【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0163話『第五航空戦隊の集まり』

 

 

アタシ、朧はなにやら瑞鶴さんと翔鶴さんが小さな催しを開くというので談話室へと向かっていた。

そこで道中で秋月と秋と秋雲と遭遇する。

なにやら秋続きで紛らわしいけどそこはもううちの鎮守府では慣れたものである。

それなので、

 

「秋月に秋に秋雲も瑞鶴さん達に呼ばれたの……?」

「あっ! 朧先輩!」

「はい! そうなんです朧先輩!」

 

二人の秋月が揃ってアタシに近寄ってくる。

秋月の違いと言えば提督とケッコンカッコカリしている方が指輪をしているくらいかな?探せば他にも見つかりそうだけど同型の艦娘だからどうしても一緒に見えてしまうのは致し方ない事だ。

だから、

 

「秋月」

「はい!」

「秋」

「はい、なんでしょうか?」

「いや、確認の意味も含めて呼んでみただけだからもう大丈夫だよ」

「「はぁ……?」」

 

それで二人とも不思議そうな表情をして首を傾げている。

ほんとー同じ仕草だから迷うよね。

そこに秋雲もアタシに近寄ってきて、

 

「わかる。わかるよー朧。この秋雲さんでもたまにどっちがどっちか分からなくなるから」

 

それでなははーとあっけらかんに笑う秋雲。

アタシも少しは気を使っているんだからそんなに正直に言うものじゃないと思うんだけどなぁ……。まぁ秋雲に関しては今に始まった事じゃないから諦めているんだけどね。

 

「……まぁ、いいや。それじゃさっさと談話室にいこうか。久しぶりに第五航空戦隊で集まれるんだから」

「「了解しました」」

「あいよー」

 

それでアタシ達は談話室へと向かっていった。

そして到着してみれば談話室には『第五航空戦隊・貸し切り』という看板が貼られていたのでアタシ達は笑みを浮かべながらも入ろうとする。

だけどその前に秋月と秋がふと呟く。

 

「でも、実際私達は第五航空戦隊に所属していたわけではありませんからなんとも……」

「そうですね、秋。ただ五航戦のお二方を護衛したというだけですからね」

 

それでどこか気が引けている二人の姿がそこにはあった。

馬鹿だなー……。真面目も過ぎるとどうとか言うけど……。

 

「ふぁ……?」

「朧先輩……?」

 

だからアタシはそんな二人の頭を撫でてやりながらも、

 

「確かに二人は第五航空戦隊所属じゃないかもしれない。だけど瑞鶴さん達と運命を共にした仲じゃない? だから胸を張りなさい」

「おーおー。さっすが朧だね。先輩風を吹かしているよ」

「茶化さないの秋雲」

「へーい」

「まったく……」

 

アタシがそれでやれやれと頭を振っていると二人も自信がついたのか、

 

「はい! 朧先輩ありがとうございます!」

「なんとか自信が戻ってきました!」

「そう……それならいいんだ」

 

秋月と秋が自信を取り戻してくれたので良かったと思う。

そんな時に談話室の扉が開かれて、

 

「そうよ、秋月に秋。あなたは最後まで私に着いてきてくれたじゃない? そこは誇りに思ってほしいわ」

「「瑞鶴さん……」」

 

談話室の中からアタシ達の話を聞いていたのだろう瑞鶴さんが顔を出してきた。

 

「そうですよ。秋月さんに秋さん。だからそんなに自分を落とし込んではいけませんよ」

「翔鶴さん……はい」

「わかりました」

「よし! それじゃちゃっちゃと始めるから中に入ってよ四人とも!」

 

瑞鶴さんにそう促されてアタシ達は談話室の中へと入っていく。

そして翔鶴さん以外の全員が着席したのを合図に翔鶴さんがアタシ達にお茶を出してくれた。

 

「つまらないものだけど、これも食べてちょうだい」

 

そう言って翔鶴さんは手作りなのだろう和菓子を出してくれた。

 

「わぁ! 美味しそうです!」

「そうですね、秋!」

 

秋月と秋がそれで目を輝かせている。

生前の暮らしが定着しているのか秋月は……いや、秋月型のみんなは質素なものをよく食べる傾向があるからこういうものが出されるとそれはもう嬉しそうな顔を浮かべるんだよね。

そこが秋月達の魅力でもあるんだけど。

 

「さっすが翔鶴さん。ところで瑞鶴さんはなにかありますか……?」

「うっ……私が料理が苦手なのを知って言っているでしょう? 秋雲」

「あははー……冗談ですからそんな睨まないでくださいよ」

「うー……」

 

秋雲が冗談だと言って笑い、瑞鶴さんが拗ねてしまっている。

そんな、どこか少し羨ましいやり取りがなされる。

秋雲は気兼ねしない性格をしているから誰とでもフレンドリーに接することが出来るんだよね。

アタシは性格がこんなだからこういうやり取りは本当に羨ましいと思う。

 

「ふふふ……。楽しそうね瑞鶴」

「翔鶴姉~……そんなんじゃないんだからー」

 

そんなみんなのやり取りを包容力のある笑みを浮かべながら見守っている翔鶴さん。

こんなバラバラな個性のあるメンバーだからか意外と調和が取れているんだろうなとアタシは思う。

それから仕切り直しで色々と最近の話などをしだすアタシ達。

例えば「提督について」とか「新しい子について」とかなど。

それで話題になったのは、

 

「あ、聞いてください瑞鶴さん!」

「んー? なに、秋月?」

「はい! 司令から聞いたのですがとても嬉しい事だったんです!」

「なにがあったのですか、秋月さん?」

 

秋月はどこか嬉しそうに表情を綻ばせる。

この顔はアタシ達にしか見せない顔だと思った。

姉妹の照月と初月には姉としての顔を見せる事が多い秋月だからか一人の女の子としての顔を見せる時は大抵アタシ達に話をする時なんだ。

だから相当嬉しい事があったんだと推測する。

果たしてその推測は当たっていた。

 

「はい、妹の涼月が今度の作戦で艦隊に合流するそうだという話です」

「えッ!? それって本当なの!?」

「本当なのですか秋月さんに秋さん!」

「秋雲さんもまだ掴んでいない情報だよ!」

「驚いた……」

 

アタシ達はそれで全員驚いていた。

だとすると、

 

「するとついに第六一駆逐隊がもう少しで揃うという事だね。若月がいつ来るのか分からないけど近いうちに来てほしいね」

「はい!」

 

それでニコニコ顔の秋月と秋だった。

 

「そっかー。涼月がね。それだと坊ノ岬沖組もリーチになるじゃない?」

「そうね、瑞鶴。大和さん達にももう知らせたの……?」

「それがまだなんですけど、どう切り出せばいいか迷っているんです」

「司令が仲介してくれればありがたいんですけど……」

 

それでシュンッとなる秋月と秋。

だったらという感じで、

 

「それじゃ朧達が手伝うよ、秋月?」

「いいんですか……? 朧先輩」

「うん。情報はみんなで共有しないといけないからね。楽しみにしておいて損はないだろうしね」

 

それでアタシ達は後日に涼月と関わりのある艦娘の人達に情報を伝える事にした。

もう次の仲間の情報があるっていうのはアタシ達の活力になるから嬉しいね。

アタシもまだまだ練度は低いけどいずれまともに戦えるようになるんだ……。

 

 

 




今回は朧視点で五航戦護衛組の三人と瑞鶴翔鶴でガールズトークを差せました。
いや、イベントが楽しみですね。
朧もそろそろ上げていこうとは考えているんですけどまだまだですね。




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