ソードアート・オンライン・クロニクル もう一人の黒の剣士の物語 作:場流丹星児
イラつくレコンを引き連れて、ヒョウとツウを加えたキリト達のパーティーが目的地に下り立った。ヒョウとツウが手を繋いで、真っ先に着地してから少し遅れ、リーファが着地して不平をもらす。
「タケちゃんさんもコヅ姉さんもズルい~! 二人で力を合わせて飛ぶなんて、絶対敵わないよ~」
むくれるリーファを囲む様に、キリト達も続々と着地して来る。
「どうしたんだ、スグ?」
さっきまで上々だったリーファの機嫌が、やや斜めになっているのに気づいたキリトが声をかける。
「あのねお兄ちゃん、タケちゃんさんもコヅ姉さんもズルいんだよ……」
墜落から救われたツウが、飛行のコントロールをヒョウに任せて自分はエンジンに徹すると、二人はまるで双発の高速戦闘機の様な加速でリーファを引き離して行った。飛行速度に自信の有ったリーファは、意地で追いかけたが、目的地に至る迄追い付く事は叶わなかった。その事をリーファはキリトに報告する。
「なんだ、そんな事か」
「そんな事って、お兄ちゃん!」
「なら、スグも誰かと一緒に飛べば良いだろう?」
なおもむくれるリーファに、キリトがそう提案すると、リーファはその手が有ったと手を叩いた。
「そうか、その手が有ったか! でもなぁ……」
確かに良いアイデアだと思ったリーファだったが、すぐに眉をひそめる。ペアになる相手が居ないのだ。キリトにはアスナが居る。クラインに頼もうにも、最近の彼はシウネーに御執心の様子で、邪魔したら悪い。かといって、エギルは明らかにスピードタイプではない。
「レコン君なんかどうだい?」
物色中のリーファに、ヒョウがそう声をかけると、リーファとレコンは同時に目を剥いてヒョウを見上げた。ただし同じ目を剥くと言っても、リーファは嫌悪感で、レコンは期待感でと、その方向性は真逆で有ったのだが……
「同じシルフなんだし、合わせ易いんじゃないかな?」
なんだ、良い人じゃないか……
レコンは今まで嫌悪していたヒョウを見直すと、真っ赤な顔でリーファに歩み寄る。
「リ、リーファちゃん……、ぜ、是非、僕と……」
「却下!」
顔を紅潮させ、噛み噛みで申し込むレコンの言葉を最後まで聞かず、リーファはにべもなく断った。
「何で……? どうして? リーファちゃん」
「だってレコン遅いんだもん!」
「リッ、リーファちゃん」
「てか、いまだに補助コントローラで飛んでるなんてどういう事? 私と一緒に飛びたいなら、せめて随意飛行が出来る様になってから言って! ALOを始めてどれだけ経つのよ、全く!」
諦めきれず、呻く様に哀願するレコンだったが、厳しく現実を指摘するリーファの言葉が追い討ちとなる。キリト達パーティーメンバーの目には、蒼白となったレコンの背後に『ガーン』というオノマトペが幻視されていた。
古参プレイヤーにも関わらず、レコンが飛ぶのが不得手なのは、勉強時間の合間という限られた時間でしかログイン出来ない為に、他の古参プレイヤーに比べて圧倒的にログイン時間が短いからだという事を、彼の名誉の為に付け加えておく。
「そうだ、帰りは三人で飛びませんか? ね、良いでしょう、タケちゃんさん、コヅ姉さん」
いつの間にか機嫌を直したリーファは、ヒョウとツウの間に割り込むと、そう提案しながら二人の腕を取り、歩き出した。
「あ、ああ……」
「えっ……、ええ、良いわよ……」
上機嫌のリーファに引っ張られながらヒョウとツウは曖昧な返事をすると同時に、レコンに済まなそうに顔を向けるのだった。
「リ……、リーファちゃーん」
パーティーを先導してズンズン歩いて遠ざかるリーファの背に、レコンは力なく手を伸ばす、そして……
「アイツめぇ~、妻子が有るくせにリーファちゃんを誑かして……、許さぁ~ん」
済まなそうに、悪いという意味合いで浮かべたヒョウとツウの愛想笑い、特にヒョウのそれは嫉妬に燃えるレコンの瞳には、勝者の余裕の笑みに見えていた。
若干の不協和音をはらみつつも、リーファを先頭にクエスト候補地へと進んで行く。今回のクエストはリーファが絶剣杯に向けて、装備強化の為に招集したクエストである。リーファが求めたのは、天羽羽斬という日本神話に由来する、両手持ちも可能な片手剣だ。
リアルでは剣道競技者である直葉/リーファが、何故ALOでは刀ではなくその様な剣を求めるのか?
