。)
ゴーヤ達ヤーパンの狩娘の鋼の精神に、ユーは感心を通り越して戦慄を覚えた。
ちなみに心頭滅却と痩せ我慢は全く違うのだが、その辺の知識が曖昧なユーにとっては同じもののようである。
「これこそ最も危険な運び依頼として有名な火薬岩の運搬クエスト!危ないし大変だけど、その代わり見返りも大きいんだよ。このクエストを成功させて、その報酬金を鎮守府の再建に充てるのがゴーヤ達の目的でち!それじゃみんな帰るよー、こういうのはさっさと終わらせるに限るでち!早く終われば当然早く帰れるし、この熱さからも解放される。何よりトモちゃんの喜ぶ顔が見られる!のんびりしても何一ついいことはない、タイムイズマネーでち!」
「あっ、待って!置いてかないで!」
「はひ、はひ、はひ、重い……熱い……キツい……苦しい……。」
「頑張るでち!もうちょっとでベースキャンプだから諦めずに気合を入れるでち!」
慣れない火薬岩の運搬で心身共に消耗してきたユーだが、ゴーヤ達が安全な帰り道を選びつつ、更に運搬ペースも合わせてくれたお陰で無事に運搬を続けていられた。
「そうそう!今回初めて火薬岩を運搬するユーちゃんには分かんないかもしれないけど、慣れればこんなのなんてことないよ!」
「それどころかずっと運搬を繰り返してきたお陰で、この熱さや辛さにも快感を覚えるようになってきたのね!そのうち痛いのが気持ちよくなってくるのね!」
「いやそれはないでち………………ん、この聞きなれない音?まさか……。」
イクのマゾ発言に呆れるゴーヤだったが、潜水艦娘特有の優れた聴覚がある音を捉えた。
「みんな静かにするでち。今からあそこの岩礁の陰に隠れるでち。」
ゴーヤは近くの岩陰にそっと身を寄せ、残りのメンバーもそれに倣って一緒に身を隠す。
先程まで火薬岩を運んでいるにも関わらずほとんど汗を流さなかったゴーヤがたらりと冷や汗を流す。
そのただならぬ様子にユーもごくりと生唾を呑み込んだ。
姿を見せたのは戦艦レ級。
深海棲艦の中では珍しくゴーヤ達と大差ない小柄な身体、その体格に不釣り合いな巨大な尻尾を持つ、戦艦の名に相応しい恐るべき戦闘力を持った難敵である。
強敵故にレ級の狩猟に対しては厳しい制限が掛けられており、本来であれば上位狩娘どころか下位狩娘のゴーヤ達では戦闘どころか接触すら禁じられている相手である。
当然討伐数も少なく研究もあまり進んでいないためその生態は謎に包まれており、ただでさえ初見のゴーヤ達にとってはどう対応していいのかすら分からない。
「あれはレ級!?今の音はレ級の鳴き声だったでち!?知識としては知ってたけど、実物を見るのは初めてだ……。とはいえなんでこんな辺鄙なところに!?」
「きっと昨日の嵐のせいなのね!嵐の直後は何故か生物の生息域が大きく変わるから、普段いない場所に見慣れない相手が出てくることも多いのね。」
「とはいえレ級なんて大物、こんな下位のクエストに現れていい相手じゃないよ!最低でも上位狩娘の中でも特に腕利きの狩娘が集まってようやく勝負になる深海棲艦なのに!」
「あ、あれがレ級……。」
レ級の出現に戸惑うゴーヤ達、そして始めて見るレ級の迫力にただただ気圧されるユー。
「レ、レ、レ……。」
レ級はゴーヤ達には気が付いていない様子だが、何を思ったかみんなが隠れている岩礁の数メートル手前まで来ると岩に背を向ける形で海面に座り込んでしまった。
「動かないのね……。」
「どうする?走って振り切る?」
「火薬岩抱えたままじゃ無理でち。あっという間に追い付かれるよ。」
「でもこのままじゃ火薬岩の熱にやられて、戦わずしてしおい達は終わりだよ?」
「回り道しようにも岩陰から出た時点で絶対に見つかるでち。ゴーヤ達が熱で倒れる前にどいてくれるのを信じて待つしか……。」
「あっ、そういえばイクいいものを持ってたのね!」
レ級をどう躱すか話し合うゴーヤ達だったが、ふとあることを思い出したイクは片手で火薬岩を持ったまま、もう片手でポーチの中を漁る。
「イクはこやし玉を持ってきてたのね。これをぶつけて追い払うのね!」
