~何処かの無人島~
「イオン?六番のレンチとボルト二本渡してくれ」
「はい。こっちのコードは二番に繋げる?」
「いや、そこは八番を経由して繋げないとバランスよくエネルギーが回らないぞ」
「あ、確かにそうだね。こっちにドライバーとネジ頂戴」
「……何か、暇だな」
「……そうだね」
あの後、どういう訳か竜牙達は無人島にいた。各々の機体から下りた四人は無人島を探査した。そしてその無人島に誰も使っていない破棄された軍施設を発見しそこに機体と一緒に転移してきた黒い機体と共に移していたのだ。それから2週間、現在竜牙とイオンは破損の少ない黒い機体をベースに別の三日月達が倒した機体の使えそうなパーツと島に流れ着いていた黒い機体と似たような残骸から使えそうな物を使って製作していた。
「どう二人共?」
「もうちょいだな」
「ごめんね二人共。わざわざ私の為に機体を作ってくれて……」
「気にしないで“ナオミ”ちゃん。こうした作業は元の世界でもしていたから」
「まぁ使っている技術は違うからちょっと手間どうがな」
そう竜牙とイオンはピンク色の髪をした少女“ナオミ”に言う。ナオミは1週間前に浜辺で倒れていた所を竜牙が保護し、そしてナオミからある程度のこの世界の事を聞き、そしてナオミの機体を作っていたのだ。
(この世界はマナと呼ばれる力を持つ者を人間、マナを持たない者をノーマと呼んで区別する社会……そしてそのノーマは人間扱いしないって……これは俺達の世界じゃ考えなれない奴だな)
そう思いながらコックピットシートを固定する。そして、そのままOSを組み込み作業に入る。
「イオンは休んでも良いぞ。後はOSを組み込むだけだからな」
「分かった。それじゃ私はナオミちゃんとお風呂入ってくるね」
そう言ってイオンはナオミと一緒に風呂場に向かう。そして、シノがそろりと何処に行こうとした瞬間、シノの顔ギリギリをすり抜け壁にドライバーが突き刺さった。シノは顔を真っ青にしながら振り向くとOSの組み込み作業をしながら左腕を向けていた。
「覗きに行こうとしたら……どうなるか分かってるよな?」
「は、はい……すいません……」
そう言ってシノは素直に元の場所で戻り、竜牙はOSを組み込み終えた後、残っていたパーツを見ながら考えていた。
「さて、この残ったパーツは………バルバトスとバエルの強化に使いますかね」
そう言って竜牙はスパナやレンチを取り出してまた作業を開始し始めるのだった。
☆
~風呂場~
「うぅーん!気持ちいい♪」
「確かにそうだね。作業終わりのお風呂は最高だよぉ♪」
あの後、風呂場に来たイオンとナオミは気持ち良さそうに湯船に使っていた。
「今思ったけど、イオンって綺麗だよね」
「そ、そうかな?」
「そうだよ。髪も綺麗で胸も大きいし……」
「そ、それを言ったらナオミちゃんも同じだよ」
「それでもだよ。あ!そういえば、竜牙君と一緒の部隊にいたんだよね?」
「うん、わりと最近なんだけどね」
「最近?」
「実はね?私……竜牙君の世界とは別次元の人間なの」
そう言うとナオミは驚いた顔をした。最初は竜牙と同じ世界だと思っていたら実はまた別世界の人間だったのだ。
「昔ちょっとした出来事で竜牙が私のいた世界に来たの。それでね、竜牙は他人の私の為に傷付いたりしながらも私と私の世界を救ってしてくれたの」
「もしかして、その時に竜牙君の世界に来たの?」
「うん、最初は戸惑ったけど私を支えてくれた人達の後押しで付いていったの……」
そう言うとイオンは湯を手で掬い上げて覗き込む。そして、顔を赤くしながらも嬉しそうに笑う。
「だから、私は……他人の為に優しく接してくれる竜牙君の事を……愛してるの」
「そっか……私も……イオンの気持ち分かるなぁ……竜牙君……凄く優しくて……か、格好いいし……」
「ナオミちゃん…もしかして、惚れちゃった?」
「……ふぇ!?」
「やっぱり、本当に竜牙君は罪作りなんだから……もしかしたら三日月君もだけどね……」
そう言うとイオンは苦笑いしながら顔を真っ赤にして慌てるナオミを見る。
「あ、いや、えっと!?」
「男の人に惚れたの初めて?」
「……うん」
「ねぇ、ちょっと提案があるんだけど……」
そう言うとイオンはナオミと話し合いをし始めたのだった。
「ぶえっくしょい!!……誰か俺の話ししてんのか?」
格納庫にてバルバトスルプスⅡとバエルスターダストの強化していた竜牙はくしゃみをしながらまた作業を再開するのだった。
次回に続く!
スパロボ!中断メッセージ1
「ねぇ竜牙。ちょっと聞いていい?」
「どうした三日月?」
「この強化パーツに『火星丼』ってあるんだけど……何でロボットに食べ物装備出来るんだろう?」
「それは……まぁあれだ」
「?」
「スパロボにありがちのご都合主義って奴だ」
「……そんな物かな?」
「そんなもんだ」