秋の夜の空を眺めながら私はぼーっとある事を考えていた。
そんな時に秋月姉が話しかけてくる。
「照月……? 月を見上げてどうしたんですか?」
「うーん……そうだね。秋月姉、ちょっといいかな?」
「なぁに? 言ってみてください?」
「うん。そういえばさ………昨日ってさ、花月と夏月の進水日だったなって……」
「あぁ……そうでしたね」
それで秋月姉も私の隣に立って月を眺める。
秋月姉の視線はどこか儚なそうで触ったらふわっと消えてしまいそうで……。
だから私は秋月姉の手を握った。
錯覚だとしても秋月姉が消えるのは嫌だから。
「もう……困った子ですね」
そしたら秋月姉は私の考えは分からずとも頭を撫でてきてくれました。
うー……嬉しいんだけどなんか違うような。
「大丈夫よ。もうじき涼月も来る……だからいつかみんなで集まって笑いあえる時が来ます」
「そうかな……?」
「そう信じて行かないとやってられないでしょう?」
「そうだね……」
それで窓から流れてくる秋の少し寒い風を感じながら私は秋月姉とまた空の月を見上げた。
そんな時に誰かがやってきた。
「秋月姉さん、照月姉さん。夕ご飯の支度が出来たぞ。もう寒いから中に入ったらどうだ……?」
「ん。わかったわ初月。でも今はもう少し空を見上げていたいの……初月も来なさい」
「わかった……」
秋月姉のお誘いで初月も加わって少し一つの窓では狭いけど、でも三人で空の月を眺める。
「……でも、なにやら気持ちが沈んでいるようだね秋月姉さん」
「そうかな? まぁ、照月が花月と夏月の話題を出したから少し感傷的になっていたのかもね」
「花月に夏月か……たしか昨日が進水日だったか?」
「そうだよ」
私がそれで初月に答えてあげる。
えへへ……初月も覚えていたんだね。さすが姉妹なだけの事はあるよね。
「まだまだ僕たち三人だけだから姉妹艦としては下から数えた方が早いあいつらはまだまだ先の事だろうな……下手したら最悪会えない可能性も考えておかないといけないからな」
「そんな事を言うもんじゃないわ初月。こうして私達が再び会えた……だからきっと願えばいつか会えるわよ」
「……そうだな。悪い、僕も少し月にやられていたようだ。どうにも月を見ていると気持ちが沈んでくるものだからな」
「その気持ちはわかるわ」
「照月も分かるよ。変だよねー……名前に月が入っているんだからもっと喜びそうなものなのに……」
「元来月というのは太陽とは反対の位置にいるものですから闇の誘いでもしてくるのでしょうね」
「あ、秋月姉、どこか詩人っぽいね」
「そんなものじゃないですよ。でも、少し気持ちが塞ぐのは本当ですから……」
あ。また儚い笑みを浮かべる秋月姉がいる。
それで私はまた不安になってまだ握っていた手をギュッと強く握りなおす。
「それじゃ僕も握ろうかな?」
初月が私の行動を気付いたのか秋月姉の反対の手を握っていた。
そして秋月姉は「ふふ……」と笑みを零した後に、
「私は幸せ者ですね。姉妹達にこんなに勇気を貰えるんですから」
「わっ!」
「強いな……」
秋月姉が私と初月の手を握る手を強くしてきた。
それだけ嬉しいって気持ちが溢れているんだなって思うな。
「照月、初月……」
「なに? 秋月姉?」
「なんだい、秋月姉さん?」
秋月姉は少し改まった感じで私と初月の名前を呼んだので真剣な話だと思ったのですぐに返事をする。
「今度は三人じゃなくって涼月も加えて四人でゆっくりと月を眺めたいわね……」
「そうだね」
「そうだな」
「だから三人では無理だけど艦隊のみんなで頑張って涼月を迎え入れましょうね。司令もきっとそれを望んでいるから……」
「そうだね。提督もきっと私達のために頑張ってくれるって思っているよ」
「そうだな。提督は普段は少し真面目すぎて中々僕たちと触れ合えるタイミングも掴めないけど僕たちのためにやるといったら必ずやる人だからな」
うん。私達は三人とも提督の事をとっても信頼している。それだけは確かな事なんだよね。
だから提督が困っている事があったら力になりたいとも思うんだよね。
だってうちの鎮守府のモットーは一人はみんなのために、みんなは一人のために、だから。
それだから提督が困っていたら全力で支援をするんだ。
みんなも相談をすればすぐに話に乗ってくれるしね。
そんな事を考えている時だった。
秋月姉が少し体を震わせていました。
「うぅ……さすがに風に当たり過ぎたようですね。照月、初月、そろそろ部屋の中に入りましょう。もう少しだけ夕ご飯も冷めちゃってるでしょうから三人で温めなおしましょうね」
「うん!」
「そうだな」
そんなこんなで私達は部屋の中に入っていき少し冷めていた料理をまた温めなおして食べようとしたんだけど、
「初月……火を着けっぱなしで来たの?」
「うっ……ごめんよ。すぐに中に入ると思ってそのままにしておいたんだ」
「火事になっちゃうでしょう! 離れる時はすぐに火は消す! 節約にもなるんですからそこら辺は徹底しないと! 贅沢は敵です!」
「わー、ほんとにごめんよ!」
それから少しの間秋月姉の説教が開始された。
しばらくしてやっと解放された初月は少し泣きそうであったので
「ドンマイ、初月……」
「うん。少し反省したよ……」
「まったく……まぁいいでしょう。そろそろ食べましょうか。せっかく暖かいままなんだから」
それでやっと秋月姉は笑顔を浮かべて私達はそれから楽しく料理を食していった。
食事の献立内容……?
恥ずかしくて言えません♪
そしてもう夜も更けてきたので、
「それじゃ二人とも。電気を消すわよ」
「うん。わかったよ秋月姉」
「もう寝るとしようか」
外から「夜戦だー」という叫び声をBGMにして私達は眠りにつきました。
みんなで集まれる夢を見れたらいいな……。
昨日が花月と夏月の進水日だというのを忘れていました。
まだまだ実装されないでしょうけど覚えておいて損はないですからね。
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