閻魔様、現代入りで社会勉強   作:神おむつ

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今回初投稿となります。
至らない点も多いと思われますが、最後まで読んでくれたら作者はとっても嬉しいです(*'ω' *)
映姫様が好きな方、そうでない方もぜひ映姫様の魅力にどっぷり浸かっていってくださいな。


【出会いは冬】
【1話〜説教から始まる出会い】


『部屋がホコリっぽいですねぇ、ちゃんと掃除はマメにしているのですか?』

 

一人暮らしには少し広い部屋に、凛とした如何にも強気な女性の声が響く。

…………はい?

まてまて、状況上手く飲み込めていない自分が居るのだが。

いつもは夜勤が多い俺だが、今日は珍しく日勤で明日は休みだからゆっくり風呂にでも浸かって酒飲んで寝よう、そう思いながら玄関を開けたら見知らぬ女性が居た。

まず俺は "一人暮らし" だ。

仲の良い女友達はおろか、彼女すらいない現状同棲など有り得ない。

ではこの俺とテーブルを挟んでちょこんと正座している女性はどこの誰なのか?

 

はい、俺が聞きたいです……

 

女性はかなり変わった格好をしていた。

王冠のような帽子を被り、全体的に紺色が目立つ服装をしている。

下は短めのプリーツスカートのようだ。

手には変わった……笏《しゃく》ような棒を持っている。

一言で言うとコスプレみたい。

……え、何? これはあれなのか?

女性の見た目からして異世界とかから召喚されちゃった的なやつなのか?

俺、学生の時そういうのめっちゃ憧れてたんだよなぁ……

あの時はイタイ奴だったなぁ……

じゃなくて、

この娘誰なんだよ!?

 

「あの、どちら様でしょうか?」

 

ようやく絞り出した言葉。

しかし、その言葉は意図も簡単に砕かれる。

 

「質問の答えになっていないですね。もう一度だけ問います。部屋の掃除は……マメに行っていますか? yesかNoで」

 

「……Noォ」

 

俺のその言葉を合図に、これから見知らぬ女の子にしこたま説教されるとは夢にも思わなかった。

 

「だいたい男の一人暮らしにしては家具が多い気がします。なんですかこの黄色いぬいぐるみは」

 

確に余計な物が少し多い気が……

ちなみにそのぬいぐるみはミニ〇ンズだ。

あともふもふするな。

 

「それとあの冷えてる箱。確か……れーぞーこでしたっけ? 保存してる物は何ですか! 必要最低限の調味料とお酒しか無いじゃないですか!」

 

自炊って意外と大変なんだよ?

てか冷蔵庫勝手に開けたのかよ。

そして何だその冷蔵庫を最近知ったかのような口ぶり。

 

「そして部屋がホコリっぽいです。ちゃんとマメに掃除をしなくてはダメですよ?」

 

うわ、デジャヴ。

てかそれ二回目だよ。

先程も同じ事聞いたよ。

 

と、心の中で不法侵入コスプレ美女にツッコミを入れていると、美女は説教の途中何かを思い出したかの如く「あっ」などと変な声を漏らしていた。

そして急に、苦虫を百匹程噛み潰したかのような表情を浮かべる。

……どうしたのだろうか?

急に黙り込むコスプレ美女を前にして、変にワタワタする俺。

なんか変な絵面が出来上がってますよ。

するとコスプレ美女がようやく口を動かし始めた。

 

「…………さい」

 

「えっ?」

 

「ごめんなさいっ!」

 

急に謝られた。

いくら若い脳ミソとは言え、流石についていけていない自分が居る。

全世界の女性の味方(自称)だが、この娘を理解するのは中々困難なようだ。

 

「私……説教が癖で…つい…」

 

「説教が癖!?」

 

なんともまた珍妙な癖だ。

とりあえずこのままじゃ色々と意味が不明すぎるので、話し合う方向で行こう。

俺はテーブルを挟んで彼女の向かい側に座る。

あ、ちなみに今まで俺立たされて説教食らってたからね?

 

「ひとまずお互いの自己紹介しません?」

 

「それが妙案ですね」

 

「じゃあ俺から」

 

俺はらしくもない咳払いを一つして、口を開く。

 

「名前は十神 康一(とがみ こういち)。歳は23でどこにでも居るような普通の社会人ってとこですかね」

 

「私は四季映姫・ヤマザナドゥと言います」

 

「や、やま? ざなどぅ?」

 

なんか後半聞き慣れない名前が出てきた気がするのだが。

ハーフとかじゃないよね?

