【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0165話『雷の取り調べ』

 

 

 

 

朝になったので私は目を開けて起きようとしたんだけど起き上がる前にふと頭の置き所に違和感を覚えたのでなんだろうと思いながらも目を開けてみるとそこには雷が慈愛の表情で私を見下ろしていた。

 

「……あ、司令官。おはよう♪」

「いか、ずち……?」

「うん!」

 

雷はそのトレードマークの八重歯を覗かせながら笑みを浮かべる。

その表情はどこか楽しそうで……。

気づけば私は雷に膝枕をされている状態だったのだ。

どうりで枕が柔らかいと感じたわけだ。

それでなにかを言おうとするんだけど、

 

「司令官? どうしたの? なにか不安があった……?」

 

雷は私の心配をしているのかどこか不安げな表情を覗かせる。

二次創作でもよく小さいママとか言われているけど、なるほど……。

こういう事態はこの世界に来てから初めての事なので動転してしまって私は中々声を出せないでいた。

 

「大丈夫よ。この雷が司令官の不安を消し去ってあげるんだから!」

 

そう言って私の頭を笑顔で撫で始める雷。

ちょ……なにかいけない構図のような?

そんな事をまだぼーっとしている頭で考えていると榛名がようやく起動してくれたのか、

 

《あ、あの……雷ちゃん?》

「あ、榛名さんもおはよう!」

《あ、おはようございます……って、そうではなくて……》

 

榛名もつい純粋な雷に流されそうになっているけどどうにか言葉を出してくれるようだ。

 

《雷ちゃん……羨ましいです》

 

って、

 

「そうじゃないだろう!? 榛名!」

 

私はつい起き上がって榛名にツッコミを入れていた。

それで私の頭もやっと目覚めてくれたようでなんとか平常心を保ちながらも、

 

「そ、それで……雷はなんでここに?」

「うん。司令官を起こしにきたんだけど寝顔が可愛かったからつい膝枕して司令官が起きるのを待っていたの」

「そ、そうか……」

 

まぁ納得しておくとするか。なんかまた流されそうだけどこれ以上の事情はなさそうだし。

そんな時だった。バタンッ!と私の寝室の扉が開いて、

 

「司令官さん、失礼しますなのです。雷ちゃんはいますかって……やっぱりいたのです!」

 

電が顔を出してきた。

なにやら雷を探していたようで少し息切れをしている。

 

「もう~……雷ちゃん、司令官さんを甘やかし隊の会員メンバーの皆さんに抜け駆けをしたとして怒られちゃいますよ?」

「あ、ごっめーん……つい疼いちゃって♪」

 

そう言ってプリプリと怒っている電と反省していない様子の雷。

それより、なにやら聞捨てならないセリフを聞いたような……?

 

《あの……電ちゃん? その、司令官さんを甘やかし隊というのはなんですか……?》

「あ、そうですよね。いつも司令官さんと一緒にいる榛名さんは知らないのは当然なのです。その会員に入っているのは普段から司令官さんを甘やかしたいと思っている艦娘が集まっているクラブなのです」

「なんだろう……? 聞いている分には危険は皆無に感じるんだけど、どこか違う危険を感じるのは……?」

 

私はついそんな事を呟いていた。

それで電はため息を吐きながら、

 

「電は入っていないのですが、雷ちゃんとか鹿島さんとか夕雲さんとかが代表格なのです。他にもそれとなくメンバーは多いクラブなのです」

「なるほど……わかりやすいメンバーだな」

「いっつも司令官は榛名さんと一緒に甘えているから見てる分の私達は結構ストレス溜まっているのよ?」

 

それで雷はニカッと笑みを浮かべながらも、それとは裏腹にどこか毒が入っているようなセリフを吐く。

それで榛名は顔を赤くさせながらも、

 

《そ、そんなに私、提督に甘えているでしょうか……?》

「ま、まぁ電達もそれなりに榛名さんが司令官さんに甘えているのはよく見る光景なのです……」

 

どこか苦笑いの電。

そんなに露骨だろうか……?