それは剣道の竹刀と刀では使い方が全く違うからだ。刀は斬る、突く、打つ、薙ぐ、払うという、刃を持つ武器の凡そ全ての特性を兼ね備えているが、竹刀はこの内の打つ、突く、払うに特化している。両手持ち可能な片手剣は、竹刀に最も近い特性を持っているのが、理由の一つだ。それに加え剣道の試合が、他の武道や格闘技の試合と比べると、大きく性格が異なる事も理由に挙げられるだろう。
異なる性格とは、勝敗を決する一本の判定方法である。
他の競技では、当たる、投げる、等の技が決まれば一本やポイントを取ってくれるが、剣道だとそうは行かない。充分な気合い、正しい型と残身(残心)が決まっていなければ、たとえ竹刀が小手、面、胴を捉えても、一本を取って貰えないのだ。そして、逆に充分な気合いと正しい型と残身(残心)が決まっていて、明らかに優勢である場合は、竹刀が小手、面、胴に僅かに届かなくても、一本をくれる場合もある。
リーファはALOのプレイを通じて変な癖がつき、リアルでの剣道の試合に悪影響が出る事を恐れ、竹刀に最も近い特性を持つ剣、両手持ち可能な片手剣を両手持ちで使っているのだ。
そんな訳でクエスト現場にやって来たリーファ達だったが、流石にトップオブアルブスの為の自己強化プレイベントである。彼女達が到着した時は、既に競合する別パーティーに攻略された直後だった様だ……
「あーん、残念。ま、仕方ないわね」
「よくある事さ、ドンマイ、スグ」
「また協力するわ、次頑張ろ、リーファちゃん」
「エヘヘ、その時はお願いします、アスナさん」
残念と言う割には、リーファは余り落ち込んでも悔しがってもいない様子だった。それもその筈で、実のところリーファは、取れれば儲けもの、という感覚で攻略していたからだ。競合者が多いという事は、それだけ簡単に情報が得られるという事で、それすなわち得られるアイテムのレア度もその程度という事なのだ。
リーファが攻略を呼び掛けた理由は、実はクラインとシウネーを誘い出す口実だった。本命の理由はこのクエスト現場のロケーションに有り、この近場に有る風光明媚な湖こそがそれである。
モンスターのポップしない安全地帯になっているそこは、絶好のリゾートスポットであり、シウネーになかなかアプローチ出来ないクラインに焦れたキリト達が、リーファのクエストと偽って雰囲気作りの為に湖水浴の場を用意したのだった。
「じゃあ残念会に、レッツゴー!」
満面の笑みでリーファが音頭を取ると、レコンを除くパーティーメンバー達も笑顔で「おー!」と答えた。アイツがもたもた歩いていたからリーファちゃんのクエストが失敗したんだと、内心臍を噛んでヒョウを睨んでいたレコンを置いて、リーファ達は軽やかな足取りで移動を始める。
「え? え?」
そうとは知らず、あたふたと周りを見回すレコンの肩に、そっと手が置かれた。
「ほらレコン君、置いて行かれるよ」
はっとして振り向くと、そこには穏やかな表情でそう語りかけるヒョウがいた。久しぶりのログインでリーファに会えて舞い上がり、押し掛け飛び入りでパーティーに参加するも、空回りをして相手にされない悔しさから、クエストが失敗したのはヒョウが最初ゆっくり歩いて移動していたからだと決めつけていたレコンは、反省の色も見せない彼の態度にカチンと来た。そして、今度こそガツンと言ってやると意を決し、目に力を入れてキッとヒョウの目を見据えた。
「あのですねぇ!」
そう言ったきり、レコンは言葉を失った。レコンが苦言を言おうとした瞬間、ヒョウの表情が厳しい物に変化する。穏やかだった物腰は、アバターとは思えない程に、抜き身の刀の様な殺気を放っていた。
その落差に決した意は雲散霧消し、リアルでも感じた事の無い恐怖をバーチャル空間の中で初めて感じ、レコンは立ったまま腰を抜かしていた。
