ソードアート・オンライン・クロニクル もう一人の黒の剣士の物語   作:場流丹星児

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第十話 オレンジプレイヤー

 畜生! 畜生! 畜生!

 

 何でいつもいつもアイツだけ!!

 

 畜生! 畜生! 畜生!

 

 何で俺ばかり割りを食う!?

 

 答えの出ない自問自答を繰り返し、サーキーはフィールドダンジョンの森の中で息を殺し、身を隠す。時折聞こえる「何処に行った!? 」「必ず見つけ出せ! 」という言葉に、彼は身を強張らせ、声のする方向に意識を集中する。サーキーは血走った目で辺りを伺い、全身を耳にして気配を探り、身を潜め、息を殺し、やり過ごし、聞こえてくる声や足音から慎重に遠ざかって行く。

 彼が今、他のプレイヤー達から逃げている理由は、自分の頭上のカーソルに有った。

 

 サーキーの頭上のカーソルは、オレンジ色だった。

 

 糞っ! ここも潮時か……、なら。

 

 必死で逃げ回るうちに、異常なまでに上がったハイドスキルで、サーキーは逆に追跡者の一人の背後に回り込む。

 

「!! 」

 

 音も無く忍び寄ったサーキーは、緑の装具に身を包んだプレイヤーの口を塞ぎ、引き倒して薮の中へ引きずり込んで組み敷いて馬乗りになった。

 

「良いモン持ってんじゃねえか、ええ。」

 

 凶相を歪め、サーキーはプレイヤーの腰から片手剣を引き抜くと、値踏みする様に眺める。

 

「おい、サーキー! 貴様、何をする! 」

「何って? 何だろうねぇ? 何されると思う? 」

 

 暴れるプレイヤーを嗜虐の目で見おろすサーキーは、奪い取った片手剣の刀身を舐めながら、嫐る様に質問を返す。

 

「貴様! 何をしてるのか分かっているのか!? アインクラッド解放隊の面汚しめ! 」

「知らねぇよ! ンなモン! ウザってぇ、俺に説教すんな! ボケ! 」

 

 激昂したサーキーは、片手剣の柄で何度も組み敷いたプレイヤーの顔面を殴りつける。

 

「ヒャハハハハ! 痛いか!? 痛いか!? ヒャハハハハ、アハハハハハ! 」

 

 嬌声をあげながら、何度も何度も殴りつけるサーキーの目には、狂気以上の炎を宿していた。

 

「アイツのせいだ! アイツのせいでテメェはこんな目にあっているんだぜ! 」

 

 組み敷いたプレイヤーがくぐもった悲鳴を上げる度に、サーキーは嗜虐の快感に囚われ、喜悦の表情を浮かべていった。

 

 あれはいつからだったろう、俺があの男

 

 祝屋 猛

 

 を意識したのは……

 

 

 

 

 榊 賢斗は、いつからか毎日鬱屈した日々を送っていた。

 地元では名の知れた中堅土建業、榊工建の三代目として生を受けた彼は、幼い頃から何不自由の無い人生を歩んで来た。小学校卒業までは、家の仕事に誇りを持ち、大勢の社員を纏め、先導する父親の姿、それを支える母親の姿を眩しげに見て育っていた。

 そんな賢斗少年が鬱屈していった原因が、とある会合である親子にコメツキバッタの様に這いつくばる勢いで、頭を下げる両親の姿であった。

 

 僕のお父さんは、沢山の社員を率いる社長なのに、どうしてあんなに頭を下げているのだろう? もっと威張っていい筈なのに……

 

 疑問に思う賢斗少年を彼の両親が手招きして呼び寄せる、そして相手の親子の前に出す。若干敵意のこもった目で見上げる賢斗少年に、両親が客相手でもしない、愛想の良い口調で相手の親子を紹介した。

 

 お父さん達が、いつもお世話になっている『祝屋商事』の社長さんと息子さんだ、賢斗、お前も挨拶をしなさい。

 

 促す両親の言葉に従い、上目遣いで頭を下げた賢斗少年の頭を、両親が押さえつける。

 

 コラッ! そんな失礼な挨拶があるか! どうもすみません、不肖の息子で。

 いえ、利発そうなお子さんで羨ましい、 これで榊工建も安泰ですね。

 いえいえ、利発だなんて滅相も無い、とんだバカ息子でお恥ずかしい限りです。

 そんな事ありませんよ、いい眼をしているじゃないですか。

 いやぁ、全くお恥ずかしい、コイツなんかもう我が儘で、お宅の坊ちゃんの足下にも及びませんよ。

 ウチの方こそ剣術馬鹿で、他に取得も無いんです。

 いや、素晴らしいじゃないですか! 見ましたよ、ヒースロー空港のニュース、立派なんてものじゃありません、猛君は地元の英雄ですよ!