 

「ヤマザナドゥは役職名なので名前は四季映姫だけです。さて……まずは私がどうしてこの部屋に居るのかを説明しなければなりませんね」

 

最も俺が気になっていた部分だ。

そこを知らないと話が進まない。

 

「私は……この "外の世界" の者ではありません」

 

とうとう来てしまった…

こういう非日常的な台詞。

昔はどれだけこういう妄想膨らませた事か…

 

じゃなくて、

 

え?

 

外の世界?

 

どう言う意味だ?

 

当然詳しく聞く必要があると見て、詳しく聞く事に。

 

ーー 彼女はこことは違う別の世界に住んでいたらしく、彼女が居た世界は "幻想郷" と言う場所らしい。

何でも俺が住んでいる世界は幻想郷からは "外の世界" と呼ばれているらしく、外の世界から忘れ去られた者が集う場所が幻想郷なのだとか。

そこは巫女とか妖怪の賢者が結界張って管理しているとかで、彼女はその幻想郷とやらの地獄で閻魔として死者を裁いていると言う。

要するに、彼女は子供の頃嘘ついたら閻魔様に舌引っこ抜かれるぞ!の閻魔様なのだ。

 

こんな可愛い娘が?

 

やべーって。

 

それ何のギャップ萌え。

 

そしてサラッと彼女が人間じゃない事実を受け入れている自分が居た。

学生時代、日々妄想に明け暮れてて良かったと思う今日この頃。

 

「その…あまり驚かれないのですね?」

 

「まぁ、だからって信じてないわけじゃないですよ。それよりも閻魔様ってもっと厳つくて怖いおっさんのイメージあったんでこんな可愛らしい女性だったのが驚きですわ」

 

すると彼女は手に持っている笏のような棒で口元を隠し、どこか寂しそうな表情を浮かべた。

 

「貴方は……私を "女性" として見てくれるのですね」

 

「ん? そりゃそうでしょう。女性ですし」

 

質問の意味がわからなかった。

なんかマズイ事言ったかな俺。

てっきり可愛いの一言で少し照れた閻魔様でも見れるかなと思ってたりしたけど、何だか全然違う反応であった。

 

「話が逸れましたね。元の内容に戻しましょう」

 

そうだ、まだ肝心の何故ここにいるのかを聞けていない。

正確にはこの世界か。

 

んで話は元に戻って、

 

彼女は長い休暇を貰ったらしい。

なんでも上司の閻魔達に働きすぎだと判断されてしまったとか。

てか閻魔って何人も居るんだね。

ちなみにどれだけ働きすぎなのか少し聞いてみると、ぶっちぎりで日本の労働基準法破ってました。

んでもってその休暇で溜まった疲労を癒そうとしたらしいが、ダラダラし過ぎるのも彼女の性に合わないらしく、何より暇だったとか。

それを見かねた妖怪の賢者が、暇なら外の世界の事でも勉強してみれば?みたいな事を言ってこちらに彼女を飛ばしたらしい。

ちなみに彼女に拒否権は一切なかったそうだ。

先程その事をすごい顔で怒ってたし。

閻魔こぇ。

 

「ゆか……妖怪の賢者が言うには外の世界の技術を幻想郷に取り入れて、もっと幻想郷を発展させたいとか言っていましたね。差し詰め私に外の世界で知識を得させてそれを幻想郷に持ち帰れという事でしょう」

 

「あー、なんか文化がこっちと全然違うとかってのも先程チラっと言ってましたね」

 

「まぁ、彼女の事です。そんなモノはただの建前で面白半分で私をこちらに送ったとも考えられます。帰ったら説教八時間コースです」

 

うわ、何そのコース。

絶対に受けたくないんだけど。

同じ事とか言われすぎて耳にタコどころかイカとかまでできそう。

うん、わけ分かんないね。

そして妖怪の賢者も女性なんだ。

 

「と、とにかく、その妖怪の賢者ってのは外の世界の技術を幻想郷に取り入れるため、たまたま休暇貰って暇してた四季映姫さんを利用して外の世界の技術を勉強させるべく無理矢理外の世界に送った、って事で理解していいですかね?」

 

「その理由は建前の可能性有りですが、まぁ要約するとそのような捉え方で問題は無いかと」

 

なるほど…

つまりは最初の結論に戻る。

異世界から女の子、しかも美女が来ちゃったってやつです。

 

素晴らしいです。

 

てめーら羨ましいだろ?