殺される
そうレコンが感じた時、やや離れた所から、キリトが二人に呼び掛ける。
「おーい、どうしたんだ、レコン、ヒョウ。早く来いよ~!」
キリトの呼び掛けは、レコンにとって窮地を救う助け船になる。ヒョウの殺気にすくんだレコンの気は逸らされ、尻餅をついてキリトに向かい後ずさった。
「済まない、キリト。ちょっと行ってくる」
ヒョウはそう言い残すと、レコンの脇を抜けて歩を進めた。豹変したヒョウの行方には、一足先にクエストをクリアし、天羽羽斬を手に入れたパーティーがいた。
片手剣を腰に差した小肥りのノームの少年が、喜びに上気した笑顔で天羽羽斬を掲げ持つ。
「ほう、良い剣じゃあねえか、俺にもちょっと見せろよ」
「え……、う、うん。良いよ」
そのノームの少年と相似形に一回り大きな、背中に両手大斧を背負ったでっぷりと太ったノームが、ドロップした天羽羽斬を見せる様に要求する。すると一回り小さい方のノームは、一瞬嫌そうに躊躇したが、仕方なさそうに目の前に差し出して見せた。大きなノームはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると、ひったくる様に剣を手にする。
「へー、大した剣だな、お前には勿体ないぜ」
「あげないよ、僕のだからね」
背伸びをして剣を取り返そうと慌てるノームの少年に、嘲る様な口調で大きなノームは理不尽を口にする。
「でもよぉ、このまま五分経ったら、問答無用で俺の物になるんだぜ」
大きなノームはヘラついた笑顔で、小さなノームに対し、これ見よがしにメニューウインドウを開くと、右手に天羽羽斬を装備した。大きなノームの目論見は、武器強奪による、所有権の移動だった。小さなノームの表情が変わる。
「ドロップしたら、したヤツの物だって言うから手伝ったのに、嘘つき! 返せ! 返してよ!」
「騙される方が悪いんだよ、バーカ」
小さなノームが取り返そうと、必死に手を伸ばすが、体格に勝る大きなノームが頭上に掲げる天羽羽斬には届かない。流石に見かねた周りのパーティーメンバーも、返してやれよと口にするが、大きなノームは「へん、良いんだよ、こんなヤツ、良い気味だぜ」と嘯いて取り合わない。諦めない小さなノームに、大きなノームはやがてイラつき、「うるせえぞ! いい加減諦めろ」と斬りかかった。
「!?」
斬り倒された小さなノームは、信じられないと絶句して、大きなノームを見上げると、大きなノームは満足そうに剣を見てから、小さなノームを俾倪する。
「へー、切れ味も最高じゃねえか、やっぱりこの剣はお前には勿体無い、俺様が頂いてやるから感謝しな」
「そんな、そんな事って」
「ああん、文句あんのか!? この野郎!! 弟の物は兄貴の物なんだよ! いい加減分かれや!」
そう言い放った大きなノームは、小さなノームに嗜虐の瞳でクツクツと笑いながら見下ろして、言葉を続ける。
「そういやお前、次にデスペナ喰らったら、能力半減なんだってなぁ」
メニューを操作してパーティー解除を行って、大きなノームは更に言葉を続ける。
「弟の分際で兄貴に逆らった罰だ、思い知れ!」
思い切り剣を振り下ろした大きなノームだったが、彼の思いは遂げられること能わなかった。そして、身を丸めて頭を抱え、目をつぶっていた小さなノームにも、斬撃とそれに続くゲームオーバー、You are dead の文字が視界に表れる事も無かった。その代わりに何か重量物が地面に落ちた音がした。小さなノームが目を開けると、そこには兄の大きなノームに奪われた剣、天羽羽斬が有った。小さなノームはそれを拾って大事そうに胸に抱えると、メニュー操作してストレージにしまい、ホッと一息をつく。そして見上げると、兄と自分の間に黒い着物を着た、腰に二本の刀を差す見知らぬインプの後ろ姿が有った。
