今回もキャラ崩壊注意です。作者の悪ノリですとも。あとシリアス警報も一応はっておきます。
ジンの兄貴の過去ねつ造してます。注意。
視点がころころ変わります。
4/14 誤字報告があがりましたので、修正しました。ご報告ありがとうございました。
4/15誤字報告があがりましたので一部修正。ご報告ありがとうございました。
赤井は目閉じた→目を開けたでした。申し訳ありませんでした。
4/16誤字報告があがりましたので修正しました。ご報告ありがとうございます
――主人公side――
お部屋に優しい某消臭スプレーをかけまくってちょっと平常心が帰ってきた。
兄の心理が分からないのは前からだし。いや意味合いは大分違うんだけど、と俺は朝から頭を抱える羽目になった。
悩んでも仕方ないので、昨日中途半端になっていた
いや考えれば考える程出てくる出てくる、不穏な知識と出来るであろう技術達が。格闘術に、サバイバル知識ここまではいい。けれど、何?尋問拷問についてとか、人体の急所、精神崩壊までの手順とか、挙句の果てには心理学の応用の人間の操り方?無理無理、この中身が一般市民の小心者の俺には荷が重い。
俺は早々に音をあげた。あ、でも役に立ちそうな技術もあった。好きな声が出せる変声術やら、このクソ高い身体能力とか。あと格闘術(暗殺編)も護身術として役に立つ。
いやあ、このジェネヴァ君やたら物騒だね!めげちゃいそうだぜ。一体組織はこの子に何やらせるつもりなのだろうか。とても怖い。
この鉄仮面仕様さえもはや救いの一因になっているとか、現状の酷さが分かろうものだ。
だからまあ兄のとち狂った行動に悩んでいる暇なんてない。今日の予定は、というと組織の施設でちょっと訓練した後、組織のパトロンの要人のお子さんの護衛とかやる為の打ち合わせか。ああ、サボりたい。まあそうしたら俺はお払い箱ついでにこの世からさよならバイバイするんだけどね、ハハッ。つらいわ。
まずはトーストを焼いて朝ご飯食べるか。ちなみに俺は朝はパンとご飯半々といった感じだ。どっちも美味しいよね。
あとは盗聴器とか所持品に発信機がないかチェックも怠れない。身内すら信じられないとか悲しいお知らせだ。なんで眼鏡の少年探偵アニメの盗聴器の出現率があんなに高いのか。おかげで俺はすぐに思いついたんだけどね!ありがたいんだけども。
結果としてはまあ盗聴器も発信機もなくて俺は肩透かしをくらった。
午前中の組織の訓練も何事もなくこなした。教官?いない、らしい。過去には沢山居たらしいけれど、このジェネヴァ君の徐々に発揮される物騒さから人が離れた結果らしい。マジかよ、こんな子供が何をやらかしたのやら。肝心なところは相変わらず思い出せないので俺は内心泣きそうだった。
それはともかくとして。俺は午後にある打ち合わせまでに時間があったので、ブラブラと組織内の施設の廊下を歩いていた。お昼は食べた、こっちに来るまでに買ったサンドイッチで美味しかった。
とそこで俺はこちらに向かってくるとある人の姿を見て、ゲッと内心呻く。勿論この完璧な無表情には漏れていなかったけれど。
黒のニット帽に、黒の長髪、黒ずくめの服装。加えて黒髪から覗く緑の鋭い瞳はゾッとする程冷酷だ。そう、FBIの捜査官赤井秀一、偽名は諸星大。黒の組織でのコードネームはライ。――今はライとしての姿だし、ライと呼ぼう。
まあ冷酷さ具合でいうと家の兄程じゃないけども。
俺は構わず通り過ぎようとした。だって面識ないし、したがって恨まれたり絡まれたりする心配はない筈だ。
「――何故、こんなところに子供が」
「あ゛?」
通り過ぎようとする寸前に腕を掴まれ、ライに止められた。俺は咄嗟に低い声が出た。こう、喧嘩を売るチンピラ的な声だ。実際はもっと冷たい声だったんだけど。習慣って恐ろしいね、このジェネヴァ君喧嘩は買うタイプのようだ。流れるようにあの低い声が出たし。