イクはポーチから卵ほどの大きさの物体を取り出すと岩礁に隠れたまま上向きに球を投げた。
投げられた球は山なりの軌道を描きながら、見事レ級の頭頂部目掛けて落ちていく。
「レ?」
頭に何か当たったことに気付いたレ級が右手で頭を拭う。
手に付いたのは白と黄色のドロドロとした物体であり、どう見てもこやしではない。
しばらく自分の右手を眺めていたレ級だが、やがて岩礁の方へくるりと振り返る。
「しまったのね、間違えたのね!あれはトモちゃんがおやつ代わりに持たせてくれたユクモ温泉たまごなのね!?」
「何てことしてくれるんでち、このおバカ!!」
「言い争いしてる場合じゃないよ、レ級がこっちに気付いた!」
投げたのは卵ほどの大きさの物体ではなく、卵そのもの。
しょうもないミスに顔面蒼白になるイク、逆に顔面真っ赤になるゴーヤ、だが事態は呑気に喧嘩する暇すら許してくれない。
BGM:黄金の鬣/ラージャン
「そっ、総員退避!岩陰から離れるでち!」
ゴーヤの号令と共に全員が岩礁から離れた、次の瞬間……。
レ級の尻尾の口からまるで怪獣映画のような強大なビームが発射される。
音を置き去りにするほどの勢いで放たれた黄色い閃光は、先程までゴーヤ達が隠れていた岩礁を易々と貫き、そのまま粉々に消し飛ばした。
「あんなの当たったらひとたまりもないでち。」
その常識外れの威力に恐れおののきながらも、どうすれば全員で無事に帰還出来るか知恵を振り絞るゴーヤ。
だがゴーヤが答えを出す前にイクとしおいは火薬岩を海に投げ捨てると武器を構えてレ級の前に立ち塞がる。
「これはイクの責任なのね、イクが間違えたからレ級にバレたの。だからレ級を足止めするのは当然イクの仕事なのね。」
「イク一人じゃレ級相手に時間稼ぎしても一秒も持たないよ。でもしおいも残れば二秒は稼げるでしょ?二秒もあればゴーヤとユーを逃がせるよ。」
「イク、しおい、何やってるでち!?レ級になんて勝てっこないでち!バカなことしてないで早く逃げて!」
イク達の突然の無謀な行動に考え直すよう叫ぶゴーヤだが、覚悟の決まった二人は首を横に振る。
「バカなのはそっちだよ。あたし達の任務を忘れたの?いつ誰がレ級に勝つなんて言った?このクエストは火薬岩を二つ納品出来ればそれで終わり、だからしおいとイクがいなくても問題ないんだ。岩を四つ持っていったのは単なる予備。それに2乙までは失敗じゃない。ここでしおいとイクがやられても、その間にゴーヤとユーが帰還すればあたし達の勝ちなんだ!」
「分かったらさっさと帰るのね、喋ってる時間すら惜しいのね。」
「くっ……。ユー、今のうちに逃げるよ!火薬岩は絶対に落とさないように!」
「えっ!?でもこのままじゃイク達が!!」
「いいから早く!先輩命令でち!」
「レエエエェェェェェ!!!」
「「やああぁぁぁ!!」」
後ろ髪を引かれながらも振り返ることなく全速力でその場を離れるゴーヤとユー。
その後方で二度、爆音が響いた。
物悲しいほど静かな海原をゆっくりと進む二つの人影。
「はあっ……はあっ……。」
「ほら、ユー頑張るでち。ゴールはもう目と鼻の先でち。」
その影の持ち主はゴーヤとユー。
二人とも体力気力共に限界であり、もはや走ることすら適わない。
しかしそれでも火薬岩は意地でも手離さなかった。
これを離してしまえばイクとしおいの献身が全て無駄になってしまうから……。
「イク、しおい……。」
ユーの視界が涙で滲む。
手で拭おうにも両手は塞がっており、零れ落ちた涙は火薬岩の表面に落ちて蒸発していく。
「ユー、何でそんなに泣いてるでち?ひょっとして始めて見たレ級が怖かった?」
はらはらと涙を流すユーを見たゴーヤは疑問に思う。
「ゴ、ゴーヤ!ゴーヤは何でそんなに平然としていられるの!?」
しかしユーはゴーヤの的外れで軽い対応にショックを受けた。
