【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0145話『イギリス艦の語らい』

 

 

 

「なるほど……Admiralにはそのような事情があったのだな。道理で女性なのに口調がどうにも男性っぽかったと多少の違和感を感じていたが間違いではなかったのだな」

「ええ。でも中身は男性だけど今はもう女性だからなのか色々と融通が利くのがMy Admiralのいいところよ」

 

私はウォースパイトから空母寮での私の部屋となる場所の整理をあらかた終わらせた後にAdmiralについて色々と聞いていた。

ウォースパイトもだがもともとこの艦隊の艦娘達は違う世界の出身だという。

所謂私達がゲーム?でのキャラクターという存在の世界でAdmiralももともとはただの一般人と変わらなかったらしい。

それが今となってはJapanのBattleshipであるハルナと一緒になってしまい、この艦隊を率いる立派なAdmiralとなり日々海の平和を守っているという。

 

「だからMy Admiralの感性が一般人のそれだからあまりうちの艦隊の規律はそんなに厳しくないのよ。だけど緩くもなくみんなが協力して成り立っていると言っても過言ではないわ」

「お互いに共存しあっている証だな」

「それもあるけどもともと私達はMy Admiralがこの世界に来る前から色々と知っていたのもあって隠すことも互いにあまりないのよね」

「なるほど……積み上げられてきた実績と信頼というやつだな」

「そう言う事よ」

 

そう言ってウォースパイトは優雅に笑みを浮かべながら紅茶を口に含んでいる。

それにしても何度か思った事だがウォースパイトはAdmiralの前に“My”を付けて話をする。

そして薬指には光る指輪がある。

お堅いイメージがあったウォースパイトがこんなに柔らかい笑みを浮かべるのだからケッコンカッコカリというシステムの恩恵に賜わっているのだな。

聞けばAdmiralは何人もの艦娘と絆を結んでいると聞く。

最初は軽い奴なのか……?と不安に感じたけど、それでもこの艦隊の艦娘達と挨拶がてらにAdmiralの印象を聞いてみると特に不満な点はないという。

むしろ絆を結べて嬉しい奴も何人もいたからな。

そしてAdmiral自身は一番に愛しているのはハルナだという。

だからみんなも諦めはついているとも聞いた。

しかし、それを聞いてみると何度も思う。

 

「なぁ、ウォースパイト。Admiralはハルナと触れ合えないのを悔やんでいないのか……? 今の現状に不満とかなども抱いてはいるのだろう?」

 

私がそうウォースパイトに聞くが、それでウォースパイトはまた嬉しそうな笑みを浮かべる。なんだ? なにか変な事を言ったのか……?

私が少し不安に感じているとウォースパイトは話してくれた。

一年で一日限りのAdmiralとハルナが触れ合える瞬間の事を……。

それを聞き終えて、

 

「ね。なかなかロマンチックでしょう……?」

「そうか。ケッコンカッコカリの日だけ触れ合えるというのか。確かにロマンある話だな」

 

そうだとしたらAdmiralは中々に我慢強いのかもしれないな。

好きな異性と一年で一日しか触れ合えないというのは常人では耐えきれないだろうと私は思うからな。

 

「そうなのよ。あ、そうね。アークロイヤル、この艦隊では作戦が終了したら盛大に新たに艦隊に加入した艦娘の歓迎会と作戦終了のお疲れ様会を開くのだけど、まだ欧州の危機は去っていないから作戦が終わるまでお預けよ」

「分かっている。まだまだあの欧州棲姫が海域を荒らしていると聞くからな。落ち着くまで待つさ」

「それならいいのよ。さて、My Admiralの件について説明は終わったから後は空母の皆さんと交友を深めてきたらどう……? 昨日はビスマルクと色々と遊んでいたからまだ挨拶は色々としていないでしょう? 貴女が来たのは夜遅くだったから……」

 

そうなのである。

あのビスマルクまでこの艦隊にいるとは思っていなかったのでつい柄にもなくはしゃいでしまった。

ビスマルクも最初の内はなにかと我慢しているみたいだったけど途中で耐えきれなくなったのか猫も真っ青なダッシュをかましてくれたからな。

それで仕方なく私はソードフィッシュを発艦させて捕まえようとしたらビスマルクは白目を剥いて気絶してしまった。

はて、なにがいけなかったのだろうか……?

ビスマルクを回収しに来た重巡のドイツ艦になにかと怯えられながらも挨拶を交わしたが、はて……。

そう考えているとAdmiralが教えてくれた。

 

「ビスマルクはソードフィッシュにトラウマを持っているからな。こう、なんていうか本人の前で言うのもなんだけどアークロイヤル自体にも少し怯えの気持ちがあるしな」

「それはなぜだ……?」

「あー……過去の事を思い出してもらえると分かると思うんだけどビスマルクは君の発艦させたソードフィッシュ隊に痛い目を見ているだろう? そこから苦手意識があるんじゃないか……? 現にさっきのソードフィッシュの襲撃で気絶してしまったしな」

「なるほど……だが私としては過去の件は過去として扱っているからビスマルクとはぜひ仲良くしたいのだけどな……」

「まぁそのうちビスマルクも慣れるだろう。これでもビスマルクはうちの海外艦の外交筋だからな」

 

そんなAdmiralとの話を思い出して、

 

「ビスマルクはなにかと信頼が厚いんだな」

「まぁそうね。来るのは結構遅かったらしいけどなにかと海外艦の子達をまとめ上げる事に関しては一目置かれているわね」

「ドイツは規律と法に厳守した国だからな。その役職も当然の帰結だな」

「ええ。ビスマルク本人としては次々と来る海外艦の把握に手こずっているらしいしね。私が着任した時も嫌そうな視線を浴びせられたから……」

 

それで当時を思い出しているのだろう、ウォースパイトは少し不機嫌な表情になっていた。

……なるほど。この艦隊の歴史と思い出も結構なものなのだな。

さすが現在Japanで確認把握されている艦娘が全員この艦隊にいるだけはあるな。

 

「色々と説明感謝するぞ、ウォースパイト」

 

それで私はそろそろ空母寮の者達に挨拶をしていった方がいいだろうと思い立ち上がったらちょうどよく扉がノックされる。

入っていいと言うと扉が開かれてそこには午前中に紹介された世界で初めて建造されたという空母のホウショウが入ってきた。

 

「失礼しますね。アークロイヤルさん、少しよろしいでしょうか?」

「大丈夫よ」

 

礼儀正しくホウショウは私に挨拶をしてくる。

なるほど、これがJapanの空母の礼儀正しさという奴か。

 

「それではまだ作戦が終了していませんので盛大には開けませんけど空母の艦娘だけの集まりでの小規模の宴会が開かれますのでアークロイヤルさんもいかがでしょうか……?」

「わかった、参加しよう」

「そうですか。それでは着いてきてください。すみません、ウォースパイトさん。そういう訳ですのでアークロイヤルさんを連れていきますね」

「わかったわ、ホウショウ。楽しんできなさいね、アークロイヤル」

「ああ」

 

それでウォースパイトは部屋を出ていった。

それから私は空母の一同に迎え入れられて盛大に歓迎されるのであった。

海外の空母も何人かいたので孤立しないで済んだのも幸いだったな。

 

 

 




8月よ、さらば…。また、会えるから……。

今回は前回に引き続き、アークロイヤルとウォースパイトの会話で書いてみました。
……さて、そろそろ日常のオリジナル話メインに移行しますので誰を主役にするか考えないといけませんね。
毎日更新はそこが難しいですからね。頑張らないと!



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