後で1~4は修正を入れます(見やすいように)。もう一つの連載の方はもうちょい更新待ってくださいね。
今回は主人公視点と後半にちょい足しでウォッカさん視点です。前回からそう日は経っていない感じです。
※※※ ←これで区切りたいと思います。
※ちなみに本作は原作の三年前くらいを想定してます。
バーボンさんが妖精()とか言っていた件、絶対許さない。と俺はギリィと歯ぎしりする。全くこれだから大人という奴は。大体このジェネヴァ君、そんな柄じゃないよ?むしろ首を刈り取っていく死神タイプです。凄く物騒だね、と俺は現実に目を逸らしたくなった。実際出来てしまうから厄介なのだ。見た目って重要だなぁと俺は死んだ目で、はははと心の中で笑っておく。
けどまぁ、今回の接触でスコッチさんが話が出来るタイプの大人だって分かっただけでも収穫だろう。彼は潜入捜査官だからこのジェネヴァ君に敵意か、殺意を抱いていても可笑しくないと思っていたのだ。子供だから、と見逃してくれる程各国の捜査局はお優しくない事はお気楽な俺でも知っている。
後はここの時間関係の確認だけど、これは難しいだろうなと俺は思う。原作前だと言うのは分かる。が、黒の組織のメンバーズの年齢不詳感よ……。バーボンなんてほとんど変わってないんじゃね?原作時と。
それだからこそ、スコッチと話してその目に敵意が宿っていないのを知って、俺はホッとしたのだ。それどころかこちらを気遣うような心配の気配もあって逆にこちらが心配になってしまった程だ。
かと言って、信頼が勝ち得たかって言われたら答えは否なんだけど。そこら辺はおいおいやっていくしかないのだろう。そんな猶予があればいいが。
現実逃避もここまでだな、俺はため息を吐いた。
今日も今日とて楽しいくそったれなお仕事の話である。だいたいスコッチとの出会いの三日ぐらい経った日の事、いつもの如く突然部屋に突撃をかましてくれたジンの兄貴に拉致られるように連れてこられて以下略。
現在の時刻は正午を少し過ぎた頃だ。つまりお腹空いた、俺は空腹で鳴りそうな腹を撫でて宥めた。拉致られたのがご飯の準備をしようかな、という時だったのだ。少しは恨み節を吐いても許されるだろう。
ポルシェ356A。黒い車体のこのクラシックカーは真上からの太陽の光でキラリと輝く。まあ遠目に見る分にはとてもかっこいいとは俺も思うが、仮にも裏社会を牛耳る組織の後ろ暗い人間が堂々と乗るもんじゃねーなとも考えてしまう。めっちゃ目立つじゃん、俺ら目立っちゃいけないんだよな?
長い沈黙が横たわる車内は息苦しさを感じる程である。俺は視線をぼんやりと外に向けながら出来るだけ隣に座る兄に意識を向けないようにしていた。なんでこの人、助手席に座らないんだろうか。原作やアニメの時の助手席率に戻せよ今すぐに、という俺の切実な内心の叫びもお構いなしである。俺に対する嫌がらせだとしたら効果的だと拍手を送りたいほどだ。
隣に感じる威圧感のせいで俺はぼんやりとしていた。
「おい、お前。――アレ、忘れてねーだろうな」
いきなりの兄の言葉に俺は首を傾げる。はて、アレとは?