もう後には引けないので俺は鋭くライに睨む。おや、とライは意外そうに目を少し見開いた。
「お兄さん、言っておくけれど俺部外者じゃないから」
「ほぉ……。じゃあ、なんだって言うんだ?」
なおも腕を離さないライに俺はイラッとした。うるせー、餓鬼捕まえて面白そうにすんじゃねぇや。
「コードネーム、ジェネヴァ。最近なったばかりの下っ端だから聞いてないかもしれないけどね」
「ああ、お前があの噂の。――それはすまなかったな。この業界じゃ疑わしい者をあっさりと通したんじゃ信用を失くすんでね」
納得し、あっさりと腕を離したライに俺は少しため息を吐いた。
「――いいよ。それに信用を失くすだけじゃなくて下手すると命に係わる生業だって知っているし」
「噂とは違うんだな」
「噂?」
俺の呆れた声にライは意外そうに呟いた。俺は思わず聞き返す。昨日のバーボンといい、今日のライといい絶対ロクな噂じゃないだろう。
「聞いた事がないのか?まあこういう噂は当人を素通りするものか。――冷酷無慈悲の殺戮人形。噂だと口も利けない程人間らしさに欠けるそうだが?」
本人を目の前にずけずけと噂をいうライに俺はひくりと口の端がひきつりそうになった。この鉄仮面は残念ながら応じてはくれなかったが。
「――で、実物に会ったご感想は?」
「思ったよりも人間らしいな」
だろうな。俺は口に出さずに思う。そりゃ中身が違うもの。
「へぇ。俺もお兄さんの噂を知っているよ」
「ほー。どんなだ」
面白そうな、余裕を崩さないライに俺は仕返しをする。というか、余裕ぶりやがってこのイケメンめ滅びろ。
「お兄さん、ライっていうんでしょう?なら、組織に入る時恋人を仲介して入ったんでしょ?」
「ああ。それが?」
「――二人の出会いは車の当り屋的なアレって本当?」
「?! グッごほごっほ」
読者の特権、原作知識を発動!効果はばつぐんだ!咳き込むライに俺は内心ニヤニヤする。やられっぱなしは性に合わないんでね。
「その様子だと本当みたいだね。お兄さん、やるねぇ」
「げほっ。――おい、その話どこから聞いた?今すぐ話せ、さもないと」
「殴っちゃうぞって?嫌だなーこれだから大人は。それにこの噂は根も葉もない噂で誰も信じちゃいないって」
多少苦しさで潤むライのその睨みに俺は飄々と返す。というか、口調が軽くても鉄仮面とかシュールじゃね?
「…………そうだな。噂は信用性に欠けると今実感したからな」
「よかったね」
「いい性格をしているな、坊主」
そりゃどうも。俺は無表情で頷く。ライは増々苦々し気に顔をしかめた。
「はぁ、まあいい。親切心で忠告をしようじゃあないか。組織で生きたければ、そんな舐めた真似はするな。――死ぬぞ」
ため息を吐いた後、ライは忠告を述べた。けれど、最後の一言だけはゾッとするような冷たい声と視線だった。
俺はそれに頷く。
「よく知ってるよ、そんな事」
――赤井Side――
組織のコードネームを持つ子供が去った後ライ――赤井秀一は目を閉じた。懐から煙草を一本取り出し、火をつける。
煙草で気分を紛らわさないとやっていけない。
ふぅっと紫煙を吐き出す。赤井は目を開けた。
随分と目の澱んだ子供だった。あんな目は子供がしてはいけない。
軽口を叩くので思わず覗いてしまったのだ。その目の奥を。良く見ればその瞳は緑の虹彩を持っていて、本来ならば美しい輝きを持つのだろう。
一体この子供はどんな地獄を見てきたのだろう。底の見えない暗闇の瞳に、赤井の良心がチクチクと痛みを発する。同じ年頃の妹がいるから余計感じるのだろうか。感傷は、この組織に入る前に置いてきたはずなんだが。
なんにせよ、あんな子供がこれ以上犠牲にならないように尽力するだけだ。
赤井に出来るのはそれくらいだ。
