天龍ちゃんと狩娘   作:二度三度

92 / 106



毎度お馴染み説明回。

XXまでの装備とスキルの仕様でお話を考えるのが面倒だったので、これからはW以降の仕様に変更するという手抜き宣言でもある。





天龍ちゃんと炭鉱夫2

 

 

 

 

 

好戦的な深海棲艦が一隻も出現しなかったことで、最後まで安全かつ平和に採掘作業を終わらせることが出来た天龍と龍田。

天龍的には全く戦闘がなかったことにより若干の不完全燃焼感が残るものの、龍田に『お守りの復元作業はある意味で狩りよりもワクワクするわぁ。』と胡散臭さを隠さない含み笑いで告げられたことにより、半信半疑のままではあるが工廠へとやって来た。

 

「これがお守りの復元機?何か思ってたのと違うな。」

 

工廠の一角、そこに置いてあったのは安物の電子レンジのような外見をした粗末な箱。

身も蓋もない言い方をしてしまえば単なるガラクタ。

その見た目だけではとてもお守りを復元出来るような機能を持った機械には見えない。

 

「確かにこんな見た目だけど、とりあえず騙されたと思ってやってみてよ。」

 

天龍は復元機の戸を開けるとそこに掘ったお守りを入れる。

そして戸を閉めた後に分かりやすく『復元』と書かれた丸いボタンを押してみた。

 

「これでいいのか?」

 

「ええ、一分もあれば終わるわよ。」

 

ジジジ……と無機質な音が鳴り続け、やがてチーンっとベルの音が鳴る。

 

「うわっ、ホントに電子レンジみたい。」

 

復元機の電子レンジそのままな挙動に呆れながらもそっと戸を開けてみると、さっきまでちょっと綺麗なだけで何の力も感じられなかった小石はピカピカに磨き上げられ、不思議な力を感じさせる宝石へと生まれ変わっていた。

 

「おぉ、これが完成したお守りか。」

 

「ええ、これでちゃんとスキルが発動するようになるわ。まずは握ってみて、それでどんなスキルが秘められているか分かるから。」

 

天龍は言われた通りにお守りを右手で掴んでみる。

出来立てほやほやだからなのか、手の中のお守りはどことなく暖かい。

 

「えっと、これで使えるようになるスキルは砥石使用高速化……ってスキルポイントたったの1!?スキルって確か最低でも10ポイントないと発動しないんだろ!こんなんじゃ使い物になんねーよ!」

 

天龍の脳内に流れ込んできたお守りのスキル情報は本人の言った通り砥石使用高速化。

読んで字の如く、砥石で武器を研ぐスピードが速くなるスキル……ではなく研ぐ回数が減るスキルである。

つまり実際は高速化というより簡略化とでも呼ぶべきスキルなのだが、そんなことよりもその肝心のスキルポイントは僅か1しかない。

それならせめて装飾品でスキルポイントを補おうにも、このお守りにはスロットも開いてないのでこのままでは全く使い物にならない。

 

「それなら大丈夫よ、スキルポイントの仕様が変わったから。」

 

「仕様?」

 

龍田の言う仕様の意味が分からず天龍は首を傾げる。

 

「防具が剣士用とガンナー用で分かれているのは知ってるでしょ。だけど似たような防具が二種類もあるのは分かりにくいし使いにくい。何より場合によっては二つとも作らなきゃいけないのが素材的にも金銭的にも負担になるから不便だって意見が多かったのよ。そこでアステラ鎮守府を筆頭に、セリエナ鎮守府やカムラ鎮守府が連携して防具を一つにまとめる研究を始めたのよ。そしてその研究は無事成功し、剣士でもガンナーでも使用可能な新しい防具が完成したわ。」

 

「それが仕様変更にどうつながるんだ?」

 

「まぁまぁ、そう焦んないの。それで完成した新しい防具は確かな性能を持っていたんだけど、それでもまだ完成したばかりで信頼性が低い。だから現在は3鎮守府で試験運転の真っ最中、問題がなければ近いうちに他の鎮守府でも作れるようになるそうよ。」

 

「オレ達の鎮守府でもか?」

 

「勿論よ、かくいう私も作れるようになる日を楽しみにしてるわ。狩りに生きるものとして、新しい武器防具に心躍らない者はいないんじゃないかしら?」

 

まだ見ぬ装備に期待を寄せるその気持ちは天龍にもよく分かる。

新しい素材を手にするたびに新しい装備が作成可能になっていないか、工廠にチェックしに行くのは天龍の楽しみの一つになっているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そしてここからが本題なんだけど、防具の研究中に副産物と呼ぶには大き過ぎるほどの成果が出たのよ。その一つが装飾品のスロット関連ね。装飾品のサイズに合わせてスロットのサイズにも幅が生まれたのよ。その結果、大サイズの装飾品は大サイズ用のスロットにしか入らなくなった代わりに複数のスロットを必要としなくなったわ。」