 いえいえそんな、こちらこそお恥ずかしい限りです

 

 といった、大人達の社交辞令の応報を頭上に頂きながら、賢斗少年は目の前にいる同世代の子供、祝屋猛に目を向けた。すると

 

「やあ、初めまして。祝屋猛です、宜しくね、賢斗君。」

 

 そう言って目の前の少年が右手を差し出した、その挙措に賢斗少年は圧倒される。彼の心の中に、敗北感に似た感覚と同時に、漠然とした憧れの様な複雑な気持ちが湧き上がり、打ちのめされた。

 

 その日から、彼の日常は色褪せたものとなった。

 世界一だと思っていた両親と会社が、実は大した存在では無いと分かった事

 地元企業のほぼ全ては、祝屋商事が無ければ成り立たず、そこの社長に媚びを売り、卑屈に頭を下げ続ける両親の姿に幻滅した事。

 それよりも、祝屋猛に圧倒された自分自身が、なにより卑しい存在に思えた事。

 

 その全てが、賢斗少年に見える景色を一変させた。

 

 これは人生によく有る『通過儀礼』であり、その対象からある程度距離を置き、徐々に自分の身の程を理解していけば消化出来る類いの出来事であるのだが、不幸な事に賢斗少年は祝屋猛から距離を置く事が出来なかった。

 

 何故なら、彼の両親が、事有る事に賢斗少年と祝屋猛を比較する様になったからである。

 

 猛君を見習いなさい。

 猛君は立派な良い子なのに、どうして賢斗は。

 猛君はそんな事しないだろう。

 猛君は

 猛君は

 猛君は

 

 これは両親が、息子に発破をかけるつもりの、軽い気持ちで発した言葉だったが、賢斗少年はそう受け取らなかった。彼にとってこれらの言葉は、自分の存在を全否定する、いわば呪いの言葉であった。賢斗少年の鬱屈した感情は行き場を失っていき、そのルサンチマンを爆発させてしまう。情けない卑屈な両親、ちっぽけな会社、その跡取りとしての人生しか無い、矮小な自分、その全てを憎み、恨み、賢斗少年は反抗し、遂にはこれみよがしに非行に走る様になってしまった。そんな賢斗少年になす術の無い両親は、少しでも彼を諭そうと、盛んに猛君はを繰り返した、正に悪循環である。

 

 両親に向いていた敵意が、直接祝屋猛に向けられる様になったのは、中学校進学後、二年生に進級した時である。賢斗少年は、この時のクラス変えで、初めて祝屋猛と同じクラスになったのだ。始めは出会いの時に感じた、憧れに似た感情から、ある程度良い関係を築けていたのだが、二人が同じクラスになったのを過剰に喜んだ両親が、猛君猛君と連呼する。これだけならまだしも、一つ年下の妹が祝屋猛に心酔し、「私、猛様のお嫁さんになる。頼りにならないお兄ちゃんより、猛様にウチの跡を継いで貰いましょう。」と言い出したのだ。それに両親も、それは良いアイデアだと乗り気を見せた、これも息子へ奮起を促す為の発破だったが、賢斗少年の鬱屈の炎に油を注ぐ結果になった。

 

 こんな所には居られない、腐った家、腐った田舎、そして祝屋猛の傍から出来るだけ遠くに離れたい。

 

 そんな気持ちに心を満たされた賢斗少年に、一つの福音がもたらされた。それは、日本はもとよりアジア圏では知らぬ者のいない、男性アイドル専門の巨大芸能プロダクション、ジャッキー事務所が、全国規模のスカウトキャラバンを行うと発表した事である。

 年端の行かない子供である賢斗少年が、これだと思うのも無理の無い事だった。あの年頃の子供に見られがちな、自己肯定感情と顕示欲から、自分のルックスに過度の自信を持っていた賢斗少年は、迷う事なくこのキャラバンに応募した。

 

 有名なアイドルになって、俺を馬鹿にした家族を見返してやる!

 

 そんな野望を胸に、選考結果を待ち侘びる彼の元に、第一次審査突破の知らせがもたらされた。天にも登る心地の賢斗少年は、学校で、家で、その事実を吹聴して自慢する。しかし、その喜びは間も無く木っ端微塵に打ち砕かれる事になった、彼の元に二次審査不合格の通知が送られて来たのだ。これには絡繰があった、最大手の事務所であるが故、些細な事で敵を作りたくない事務所サイドは、応募者全員を無条件で第一次審査突破させていたのだ。そうして全員に良い思い出という黒歴史を与え、真の第一次審査である第二次審査を行っていたのである。そんな大人の事情など知る由もない賢斗少年は激しく落ち込む事となった。落ち込む賢斗少年に、更に追い討ちをかける事件が起きた、それは不合格通知を受け取った翌日、一学期期末試験のやや前の事である。

 

「ネットで見たわよ! 祝屋君!! 」

 