それにしても、随分冗談が回る口だったな。赤井は不思議に思いながらも組織の任務をこなすためにその場を離れた。
――主人公side――
組織での打ち合わせも済んで、じゃあ明日からねと言う事で解散となった。なんでも護衛をするのは年頃のお嬢さんだそうで、今までの組織の人員だと怯えられるから急遽俺が代打を務める事になったそうな。……これだから金持ちはと俺は文句を内心呟きながら頷いた。え?ライに対する態度とは違う?まあそりゃあ、あの人他に話すとも思えないし。いざとなれば俺が白を切ればいい話だしね。逆上されて殺される心配がないって大きいよなと俺は真面目に思っている。この組織物騒すぎるわ。
俺は自分の部屋に早々に退散してぼんやりとくつろいでいた。疲れた時はこうやってやるのが一番だ。
ピンポーン。この広いリビングにも聞こえる軽快な機械音に俺はデジャヴを覚える。もしや、そんなまさかね。
俺は渋々とドアを開けた。そっと慎重に、を心がけてだ。
「遅い」
そこには何やら荷物をもった兄、ジンがいた。兄貴、その
「ん」
「は?なにこれ」
「――酒。今日も泊まるからな」
「はあ?」
目の前に突き出された鞄を受け取りジンに聞けば、まさかの答えで流石の俺も動揺した。どういう事だってばよ、と俺は目を丸くする。
勝手にまた部屋の中に上がるジンに俺は呆然としてしまった。なん、だと……!? と現実に俺は愕然とした。
慌てて俺は鞄の中身を確認する。鞄と言っても、チャック付きの札束の運搬に使いそうな黒い布製のバックだ。ジッとチャックを開ければ、中にはワイン数本と他の種類の洋酒が入っていて、マジかコイツと俺はドン引きする。
俺が以前(脳内で)言ったのはお泊りセットを持ってこいっていう話なのに酒って、お前とぐるぐると脳内が荒れ狂う。
「おい、またなんか作れ」
リビングで早速くつろぎ始める兄に俺は、あこれは餌付けが成功したパターンですわと考え直す。はいはい、今行きますよっと。
別に俺、餌付けしようとか露程も思っちゃいないんだけどな。
ちなみに今日の夕飯のメニューはカレーライスだ。丁度二人いる事だし、大人の男なのだからまあ作っても食べれるだろう。俺が食べたかったから事前にカレールーがあったのは幸運だった。俺って超ラッキーじゃね?と自画自賛しながら調理を進めていく。
カレーの中に飾り切りの人参(お花)を入れたらジンにマジかよコイツと無言でドン引きされた。うるせーお前ほど常識知らずじゃねーよ、とチキンな俺は内心だけにツッコミをとどめておく。
もう二度目となれば慣れたもので昨日ほど俺は兄に対してストレスを感じず対応する事が出来た。俺ってなんて大人なんだろう!と自分を褒めておく。
もう今日は夜も遅い。お休み一秒ですやあである。
――ジンside――
ジンは見下ろす先の子供をジッと見つめる。
手をサラリと抜ける自分と同じ銀の髪。
生きてるみてーだな、と誰に言うでもなく呟く。この年の離れた弟と初めて会った時、ジンはその頃にはもう家を出ていた。何せ裏社会に自ら入るのだから家庭環境はお察しの悪さだったのだ。
だから、死んだ目でこちらを見てくる子供にこれはもう駄目だなとジンは思った。
何せ心が死んでしまっている。経験上、こういう目をする奴はもう二度と復活しない。心は死んだまま、ただ言われるままに生を享受する。クソみたいな生き方だ。
組織に連れ帰ったのはジンの気まぐれだ。使える駒になってくれればそれで良し。使えなければ始末して終いだ。
それ故に久方ぶりに会って、その死んだ目に一瞬の光を見て少し驚いた。
なんだ、蘇るっていうのか。心が死んだお前が?と。
一応、動向を探る為、心変りがないかをここ二日押しかけてジンは確認した。
結論としては問題なさそうだ。害意、敵意は存在せず、恐らく裏切りもないだろう。
ふぅとジンはため息を吐いた。今夜は無性に煙草と酒に溺れたい夜だ。