【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0136話『択捉の気持ちと松輪の着任』

 

 

今日から後段作戦を攻略開始しようという思いでもう甲はしないだろうという感じで進めていた。

そんな中、E-5『地中海への誘い』の地中海キプロス島沖海域では択捉型海防艦二番艦である『松輪』が魂が捕らわれているという話がある。

それなのでまずは丙作戦で進めて松輪救出を先にしておきたい所存であった。

そしてそれに呼応して今現在執務室には択捉が私の提督机の隣に置いてあるもっぱら駆逐艦が多く使うデザインの椅子に座っていた。

 

「司令。松輪の事をお願いします。私も早く松輪に会いたいですから」

「任せておけ。必ず彼女の事を救出しような」

「はい!」

 

択捉と元気に会話をしていると第五海域攻略艦隊の面々が執務室へと入ってきた。

旗艦を照月にして、イタリア、ウォースパイト、グラーフ・ツェッペリン、加賀さん、雪風の六人で行ってもらおうと考えていた。

 

「司令! この雪風にお任せください!」

「照月の対防空でお空をお守りしますね!」

 

ビシッ!という敬礼が似合う雪風が最初に声をあげた。

続いて照月が声をあげる。

うんうん。やっぱり駆逐艦の子達は元気だな。

それで私は二人の頭を撫でてやった。

 

「やりました!」

「えへへー……」

 

喜んでいる二人を横目に私は残りの四人に視線を向けて、

 

「イタリアとウォースパイト、グラーフは海外艦としておそらく特攻があると思う。だから頼んだぞ」

「わかりました。イタリア、頑張りますね」

「アドミラルの頼みでしたなら快く承りますわ」

「そうだな。アトミラール、我らの活躍を愉しみにしておいてくれ」

 

三人は海外艦とはいえ国が違うから少しは揉めるだろうけどそれに関してはもう過去に何度もやっているのでどうにかなるだろう。

そして最後に加賀さんへと目を向けて、

 

「加賀さん。みんなのまとめ役をお願いします」

「わかったわ。きちんとまとめ上げるから期待しておいて……」

 

表情筋が少し死んでいるけどそれでも強気の笑みを浮かべる加賀さん。

ここぞという時に頼りになるんだよな。

前回の大規模作戦で活躍させてあげられなかったから今回はぜひとも頑張ってもらいたい。

 

「そして最後に択捉からみんなに話したい事があるそうだ。聞いてやってくれ」

 

それで六人は私の隣にいる択捉へと視線を向ける。

それで択捉は少し萎縮してしまっているけど勇気を出して言葉を紡ぐ。

 

「あの……! 皆さん、お願いがあります! 私の妹の松輪が深海棲艦に魂を捕らわれていると聞きました。できれば私が自ら助けに行きたいんですが自身の力不足は自覚していますので、それで皆さんに松輪を救出してもらいたいんです。よろしくお願いします!」

 

そう言って択捉は頭を下げた。

そしてすぐに照月とイタリアが択捉の肩に手を置いて、

 

「照月達に任せておいて! 妹さんは必ず助けるから!」

「そうですねー。イタリアもローマという妹がいますから他人事とは思えませんからお任せください」

 

姉妹艦がいる二人ゆえなのだろう。

かなり燃えているな。

択捉もそれで安心したのか「司令、もう私からはいいです」と言って引き下がっていった。

 

「まぁそんなわけでみんな。まずは松輪救出のために頑張ってもらいたい」

「「「了解」」」

 

そしてみんなは出撃していった。

とうの択捉はというと、

 

「択捉。もし松輪が救出されたらすぐに伝えるから部屋で待っていてもいいんだぞ? 長丁場になるかもしれないからな」

「いえ。司令のお気遣いには感謝しますがすぐに知りたいので私もここで待たせてもらいます。よろしいでしょうか……?」

「そういう事なら構わないよ。でも無理そうだったら強制的に部屋に戻らせるからな?」

「はい、わかりました」

 

それで出撃した艦隊の報告を待っていた時だった。

 

『提督! 戦艦夏姫との接触を確認しました。交戦に入ります!』

 

照月からそんな報告が来たので、

 

「わかった。丙作戦だからそんなに苦労はしないだろうけど用心してかかってくれ」

『わかりました!』

 

それで照月との通信を切る。

 

「でも松輪……早く救出できるといいですね」

「そうだな。こういう時の深海棲艦は中々渋ってくるからな。さっきも言ったように長丁場を覚悟しておいてもいいかもしれないな」

「ですね」

 

それで択捉とともにこれから苦労するだろう溜息を吐いている時だった。

また照月から通信が入ってきた。

 

「どうした照月……? みんなは無事か?」

『う、うん……みんなは誰も轟沈していないよ。戦艦夏姫も倒すことが出来たから。だけどね、そのね……』

 

うん? なんだ、どことなく照月の言葉に歯切れが悪いな。

なにか突発的な事態にでも陥ったのか……?