 ジャッキー好きのある女生徒が、登校してクラスに入って来た祝屋猛にまとわりつく様に突撃して、衝撃の発表をした。

 

「祝屋君、ジャッキー事務所と契約したんだって!? 」

 

 叫ぶ様なその言葉に、クラスのほぼ全員が猛を取り囲む。マジかよ! スゲェ! と男子が言い、流石祝屋君と女子がうっとりと猛を見つめる。ぶっちゃけ猛は学校での、というか地元での人気は高い。理由は地元を支える優良企業、祝屋商事の三男であり、繋がりを持てたら将来安泰であるという打算と、ヒースロー空港の英雄としての名声にあやかりたいという事である。祝屋猛の友達という事実は、地元学生のステイタスなのだ。特に女子の間ではその傾向が強く、将来の玉の輿を夢見、階段でさりげなく下着を見せたり、機会を見ては胸を彼の身体の一部に触れさせたりとアピール合戦を繰り広げていた。ある朝の全校朝礼にて、貧血で倒れた女生徒を受け止めた時、猛が不可抗力で彼女の胸を鷲掴みにしてしまう事件が起きた。その事を平謝りに謝罪する猛の前で、貧血で気を失っていた事を心底悔やんでいる女生徒と、「いーないーな」と羨み周りで囃し立てる他の女子が奸計を企てる。その後の全校朝礼から、猛の隣には毎回別の女子が立ち、毎回毎回貧血を起こし、猛の方に倒れる事となった。彼女達の目論見は、貧血で倒れた振りをして、猛に胸を触らせて自分をアピールする事である。しかし猛も伊達に古武術を学んでいたわけではない、上手く胸を触らずに対応する術を編み出して女子達を落胆させていた。彼女達をここまで過激な行動に走らせていたのは、知り合った後に知った、猛の人柄である。いい所の坊ちゃんである事を鼻にかけず、ヒースロー空港の英雄である事を驕らず、目の前に居る『祝屋 猛』はどこにでも居る様な気さくで優しい少年という事実が、男女問わず仲間の心をしっかりと掴んでいた。

 

「いや、別に契約したと言ってもアイドルとしてではなく、演武活動のスケジュール調整を道場が委託しただけだから、騒ぐ様な事じゃ無いよ。」

「そんな事無いわ! それでも充分凄い事よ! そうだ、これをきっかけにアイドルになったら!? 祝屋君なら、きっと伝説のアイドルになれるわよ! そしたら私は伝説のアイドルのお嫁さん……」

「あ〜っ、ズルい! 祝屋君のお嫁さんは、私がなるんだからね! 」

「何言ってるの! 私よ、わ・た・し! 」

「この際だから、私は愛人でも良いわ! 」

 

 周りで盛り上がるクラスメイトを、照れくさそうに頭をかいて笑って見ている猛に、賢斗は粘っこい視線を絡ませる。

 

 畜生! 俺が必死で掴もうとした切符を、アイツはあっさりとかすめ取って行きやがった!

 許せねぇ! アイツは俺から何もかも奪って行きやがる! 畜生! 畜生! 畜生!

 一番許せねぇのは、アイツが俺の事なんか眼中に入れていない事だ! 許せねぇ、ぜってー許せねぇ! 目にものを見せてやる!

 

 賢斗の意識が明確な敵意となって猛に向いた、この日から賢斗は子分格の戎屋慎司、高久正雄と三人でつるんで、猛に敵対する事となった。戎屋慎司と高久正雄が賢斗の誘いに乗ったのは、彼等も家で両親に事有る事に猛と比べられ、賢斗と同じ悩みを抱えていたからだった。

 彼等は猛が演武活動で忙しい事を知りながら、学校行事等での重要な役割、係を悪意のある推薦で強要したり、その役割上で猛が行った伝達事項をワザと忘れ、それを猛の伝達の仕方が悪いからだと居直り文句を言ったりと、あれやこれやといびり抜いた。他にも猛の上靴をゴミ箱に隠したり、提出物を隠したりして嫌がらせを行っていた。提出物の宿題ノートを盗み出し、ゴミと一緒に焼却炉に入れ、そのせいで猛が補習を受けるハメに陥った時、三人組は嘲り笑い、手を叩いて喜んで侮蔑の言葉を囃し立てていた。しかし、三人組の目論見が成功する事はめったに無く、大概は仲間(主に女子生徒)の助けで切り抜けていた。自分に対するアンチを、笑ってやり過ごす猛に苛立つ三人組は、その行為を日増しにエスカレートさせていき、遂には猛に近しい者への攻撃を開始する。特にターゲットにされたのは、一年先輩の三年生女子、大祝 小鶴である。何故彼女がターゲットとしてつけ狙われたのかと言うと、彼女が猛に一番近しい存在であり、地元のマドンナ的存在だったからだ。美しい娘に成長した小鶴の舞う奉納神楽舞は、盆暮れ正月、季節の祭りに欠かせない存在になっている。それは大祝神社のみならず、季節の変わり目を告げる、地元の風物詩として定着していた。そんな彼女に、同世代の若人は皆憧れていた、彼女の下駄箱にラブレターが入っていなかった日は、中学校入学以来一日も無い。三人組もご多分に漏れずその口であったが、彼女の心は憎き祝屋猛が独占しており、その事実が彼女を憎悪の対象として変化せしめた理由である。三人組は、どんなに嫌がらせをしても、暖簾に腕押しの猛の感情を自分達に向け、どうにかして波風を立てようと考えた。そして本人が駄目なら彼が大切に思っている者を巻き込もうと画策し、思慕から憎悪の対象へと変化した小鶴をそのターゲットとして狙いをつけた。

