連日投稿です。後日修正するやもしれません。
前回のコメント、誤字報告ありがとうございました。大変励みとなっております。おかげでこうして早く更新出来ました。感謝!
今回は前回のジェネヴァ君視点。とその続き的な。
キャラ崩壊注意です(今更)
午前四時にかかってきた、ジンの兄貴の非常識な電話から俺は一先ず寝る事にした。寝る子は育つって言うだろう?
そしてちょっと遅めの午前九時に起床して、軽く身体を伸ばしてから朝食をとる。今朝はたくあんとみそ汁と白米が献立だ。準備が面倒な朝もあるのだ。
電話での情報だと、どうやら俺はバーボンとスコッチと組んで仕事をやらないといけないようだ。ライの代わりなんだと。つまりは狙撃手の腕を求められている、と思っていいんだよな?多分。
仕事の概要も電話で既に粗方聞いた。組織の下っ端さんの失敗の尻拭い、とな。それで組織が最近開発途中の薬が漏洩したので、それを回収するのを助けてやれ、と。で、ライの代わりをやるのが俺の役目。おい、こら兄貴さんよそれのどこがいつもより簡単なお仕事なんですかね?と俺は問い質したかったが、流石に自分の命が惜しいので喉の奥にごっくんと飲み込んでおく。
指定された時間と場所も聞き、兄貴からの電話は終わった。うーん、面倒な事にならないといいけど。俺はなんとなく嫌な予感がした。多分、初めて彼らと仕事をするから緊張しているんだな、俺はそう自身の落ち着かない心を納得させた。
そう言う事にして俺は早速、準備に取り掛かった。
必要なのは拳銃とライフル。そして、その偽装か。ライフルは前に使ったギターケースがあるからソレを持っていけばいい。あと服装も普通にラフな服装でいいだろう。色が黒ならばそう文句も言われまい。
服を黒のパーカーとジーンズという適当スタイルにして、支度を済ませた。それにしても、ジェネヴァ君、こんな格好していても目立ちそうだなと俺は他人事な感想を抱く。でも顔を隠すとバーボンが気づけないだろうし。まあ、集合場所の駅に着くまではこのパーカーのフードを深く被ればいいだろう、うん。
夜の七時頃にバーボン達と合流し、その車中でちょっとしたひと悶着があったものの予定通りに作戦は決行された。今回の役割はライの抜けた穴、つまりは狙撃手としての腕を求められているようだった。そこまでは俺の予想通りだったのだけど、まさかのスコッチが観測手として就くと言われた。その時は本当にどうしようか、と途方に暮れてしまった俺だがなんとか誤魔化せてよかったと思う。表情筋がニートでよかったと感謝してしまったほどだ。
そして現在、俺は指定のポイントにて待機をしていた。ここ一帯の中では背の高い部類の雑居ビル、人の入らなくなったその廃墟の屋上が今回の仕事場だ。川を挟んだ向こう岸の立ち並ぶ倉庫、その一点が作戦の狙撃ポイントとなるであろう場所だった。と言ってもこういう荒事の仕事では作戦通りにいかない事が多々あるので、臨機応変さも求められるのだ。……要求事項、多過ぎやしませんかね?
ライフルを組み立て準備し、俺は双眼鏡タイプの暗視スコープを覗いていた。ここで待機して既に一時間以上。予定ではそろそろ標的の車が来るはずだ。
この辺りは工場地区の一角で、今の時間帯は少し夜の静寂を纏っている。車が通る音や、電車の音が時折耳を掠めるくらいだ。普段住んでいる日本の首都ではこうはいかないな、と思いながら俺は深く息を吐いた。狙撃前に気持ちを落ち着かせる、要は精神統一のようなものだ。
少し距離が離れた道路から二台の車が疾走してくる。その激しいカーチェイスの様子は乱れるヘッドライトの様子からこちらにも伝わってきた。うわぁ、ハリウッド映画のような光景だなァと他人事のように構えるのはここまでだ。俺は暗視スコープで傍観を続けながらライフルの近くへと移動する。あのまま行くと、予定ポイントからさほどズレないな。
俺は頭の中で現在の風速などを鑑みながら、大体の角度の計算を終える。ジェネヴァ君になってからというもの、思考の冴えが鋭くなった気がする。特にこういう荒事の際はより一層顕著となる。じゃないとこんな並外れた真似は出来ない。
狙撃ポイントまで標的の車が予測で十秒を切った。アレは時速120kmは出ているなと俺は冷静に観察した。