俺のそんな様子にジンの兄貴の眉間の皺がぐぐっと寄る。うわぁ、ただでさえ致命的な悪人面なのに更に悪化するとか救いようがないんだが。チッと舌打ちの追い打ちに俺の胃がしくしくと痛み始める。ストレスマッハとはこの事か。
しかしなんのことだろうか。ここ数日、ジンの兄貴に何かを申し付けられるような、用事を頼まれるような事はなかったはずだが。
「…………呼び方」
ぼそり、と兄の低い呟きに俺はハッと閃く。え?呼び方って、俺が記憶を取り戻した初日で言ってたあれの事か?え?今更?遅くね?と俺は内心困惑する。
あれから「兄さん」呼びをしても今までなんにも言ってこなかったから、すっかり無効になったと俺は思っていたのだ。
「――“兄貴”、じゃダメなの?」
少し考えてから俺は言った。ちらりと兄の方を見れば、冷え切ったその視線でこちらを見下ろしていた。怖いわ。
「駄目に決まってんだろ。――考える頭があるんなら、もう少し考えてから言う事だな」
「ウォッカは良いのに、ね」
その頭は飾りか?という兄の見下しきった視線も相まって俺はムッとした。そして、つい口答えするような事を言ってしまった。しまった、と後悔しても遅い。前でハンドルを握るウォッカさんがこっちに振るな、と言わんばかりに顔を青ざめさせている。正直すまなかった。
兄ははぁ、とわざとらしく大きなため息を吐いた。そしてガシガシとその銀色の長髪を苛立たし気に掻きむしる。
「……俺がお前の血縁だと知ってんのは、組織でもごく一部だ。俺はテメェの買った恨みを被る気もなければ、面倒事も御免だ。ここまで言えばいくら馬鹿だって分かるだろう?」
ああ、なる程。お互いの為にも他人のフリをしようぜ?というアレですねと俺は頷く。超ポジティブ解釈をすれば、圧倒的に恨みを買っている兄の面倒事に巻き込みたくないとも取れるね。これなんてツンデレかな?と俺は死んだ目で現実逃避をする。
「だからウォッカ。テメェもこいつを特別扱いするな。――こいつはただの使える駒。手駒で充分だ」
「えっ?! い、いやでも――」
「分かったな」
「わ、分かりやした」
兄のめっちゃドライな発言にウォッカは言葉を詰まらせる。ウォッカの躊躇いにジンの兄貴の威圧が止めをさす。冷や汗をたらして了承するウォッカに俺はなるほどこれがパワハラかと戦慄する。一般企業の比じゃねーな黒の組織のブラックさ。
「――で?」
お前は分かったのか?と兄の視線に俺はこくりと頷き一つ。
「つまり、“ジン”って普通に呼べばいいんでしょう?」
「ああ。――お前、いつもその口調なのか?」
他の幹部にもか?という兄の言外の問いに俺は頷きで肯定する。何を今更。ジェネヴァ君のキャラは昔からこうでしょうに。
俺の肯定に兄は渋い顔をした。なんか不味い物でも食べたかのようなしかめようだ。
「……長生き出来たもんじゃねーな」
ぼそりと付け足された兄の言葉に俺は眉をひそめる。そんな縁起でもない事言わないでくれ。切実に。兄貴に言われると現実になりそうで嫌だ。
このタイミングでこれ言い出したのも、あれだな。組織のお仕事の時のジェネヴァ君は基本単独行動だったから、ジンの兄貴達と会う事もなかったからだな(後俺が意図的に会わないように避けていたのもある)。これから全く会わないって事はないし、一応釘を刺しておこうという兄の思惑だろう。多分。
んん?でも待てよ。俺は思い浮かんだ疑問を口にする。
「他の誰が知ってるの?俺と兄さんの事」
組織でもごく一部って大分ぼんやりしてるっていうか、出来ればはっきりさせておきたい。今後の対応も変わるからだ(主に潜入捜査をしていらっしゃる人達に対するアレコレだ)。
「ああ、それか。あの方次第だが……。恐らくそうバレる事はねえな」
え、何それ気になる。
「少なくともベルモットは知らねえ筈だが」
「へぇ」
ほほぅ、あのベルモットさんが知らないとかこれ思ったより知られていないんじゃね?と俺は少し安心する。この兄が俺の死亡フラグだのなんだの言ってんのはその恨みを買うスタイルのせいでもあるからね。ほらアイリッシュさんの件とかその最たる例じゃないか。
「後、テメェは大人しくしてろ。あんまり目立つようだと――」
へ?と俺は思わず瞬きをした。俺の意外そうな顔にジンの兄貴のしかめっ面が最高潮になる。具体的に言うと眼光の鋭さが刃物並になっていて、こちらが死を覚悟したくなる顔面だ。
俺の困惑が伝わったのか、ジンは
「……なんでもねぇ。――後、アイツには近づくな」
不機嫌面のまま、忌々しそうに吐き捨てた兄の言葉に俺は更に困惑を強める。アイツ?誰だ、それ。
「…………アイツ?」
「――ライだ。アイツは、我々のような純粋な黒とは違う。差し詰め鼠色の狗、と言った所か」
待っても追加の情報が出て来なそうだったので渋々聞いた俺の問いにジンはため息交じりに答えた。ねずみ色のいぬって、これ暗にライの事をスパイだって言ってんだよな?バレんの早くね?