 三人組は夜の校舎に忍び込み、小鶴が手入れをしている学校花壇を荒らしたり、ウサギ小屋に悪戯したりと、やりたい放題の陰湿な嫌がらせをして楽しんでいた。行為はエスカレートしていき、ウサギ小屋で一番小鶴が愛情を注いでいる、パンダの様な斑を持つ子兎を殺め、荒らした花壇に晒した段階で、遂に猛の逆鱗に触れた。子兎の骸を、すすり泣きながら墓を作って手厚く葬る小鶴の後ろ姿に、猛は意を決した。

 

「おい、お前達。」

 

 日が暮れて、闇に包まれる校舎に忍び込む三人組を、静かに呼び止める声があった。

 

「!! 」

 

 思わずドキッとした三人組が振り返ると、悲しそうな目をして立っている猛の姿が有った。安堵した三人組は猛を取り囲む。

 

「誰かと思ったら、お坊っちゃんじゃねえか!? 」

「おいおい、脅かすなよ、一瞬お巡りかと思ったぜ。」

「いい子ちゃんぶったてめえが、こんな夜遅く出歩いてて良いのか? 」

「早く帰ってママに甘えてろ! 」

「いや、こいつは大祝のブスとおままごとでもするんだろ。」

「違え無え! 」

 

 三人組の嘲笑のバカ笑いが響く、しかし猛はそれを無視して静かに口を開いた。

 

「お前達、あんな事をして楽しいのか? 」

 

 猛の質問に一瞬鼻白んだ三人組だったが、直ぐに子兎の事と当たりを付け、恫喝する様に賢斗が答える。

 

「ああ、楽しいね! お前に吠え面かかせられる事なら、何をやっても楽しくて仕方ないぜ!! 」

「そうか、分かった……」

 

 ため息をついて見下ろす猛の目に、悲しみの色以外のものを見た賢斗の心に怒りが込み上げる。

 

 その目だ、てめえのその目が気に食わねぇ!!

 

 敵意溢れる目で睨み、見上げる賢斗の目を、憐れみの眼差しで見下ろす猛が静かに言葉を続けた。

 

「お前達、俺と喧嘩がしたいんだな? 」

 

 猛の言葉に一瞬ポカンとした三人組だったが、下卑た笑みを浮かべて口元を歪めた。三人組の顔を眺め回し、猛は言葉を締めくくる。

 

「なら、あんな回りくどい事をするな。良いだろう、ついてこい。」

 

 猛が三人組を連れて行ったのは、学校から程近くにある多目的公園だった。そこは元々児童公園だったが、ジャングルジムから子供が落下する事故が有り、以来全ての遊具が危険遊具と糾弾され、砂場と馬跳びタイヤのみを残して撤去され多目的公園になった場所である。防犯用に設置された、ソーラー蓄電式のLED外灯の下で、猛は三人組に向かって、感情を押し殺した淡々とした口調で言った。

 

「ここなら邪魔は来ない、思い切り来い。」

 

 三人組はその言葉を聞くや、三方向に散り猛を取り囲む。彼等の顔には、暴力の快感に酔った笑みが浮かんでいた。

 

 三人組は猛の指摘通り、猛との喧嘩を望んでいた。勉強でも勝てない、スポーツでも勝てない、人望でも何をやっても勝てない彼等が、猛君猛君と連呼する親を見返す為の手段は、喧嘩しか無かったのだ。喧嘩して、痛めつけて、這いつくばらせ、許しを請わせ、その情けない姿を満天に示す事でしか、親の過ちを見返し自分の存在を認めさせる事が出来ないのだと、強く信じ込んでいたのだ。三人組は猛の修める古武術については、棒切れを持たなければ役に立たない無用の長物であると決めつけていた。ヒースロー空港の出来事も、たまたまツイていただけで、相手のテロリストが間抜けだっただけだと信じ込んでいた。不良仲間と連るみ、少なからず喧嘩の場数を積んでいた三人組は、素手ならば、喧嘩ならば絶対に負けないと信じていた。そう強く信じ込む事で、唯一猛に対抗できる心の拠り所を持つ事が出来たのだ。