手に持っていた暗視スコープを下に置き、俺はライフルを構える。ライフルの暗視スコープ越しの緑色の景色は先程よりも範囲が狭く、そして少し鮮明だ。角度、狙撃のタイミングの計算も既に済んでいる。後は機が来るのを引き金に指をかけて少しばかり待つだけだ。
距離はおよそ765ヤードほど。川を挟んだその場所は突風などの悪条件があるものの、出来ない距離じゃない。少なくとも、ジェネヴァにとっては。
残り、三秒を切った。
そして二、一のカウントダウンの一を飛ばして俺は引き金を引いた。スコープ越しで標的を捉えるその前に引き金を引く必要があったのだ。じゃないと、あんなスピードで爆走する車のタイヤを撃ち抜く芸当なんて出来る筈がない。
そして俺の想定通りに標的の車の右前のタイヤがパンクし、バランスを崩したその車体がクラッシュして倉庫の一つに車体をめり込ますのをライフルのスコープ越しに見守った。よしよし、炎上もしていないなと俺はそっと肩の力を抜いた。
さて、バーボン達はどうなったかな、と俺は彼らの様子を確認した。無事な様子の彼らの様子を見て、俺は今回の役目が終わったのが分かった。だが、なんだろうか。俺は自分の第六感に近い勘がまだ終わっていないとざわめくのを感じた。そういう時は勘に従うに限る。必中に近い程よく当たるのだ、こういう時の勘は。
俺はライフルの弾を装填し、また構えた。いつでも撃てるように、と。
そしてスコープ越しで彼らの様子を見守る。どうやらバーボンが標的の男を尋問するところのようだ。スコッチの手には既に目的の薬と思われるピルケースがあった。このまま何事もなく終わればいいのに、という俺のささやかな願いは標的の男の行動によって打ち壊された。
懐から取り出したのは、小型の爆弾。チラリと垣間見えただけでも、俺にはそれが爆弾だと分かってしまった。威力は恐らく、近くにいるバーボンを巻き込むくらいはありそうだった。直ぐにバーボンの身体に隠れてしまったのが惜しい。俺から見て、バーボンの立ち位置が標的の男の前なのがいけなかった。けれど、俺はそれに文句は言えない。
どうする?と俺の思考は凄まじく早く回転した。男の手を撃ち抜くにもバーボンの身体がその射線上にあるので無理だ。あの爆弾は違法に改造してあるタイプのものですぐに爆発出来る上に威力もある、それ故に猶予はない。それならば、俺に取れる手段は一つだ。スコッチやバーボンの反応を待っている時間もない。
そこまでの思考は多分五秒とかからなかった。俺は標的の額に照準を合わせる。風も静かなものだから、万が一にもバーボンに当たるようなことはない。バーボンと標的の男が射線上で僅かしか距離がなくても問題はない。
俺は引き金を引いた。そこに躊躇や戸惑いなんて類の感情は一片たりともなかった。
スコープ越しで標的の男の額に風穴が開いたのを確認してから俺は漸くライフルから手を離した。
標的の男が爆弾を取り出してから、七秒。それがこの狙撃に要した時間だ。
俺は目を瞑って、胸中に広がる苦味をやり過ごした。はぁ、とため息も思わず零れる。俺の判断が正しい、と言うつもりはない。俺はバーボンと赤の他人の標的の男の命を天秤にかけ、バーボンの方を取ったに過ぎないのだ。勿論あのまま放置していたら標的の男はバーボン諸共木っ端微塵になっていたのを思えば、あの判断に後悔はない。
けれど、俺は思ってしまうのだ。
結局、俺は黒の組織と言われる犯罪者達と大して変わらないのではないか?と。暴力で全てを解決する、その組織のやり方には嫌悪は抱いている。それなのに最後の最後に頼るのは組織でジェネヴァ君が磨いてきた業だ。
何が正しくて、何が間違っているのか。
普段はあまり考えないようにしていた、こういう矛盾はこうやってふとした時に突きつけられるのだ。きっと俺はその度にこの苦味をのみ込むのだろう。
けれどこの葛藤を、苦味を、忘れたりしてはいけないのだ。
それだけはこの俺でも分かっていた。
俺は頭を軽く振って、仄暗い思考を振り切る。そして、俺はライフルやその辺に転がる薬莢を回収して撤収作業を終えた。背にギターケースを装ったライフルバッグを背負い、ビルから降りれば、遠くからバーボン達が乗る車が見える。というか、運転スコッチに代わったんだなと俺は少しばかりバーボンの疲労を思う。お疲れかな、まあただでさえ忙しい人だもんなぁと。