「イクとしおいを犠牲にしたんだよ!?せっかく仲良くなれたのに!ヤーパンの生活で不安でいっぱいだったユーを受け入れてくれた、大切なお友達だったのに!ゴーヤのことだって仲間想いの優しい艦娘だと思ってた!なのに何でイクとしおいがやられたってのにそんな酷いこと言えるの!?返してよ、イクとしおいを返してよ!!」
感情のままにゴーヤに当たり散らすユー。
だがゴーヤは自分が罵倒されたことなどまるで気にも留めず、ただ単純に納得がいったと言わんばかりの顔をした。
「あー、そういうこと。それなら心配せずとも大丈夫。安心してベースキャンプに向かうでち。それとゴーヤもユーも艦娘じゃなくて狩娘でち。」
あくまで冷静な態度を崩そうとしないゴーヤにこれ以上の文句を言うことを諦めたユーは、せめてイクとしおいの献身に応えるため最後の力を振り絞りベースキャンプを目指す。
そしてベースキャンプに辿り着いたゴーヤとユーが見たものは……。
「……えっと、何これ?」
「艦これ、じゃなくて犬神家でち。」
キャンプのある砂浜に上半身が埋まってそのまま動けなくなったイクとしおいの姿であった……。
「とりあえず先ずは火薬岩を納品するでち。」
「あ、はい。」
納品ボックスに火薬岩を入れ、ようやく熱さと重さから解放されたゴーヤとユー。
二人はそのままイクとしおいの足をそれぞれ掴むと、思い切り引っ張り上げた。
「プハッ!このまま死ぬのかと思ったのね!」
「う~、いくらこっちが動けないからって頭から放り捨てるなんてあの連装砲ちゃん酷い!お陰で二人とも埋まっちゃったんだよ!」
砂の中から出てきたのは所々髪や水着に焦げ目こそ付いているものの、怪我一つない元気そうなイクとしおい。
「えっと、何で無事なの?」
「無事じゃない方がよかったでち?」
「いや、そういう意味で言ったんじゃ……。」
あんな別れ方をしたというのに普通に再会出来たという事実にユーの頭はパンク寸前である。
そういえばヤーパンでは根性論及び精神論なるものがあるということをユーは思い出した。
確かヤーパンのとある古い宗教で信奉されているものであり、これの信者は根性の力によってありとあらゆるものに耐えられるのだとか……。
現在のヤーパンでは邪教の教義とされ信奉者はその数を大きく減らしたようだが、軍という特殊な環境下では未だにその教えが根付いていたのかもしれない。
心を無にすることであらゆるものに耐えるしんとーめっきゃくも、実は仏教ではなく根性論の教義の一種だったのかもしれないが、宗教に関して知識が浅いユーにはこれ以上のことは想像もつかない。
とにかく根性さえあれば己の死すら覆せるというのだろうか?
だとすれば根性恐るべしである。
なお根性論は存在しないが根性スキルは存在する。
とはいえ実際の根性は死にそうになった時に一回耐えられるスキルであり、流石に死を覆す程の効果はない。
死、というか乙を取り消してくれるスキルは連装砲の生命保険スキルである。
「冗談でち。ここではやられても狩娘は轟沈しないんだよ。轟沈する前に連装砲ちゃんが回収してベースキャンプまで届けてくれるようになってるんだ。このシステムを連装砲タクシー、略してレンタクと呼ぶんでち!」
「レンタク?」
どうやら二人が沈まなかったのは根性とは無関係のようであった。
しかし根性は無関係でも、レンタクなるものが二人の轟沈を防いだというのは事実である。
狩娘の死を覆すレンタク、ヤーパンはそのような超技術の実用化にすら成功しているという事実にユーは唖然とするしかない。
「イクとしおいが轟沈しなかったのもレンタクのお陰なのね。だからこそあんな無茶が出来たのね。」
「もっともレンタクはベースキャンプに着きさえすれば後はどうでもいいってスタンスだから、ベースキャンプに着いた途端に乗客は投げ捨てられるんだ。あたし達が埋まってたのもそのせいだよ。」
「狩娘は投げ捨てるものでち。」
「フッ……だがまだ生きているのね。」
あれだけの目に遭ったというのに、終わりよければ全てよしと言わんばかりに笑顔を絶やさないイクとしおい。
いくら助かる見込みがあるからといって、自ら死地に赴く者がどれだけいるだろうか?
