【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0161話『観艦式の情報で喜ぶ子達』

 

 

昨日に関東方面の横須賀鎮守府で観艦式が行われていた。

有名どころの鎮守府の艦娘が各地から集まって盛大に催しを開いたという。

まぁ、うちの鎮守府にはお声はかかってこなかったんだけどね……。

それも仕方がない事ではある。

もうこの世界に来てから五か月以上は経過したとはいえまだまだ私達の鎮守府は珍しい目で見られているというのは違いない事なんだから。

だから宿毛湾泊地から代表として観艦式に参加したのは柳葉大将だったという。

その観艦式で少々お疲れのところだと思うのだけど柳葉大将の方から連絡を受けたのだから出ないわけにはいかないので私は電話越しに会話をしていた。

 

『榛名提督。君の活躍は聞いているよ。今回の大規模作戦でも遠路はるばる欧州まで艦隊を遠征させたらしいではないか』

「はい。同盟国の危機なのですから出ないわけにはいかないですからね」

『そう言ってくれるとこの世界の人間としてはありがたいのだけどな……。すまないな、今回の大規模作戦では日本の危機ではないために中々腰を上げない提督が多かったのも事実でな。特に日本に拠点を置いている提督は半数以上が今回の大規模作戦を見送っていたのだ……』

「そうなのですか……」

 

その話を聞いて所詮は他国の危機と割り切っているのか、それとも日本の防衛に専念したいという感じなのか私には判断がつかなかった。

全世界で今もなお深海棲艦が跳梁跋扈していて艦娘達のおかげでなんとか制海権をギリギリ保てているというのに未だに各国との連携が厳しい世の中という現実に私は頭を悩ませていた。

 

「やはり、20年以上深海棲艦と戦い続けていても一丸となれませんかね?」

『儂もそれは常日頃から考えているのだがな……さすがに政治に口を出せるほどには儂も一提督でしかないから権限はないからな』

「結局は国のトップ同士が判断する事なのですね」

『うむ……』

 

それで一旦私と柳葉大将との会話は途切れる。

だけどしばらくして、

 

『まぁ、そんな儂たちにはどうにもできない話より儂や榛名提督にとっても役立つだろう話でもしていくとしようか』

「と、いいますと昨日の観艦式でなにか大々的な発表がありましたか……?」

『うむ。まぁいつも通り民間人も招いてのパーティのようなものだったがな。大本営の話によれば次に起こるであろう大規模作戦では現状で分かっているだけでも二人の駆逐艦を報酬として出すという』

「もう次の作戦での報酬を提示しているのですか。それだけ深海棲艦が活性化する時期を判断しているという事ですね」

『うむ。もうかれこれ二十年以上戦い続けてきて深海棲艦が活性化する時期や習性などは大本営や軍司令部も大方は把握しているからな』

 

うん。メタな発言をするとこの世界の深海棲艦はゲームと同じみたいに年に四回活性化する事が私としては例外がない限りは知識として知っている。

艦隊これくしょんというゲームを作っている会社は各々の提督の資材回復期間を踏まえて四回という回数で一年を回している。

他のソーシャルゲームみたいに定期的にイベントを開催していたら資材なんて貯められる余裕なんて微塵もないしね。

そんなゲームのルールがこの世界では深海棲艦の決まり事でもあるのだろうね。

未だ正体不明な深海棲艦がどうやって数で攻めてくるのか分からないけど、あっちにも回復期間などはあることは分かっているという事だな。

 

『っと、そうだな。まずはその駆逐艦なのだがもう一人だけは誰が報酬で来るのか判明しているのだ』

「誰なのですか……?」

『うむ。秋月型三番艦の『涼月』だ』

「ついに涼月が実装されるのですか。秋月たちが喜びますね」

『そうだな。うちにも三名はいるから喜んでもらいたいな』

「はい」

『そしてもう一人はまだ名前は公表されてはいないがイギリスの駆逐艦を一隻実装するという話だ』

「なるほど……」

『今のところ分かっているのはその二名だけだが、すまないな』

「いえ、十分な情報をありがとうございます。それで他にはなにかあるのですか?」

『うむ。榛名提督はまだこの世界での秋を体験していないから分からないと思うのだが、秋になると漁師の団体の間で艦娘の警備を要請してくる事がある。これを俗に儂達は秋刀魚祭りと呼んでいるな』

 

あぁ、この世界でもこのプチイベントはあるんだなぁ……。

私は少し心が洗われるような気持ちになりながらも、元の世界での差異はないかと思い、黙って柳葉大将の話を聞いていた。

 