「――了解。けど、ライはこっち側にしか見えないけれど……」
な?気のせいだって、と俺は内心の声を抑えながら言う。言外に証拠もないだろ?と呆れた視線も付け加えておく。俺の冷めた無表情はこんな重苦しい空気の中でも鉄壁の強度を誇っていた。ぴくりとも崩れないし完璧だ。
俺の呆れた物言いにも兄は少しも動じない。むしろ、面白そうに口端を吊り上げて冷笑を浮かべていた。俺は横目に見てドン引きした。ジンの兄貴怖いわ。
「気に食わないのもあるが、それ以上に
「…………」
カッと目を見開いて言う台詞とは思えないが、俺はそれ以上言葉にするのを止めた。どんな臭いなんですか兄貴、なんてふざけた日には次の朝日は拝めないに違いない。
「――奴が何処の狗かまでは知らねーが。俺はこの手の勘を外した事がねーからな。まあ奴が尻尾を出すまではこっちからも手が出せねぇのもあるんだがな」
「…………そう」
ギラリと鋭い視線を緩めないジンの兄貴に俺はうすら寒い思いをしながらも頷いた。殺気をしまおうぜ?俺の胃がキリキリ悲鳴を上げるから、切実に。
原作では確かにライこと、赤井秀一さんは古巣であるFBIとして登場していた筈だ。俺原作に詳しくないんだけど、つまり後で組織を抜ける事になるんだよな。それが本人のミスか、それともジンの兄貴の策略かは知らんけど。
後は会話もなく、気まずい沈黙は目的地に着くまで続いた。冷や汗掻きっぱなしのウォッカさんには大変申し訳ない事をしたと思う。――俺のせいだけではないと断固として主張したいが。
※※※
兄貴のお気に入りであるクラシックカー、ドイツの雨蛙ことポルシェ356Aを運転するのは、もう手慣れたものだがこうも車内の空気が重苦しくなるのはどうしたことか。昼下がりの麗らかな日の光り、車外から見える
後部座席の二人が問題なのだ。ウォッカは密かにため息を吐いた。
ちっとも似ていない兄弟だ、とウォッカは今でも思う。正直、兄貴からそう言われても信じられないくらいには後ろに座る二人に共通点は少ない。
同じ銀色の髪、同じような色味の瞳。年の差があってか、背も大分差があってそれがいっそうジェネヴァの体格を華奢に見せている。兄貴の絶対零度の眼差しにもピクリともしない大物さは、案外似ているのかもしれない。
ウォッカがルームミラー越しでそっと確認すれば、ジェネヴァの温度のない深緑の瞳が見えてウォッカの胃の底を冷やす。ジェネヴァの深緑の瞳の温度のなさは兄貴とはまた別種の冷たさがあるようにウォッカには思えた。
「おい、お前。――アレ、忘れてねーだろうな」
「…………」
「…………呼び方」
兄貴の問いに無言のジェネヴァにウォッカは軽く慄く。凄い度胸だ、と傍観者の立場からウォッカは思う。ウォッカだったらこんな真似はとても出来やしない。それともこれも血縁のなせる業なのか。
「――“兄貴”、じゃダメなの?」
ぽつり、と呟かれたジェネヴァの声にウォッカは思わずむせそうになった。完全に傍観者気取りだったので尚更だ。