「お疲れ、ジェネヴァ」
「ん。そっちもお疲れ様。……そっちは怪我、ない?」
車の窓を開け、スコッチが労わりの言葉をかけてくるのに俺は頷く。車の後部座席のドアを開けながら怪我の有無を問えば、スコッチはゆるゆると首を横に振った。
「いいや、大丈夫さ。これもジェネヴァの正確な狙撃のおかげだな。なぁ?バーボン」
「ええ。そうですね。――ジェネヴァ、先程は助かりました」
「え、いや……。別に」
車に乗り込む俺は二人の言葉に戸惑う。まさかそういう言葉を貰えるとは思っていなかった。バーボンに至っては態々こちらに振り向いて、だったから尚更だった。
俺はどことなく据わりが悪い気分になった。別に感謝されるような事をした訳じゃないのに、と。膝の上のギターケースに置いた手に力が入ったのに、俺は遅れて気づく。無意識の行動だった。
「いえ、ジェネヴァが居なければきっと今頃ここに居られなかったでしょうから」
「文字通り、お前身体が吹っ飛ぶところだったもんな。いやあ、久々にヒヤヒヤしたわ。こりゃ、命の恩人って言ってもいいんじゃないか?」
「は?」
俺を置いてきぼりにして、前の二人の会話は進む。え?命の恩人?そんな大げさな。
「命の恩人……。スコッチの言う通りですね。――君に借りが出来てしまいましたね」
「えぇー……。別にいいよ、そんなの。俺、仕事こなしただけだし」
「へぇ?」
柔らかな微笑みを浮かべるバーボンにそんな事言われると俺としては立場がない。感謝される謂れなんてこれっぽちも存在しないのだ。つまり、俺の良心がチクチクするからやめろという気持ちで一杯な小心者の俺だ。
俺の否定の言葉にバーボンの片眉がピクリと跳ね上る。あ、これなんか刺激しちゃいけない部分を突いちゃった感じだわ、俺は数秒前を後悔する。
スコッチはというとすっかり傍観者気取りで滑らかに車を走らせていた。くッ、助け舟を出してくれてもいいのに。
「この僕の“貸し”が欲しいと言ってくれたではありませんか。ねぇ?」
「前の話だよね……、それ」
「そうですか?」
奇妙なランチタイムの最初の話を持ち出され、俺はげんなりしながら答える。そうですか?なんてしれっと返され、俺は益々肩を落とす。
「素直に受け取っておけよ、ジェネヴァ。コイツの“借り”なんて滅多に貰えるもんじゃないんだぞ」
「はぁ」
「失礼ですね、スコッチ。僕は貸し借り勘定を間違えたことはありませんよ」
「それだけ、出来た奴って言う意味だよ」
「それならいいんですけど……」
スコッチの言葉に俺は頷きともつかない半端な返事を返す。バーボンの不満そうな反論はスコッチの笑いを含んだ弁解に消える。友人に相応しいやり取りだ。
「じゃあ、あれだね。俺が困った時は助けて貰おうかな」
俺が冗談交じりに軽く言えば、バーボンは少し笑った。
「分かりました。その時は必ず」
「……出来れば、でいいからね?」
「聞こえませんね」
満足そうなバーボンの言葉に俺は付け足す。出来れば、なんて俺の消極的な言葉をバーボンがわざとらしく顔を逸らし、却下した。お、大人げねー。
「さ、まずは
「そうですね、僕も今日はロクな物を食べれてませんし」
今日なんて昼抜きなんだぜーというスコッチの悲痛な嘆きはバーボンの同意の頷きで今後の予定へと決定された。
「え……、それ俺も?」
「当然、付き合ってもらいますよ」
彼らの予定に巻き込まれそうな予感をそのままに俺が問えば、至極当然とバーボンに頷かれた。うぐぐ……、もう夜の九時も近いと言うのに、という俺のぼやきは当然流された。
その後彼らの行きつけの店でライにばったり会った時はもうこれ今日の予定は終わったな、と俺の頭の中で終了のお知らせがアナウンスされた。
大人三人がぎゃあぎゃあと騒ぐのに巻き込まれた俺の苦労を思うと自分でも涙が出そうだ。いや、別に物理的に騒がしかった訳じゃないよ?ただなぁ、休む暇なくポンポン交わされる会話がなんというか。やれもっと食べろだのそんなんじゃ大きくなれないだの……これ以上はやめよう。