私がそれで不安がっている時だった。

 

『提督に択捉ちゃん? 落ち着いて聞いてね? その、松輪ちゃんが救出出来ちゃった……』

「は……?」

「え……?」

 

それで私と択捉は間抜けな声を上げてしまった。

私の聞き間違いでなければ松輪が救出できたという。

 

『それじゃすぐに帰投するから待っててね!』

 

それで照月は通信を切った。

だけどまだ上の空だった私達だけど次第に現実味を帯びてきたのか択捉の表情が喜びで彩られた。

 

「司令! 松輪が、松輪が鎮守府に来ます!」

「そ、そそそそうだな! でも一旦落ち着こうか!」

「そ、そうですね! それじゃヒッヒッフー……」

「択捉!? それは違うぞ! それに択捉がするとなにかいけない事みたいで……!」

 

それで執務室は混乱の様相を呈していた。

 

《提督? それに択捉ちゃんも落ち着いてください。嬉しいのは分かりましたから松輪ちゃんが来る前に冷静になっておきましょう》

 

榛名の一声で私と択捉は冷静になれた。

こういう時に冷静な榛名がいると助かるな。

 

「ありがとう榛名。落ち着けたよ」

「はい。ありがとうございます、榛名さん」

《いえ……》

 

それで私達は今か今かとみんなが帰投するのを待っていると外から秋津洲の声で『第一艦隊帰投かもー!』という声が響いてきた。

それで私と択捉も窓から帰ってきた皆を見た。

その中に見知らぬ格好と容姿をした子がいたのであの子がおそらく松輪だろう。

択捉はそれで嬉しそうに表情を綻ばせていた。

しばらくして照月が執務室へと松輪を連れてきた。

 

「提督。第一艦隊旗艦照月帰還しました!」

「ああ、おかえり」

「そしてこちらが……挨拶できる?」

「はい……。海防艦、松輪です。司令、よろしくお願いします。択捉ちゃんも、会えて嬉しい……」

「私もですよ! 松輪、ようこそ!」

「ああ。これからよろしく頼むよ松輪」

「はい……」

 

それで択捉とも再会できて松輪は嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「それじゃ択捉。ちょうどいいから松輪を特殊艦寮の一画にある海防艦達の区画に案内してやってくれ」

「わかりました! それじゃ行こう、松輪!」

「うん、択捉ちゃん!」

 

それで二人は手を繋いで仲良く出ていった。

うんうん、良きかな。

さて、気持ちを切り替えてこれでもうこの海域には未練はないからさっさと攻略をしてしまおう。

 

「照月。乙作戦に切り替えて攻略を再開してくれ」

「わかりました! 正直に言えば丙作戦の戦艦夏姫は弱かったのでちょうどいいです」

 

それで編成を変えずにギミックなどと言った面倒もやってもらい、乙作戦だというのに特に苦労はせずにストレートで戦艦夏姫を倒すことが出来た。

うん……水着を着ていたらしいので装甲が弱かったんだろうな……。

そしてこれで攻略報酬で『一式陸攻 二二型甲』が手に入るので主力陸攻がやっと九つ揃った事になる。

これでもう陸攻不足に悩まされる心配は無いだろうな。

次の海域も頑張るとしよう。

 

 

 




装備さらし。

照月改          10㎝連装高角砲+高射装置(MAX)×2、13号対空電探改
イタリア         Iowa砲、試製41㎝三連装砲(☆6)、紫雲、一式徹甲弾
ウォースパイト改     Iowa砲、試製41㎝三連装砲(☆6)、零観(MAX)、一式徹甲弾
グラーフ・ツェッペリン改 村田隊、52型熟練(MAX)×2、彩雲
加賀改          52型熟練(MAX)、岩本隊(☆6)、村田隊、烈風(六〇一空)
雪風改          61㎝五連装(酸素)魚雷×2、照明弾


ギミック解除の編成は単に集積地だと戦艦には三式弾、駆逐艦にはWG42を積んで特攻させました。
PT小鬼群は最初の解除以外は放っておきました。編成例の装備で何とか倒せましたから。


なんと松輪は一発でドロップしました!
とても嬉しいです!




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