響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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大学生活4

 

食事や談笑など楽しんでいると響子が遅れて到着した参加者を案内してきた

 

「「草壁先生!?」」

 

「「お久しぶりです!」」

 

「やぁみんな。久しぶりだね」

 

「ちょっとー、私には挨拶なしー?」

 

「そんなまさか。まさか山辺さんが来るなんて思ってなくて驚いちゃいました」

 

「昇さん。それに新山先生に橋本先生も」

 

「遅くなって申し訳ありません」

 

「お久しぶりね2人とも」

 

「おーおーあの学生がいっちょ前になったもんだな!」

 

まさか招待されていたのが直美達の恩師、草壁 総二郎とコーチの山辺 美琴。そして春樹達の恩師、滝 昇に新山 聡美と橋本 真博だったとは思いもよらず全員が驚いた

 

「恵理さんに鎧塚ご夫妻、紹介します。直美達の出身校でもある静岡県の清水南高校吹奏楽部顧問の草壁 総二郎くんとコーチの山辺 美琴さんです」

 

「草壁です」

 

「久しぶりね総二郎くん。また男前になったんじゃない?」

 

「お久しぶりです恵理さん。卓司さんもお変わりありませんか?」

 

「変わらないわよ。ホントなら今日会えたんだけどあの人仕事の方に行っちゃったから」

 

「お忙しいのも変わらないようで」

 

「山辺です。以後お見知りおきを」

 

「これはご丁寧に。堺 恵理です」

 

「鎧塚 雄三です。そして妻の静香です」

 

「はじめまして」

 

「今名刺を持っておらず申し訳ない」

 

「いえいえお気になさらずに」

 

美琴は楽器修理屋としても働いているためその名刺を渡す

 

「今度は穂村さん達に紹介するわね。春樹くんと鎧塚さんの出身校である北宇治高校吹奏楽部顧問の滝 昇。そしてその友人の新山 聡美と橋本 真博よ」

 

「滝です。よろしくお願いします」

 

「イケメン...」

 

「新山といいます。よろしくお願いしますね」

 

「美人...」

 

「橋本 真博だ。気軽にはしもっちゃんって呼んでね!」

 

「...」

 

「俺の時だけ無言かよ」

 

「あ、すみません!」

 

「あははは!いいのいいの!自分に正直な子は好きだよー!」

 

正直に口に出してしまった千紗。ノンデリというのは女の子にも適応されるのだろうか

 

「じゃあみんなも楽しんでね」

 

「お招きありがとうございます先生」

 

「先生?」

 

「草壁先生と叔母さんってどういう関係なんですか?」

 

「昔少しの期間教えたことがあっただけよ」

 

「そうなんだ」

 

「総二郎さん、お久しぶりです」

 

「ホントに久しぶりだね堺くん。活躍はずっと聞いていたよ」

 

「そんな。あ、彼女が鎧塚 みぞれです」

 

「どうも」

 

「草壁です。鎧塚さんの名前も聞いていたよ。特に去年の演奏は凄まじかったと記憶している」

 

「ありがとうございます」

 

「へーこの子達がねー」

 

「なにか?」

 

総二郎との久しぶりの再会とみぞれの紹介を終えると美琴が春樹とみぞれの顔を覗き込むように見てきた

 

「全国中学校吹奏楽コンクール最優秀賞、全国高等学校吹奏楽コンクール最優秀賞、大学では歴代最高のオーボエ二重奏新入生。そしてかの有名な天才指揮者、草壁 総二郎と滝 昇が目を付けた2人。お目にかかれて光栄だわ」

 

「こら美琴」

 

「こちらこそかの有名な編曲家、山辺 久彦のお孫さんにお会いできたこと幸運に思います」

 

「あら、知ってたのね」

 

「お名前は総二郎さんから。それと直美からもうかがってましたので」

 

「ふーん。まぁいいわ。今度の定例演奏会、私も見に行くから。楽しみにしてるわね」

 

「ありがとうございます。退屈はさせないと思いますよ」

 