仲間を助けるためなら自らの危機すら厭わない義の心。
やはりヤーパンの狩娘は心持ちからして違う、これが大和魂……。
だが今のユーの心はヤーパンの狩娘への感服よりも、イクとしおいが生きていたことに対する安心と喜び、そしてゴーヤへの暴言による後悔で埋め尽くされていた。
「イク、しおい、無事でよかった……。」
「イク、このくらいじゃ沈んだりしないのね。いっひひひひ!」
「心配掛けてごめんね。」
「そしてゴーヤ、酷いこと言ってごめんなさい。本当にごめんなさい。ユーはもう二度とあんなこと言いません!」
「別に気にしてないでち。事前に説明していなかったゴーヤにも落ち度があるからね。それにユーがみんなのことを大切に思っているって知れて嬉しかったよ。」
「えー、何々?何を言われたのね?」
「ダーメ!これはゴーヤとユーの秘密でち!」
「ぶー、ケチンボ!」
「ほら、ゴーヤもイクもそこまでにして。早くトモちゃんの待ってる鎮守府に帰ろう。」
「チャオ!あたしはそう、ルイージ・トレッリよ。」
再建されたユクモ鎮守府の工廠にて、新たな狩娘ルイージ・トレッリが造られた。
「マンマミーヤ!また海外の潜水艦だー!とっても可愛い!ヒアウィゴー!」
「ひゃっ!?えっ、なんなの!?この人がルイのアンミラーリオ!?」
案の定、新たな狩娘に抱き着くトモちゃんと呆気にとられるルイージ。
「コラッ、ともちゃん!いきなりそういうのはメッですよ!」
そんなトモちゃんの後方から現れたのは、あれからすっかりユクモ鎮守府に馴染み、肌も小麦色に日焼けしたU-511改め呂500であった。
「あっ、ろーちゃん!新しい子が仲間になったよ!ルイージちゃんっていうんだって!」
「それはいいから早く離してあげて下さい。ルイージちゃん困ってます。」
「わー、ろーちゃん引っ張らないで!離す、離すから!」
「いきなりびっくりさせてごめんね。でもトモちゃんは悪い人じゃないんですよ。」
ろーはトモちゃんを引き剥がしながらフォローも忘れない。
「あ、あい。それはこの短時間でじゅーぶん過ぎるほど分かったよ。それとルイージじゃなくてトレッリ、いやルイって呼んでほしいな。」
「分かりました!さて、改めましてユクモ鎮守府にようこそルイちゃん。ここユクモ鎮守府があるのはルイちゃんの故郷のイタリアンとも、ろーちゃんの故郷のドイツとも違う神秘の国ヤーパンです。」
「ヤーパン?」
「そう、ヤーパンです。ヤーパンにはヤーパン独自のルールがあり、ろーちゃんやルイちゃんの凝り固まった古い常識ではこの先付いていけません。だからこそ海外艦先輩のろーちゃんがルイちゃんにヤーパンの常識を教えてあげますね!郷に入れば郷に従え、ですって。」
MH-Rのアユリアちゃん、ちゃんと声付いてるのにホームタッグで喋らないのなんとかしちくりー。
ナビルー「無理だよ。そいつはアユリアてんだけど、大人の都合で喋れなくなっちまったんだ。」
ライラ「喋れるようになるおまじないだ。」
アユリア「ぶひひひひ、ぶひぃ!!……あ、愛します!一生どこへでも、ついていきます!!」
ライラ「ぬう!?こ、これは!!まさか、女……。」
スミカ「ライラ!見て!花が咲いてる!!」
ライラ「失せろ。」
ナビルー「呆れた奴だなぁ。」
ヒョウガ「聞いた話によると黒の使徒が全滅したそうだ……。」
スミカ「え!?(ベリオロスが喋った!?)」
レ級:皆さんご存じ狂気の笑顔を持つ深海棲艦、戦艦レ級。<(゜∀。)レキュウチャンハ、カワイイデスヨ
群れを作らず単独で海を彷徨い、目に付いた相手を完膚なきまでに破壊する非常に危険な深海棲艦。
その実力は常識外れの域に達しており、生半可な狩娘では狩猟許可すら下りない。
素手で大岩を叩き割ったり、発達した尻尾を振り回すことで周囲の物を薙ぎ払ったりと圧倒的なパワーを誇る。
肉弾戦だけでなく飛び道具の扱いにも秀でており、腕力に任せて岩を投げたり、尻尾の口から高出力のビームを発射したりと近距離遠距離共に隙が無い。
ただでさえ手の付けられない強さを誇るというのに、噂によれば全身に黄金のオーラを纏い運動力を強化したり、両腕を硬質化させるなど更なるパワーアップも行うという。
その長大な尻尾は常識外れの身体能力を生み出すエネルギー源であり、同時に最大の弱点にもなっている。
尻尾を破壊することが出来ればオーラを扱うことが難しくなり、ビームの発射にも支障をきたすなど大きく弱体化する。
尻尾はその大きさ故にとても狙いやすいので、狩猟の際にはそこを集中的に攻撃することが攻略のカギとなる。
まれに尻尾が千切れていながら金色のオーラを纏い続けている個体の目撃例も少数ながらあるが、現状では討伐例どころかロクな交戦情報すらない。
モデルは言うまでもなく金獅子ラージャン。
本家ラージャンと違って特徴的な二本角は無く、体躯も人間の子供と同程度なので腕のリーチは非常に短い。
しかし本家ラージャンと同レベルの機動力を誇り、更に長い尻尾をブンブン振り回すことで短いリーチを補うという戦法を取る。
これにより接近することが難しく、上手く懐に入り込んだとしても今度は強烈なパンチをお見舞いしてくるという強敵。
実戦経験に乏しい下位狩娘であり、なおかつ貧弱な採集装備のイクとしおいの手に負える相手ではなく、二人揃って瞬殺された模様。