解散となったのが夜の午後十一時頃。俺の住むマンションの近くまで、スコッチ達に送ってもらった。心配する彼らに手を振り、俺は長い一日の帰路に着いた。流石の俺でも彼らに住居を知られる度胸は持ち合わせていない。
家に帰ってシャワーを浴びて、俺はすぐに泥のように眠りについた。お休み一秒である。
さらり、と頭を撫でる何かの存在で、俺の意識が浮上する。とはいえ、まだ眠いのでむずがるように布団を被り直し、寝返りを打つ。
「チッ。――おい、起きやがれ」
舌打ちが聞こえ、その後に聞こえた低い声に俺は漸く自分以外の存在に気づいた。
次いで、ふぅーとため息が上から聞こえた。薄らと目を渋々と開けると同時に下からの衝撃が走る。
ガッシャンッ、というベッドの悲鳴に俺はふぁっ!? という間抜けな声を上げてしまった。こいつ、ベッドを下から蹴り上げやがった、というその時の俺の戦慄が分かるだろうか。
ガバリと身体を起こせば、目の前に眉間の皺の険しいジンの兄貴が居て、俺は今日が命日かと混乱が一周回って冷静になった。
「起きたか。……さっさと顔を洗ってこい」
「……にいさん?」
「お前……」
眉間の皺をそのままに、ジンの右手がこちらへ伸ばされた。すわ、命の危機かと若干ビビる俺をよそに、その手はこの跳ねた銀髪を撫でる。酷い寝ぐせだな、なんてぼそりとジンの口から言われ、俺はまだ夢でも見てんのかなと遠い目をした。
無言で俺は洗面所に行き、冷水でじゃばじゃば顔を洗う。顔を上げればスッキリと目が覚めた。顔をタオルで拭い、髪も櫛で梳かし整える。肩まで伸びた銀髪は兄と同じ、癖一つないストレートだ。
支度を終え、リビングに出てくると、ダイニングにジンは我が物顔で居た。流石にあの暑苦しい黒の帽子とコートは脱いであった。なんでこの人ここに居るんだろ?という今更ながらの疑問に俺は首を傾げる。
我が家のダイニングに置かれた四人掛けのテーブル、そこの一脚の椅子にジンは腰かけ、コーヒーを自分で淹れ、啜っていた。その手に握られる青のマグカップが微妙に不釣り合いで俺の混乱に拍車をかける。更にはその対面の椅子の前に一つのマグカップが置かれ、さあ飲め、とその存在を主張していた。その中身を覗き見れば、甘そうなカフェオレが湯気を立てていた。……なんで兄貴はブラックコーヒーで俺にこれなん?という俺の当然の不満はジンの視線に黙殺された。はいはい、黙って飲めと。
その前に、と俺は壁に掛けていたエプロンを手に取り朝食の準備に取り掛かる。そんな手間の要るような物は作らないけど。目玉焼きと一緒にハムを焼き、それをトーストした食パンの上に乗せた。仕上げに塩コショウを少し振りかければ、完成だ。卵の焼き加減も完璧である。あの天空の島を目指して冒険する有名某アニメ映画は名作だよなぁとぼんやり思い出した。
自分のついでにジンの兄貴の分も作った。出来たソレをカフェオレのお礼に、とジンの目の前に置けば、もの言いたげな視線が返ってきた。
俺はその視線を無視して、マグカップの置かれた近くの椅子に座る。目の前のジンははぁ、とため息一つ吐いてからもそもそと食べ始めた。うむ、諦めが肝心だぞと俺は満足し、目の前の朝食に手をつけた。
それにしても、と俺は目の前の仏頂面に俺は呆れた。いや、俺も人の事言えないけどさ。
「そういえば、今日はどうしたの」
ごくんと口の中の物を飲み込んで俺は起床してからの疑問をジンにぶつける。他にもどうやって入ったのかも知りたいが、そっちはどうせ合鍵の一つでも持ってんだろ、と自身で投げやりに納得させた。
疑問をぶつけられた当の本人は涼しい顔で最後の一欠片を口に入れた。……食べるの早すぎかよ、と俺は心の中でこそっとツッコミを入れる。
「……お前に俺の代わりに行ってもらいたい所がある。と言ってもただの様子見なんだがな」
コーヒーを啜りながら、ジンはさらりと用件を告げる。
「それ、電話じゃ駄目だったの?」
言いながら、俺は今朝のベット蹴り上げ事件の心臓の悪さを思い出した。あの混乱はもう二度と味わいたくない。一瞬死を覚悟したわ。
無言。少しの間が空く。
「……お前の監視も兼ねて、だ。――それで様子を見に行ってもらうのは、組織の科学班の一人だ。ソイツが研究している物があの方の長年の希望を叶える代物だからな」