 

誰に言ってんだよ。

 

「そんで、これからどうするんですか?」

 

「えっ?」

 

「こちらで色々やるには住む場所とかその他もろもろ必要でしょ」

 

不法侵入コスプレ美女の謎が解けた所で新たな問題に話題が移る。

こっちの世界の事を色々勉強するにしたってまずは住む場所が必要だ。

 

「少しの間しかこちらに居なかったとしてもお金だって必要だろうし。ちなみにこちらに来る時何か持ってきた物とかあります?」

 

「それが…無理矢理こちらに飛ばされて来たものですので何も……あるのは妖怪の賢者が用意したこちらでも着れる私服一着と寝巻きしか…」

 

私服と寝巻きって……

持ち物を聞いて何となく妖怪の賢者の "意図" が分かった気がする。

 

「はぁ…妖怪の賢者ってのは俺がこの状況を断れないの知ってて貴女をここに送ったんですかねぇまったく」

 

「えっ?」

 

「この状況でじゃあ頑張って、なんて他人事言えないでしょ? ましてやこんな寒空に女性を追い出せるほど俺だって人間腐ってませんよ」

 

「それって…」

 

「幻想郷に帰れるまではここに居てもいいですよって事」

 

外の気温は寒い時で氷点下20度もいくんだぞ。

今追い出したら俺、ただのクソ野郎じゃねーかよ。

寝巻きと私服じゃ寒さはしのげないんだぜ。

 

「しかし…流石にそれは迷惑になってしまいます。今日会ったばかりの方にそこまでは頼めません」

 

「むしろこの世界にこれから俺より親しい人間を作る方が難しいですって」

 

「それはそうですけど…」

 

「俺としてはこのまま出ていかれて凍え死なれたほうが後味悪いですし。それともどこの馬の骨かも分からない男の家はやはり嫌ですかね?」

 

「……貴方は私の話を素直に信じてくれました。そんな風には思いませんよ」

 

そして彼女は続け様に、「あと悪い人ではないと既に分かっていますからね」と付け加えた。

少し意地悪を言ってみたが真面目に返されてしまったなぁ。

まぁ、これはこれで嬉しい反応ではある。

 

「てか、俺が悪い人じゃないって…何故分かるんです?」

 

「私の中には絶対的な善悪の基準がありまして、それ故どのような人物であろうと私の前では嘘をつく事ができないのです」

 

閻魔だから特殊な能力が一つや二つあっても不思議ではない。

そんなの少し考えてみれば当然だ。

しっかし、嘘を見抜かれるって……

 

女性を傷つけないための優しい嘘でさえ彼女にはバレてしまうのか…

 

うん、そんな嘘ついたことないね僕。

 

「まぁ嘘がバレるっても俺は別に大した嘘つかないんで気にするような事じゃないですねぇ」

 

つーか嘘がバレるって最初から分かってるなら、無駄な足掻きはせずに男は潔くクールに行こうや。

俺別にクール系じゃないけど。

 

「どうやらそれも本当の事のようですね」

 

そう言って彼女は静かに微笑む。

おぉ……笑うとめちゃくちゃ可愛いのだが…

ちょっとドキドキしてる自分が居る。

 

そーいや、この家にに女性入れたのって初めてだよな?

 

そしてこれから一緒に暮らす。

 

同棲?

 

こんな可愛い娘と?

 

何これ、勝ち組やん。

 

「何はともあれこれからよろしくお願いします四季映姫さん」

 

「少し思うのですが、そんなに畏まらないでください。話し方も崩されて結構ですし、名前も呼び捨てで構いませんよ?」

 

うーん…

会ったばかりの人にいきなり敬語じゃないのは気が引けるが、これも彼女なりに早く慣れ親しもうとする努力なのかもしれない。

男としてそれを無駄にするわけにはいかない。

そんな奴男じゃねぇっ!

 

「…分かったよ。それでは改めてよろしく、四季映姫」

 

「はい、これからよろしくお願いしますね、康一」

 

かくして俺、十神 康一は閻魔こと四季映姫・ヤマザナドゥと生活を共にする事になったのだ。

 

 




1話読んで頂きありがとうございます。
それにしても映姫様可愛いですね!
これを読んでニヤニヤしてくれたら作者は満足です( 'ω')
ちなみに主人公のモデルは作者となっております。

【おまけ】
十神さん家。

アパートで1LDK。
玄関開けて入ると内ドアがあります。
内ドアを開けて入るとすぐ目の前にリビングがあり、正方形のテーブルがあります。
内ドアを開けてすぐ左斜め下がキッチンになり、もちろんIH。(リビング見渡せるような感じのキッチン)
リビングの右にトイレとお風呂があり、左には寝室がある。
寝室は少し大きめのベッドにクローゼット、姿見など色々置いてある。
(説明雑でスミマセン“〇| ̄|_)
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