 しかし、そんな根拠の無い拠り所は、通用する筈がなかった。

 彼等は知らない、真剣を正確に扱う為に必要な膂力を、青竹の芯の入った十基の巻き藁を一気に叩き斬る技術と力を、突撃銃の弾丸を見切る動体視力の凄まじさを、弾丸を斬り落とす体幹の力を、銃と爆弾で武装したテロリストに向かう胆力も。そして、それらを身につけるに至った、猛の凄まじい修行の歴史も、猛が笑いながら楽しんでそれを行っていた事実も、彼等は想像すらしていなかった。浅はかな思い込み、願望は、あっという間に叩き壊され、跡形も無く粉砕された。

 三方向から襲いかかってきた三人組の動きなど、テロリストの放った銃弾に比べれば、猛にとって止まっているのも同然だった。一瞬だけゾッとする笑みを浮かべた猛は、祝心眼流抜刀術基本三連撃『紅』の型を無手で行った。右手拳で放たれた猛の光速の拳鎚は、カウンターで襲いかかる三人組の顎の先端を正確に捉え、脳を激しく揺さぶった。

 

「!! 」

 

 漫画ならば、ここで「馬鹿な」とでも言って倒れるのだろうが、生憎そうはならなかった。三人組は何が起こったのかも、何でこうなったのかも分からず、倒された事も自覚出来ずに昏倒したのだった。

 猛は倒れた三人組を足下に見ながらスマートフォンを取り出すと、自ら警察に電話を入れて通報し、三人組の保護を求めた。

 警察で猛は、自分が望んで喧嘩した、とだけ言うと後は黙りを決め込み、警察の質問に頑なに口をつぐんでいた。

 しかし、日頃の猛の行いと評判で、三人組を庇う為に黙秘していると好意的に解釈され、形ばかりのお灸を据えられた後に、引き取りに駆けつけた両親の元に返された。

 この日以来、屈辱にまみれた三人組は、半ば引きこもりの様な生活を送るようになる。

 喧嘩ならばと常々思っていた最後の自信は崩れ去り、両親には「どうせお前が悪いんだろう、これを機に心を入れ替えなさい。」と説教をされ、学校にも家にも身の置き場を失った彼等が、現実逃避の為のツールとして選んだのがナーブギアだった。初のフルダイブ機能を備えたこのマシンは、思い通りにならない現実世界から逃れ、本当の自分になれる、唯一の世界へのドアだった。そこに行けば、本当の自由が手に入ると信じ、学校をサボってまで手に入れたソードアートオンライン、それはデスゲームだったと明かされてもどうでも良かった。いや、あの忌々しい現実世界に戻る事を考えたら、むしろ好都合だった。ここでなら、本当の自分として生きていける、その上で俺がゲームをクリアすれば、一万人の被害者を解放した英雄として崇められる、家族に俺を認めさせる事が出来る。賢斗少年はそう目論んだ、しかし……

 

 ここにはあの憎い仇が存在していた、それも、絶対に太刀打ちできない、雲の上の存在として!

 

 初めてそれを知ったのは、第一層だった。真面目人間のアイツが、ゲームなんか初めてだろうと思い、チョッカイを出したら、逆にトッププレイヤーだという事を知らされた。しかし、ゲームはまだ序盤だと思い直し、差を縮め逆転する為にレベルアップを続け、攻略トップギルドの目に止まった。ギルド『アインクラッド解放隊』の一員として、さぁこれからと思っていた時、またアイツに居場所を奪われた!! 忘れもしない、あの屈辱の第十三層ボス攻略戦、あの時俺はまたしてもアイツに全てを奪われた!!

 

 

 胴上げから解放されたヒョウは、三人組の元に歩み寄った。

 

「で、これからどうするんだ? 」

 

 ヒョウがそう聞くと、三人組は顔を見合わせた。

 

「おいおい、さっき言ったろう、ボス戦が終わるまでに決めておけよって。」

「俺達は……」

 

 エビチャンとクマが顔を見合わせる、それを見たサーキーは血相を変えてヒョウに吠えかかった。

 

「うるせぇ! そんな事は俺達の勝手だ!! いちいちてめえに指図される筋合いはねえ!! 」

「でもよぉ……」

「サーキー、俺達はもう……」

 

 あくまでもヒョウに対し、対抗姿勢を崩さないサーキーに対し、エビチャンとクマにはもうその気は無い様子で、曖昧な態度でサーキーに気持ちを伝えた。その二人の態度にサーキーは激昂する。

 

「てめえ等! 今さら何言ってやがる! 」

「俺達、ボス戦なんて無理だよ……」

「サーキーだって、動けなかっただろう、止めようぜ、なぁ。」

 

 気弱な態度で自分を説得する二人に、サーキーは苛立ち、やり場の無い怒りに見舞われた。

 