「美琴、子供相手になんだその態度は。ケンカしに来たわけじゃないだろ」

 

「大学生を子ども扱いはしないでしょ。それにケンカしてないわよ別に」

 

「いいから。ごめんね堺くん、鎧塚さん」

 

「いえ」

 

「私は別に」

 

なんだか穏やかじゃない美琴を引きはがす総二郎

 

「どうしたんだろ」

 

「さぁ?なにが気に食わなかったのかわからないな」

 

「ハルも、ケンカはダメ」

 

「わかってるよ。ただいい大人なのに見下された感があって腹立った」

 

「ご飯食べよ?」

 

「そだな」

 

春樹は気を紛らわすためみぞれの取ってくれた食事に手を付けた

 

「堺くん、鎧塚さん、音大での生活はどうですか?」

 

「充実してますよ。昇さんの方はどうですか?もうすぐ地区大会ですよね」

 

「そうですね。少し新しいことに挑戦しているのですが私自身この方針が正解なのかどうかわかっていません」

 

「新しいこと?」

 

「はい。各大会前にオーディションのし直しを行っています」

 

「それはまた大胆なことやりましたね。下手すればまとまらず終わっちゃいますよ」

 

「えぇ。しかし私には今年も掲げた全国で金賞を獲るという目標を達成させる義務があります。去年一昨年と同じことを続けて悔しい結果となりました。ならばまた違うことをしなければと考えた結果です」

 

「滝先生がそう言うなら、それがいいんだと思います」

 

「ありがとうございます鎧塚さん」

 

新しいことへの挑戦。それは別に子供だけの特権ではない。むしろ大人の方がそういう決断するときが必ずある。ただそれが正しいのか不安になるのも人間仕方のないこと。滝先生はいまその状態にあると言う

 

「そうだ、忘れないうちにお2人にこれを渡しておきます」

 

「これは?」

 

不意に滝先生から一冊の冊子を渡された春樹とみぞれ。表紙には特になにも書かれていないので中がなんなのかまったく想像がつかなかった

 

「新山先生が調べてくださった留学に関する資料です」

 

「留学」

 

「気が早いですね」

 

「しかしお2人ならとっくに考えていたのでしょう?」

 

「お見通しですか」

 

「お2人の実力ならば必ず行きつくと思いまして。資料の他に僭越ながら私と草壁先生が推薦する学校を載せておきました。よかったら参考にしてください」

 

「そりゃすごい」

 

「ありがとうございます」

 

「いえ。ただこの留学制度は日本全国の生徒が対象です。狭き門なのは変わりません」

 

「わかってます。でもそこは実力で勝ち取ります」

 

「愚問でしたね」

 

「必ずご期待に応えます」

 

「お2人ならきっと大丈夫だと思っています。頑張ってください」

 

「「はい」」

 

滝先生がその場を離れるとさっそく資料を開いてさっと目を通す2人

 

「すごいな、びっしり書かれてる」

 

「うん。だけど見やすい」

 

「ありがたいことだなホントに。目標できたなみぞれ」

 

「ハルとなら大丈夫」

 

「そうだな。そだ、橋本先生に頼みたいことあったんだ。ちょっと行ってくる」

 

「わかった」

 

春樹は一度みぞれから離れて橋本先生に声をかけた

 

「橋本先生」

 

「ん?なんだい堺少年?」

 

「あそこにいる檜山 界人なんですけどティンパニー・打楽器奏者で。よかったら話だけでも聞いてあげてもらえないですか?」

 

「あービデオで見たよ。僕も少し話したいなって思ってたんだ」

 

「それはよかった。おーい界人」

 

「どうしたの春樹くん?」

 

「橋本先生はこれでもプロのパーカッション奏者なんだ」

 

「おい、これでもってなんだ」

 

「そうなんだ。僕も打楽器やるんでよかったら話聞かせてもらえないですか?」

 

「いいよー。俺も君とは話したかったんだ」

 

「じゃあよろしくお願いします」

 