「何しやがる、テメェ……」
振り下ろす剣を、いきなり闖入するなり、一瞬の早業で叩き落とした黒い着流しのインプに虚を突かれた大きなノームだったが、自分の身体にダメージ一つ負っていない事を確認すると、いきり立ってインプに迫る。しかし、インプは臆する事なく、大きなノームに言葉を返す。
「お前、弟を虐めて楽しいのか?」
インプは同じパーティーのシルフの少年を恐怖に陥れた表情のまま淡々とそう聞き返すと、シルフの少年と同じ様に恐怖に囚われた内心を誤魔化す為に、大きなノームは殊更声を荒らげて反駁する。
「ウルセェ! ひとんちの問題に、他人が偉そうに口を挟むな!」
大きなノームの言葉に黒い着流しのインプ、ヒョウの心がキリリと痛む。
そういえばサーキーも、リアルでは妹さんをよく虐めていたんだよな…………。
もしも自分が、もっとサーキーの事を気にかけていれば、あんな終わり方にならずに済んだのではないのだろうか? ヒョウの瞳には、顔を歪めて罵る大きなノームに、サーキーのアバターが重なって見えていた。最後の戦いで彼の首をはねた感触が手に蘇り、ヒョウは思わず拳を握り締める。
罵りながら、大きなノームは背中の大戦斧を装備して、ヒョウに向かって斬り下ろす。しかし、ヒョウはその場を動く事なく、斧の軌跡を見据えていた。
「!? …………、ギャ──ッ!!」
一瞬の間を置いて、両腕ごと斧を失った大きなノームが絶叫して膝を着く。彼の喉元には、いつ抜かれたのかも分からない、ヒョウの刀の切っ先が突きつけられていた。その光景を目の当たりにした、居合わせるプレイヤー達がざわつき始める。
おい、あのインプって……、もしかしたら……
ああ、黒い着流しに二本差し……、それにプライベートピクシー、間違いない
一刀両断のインプか!? あのユージーンが子供扱いされたって言う
一刀両断って言ったら、じゃあ、あの噂の『剣聖』か?
そうだ、剣聖だ
まさか!? 剣聖ってNPCじゃなかったのか?
アイツが剣聖か
剣聖だ……
剣聖だ……
剣聖よ……
周りのプレイヤー達が、ヒョウの剣技を見て俄にざわつき始め、口々に剣聖と囁き合う。ヒョウは脳細胞のネットワークを再構築するリハビリの為に、理学療法による外的リハビリの時間を除いては、小鶴とのふれあう時間と寝る時間以外は、常にALOにログインしている。
キリト達仲間がログインしていない時もソロプレイで活動していたヒョウは、この手の独善的なプレイヤーの横暴を見かけると、ついつい助太刀の手を差し伸べていた。そしてこの頃は仲間内に息抜きと称して、GGOプレイヤー達がシノンとキリ子を探し出し、なんとか復帰させようと目論んで数名押し寄せて来ていた。ALOでも彼等はGGOばりの略奪PKをしており、それを見かけて助けるヒョウは、ちょっとした噂になっていた。
実際にヒョウのその姿を見たプレイヤーは、彼の強さはあの今は亡き絶剣に比肩すると口を揃えて断言する。
絶剣との違いは、彼女は圧倒的な手数で相手を封じ込めて倒すのに対し、ヒョウはただ一刀のみを以て技量の差を理解させて相手の戦意をへし折る所に有った。申し込まれたデュエルも、一手で力量の違いを示し、リザインさせて決着させる事が多かった。そんなプレイスタイルと日頃の善行から、いつしかヒョウは一部のプレイヤーから『剣聖』と称され、その噂も広がっていき、ALOで今最もホットな話題の人物になりつつあった。
「弟を虐めて楽しいのか?」