 

「大サイズの装飾品?複数のスロット?何の話?そんなのあったっけ?」

 

現在天龍が所持している装飾品は耐絶珠一つのみ。

耐絶珠は小サイズの装飾品なので、使用するスロット数も一つだけである。

なので複数のスロットを必要とする大きな装飾品に心当たりがない天龍は首を傾げる。

 

「そっか。天龍ちゃんは小サイズより上の装飾品を持ってないし、そもそも装飾品の生産自体をしたことがないから知らないんだったわね。あのね、今までの装飾品は大中小の三種類の大きさがあったのに、装飾品を入れるスロットの方は小サイズしかなかったのよ。だから中サイズの装飾品を入れるには小サイズのスロットが二つ、大サイズを入れるにはスロットが三つも必要だったの。だけど今回の研究のお陰でスロットにも大中小の三つのサイズが開発されたわ。お陰でサイズさえ合えば複数のスロットを必要とすることがなくなったからスロット数に余裕を持たせられるようになったのよ。その代わりに大きいサイズの装飾品は小さいサイズのスロットを複数用意しても入れられなくなっちゃったけどね。そして新しい武器防具にはこの新しいスロットが搭載されていて、装備の普及と共に新しい装飾品も出回るようになると思うわ。ちなみにより強力なスキルが込められた特大サイズの装飾品とスロットの研究もされてるみたいね。」

 

「へぇ~。」

 

「そしてもう一つの成果がスキルポイントね。今までは基本的にスキルポイントを10まで増やすことでようやくスキルが発動していたのが、研究のお陰で1ポイントからでもスキルが発動するようになったのよ。おまけにマイナススキルを無くすことにも成功したから、今まで以上に気軽にスキルを発動出来るようになってるわ。サラッと説明したけど、これって大革命よね。」

 

「そうなのか?」

 

そう力説する龍田だが、ハンターランク3にもなって未だにその辺を理解していない天龍はどうにも反応が薄い。

 

「もう、本当にすごいことなんだからね!スキルっていうものは余程のことがない限りは防御力よりも優先されるものなんだから!まぁいいわ、それで新しく完成した防具が持っているスキルポイントもこっちの新しい方になっているし、装飾品のスキルポイントも同じようになっているのよ。当然お守りのスキルポイントもね!」

 

「お守りのスキルポイントも?……ってことはまさか!?」

 

今の説明で察しの悪い天龍もようやく理解する。

 

「お守りの方は既に実用段階に至っていて、この古い復元機も中身はアップデートされてるから新しいスキルポイントを持った性能の高いお守りが復元出来るようになったってわけ!」

 

「つまりこの一見スキルポイントが全然足りないように見えるお守りでも、砥石使用高速化が発動するってことか?」

 

「そういうこと。もっとも楽にスキルが発動するようになった代わりにスキルの性能も低下していて、砥石使用高速化だとスキルLv1じゃ研ぎ回数が一回減るだけよ。完全な性能を引き出すにはLv3まで上げる必要があるわ。」

 

「へぇ~、だとしても発動まで10必要だったスキルポイントが3にまで減ったんだろ?そりゃ便利だ……ん、待てよ?」

 

完成したばかりのお守りを感慨深く眺めていた天龍だったが、ふとあることを思い付く。

 

「なぁ、もう一度さっきの海域に行ってさ……採掘してまた新しいお守りを見付けられればさ、またお守りを復元出来るだろ?」

 

「そうね。」

 

「そしたらさ、もっといいスキルの付いたお守りが出る可能性もあるだろ?」

 

「そうかもね。」

 

「それでさ、そのいいお守りを装備すればスキルのお陰でオレはもっと強くなれるだろ?」

 

「まぁ理屈の上ではそうね。」

 

「よっしゃあ!それを聞いてやる気が湧いてきた!!まだ昼過ぎだしもう一度くらい出撃出来るからな。そうと決まればまたお守りを探しに行くとするぜ!天龍のお守り採掘で最強を目指す計画!今ここに始動だぁ!」

 

「何その変な計画名、そもそもそう上手くいくかしらぁ?」

 

強さにこだわりのある天龍はピッケルを引っ掴むと再び出撃すべく駆け出していく。

あれほど戦闘の絡まないクエストにやる気を見せなかったというのに、お守りの存在を知った途端にこれである。

露骨なまでの掌返しに流石の龍田も苦笑いを隠せない。

そこまで強さにこだわるのならスキル関連についても普段からもう少し勉強すればいいのにと思う龍田なのであった。

 

 

 

 

 

ちなみに天龍は勢い余ってクエストを受注せずにそのまま出撃しようとしたため、直前で神通に取り押さえられ説教を受けたのだとか……。

天龍のお守り採掘で最強を目指す計画!は前途多難である。

 

 

 







じゃあ俺、サンブレイクまでワドルディ救出しながら待ってるから。(棒読み)



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。