「じゃあ決まりだな、エビとクマは攻略から降りて、サーキーだけが残るって事だな。」

 

 ヒョウがそう言うと、サーキーのやり場の無い怒りの矛先が見つかった。彼は怒りと屈辱にまみれた目で、ヒョウを激しく睨み付ける。

 

「てめえは……、てめえは……、いつもいつもそうやってスカした目で俺を見下して……」

「何だ? どうした、サーキー?」

 

 ぶつぶつと恨み言を呟くサーキーに、不思議そうにヒョウが声をかけた。すると、サーキーの感情は爆発し、今まで溜まったヒョウに対する不満、恨み、怒りの全てをぶちまけた。その全てをヒョウは目を閉じ、頷きながら聞いている。

 

「てめえのせいで、俺は、俺は。」

 

 彼等を囲み、話を聞いていた攻略組プレイヤーのうち、クラインが代表して感想を述べる。

 

「気持ちは分からなくもないがよ、それって、親や学校に対する不満を逆恨みして、ヒョウにぶつけてるだけじゃねえの? 」

 

 それを聞いて、うんその通りだよなと頷く攻略組プレイヤー達。そんな彼等をアスナは一睨みして黙らせる、大人達にとっては下らない逆恨みであっても、多感なこの年頃の自分達には、それすら重要な事なのだ。

 サーキーの言葉を一言一句聞き漏らすまいと耳を傾けていたヒョウは、サーキーの言葉が尽きたと判断すると、ゆっくりと口を開いた。その第一声は、三人組にとどまらず、ここにいる全員にとって意外な言葉だった。

 

「そんな事、俺が知るかよ。」

 

 感情の全てを吐き出し、ぶちまけたサーキーに対し、実にあっけらかんとヒョウは答えた。そのヒョウの態度に一同は虚を突かれ、ポカンとした表情で発言主を見つめたが、続く言葉でなるほどなと得心する。

 

「だってお前達、今までそんな事一言も言わなかったじゃないか? 超能力者じゃ無いぞ、俺は。」

 

 ヒョウの言葉に目を剥く三人組だったが、それを制する様にヒョウは言葉を続ける。

 

「じゃあお前達は、俺の何を知っている? 」

 

 その言葉に、三人組は口をつぐんだ。

 

「いい子ちゃんぶった優等生か? じゃあ俺はお前達の事を、身の丈知らずに悪ぶった、おバカな劣等生って決めつけて良いんだな? 」

 

 悔しそうに目を剥く三人組に、ヒョウは頷く。

 

「違うだろう、分かってるよ。ただ、言わなきゃ分からないだろう。もし、もっと早い段階で言ってくれたら、俺だって力になれたかも知れない。そしたら、お前達だって、あんな残酷な事をしなくて良かったかも知れないだろう。」

 

 ヒョウが子兎の話に言及すると、エビチャンとクマは顔を曇らせた。

 

「それに、お前達は自分達の親の事で不満が有るみたいだけど、俺にそれが無いとでも思うのか? 」

 

 エビチャンとクマの二人は、ヒョウの発言に驚いて目を見開いた。

 

「まぁ、俺の場合、親もそうなんだけど、隣の妖怪ババァがなぁ。俺が一寸でも気に入らない事をすると、地獄の説教としごきが始まるんだぜ、正直たまんねえよ。あの後だってなあ……」

 

 そこまで言って一旦言葉を区切ると、ヒョウは思い出すのも嫌という感じで顔をしかめて、喧嘩の後日談を話し始めた。

 

「反省しろこの馬鹿弟子めって言って、後ろ手で縛り上げられて、道場の鴨居からぶら下げられたんだぞ、金曜の夜から飯抜きで日曜迄。それだけじゃねぇ、毎晩コヅ姉がやって来て、俺を見上げて泣くんだぜ、それがどれだけ堪えるのか、お前達想像してみぃ?」

 

 猛のこの言葉に三人組は納得する、サーキーは不承不承の納得だったが、エビチャンとクマは深く納得していた。

 

「それに、仮に俺のメンタルが弱かったと仮定して、お前達のイジメに耐えかねて転校とかしたとしよう、それでどうなったと思う? 」

 

 ヒョウは三人組に思考実験を提示する、しかしながら、三人組は首を捻るだけだった。

 

「最初のウチは、胸がスッとしたかも知れんが、結局元の木阿弥だ。考えても見ろ、お前達の親は、お前達の躾の為に俺を引き合いに出したんだぜ。俺を追い出した所で、お前達自身が成長しなければ、代わりに別の誰かを持って来るだけだぞ。なぁ、キバオウさんにリンドさん、二人はどう思う? 」

 

 唐突に振られたキバオウとリンドは、面食らって顔を見合わせる。

 

「アイツ……、意外とえげつないな……」

 

 ヒョウの真意を察したエギルは、顎に手を当てニヤリと笑った。

 

「どういう事だ、そりゃ? 」

 