青ざめた表情で見上げる大きなノームに、ヒョウはもう一度聞くが、蛇に睨まれた蛙の状態の彼には、その問いに答えられる心の余裕はなかった。答えを得られないと悟ったヒョウは、冷徹な瞳のまま刀を八艘に構え直す。ヒョウが大きなノームを斬らんとしたその瞬間、弟である事を理由に理不尽に虐められていたノームの少年が、二人の間に割って入った。
「止めろぉ! 兄ちゃんを斬るなぁ!!」
ノームの少年は、ゲットした天羽羽斬を装備すると、無我夢中でヒョウに斬りかかった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
恐怖にひきつった表情で斬りかかるノームの少年の一撃を、ヒョウはいなして弾き返す。ノームの少年は、兄の大きなノームの隣に弾き飛ばされ、転がった。
「バカ、何やってるんだ! 逃げろ!」
「に、兄ちゃんを置いて逃げられないよ!」
「そんな事言ってる場合か!? 早く逃げろ!」
「でも……」
激しく言い合いを始めたノームの兄弟に、ヒョウはゆっくり歩み寄る。ヒョウが目前に迫った時、もうおしまいだとノームの兄弟はお互いを庇う様に抱き合って、恐怖の眼差しでヒョウを見上げた。しかし……
「兄弟、仲良くな」
ヒョウは先ほどまでの冷徹な瞳から、打って変わって穏やかな瞳でそう言うと、刀を鞘に納め踵を返して去って行った。兄弟はポカンとして、その背中を見送っていた。
「ゴメン、待たせた」
ヒョウがキリト達の元に戻り、そう謝罪するとクラインがガシッと肩を組んで来た。
「全く、オメェは変わってねえなぁ!」
嬉しそうに破顔して、脇腹に手荒く拳をグリグリと押し付けるクラインにエギルが続く。
「ああ、でもそのお人好しな所、俺は嫌いじゃ無いぜ、なあ」
バリトンボイスでパーティーメンバーを見回すと、皆も笑顔でヒョウを迎えていた、たった一人を除いては。実は一人だけ、ヒョウの行動を忌々しく思い、この瞬間小さく舌打ちをしていた者がいた。その舌打ちは、幸運な事に皆に知られる事は無かった、何故なら……
「あのぉ~、盛り上がっているところスミマセン、皆さん……」
レコンがおずおずと口を開いて手を上げる、なんだどうしたという視線に包まれたまま、レコンはモジモジしながら言葉を続ける。
「実は急用が有りまして……、ボクは今日はここでログアウトします……、さようなら」
そう言ってレコンはそそくさとメニューを操作して、ログアウトして行った。このレコンの行動が、その舌打ちから皆の意識を逸らしていたのだ。
レコンを見送った一同は、真の目的の湖水浴に向けて、ワイワイと騒がしく話しながら足を進めていた。その最後方から暗く濁った目が、先を歩くヒョウの背中を人知れず睨む。
どうして!? どうしてあなたは、あの時私の所に来てくれなかったの!?
人知れずヒョウを恨む者が、唇を噛んでいたとき、ログアウトしたレコンこと長田慎一も、悔しさに唇を噛んでいた。
「畜生、どうしてボクがこんな目に……」
慎一はALOで出会った新たな仲間、ヒョウの超絶した剣技には絶対に敵わないと一目で悟り、あの時怒りに任せて文句を言わなくて良かったと胸を撫で下ろす一方で、新たな怒りに包まれていた。あの時、自分に向けられた訳ではないが、ヒョウの放った殺気に当てられたレコンは、その恐怖がリアルの身体に深刻な影響を及ぼしていた。慎一は失禁していたのだ、失禁して汚れた布団を処理しながら、慎一は心に誓う。
畜生! 絶対、絶対毒殺してやるからなぁ~~~~!!
レコンがガリ勉秀才である
クラインがシウネーに気がある
共に、筆者の独自解釈によるオリジナル設定です。
リーファが両手持ち可能片手剣を使う理由は、Wikipediaに有った設定に、剣道経験者としての筆者の経験と、見解を加えた独自解釈です。
次回 第八話 消せない記憶
皆さん、良いお年を(^ー^)ノ