橋本先生が来たときから絶対界人と関わらせたいと考えていた春樹。高校時代彼の指導力の高さを知っているだけに絶対会わせたかった

 

「あら、おかえりなさい堺くん」

 

「どうも新山先生」

 

「ダメよ?レディを1人にしちゃ」

 

「そうですよね。すみません」

 

「ふふっ、堺くんのそういう真面目なところすごくいいと思うわ」

 

「ありがとうございます。でも驚きましたよ。まさか新山先生達が響子さんとお知り合いだったなんて」

 

「私も最初聞いたときは驚いたわ。世界って狭いのね」

 

「そうですね。あ、資料滝先生からいただきました。ありがとうございました」

 

「さっき鎧塚さんとも話したけどほとんど大学で見れるものだからいいのよ」

 

「新山先生が行ったところも、あるんだって」

 

「そうなんですか」

 

「私が行ったときとはだいぶ違っちゃってるから参考にはならないかもしれないわね」

 

「それでもいろんな方のお話聞きたいです」

 

「2人ならどこでも大丈夫だと思うけど。そのためにイタリア語も学んでいるのでしょ?」

 

「一体どこまで知ってるんですか...?」

 

「さっき堺くんのお母様から聞いたの」

 

「納得しました」

 

「いいお母様ね」

 

「はい、自慢の親です」

 

「え?春樹なんか言ったー?」

 

「母さんが地獄耳なのは昔からなんですって話してたところ」

 

「ちょっとー変な話しないでよね」

 

恥ずかしがることなく自分の親を自慢と話す春樹。ただ本人に言うと調子に乗るのでさらっと誤魔化した

 

「あ、あのー」

 

「穂村さん。どうかした?」

 

「えっと、新山先生ってフルートされてたって草壁先生が」

 

「えぇ。一応プロのフルート奏者として活動しています」

 

「あ、あの!私もフルートをやっていて、それでえっと...少しでもアドバイスいただけたらなって...」

 

「そういうことでしたか。ここでお会いできたのもなにかの縁ですし、少しお話しましょうか」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「そっか。穂村さんフルート奏者だったね。なら新山先生はもってこいだ」

 

「僕もいいですか?」

 

「むっ、なによ朔太。今私がお話してるんだけど」

 

「いいじゃないか千紗ちゃん。ホルンだって半分木管みたいなとこあるから僕も話を聞きたいよ」

 

「朔太は大学でいい先生いっぱいいるでしょ!」

 

「いろんな人から吸収できることがあるならそれに越したことはないでしょ」

 

「でもー!」

 

「まぁまぁ。こんな機会なんて滅多にないですしいろいろお話しましょ」

 

「ありがとうございます」

 

「あ、朔太抜け駆け!」

 

新山先生の後ろで千紗と朔太が言い争いながらついて行ってしまったため春樹とみぞれはまた2人きりとなった

 

「直美達といい穂村さん達といい同じ幼馴染でもいろんな関係があるんだな」

 

「そうだね」

 

「でもどっちも大学生にまでなって付き合いがあるのはいいことだと思うな」

 

「うん。良い関係みたい」

 

「傍から見てても仲良いのがわかるな」

 

「2人とも少しいいかしら?」

 

「あ、響子さん。どうされました?」

 

「ちょっと前に出てきてもらえる?」

 

「え、はい」

 

響子に呼ばれ前に出る春樹とみぞれ。そこへ直美や界人、千紗達も学生全員が集まった

 

「みなさん。既にご存じかと思いますが直美に界人くん、そして堺くんと鎧塚さんは1年生ながらにして演奏会のメンバーに選ばれました。さらには上条くん、エレンくん、成島さんも東京の音大にてコンクールメンバーに選出され、穂村さんも今までのように努力し続ければいづれきっと大舞台に立てる逸材だと思っています。どうか子供達の将来が輝きに満ちていることを私達は見守ろうではありませんか」

 

響子の言葉に賛同するように拍手が起こった

 

その後も交流と食事を楽しみパーティはお開きとなった

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