【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0174話『秋刀魚漁、解禁』

 

 

 

 

 

大本営から正式に秋刀魚漁の解禁のお達しが来た。

それなので私はまずは同じ近海の久保提督と電話で話をしようと思っていた。

電話をかけて数秒して、

 

『はい。こちら第164号宿毛湾泊地です』

 

出たのはやはり久保提督で合っていたようで私は言葉を返す。

 

「久保提督ですか。榛名提督です」

『榛名提督ですか! お久しぶりですね。活躍は常々聞いていますよ』

「ありがとうございます。それなのですがさっそく本題に入らせてもらってもよろしいでしょうか?」

『はい、構いません。おそらく大本営から発せられた秋刀魚漁の事なのでしょう?』

「お分かりでしたか。はい、その件でですが久保提督は現在どの程度の艦隊練度になっていますか? もしよろしかったら船団護衛とかなので協力をしようと思いまして」

『そうでしたか。はい、今のところはですね―――……』

 

それで久保提督の艦隊の練度などを聞いていると少し驚いていた。

久保提督は提督業を開始したのは今年の4月からだというけど通常海域で行ける場所は今のところは西方海域のカスガダマ沖まではいけるそうだ。

 

「最後に会ってから結構仲間が増えたようですね」

『はい。以前に貰った榛名提督の練度上げの資料なども参考にさせてもらいまして平均的には上がってきていますね』

 

聞くとまだ改二艦は数人しかいないようだけどそれでも十分活躍はできるという。

艦娘の平均練度は60程度で通常海域でドロップする艦娘はほとんど入手しているという。

それならばもう新人とは言えないだろう。

さすが海軍学校を首席で卒業したというだけはあるね。

 

『それでですがまだ西方海域までしかいけませんから奥の方の南方海域や中部海域などの方は榛名提督の方でお願いしたいんですけど大丈夫でしょうか……?』

「わかりました。それじゃまずは町の漁師さん達にどこに漁に行くかを聞いて分担して船団護衛をしていきましょうか」

『そうですね。それではまずは町内会に顔を出しましょうか。おそらく私達の事を待っていると思いますから』

「ですね」

 

それで私と久保提督は一度合流して町に顔を出す方向で話は決まった。

 

 

 

 

 

それから一時間後に私と久保提督は町の入口で合流していた。

だけどそこで驚いたのは久保提督の連れている艦娘が天龍と龍田だったのだ。

なぜ驚いたかって?

それは私も今日は天龍と龍田を連れてきていたからだ。

 

「あらぁ~? 天龍ちゃんが二人もいるわ~」

「そうね~。私としては少し嬉しいかも~」

「「コワッ!?」」

 

ウフフフフ……と語り合う久保提督の龍田と私の龍田。

それで天龍はどこか二人とも寒気を感じたのか体を擦っている。

 

「あはは……。まぁこういうこともありますよ」

「そ、そうですよね。気にせずに行きましょうか榛名提督」

 

それで背後で笑っている龍田と怖がっている天龍を横目に流しながらも私達は町内会へと顔を出す。

 

「町長さん、いますか?」

「おー、提督さん方。よくおいでになりましたね。待っていましたよ。ちょうど私達も話し合っていたところなんですよ」

 

町長さんに歓迎されて私達は席に着かせてもらう。

 

「さっそくですが、提督さん方にお願いがあります。今日から解禁になりました秋刀魚漁で艦娘の子達に船団護衛をしてもらいたいと思っているんですよ」

「それはこちらもお願いにしに来たものですから快く引き受けますよ」

「はい。大本営からも秋刀魚漁の支援をお願いするというお達しを受けていますから」

 

私と久保提督でそう言葉を繋げると町長さんを始めとし町内会のメンバーの方々はどこかホッとしたような顔つきだった。

以前になにかあったのだろうか……?

思い当たるとすれば、

 

「その反応から察しますともしかして話に聞く前の提督となにかありましたか……?」

「ええ、まぁ……」

 

それで町長さんを始め漁業関係者の人達も思い出しているのか苦い表情になっていた。

 

「以前に話しましたがあの時の提督は暴虐の限りを尽くしていましたので秋刀魚もほとんどが提督の手に落ちてしまってただただ無駄足ばかりを食わされましたもので……」

「そうだぜ! 俺達がせっかく漁で取ったものを奪われちまったからたまったもんじゃなかったぜ!」

「そうだな」

「ああ……」

 

口々に以前の提督の悪口が飛び交う場で私と久保提督はどうしたものかと途方に暮れていると、

 

「みんな、静まりなさい。今ここで愚痴っても提督のお嬢さん方には何の得にもなりませんよ」

「そうだな……」

「悪かった、提督さん……」

 

町長さんの一声でなんとか町の人達は声を収めてくれた。

よかった……。あのままだったら少しお腹がキリキリしそうだったから。

 

「話は戻りましょう。提督さん方、漁をする場所や時間などの指定などは随時鎮守府へとお知らせしますのでその時はどうぞよろしくお願いしますね」

「わかりました」

「お任せください」

 

それで一度会談は終了した。

その帰り道の事、

 

「なんかよー……前にも聞いたけど前に赴任していたっていう提督はかなりのクソだったんだな」

「ああ。それにはオレも同感だ。町と一丸になってやっと取れる秋刀魚漁なのにそれを根こそぎ奪うとか馬鹿らしいぜ」

 

二人の天龍がそう言って前任の提督の愚痴を開始していた。

それで私達も二人の言い分に納得できる部分もあるだけに二人の愚痴を止めることが出来なかった。

 

「まぁまぁ天龍ちゃん達、落ち着いて~」

「そうよ~。もう過去の人の事を話していてもしょうがないでしょう~? 前を向いていこうよー」

「そうだな……。わりぃ、龍田。どうにも頭に血が昇っていたみたいだ」

「オレも反省しておくわ」

 

それで四人は落ち着いたので、

 

「それでは久保提督の方は今の艦隊練度に合った装備で構いませんので分担をよろしくお願いしますね」

「わかりました。まだまだ榛名提督には及ばないと思いますが頑張らせてもらいますね」

「お互いに頑張りましょうね」

「はい」

 

それで久保提督と笑みを浮かべあって私達はそれぞれの帰路についた。

 

「さて、それじゃ私達も頑張っていくとしようか」

「そうだな」

「ええ、頑張るわ~」

 

期間は二週間。それだけあれば任務も十分達成できるだろう。頑張ろう。

 

 

 




昨日は四尾だけ取って寝落ちしてしまいましたので今日は頑張ろう。
なにげに海防艦のレアリティが上がったのはすごいですね。対潜や運だけならまだしもついに耐久まで上がる時が来たとは……。



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