【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0112話『瑞雲祭り大とりと輝きだす指輪』

 

 

 

今日は瑞雲祭りが最終日と言うことで私の鎮守府がある地域の町でも盛大に祭りが行われている。

私も私でまた浜風に着付けをしてもらい町へと繰り出していた。

 

「提督。本日はどうされますか?」

 

今回は私と一緒に行動するみたいで浜風がそのまま着いてきていた。

どうやら私の事が心配らしく着いてきている節があるようで、

 

「浜風? どうしたんだ? いつもならすぐに浦風とかと祭りに行っていると思うんだけど……」

「そうなのですが……提督は明日の7月31日を何の日か覚えていますか……?」

「何の日か……それは……」

 

それで私は記憶している限りの何の日かを思い出す。

まずは明日は文月が改二になる日だ。

だけどそれなら浜風はそこまで心配はしないだろう。

だとするともう一つは私と榛名にとってとても大切な一日……。

それは……、

 

「私の思い違いでなければいいけど浜風は私と榛名のケッコンカッコカリ記念日に関して言っているのかな?」

 

つい質問形式で浜風に問いていた。

だけどそれで浜風は満足そうに頷いて、

 

「はい、その通りです。よかったです……提督は覚えていてくれたんですね」

「それは覚えていないとダメだろうとは思っているよ。私は秋月の時だけは私の誕生日も重なっていたので盛大に宴会を開いたけど去年までにケッコンカッコカリした艦娘達にはケッコンカッコカリした日にはなにかしらの贈り物は贈っているからな。榛名もそれは例外じゃないよ」

 

それで榛名も表に出てきていて、

 

《提督……榛名、嬉しいです。ですが、すみません……こんな体たらくな体では提督の贈り物も受け取ることが出来ません》

 

それで榛名はシュンッとなって落ち込んでしまう。

 

「榛名さん! 落ち込んではいけません! きっと……きっとそう、いつか報われる時が来ますよ!」

「そうだぞ榛名。だからそんなに気を落とさないでくれ。現に榛名の部屋には金剛達姉妹を始めとして色々な艦娘達がいつ榛名が戻ってきてもいいように部屋の掃除もしていてくれているしな」

《はい……すみません提督、浜風。また落ち込んでしまっていました……》

 

それでもまだ気落ちしているのか表情がどこか暗い。

うーん……こういう時の榛名は色々と引きずりやすいからな。

 

「とにかく。榛名、いつかお前が自由になれるように私も明石達と一緒に考えているからそんなに落ち込まないでくれ。でないと私も悲しい……」

《提督……。はい、わかりました。まだまだ榛名は大丈夫です!》

 

それでなんとか元気に振る舞う榛名の姿を見てよかったと思うと同時に、まだ痛々しいなと思ってしまう自分がいて心が痛んだ。

だけど表面上は今のところは大丈夫だろうと思うので榛名の気持ちを汲む事にした。

だから今はもうこの話題は掘り起こさない事にする。

 

《ところで浜風》

「はい、なんでしょうか榛名さん?」

《これからも提督の事を守ってくださいね。私はこんなですからいつ提督が襲われても対応できませんので……》

「わかりました。浜風、必ず提督の事をお守りします」

 

榛名の気持ちは嬉しいけど私は榛名をこそ守ってやりたいんだよな。

いつも裏ではどこかで傷つけていると思うから榛名のためになる事をしてやりたい。

そんな私の思いとは裏腹に、

 

「それじゃいこうか」

《はい!》

「わかりました」

 

私はこの偽りでもいい平和な時を味わうために心を隠す。

榛名にこんな思いを知られたらまた榛名は心を病んでしまうかもしれないからだ。

だから……今はまだこの関係を続けていこう。

浜風が言ったようにいつか、報われる時が来る日を信じて……。

そんな事を考えていると遠くからおそらく山城と扶桑の声なのだろう、マイクを使って声が響いてくる。

 

『えー、ほ、本日はお日柄もよく……』

『山城……? どこかいつもの喋りではないわよ?』

『そ、そんな扶桑姉さまこそ……』

『ああ、そうね……こんなに空は青いのに……』

『『……―――不幸だわ』』

 

そんなやり取りが聞こえてくる。

おそらく大トリを飾るために日向に司会を頼まれたのだろうけど緊張してテンパっているのだろう。

 

《ふふっ……扶桑さんも山城さんもおかしいですね》

 

榛名はもう自然な笑みを浮かべているので安心かな?

私ばかりが沈んでいても仕方がない。

今日という日を楽しもうか。

 

そうして私と浜風と榛名は瑞雲祭りを楽しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして瑞雲祭りも最後には盛大に幕を閉じて立派に最後を飾れたのだろう扶桑と山城も満足そうに笑みを浮かべていた。

最後に艦娘音頭を踊って私達は町長さん達に挨拶もして鎮守府へと帰ってきた。

少しこの祭りの終わりが名残惜しいと感じるほどには楽しかったので日向もどこかやり切った感じの顔つきであったのが印象的だった。

 

《提督。本日は楽しかったですね》

「ああ、そうだな」

《それでは明日に備えてまた頑張っていきましょう!》

「うん。明日には文月の改二も控えている事だしなにより榛名とのケッコンカッコカリのお祝いも開かないとな」

《あ……はい!》

 

それで嬉しそうな笑みを浮かべる榛名。

私が守りたい笑顔だ。

これからもこの笑みを見たいがために頑張っていかないとな。

 

「それじゃ榛名。明日に備えてもう寝るとしようか」

《はい。それではお休みなさい、提督》

「ああ、お休み榛名……」

 

それで私と榛名は眠りにつくのであった。

だけどその時には気づいていなかった。

榛名の指輪が淡く光を放っていることに……。

そして翌日には最良の一日になるだろうことも、この時の私には知る由もなかった。

 

 

 




今日の瑞雲祭りではなにかしらの発表はあると思いますけどこの話は昨日書いていますので触り程度しか瑞雲祭りに触れていません。
夏イベに関してなにかしら情報があったらいいですね。
そして最後になにやら不思議な展開をさせてみました。
真相は明日の話で書かせていただきますね。



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