とあるマンションの一室の前で彼女が言った一言。
「何でもする。何でもゆうこと聞くから」
その言葉を聞く前までは嫌そうにしていた17歳の鷺坂 総司(さぎさか そうじ)は、
「へえ―――何でもねェ」
部屋の戸を開けながら、
「―――おまえ、男の部屋でそんなこと言ってどうなるか分かってんの?」
鷺坂は同じ年代に見える少女に対して問いかけたが、彼女は、
「へ…」
自分で言った言葉の意味が解らないのか?
彼女の名前は烏丸 和歌(からすま わか)。
可愛い顔をしているが、おつむが少々弱いのかもしれないなとは思ったが、この娘の希望していることは、俺にとってやさしいことだ。
部屋の中に通して……
彼女の希望の通りのことをしてやった。
ここからは俺の時間だ。
「―――じゃあ、何でも言うこと聞いてもらおうかな」
「え?」
夜になろうとする時間に男と女がいるならば、これから行おうとすることはわかるだろう?
そう思って、彼女を抱きしめて、横になったが、彼女が何かいいたげなので、話をさせてやろう。
聞こえてきた言葉は、予想外。
「私、13歳なんです……」
生徒証を見せつけられながら言われると、頭の中が一瞬真っ白に。
「はああああ? ガキじゃねーーか! 帰れガキ!」
和歌は、鷺坂が『よかった。ロリコンじゃなくて』と心の中で思ってほっとしていた。
部屋から少女を追い出した匂坂は、頼み事であった囲碁を一局打つことに関してはプロ棋士である。
七段のプロ棋士を相手に、13歳のアマチュアが勝てるわけがない。
ましてや彼女が望んだのは、単なる黒を持つことだけで、ハンディキャップである置石も望まなかった。
ただ、その打った囲碁の一局に驚かされることもあったが、まさか13歳だったとは。
彼女が帰った後に先ほどの囲碁の一局を、深く考える鷺坂がいた。
確か、烏丸 和歌とは、アマチュアの囲碁大会の決勝戦に残ってはいた。
ただ単にそれだけのはずだったが、何の因果か、名人リーグ戦の最後の局の直前で怪我をしたところにいわせたとはな。
そして、傷つきながら、打った名人リーグ戦だったが半目足りなくて、負けてしまった。
そのあとのことははっきりとは覚えていなかったが、彼女がけがの治療のために病院へつれて行ってくれたのは、かすかに覚えている。
まさか、今日、この部屋に来たのは、その病院で見せた、保険証だとは思わなかったが。
それにしても、あの11の六。
あそこはもう一路ひかえてケイマだろう。わざわざ大ゲイマにするなんて……
もう会うこともないだろうとも思っていたが、あの一手からの攻防は気にかかる。
っと、思っていた鷺坂だが、和歌との長い付き合いになるとは思ってもいなかった。
「星空のカラス」(花とゆめ)第1話から、なんとなく、心象風景を多少は想像してみました。
少女コミックで囲碁を題材にしている珍しさでちょっと書いてみました。
何巻まで続くかな~
それと、17歳の少年と、13歳の少女のカップルってみかけるような気はするけれどな~