『この時期の深海棲艦は大規模作戦並ではないが秋刀魚やその他の魚を捕獲しているという。深海棲艦の主食なのかは分からないが、漁獲エリアでの深海棲艦を倒すことによって安定した漁を漁師の皆さんが行い、艦娘達はその漁師さん達を守る。そして守ってくれるお詫びに漁獲した秋刀魚を幾分か提供してくれるという話になっている』

「まさにWin-Winの関係という訳ですね?」

『その通りだ。だから榛名提督も秋刀魚漁が開始されたら大本営から任務が通達されると思うから参加しておいて損はないと思うぞ』

「そうですね。秋刀魚は美味しいですからね。艦娘達もきっと気に入ってくれます」

 

それで柳葉大将とその後も色々と話をした後に、

 

『つい長話をしてしまったな。そろそろ切らせてもらうよ。榛名提督が今後も活躍してくれるのを祈っているよ。ではな』

「はい。また話し合いましょう」

 

それで柳葉大将との電話会談は終了した。

その後に私はまだ未確認のイギリス駆逐艦の件はあやふやなために話題には出さないでおこうと決めた後に、秋月達を執務室へと呼んだ。

しばらくして秋月、照月、初月の三名が執務室へと顔を出してきた。

 

「どうされましたか司令?」

「うん。三人ともそんな重要な案件……なのかな? とにかく楽にして構わないよ」

「なんか歯に挟まっているような感じだね提督」

「まぁな照月。君達三人にとっては重要かもしれない案件だからな」

「なんだい? 少し僕も興味が出てきたな」

 

それで私は焦らすのも悪いと思ったので話すことにした。

 

「まだ大規模作戦が終わったばかりで気の早い話だとは思っているんだけどな。今度の秋に発生するだろう大規模作戦では秋月型三番艦の……」

「涼月ですか!?」

「涼月なの!?」

「涼月姉さんなのかい!?」

 

私が名前を言う前に三人が速攻で反応して提督机に身を乗り出してきていた。

それで私は驚いて思わずのけ反ってしまった。

 

《三人とも、落ち着いてください。提督がまだ最後まで話していませんよ?》

「「「あ、すみません……」」」

 

それで三人は一旦下がった。

 

「ありがとう榛名」

《いえ、大丈夫です》

 

榛名に礼を言った後に、改めて私は発言をする。

 

「まぁ三人の予想通り、秋の作戦で涼月が実装されるという」

「そうですか! 秋月、頑張ります!」

「そうだね秋月姉! 初月も頑張ろう!」

「ああ。必ず涼月姉さんを迎え入れよう!」

 

それで三人は意欲を燃やしていた。

うん、元気があって大変よろしい。

 

「だけどな。まだ先の話だから今からそんなに気張っていてもばててしまうからほどほどに意欲を燃やしておいてくれ。私も必ず手に入れるように頑張るから」

「「「はい!」」」

 

それで三人は新たな姉妹の情報を貰ったのか嬉しそうに執務室を出ていった。

出ていく際に、

 

「あ、司令。秋と照と初の三人にも伝えておきますね」

「ああ、頼んだ」

「それでは失礼しました」

 

それで三人は出ていった。

ちなみに秋と照と初と言うのは二人目の三人の呼び名である。

三人とも改装した状態で錬度はストップしてしまっているから駆逐艦全員が70まで上げ終わったら上げていこうと思っている。

照月に至っては三人目もいるからまだまだ錬度上げは頑張らないとだしな。

そして三人を見送った後に、

 

「秋の大規模作戦もまた少し装いが変わっているらしいからどうとも言えないけど、まずは秋刀魚祭りを頑張っていこうな」

《はい、提督》

 

それで私はまたモチベーションを上げるのであった。

 

 




久しぶりの柳葉大将の出番でした。
そして昨日の観艦式では色々と発表がありましたね。
涼月にイギリス駆逐艦。
さらにはHTML5に移行しての艦これ第二期の発表。
それと同時に実装される友軍艦隊。

友軍艦隊がどういう仕様になるのかは分かりませんが、今まで通りソロプレイが魅力のゲームでいてほしいですね。
下手に協力プレーが実装されてしまったら例えば『大和武蔵ケッコン済み以外はお断り』とか『友軍艦隊はカンストかケッコン艦六隻が当たり前』とか変なルールをつけてソシャゲみたいになってしまいますし……。
運営の手腕を信じたいですね。




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