兄貴はどう反応するのだろうか、とヒヤヒヤするウォッカをよそに兄貴の反応は通常通りのそれだ。ジェネヴァに向ける眼差しは冷え切っており、こちらにも冷気が漂ってきそうな勢いだ。
「駄目に決まってんだろ。――考える頭があるんなら、もう少し考えてから言う事だな」
「ウォッカは良いのに、ね」
不貞腐れるようなジェネヴァの呟きにウォッカはこの馬鹿野郎!! と叫びたいのをグッと堪える。こちらへと飛び火するような発言は控えて欲しい。ただでさえ、今の兄貴の機嫌はよろしくないと言うのに。
ウォッカはサァッと頭の血が引いていく音を聞きながら、兄貴の様子を伺う。
大きなため息を吐いて兄貴は、苛立たし気に銀色の髪を掻き乱す。トレードマークの黒のハットのズレすら厭わないぐらいの豪快さだ。
「……俺がお前の血縁だと知ってんのは、組織でもごく一部だ。俺はテメェの買った恨みを被る気もなければ、面倒事も御免だ。ここまで言えばいくら馬鹿だって分かるだろう?」
なる程、と頷くジェネヴァを横目に兄貴の鋭い目線がこちらへと向く。ヒエッと悲鳴が出そうになるのをウォッカは根性で押さえた。
「だからウォッカ。テメェもこいつを特別扱いするな。――こいつはただの使える駒。手駒で充分だ」
「えっ?! い、いやでも――」
先ほどの兄貴の言葉を聞けば、ウォッカは素直に頷きにくい。あの言葉の表面の棘を除いてみれば、ジェネヴァの方の得の方が大きいからだ。まあもっとも、その件で面倒事が起こるのはご免だ、とも取れるが。兄貴の事だから後者の方が可能性が高いか、とウォッカは少し悩む。
「分かったな」
「わ、分かりやした」
ウォッカの悩みでの言いよどみも兄貴の念の一押しに負けた。
兄貴の冷たい視線はそのままジェネヴァへと向けられた。
「――で?」
「つまり、“ジン”って普通に呼べばいいんでしょう?」
ジェネヴァお前心臓に毛でも生えているんじゃないのか、とウォッカは我が耳を疑った。サラッと呼び捨てにされた兄貴の名に兄貴ですら呆れ顔だ。
「ああ。――お前、いつもその口調なのか?」
兄貴の問いにジェネヴァは頷き一つ。それは肯定だ。ウォッカはもうこの
「……長生き出来たもんじゃねーな」
ため息まじりの兄貴の言葉は心なしか身内を心配するかのような響きがあるように聞こえた。少なくともこのウォッカには。
やはり、兄貴と言えどたった一人の身内は大切なのだろうか。ハンドルを握る手に意識を向けなおして、ウォッカは運転に集中する事にした。
ウォッカ「……胃が痛い」
※この後苦労人仲間と勝手にジェネヴァ君に認められたウォッカさんがちょいちょいジェネヴァ君に絡まれて、その度に胃がキリキリするといいよ! 頑張れウォッカさん。超がんばれ。
更新していない間もコメントありがとうございます。創作の励みになりました。この場をかりてお礼と謝罪申し上げます。返信していなくて申し訳ありませんでした。以後気をつけます。返信するタイミングを逃しました……orz どうしまs((
ダメ作者過ぎるぜ。ちょっと土下座してきます。
後今回の更新、ちょっと物足りないので近日中にもう一本上げたいと思います。