 

「別段榛名とは普段の会話しかしていないと思うけどな」

《はい。それに触れ合えないのはやはり辛いですし……》

「司令官も榛名さんも甘いのよ!」

 

それで雷の雷が落ちた。ややこしい!

 

「触れ合えないからこそ、それ以上に司令官と榛名さんはいつも会話を欠かさないでしょう? それがどれだけ羨ましい事か……」

 

それでグッっと拳を震わせる雷。

 

「それに一年に一回でも触れ合えるなんて、とてもロマンチックだわ! ケッコンカッコカリした日というのがポイントよね!」

 

そう言って手を合わせて憧れていますという感じのポーズを取る雷。電もどこか一緒の仕草をしているのがポイントだ。

 

《はうぅ……》

 

それで榛名は恥ずかしくなったのかさらに顔を赤くして俯いてしまってしまった。

おそらく思い出しているのだろう、あの日の事を。

最後に二人でキスをして終わりにしたことを……。

 

「二人とも、その辺にしておきなさい。榛名がどんどん追い込まれている……」

「あーっ! もしかして司令官、榛名さんとあの日になにかあったんでしょう!?」

 

ぎくりッ!?

察しがいいな本当に。

 

《………ぅぅ》

 

榛名はもう虫の息だな。顔を赤くして俯いて無言になってしまった。

 

「な、なにもなかったヨー?」

「その、どこか金剛さんみたいなごまかしは効かないわよ司令官! さぁて、教えてちょうだい!」

「ワクワク……」

「その、黙秘権は使えませんか?」

「もちろん受け付けないわ!」

 

雷はもう空気を得た魚のようにどんどんと私に迫ってきている。

電もそれでどこか目を輝かせているではないか。

これは、まずいな……。

今はまだ布団の中だから圧倒的に雷に場は有利だ。

これはもう諦めるしかないのか……?

それで私は折れてしまう事にした。

 

「わかったわかった……。教えるから一回下がりなさい」

《て、提督!?》

 

榛名のどこか「そんなっ!」とでも言いそうな顔は印象的だったけど、

 

「ただし、口外だけはしないでくれ。それを約束しないと話さないぞ?」

「わかったわ! 我慢するわ」

「なのです!」

 

それで私はあの日の事を二人に教えた。

榛名はそれで恥ずかしさからか姿を消してしまったほどには二人はその内容に目を輝かせていたのは言うまでもない。

 

「あぁ……いいわね。身体が消える間近に行うキスって……とってもロマンチックじゃない!」

「はい! とっても羨ましいのです!」

「あはは……ありがとう。だからもう詮索はしないでくれよ? 榛名が拗ねて出てこなくなってしまう」

 

そう、今もなお榛名は私達に見えないように消えてしまっている。

それほどには恥ずかしいのだろう。

 

「榛名さん、お願い出てきて? この事は誰にも話さないから」

「はいなのです」

 

それで渋々といった感じで榛名はまた透明の姿を現して、

 

《本当ですね……?》

 

と、もう涙目だったのが可愛いと思ったのは内緒である。

 

「私達だけの秘密にしておくわ。こんな事が青葉さんにもしバレでもしたらその日には全員に知られるようなものだからね」

「司令官さんと榛名さんの大切な秘密を守るのです」

《ありがとうございます。雷ちゃんに電ちゃん……》

 

それで二人は秘密は守ると約束してくれたので良かったと思う。

それで少し気恥ずかしい朝だけどなんとか私達はどこかぎこちないけどいつも通りに過ごしていった。

ただ、何名かは「なにかあったな……?」という感じで見てきたけどな。

その度に榛名は思い出したのか顔を赤くさせていたので冷や冷やしたものだった。

 

 

 




本当は雷の秋グラにちなんで大団扇の作成話でも書こうかとも思ったんですけどいつの間にかこんな話になっていました。おかしいなぁ……?
毎日この子で書こうと思ったまではいいけど内容で迷走しているんですよね。



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