話を逸らされたのには気づいたが、俺はそれを追求せずジンの説明に相槌の頷きを返す。
「逃げられても面倒だから、俺が定期的に様子を見に行っているんだが……。どうにも怯えられているようでな」
さもありなん。こんな威圧感たっぷりの組織の幹部に何度も会いに来られたら、並の精神の持ち主では参ってしまうだろう。俺は、その名の知らぬ研究者に同情した。
「このまま追い詰めて、自殺されても困る。……それで、お前の出番だ」
自殺って、おい兄貴お前その人に何したの?という俺の怪訝な視線にジンは肩を竦めた。
「何もしてねえよ。外に逃げないよう、少しばかり脅しただけだ。――お前もソイツが外に少しでも興味を持ったら折ってやることだな」
うわぁと俺は心の中でドン引きする。マジ兄貴容赦ない。
ん?でも待てよ。俺はその境遇に近しい存在を思い出した。俺の中に残っている少ない原作知識の中で。
「……もしかして、その人ってコードネーム持ってる?」
「知ってんのか。――シェリー。その女のコードネームだ。まあその綺麗な薔薇の棘に刺されないよう、気をつける事だな」
「年、幾つなの?」
コードネーム、シェリー。本名、宮野志保。彼女は原作では、主人公であるコナン君と共に組織に立ち向かおうと頑張る人である。科学者としての知識等で相棒さながらサポートする役割でもあった。それに、元凶のアポトキシン4869の研究に関わっている人間でもある。そんでもって公式公認の美少女さんでもあるのだ。組織の臭いがする、という野生の勘的なアレで組織の人間を特定する特殊能力持ちでもある。
正直、組織の人間に対する尋常じゃない怯えようはトラウマでも抱えているかのようだった。実際トラウマなんだろうけれど。
でも原作の彼女、年もちょっと定かじゃないんだよなぁ。確か。自称十八歳又は八十のお婆ちゃん。でも原作描写ではお婆ちゃんではなく若々しい美女だったので多分十八歳なんだろう、原作時の年齢は。
「あ?アイツの年?……確か十五か十六かそこら辺だったような気がするが」
「……兄さんってロリコンなの?」
兄貴の答えに俺はうっかり口を滑らせた。原作での兄貴のシェリーに対する執着っぷりを思い出してうっかりしてしまったのだ。
ぴきり、とジンの額に青筋が浮かぶ。うわ、今度こそ俺死んだわと俺が覚悟を決め終わる前に、ジンの右手が伸びてきた。そして俺の左頬をグイッと掴み、ぎりぎりと引っ張る。
「どの口がそんな事言ってやがんだ、おい。
「いひゃい、いひゃい」
遠慮のない力でぎりぎりと頬を引っ張られ、俺は堪らず降参する。心なしか涙が滲んできた気がする。そんでジンの兄貴、顔が怖いです。俺は二重の意味で泣きたくなった。
瞳が怒りに燃える、その殺意満点の表情は子どもだったら一発で泣き出してしまう怖さだった。俺でさえ、後ろに般若の面が幻視出来そうな程だ。
パッと手が離され、俺は自由になった頬を手で擦る。絶対片側だけ頬っぺたが赤くなっているわこれ。
「大体、俺は割り切れない女は抱かねえんだよ。面倒だからな」
「……
「お前……」
「冗談だって」
兄貴の発言に俺がボソッと本音を漏らせば、兄貴に怒りの波動が
兄の淹れてくれたカフェオレの味が甘い味で俺の気持ちが更に微妙なモノとなったのは内緒だ。
皆様の気になるであろう点について。
補足
Qジェネヴァ君の葛藤について。
A中身はアレで一般人なので、人並みに倫理観は持ち合わせています。
なので名の知らない誰かの命を奪う事に関して、罪悪感とその他諸々があったりします。例え、そこにどうしようもない理由があろうとも。
なので、今後も葛藤を抱えつつ前に進んでいく感じです。
Qなんでジンニキはジェネヴァくんのベット蹴り上げたん?
Aそっと起こす→起きない→少し待つ→起きないのでちょっと衝撃を与えれば流石に起きるだろ。大体こんな感じ。蹴ったのは身体を揺すったりするのが面倒だった為。
ジンの兄貴って手順の一、二、三の二が面倒だから飛ばす、みたいなタイプなんだろうなぁという作者の勝手なイメージ。
砂糖たっぷりのカフェオレはジンの兄貴の不器用なデレ。子どもの内からブラックコーヒーを飲むんじゃねえよ的な。
ジェネヴァ君は甘すぎる、としょっぱい気持ちで一杯でした。
次回は多分シェリー編かな。
ではでは。