【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0167話『長良の早朝ランニング』

 

 

 

 

 

珍しくもないけど私は朝早くに起きたので外に出て鎮守府内を散歩していた。

この時間にはまだ大淀も執務室には来ないのでみんなも寝ている事もあり割と静かだ……。

まだ平気とはいえ少し半袖では肌寒くもあり、そろそろ長袖も検討していくのも一考かもしれないな。

 

《提督。気持ちの言い朝ですね》

「そうだな。少し霧がかかっているのはこの季節柄仕方がないとは思うし」

《ですね》

 

榛名とそんな会話をしながらもそんな少し霧がかかっている中を歩いているとなにやら霧の向こうから誰かが走っているのか息継ぎの声と走る足音が聞こえてきた。

それでこんな時間に起きていて尚且つ運動好きと言えば割と予測も可能な部類であるんだよな。

果たしてその走ってきた人物は私の予想通り、運動着に着替えている長良だった。

 

「あ! 司令官、それに榛名さん、おはようございます!」

「ああ、おはよう長良」

《おはようございます、長良さん》

「司令官はどうしたの? 朝の散歩……?」

「そんなところだ。そういう長良は朝の走り込みかい?」

「そうなんですよ! この季節はなにかと体調を崩しがちになってしまいますから体を鍛えていればそんなこともないでしょうから妹たちも誘ったんですけどどいつもだらしがなくて……」

 

そう言って長良は愚痴を開始する。

他の長良型はあまり運動を好んでするタイプじゃないからなぁ。

阿武隈とか鬼怒は朝も影響してダルイとか言いそうだし。

 

「あ、そうだ! 司令官も朝の運動はどうですか!? ちょうどいい感じに服装はラフな物みたいですし」

 

そう、今の私は少し涼しい格好をしている為、あまり他の子達には見られたくはないような恰好なんだよね。まぁ、だらしないというほどではないけど普段着みたいなものだ。一回少ししたら朝食前に制服に着替えようと思っていたんだよな。

 

「そうだな。まぁ着替える予定だったし、いいかな?」

「それじゃ早速走り込みでもしましょう! それ、ワンツー!」

「ッと、その前に少し準備体操をさせてくれないか?」

「いいですよー! 私も一緒にしますね」

 

それで長良と二人で一緒に準備体操をする。

そしていい感じに身体が温まってきたので、

 

「よし。それじゃ少し慣らし程度に走ろうか」

「うん! 司令官はほとんど戦闘時以外は執務室で仕事しているんだから体が鈍っていそうだし、最初は軽くいくね」

「あはは……ぐぅの音も出ないな」

《提督はお仕事が大変ですからね……》

「それじゃレッツゴー!」

 

それで私と長良は最初は軽くジョギング程度の感覚で走り出した。

出したんだけど……なんだろう? やっぱり体が鈍っているのだろうか……?

艦娘の身体になってから前の身体のようにそんなに筋肉痛は起こらなくなったんだけど、それでも継続的には鍛えていないから疲れ始めてきた。

 

「ほらほら。司令官、息が乱れてきてるよ。もっと効率的にしていかないとすぐにばてちゃうよ?」

「わかってはいるんだけど、やっぱり鈍っているんだよな」

「うん、それはもう分かった。だから私が司令官の事を鍛え治してあげるね!」

 

それから長良は少しペースを上げだした。

それで私もなんとか着いていこうとペースを上げていく。

長良のペースに合わせていくとそのうち本当に力尽きてしまうからこういう時に呼吸法を変えていかないと!

それで私は先ほどより慣れてきたのでなんとか呼吸を整えて長良に追いつく。

 

「お? 司令官、少し慣れてきたみたいだね」

「まぁね。これでも何度か島風と全力ダッシュをしているからそれよりは楽で済んでいるし」

「なるほどぉ。確かに島風ちゃんはどこまでも全力で走っちゃうからね。司令官の苦労がなんとなくわかるよ」

「分かってくれるか……」

 

それで少しジーンとしながらも、それでも走るペースを落とさない私達。

すると噂をしていたからなのか、私達の背後から猛スピードで誰かが走ってくる気配がした。

それで後ろを振り向いてみるとそこには島風が追い付こうと全力ダッシュをしていた。

 

「島風!?」

「おう! てーとく、おはようございまーす!!」

 

それで島風はあっという間に私と長良に追いついてきた。

 

「噂をすればなんとやら……どうしたの、島風ちゃん!」

「うん! てーとくと長良が走っているのが見えたんで混ざろうと思って全力で走ってきたの!」

「そっか! それじゃいっちょ勝負でもする……?」

「望むところだよ!」

 

……なにやら長良と島風が私を置いてきぼりにして勝負を始めるみたいな雰囲気になってきたな?

それで私は事前に二人に伝える。

 

「二人とも。私は私のペースで走っているから二人で走って来なさい」

「了解です! それじゃ島風ちゃん、いっくよー!」

「負けないからね!」

 

そして次の瞬間には二人ともすごいスピードを出して駆け抜けて行ってしまった。

そんな二人にさすがの私と榛名も苦笑いを浮かべながら、

 

「運動マニアの長良にスピード狂の島風……凶悪な組み合わせだな」

《そうですね。私達は自分のスペースで走っていましょうね提督》

「そうだな」

 

それで私達はマイペースに鎮守府を一周走り終わってみるとすでに二人ともゴールしていたのか私を待っていたみたいで、

 

「司令官! いい汗かいたね!」

「そうだな。島風もお疲れさま」

「うん!」

 

それでその後はいい感じに汗を掻いていたので服がちょっとベトベトになっていたためにお風呂に入ってこようという話題になったんだけど、

 

「あ、司令官。私も司令官の方で一緒に入ってもいいかな? ほぼ貸し切り状態だって話を聞いたから入ってみたかったの」

「島風も入る!」

「わかったわかった。それじゃ入りに行こうか」

「了解です」

「うん!」

 

それで三人で汗を流しにお風呂へと入っていく。

そして入った後に長良と島風はお風呂上がりのジュースを飲んでいて、

 

「はぁー! やっぱりお風呂上がりのジュースは格別だね!」

「そうだね! 運動後っていうのも重要ポイントだよ!」

 

それで笑いあっている二人をよそに私は提督服へと着替えていた。

 

「それじゃ時間もいい頃だから三人で朝食でも食べに行くか」

「やった! 朝の食事だ」

「今日はなんだろう……?」

 

そんな話をしながらも今日の一日が開始したのであった。

 

 

 




少し肌寒い季節になってきましたね。
私も来月に町の体育祭に出なきゃいけないんで運動をしないと……。



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