 ヒョウがただ大人の考えを引き出そうとしたと、軽く思っていたクラインが、思わせぶりな笑顔を浮かべるエギルに説明を求めた。するとエギルに代わって、キリトとアスナがヒョウの真意について、思う所を説明する。

 

「要するに、妬んで僻んで憎い奴を追い出すだけじゃ、本当の意味で自分にメリットが全く無いって事かな。」

「ヒョウ君の言葉、あの三人とキバオウさんリンドさんを置き換えると、そのまま前回の攻略失敗に当てはまっちゃうのよ。」

「なるほどね。」

 

 得心の行ったクラインが、ヒョウに「へぇ、大したもんだ」と、驚きの眼差しを向けた。そして、そうとは気付かず、訳知り顔で講釈を始めるキバオウとリンドに、心からの同情の目を向ける。

 

「僻むな、妬むな、自分を磨け、それしか無いんだぜ。キリトだって、アスナだって、最前線で生き残る為に、極限まで自分を磨いてるんだ。その事実を無視し策を弄してハブった所で、実力差が消えてなくなる訳が無いんだ。ベータテスター? ビーター? そんな事に囚われている暇が有ったら、自分を磨いてその先へ行け! 」

 

 ヒョウがそう言った所で、ようやく真意に気づいたキバオウとリンドの顔が、みるみる紫色に変化して行った。しかし、ヒョウの言葉は正論であり、なにより実践している者の重みがあった。その裏付けを皆、数分前に目の当たりにしているのだ。その重みの前に、二人は一言も反論する事が出来なかった。それは三人組も同様である、エビチャンとクマは、自分自身の浅はかさを自覚して、憑き物が落ちた様な顔をしていた、しかしサーキーだけは違った。

 

 だから何だってんだよ、いつもいつもスカして見下して、畜生! 畜生! 畜生!!

 

「祝屋ァー!! 」

 

 俺はずっと、ずっとお前のせいで、惨めな思いをしてきたんだ! 今さらハイそうですかなんて言える訳ねえだろう!

 

 祝屋猛に対する敵対姿勢を崩す事は、自分の存在意義が崩壊する事。それは自分の本当の気持ちを知ろうとせず、無責任に祝屋猛と比較し続けた親への反抗が無意味だったと認める事。榊賢斗にとって、それだけは絶対に出来ない事だった。その想いがサーキーを凶行に走らせる。

 

「!! 」

 

 ヒョウの右肩に、背後から力任せに斬り付けられた、サーキーのツーハンドソードの刀身がめり込んだ。攻略組メンバー達は、驚愕の出来事に戦慄した。

 

「ヒョウ!? 」

「ヒョウ君! 大丈夫!? 」

 

 キリトとアスナがいち早く反応して、ヒョウに安否を確認しながらサーキーに向かって剣を抜いた。それに続いて攻略組メンバーは、武器を構えてサーキーを半包囲する、それを片手で制し、ヒョウはサーキーへ向き直る。ヒョウが見たサーキーのカーソルは、鮮やかなオレンジ色に変色していた。

 

「気が済んだか、榊。」

 

 慈しむ様な目で自分を見るヒョウに、サーキーは錯乱した。パニック状態になったサーキーは、滅茶苦茶にツーハンドソードを振り回し、ヒョウに斬り付ける。

 

「畜生! 畜生! 何で、何で死なねえ!? 」

 

 めったやたらに斬り付けるツーハンドソードは、ソードスキルも含まれているのに、目の前の仇敵(ヒョウ)には、目に見えたダメージを与えられないでいた。

 サーキーの疑問は、他の攻略組プレイヤーにも共通する疑問だった。

 

「へぇ、このスキルは、こういうスキルだったのか。」

 

 無抵抗で斬られながらも、平然とした態度でメニューを操作し、ヒョウは自分のスキルを確認して、皆にその詳細を説明する。

 

「ボス戦終わって、新しいスキルが二つ増えたんだ。一つは戦闘回復(バトルヒーリング)スキル、戦闘中に負ったダメージが、一定時間で一定量回復するスキルだって。回復時間と回復量は習熟度に比例するそうだ、獲得条件はボス戦で瀕死のダメージを負った後に、効果的な反撃をする事、だってさ。もう一つは……、何だ!? このぶっ壊れスキルは!! 」

 

 メニュー画面を見て驚いたヒョウは、思わず素っ頓狂な声をあげた。

 

「もう一つが戦闘増幅(バトルブースト)スキル、戦闘中にスキル所持者の能力値を、無条件でブーストアップするスキルだって、ブースト量は最低二十五パーセントから始まって、習熟度に比例して伸びていく……、こんなスキル有ったんだ。」

 

 自分の事ながらも驚いて言葉を失うヒョウに、堪らずエギルが声をかける。

 

「で、そいつはどうしたら手に入るんだ!? 」

「ああ、ゴメンゴメン。ボス戦で、ボスを相手にサシで五分以上無傷で互角以上の戦いをする事、だって。どっちのスキルも修得したら、自動設定で常時展開だそうだ。キバオウさん、リンドさん、次のボス戦でチャレンジしてみる? 」

 

 ヒョウが屈託の無い笑顔で二人に提案すると、キバオウもリンドも青ざめて首を勢いよく横に振った。

 

「なんだ、俺はこれでパラメーターの数値的には、レベル十ぐらい上のモンスターと余裕で戦える様になったのに……、勿体ない。誰かチャレンジする人がいたら協力するけど……」

 

 ヒョウが攻略組メンバーの顔を見渡すと、皆消極的な迷いの表情を浮かべていた、キリトとアスナを除いては。やっぱりな、そう思いながら、ヒョウはサーキーに向き直る。サーキーはヒョウの新スキルの話を聞いてもなお、狂った様に呻き声をあげながらツーハンドソードをふるっていた。

 

「榊、悪いけど、今のお前は俺に傷一つつけられない。」

「化け物め! 畜生! 畜生! 」

 

 泣きが入りながらサーキーが振り回すツーハンドソードの柄を握り、ヒョウはサーキーを引き寄せる。

 

「そうなんだ、レベルの高さ、所持したスキルでプレイヤーは化け物にでもなんにでもなれるんだ、この世界では。」

 

 眼前のヒョウの目に静かな狂気を見たサーキーは、握っていたツーハンドソードから手を離して弾かれるように後ろに飛び退くと、言葉にならない悲鳴をあげて腰を抜かした。

 

「誰か悪者をでっち上げて排斥しても、口を動かし策を弄しても、自分のレベルが望んだ地位に見合っていなければ淘汰されてしまうんだ。あの茅場も言っていただろう、これはゲームであっても遊びではないと。」

 

 しゃがみこんで、サーキーの目を見据え、ヒョウは静かに説得する。

 

「人なんか気にするな、自分と比較するな、自分を磨く事だけ考えろ。まずはそこからだ、なぁ。」

 

 ヒョウはそう言って、ツーハンドソードを仰け反り後ずさるサーキーの上に置いた。静かなる怪物に、すっかり肝を潰したサーキーは錯乱し、訳の分からない悲鳴と叫び声を発し、ツーハンドソードを振り回しながら逃げ出した。

 

「立ち直ってくれると良いんだがな……」

 

 ヒョウはそう言うと、寂しそうに逃げ去るサーキーの後ろ姿を見送っていた。

 

 

 

 俺はあの時、全てを失った! アイツに全部奪われた! 許せねぇ! 見ていろ、必ず落とし前をつけてやる! いつかこの俺が、奴から全てを奪い取ってやる!

 

 サーキーは湧き上がるドス黒い想いを乗せて、組み敷いたアインクラッド解放隊のメンバーを、哄笑しながら殴り続いた。

 

「んー、誰かこっちに来るなぁー。折角人が楽しんでいる所を邪魔しやがって、空気の読めない奴等だ。」

 

 サーキーは逃げ回るうちに修得した索敵スキルで、近づくプレイヤーの気配を感じると、ため息まじりの白けた口調でそう吐き捨てる。

 

「よかったなぁ、お仲間が来てくれたぜ。んじゃあ、俺も引き上げるとするか。」

 

 片手剣を肩に担ぎ、サーキーは立ち上がり、這いずって逃げようとするアインクラッド解放隊のプレイヤーの背中を嗜虐の目つきで睨めつける。

 

「コイツは頂いて行くぜ、あばよ! 」

 

 そう言うと、サーキーは片手剣を一閃させた。

 

「ぎゃあああーっ! 」

 

 悲鳴をあげた解放隊プレイヤーは、赤く染まる視界の中に、自分が置かれた異常状態を知り、確認の為に両手をあげて見た。彼の視線の先では、ある筈の両腕が、肘から先が消えて無くなっていた。

 

 両腕欠損

 

 それがサーキーに与えられた、彼の異常状態である。サーキーは奪った片手剣を取り戻されるのを防ぐ為、メニュー操作が出来ない様に両腕欠損の状態を作り上げたのだ。圏外、それもフィールドダンジョンでそうなると、武器を取り返せない以上の問題点がある。

 

 ポップしたモンスターに、全く対応が出来なくなるのだ。

 

 それはすなわち、死に直結する大問題である、パニックに陥った解放隊プレイヤーは泣き叫び、声の限りに助けを呼んだ。

 

 叫び声を背にサーキーは、ほくそ笑みながらハイドスキルを全開にして、足早にその場を立ち去った。

 

 絶対、必ずアイツにも、あの悲鳴をあげさせて、這いつくばらせてやる!

 

 サーキーはその未来を想像し、狂った笑みを浮かべるのだった。

 

 




次回 カタナスキル
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