【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0195話『JD風な蒼龍』

 

 

 

朝になったので着替えをしている時だった。

扉がノックされたので誰かなと思ったけど、

 

「どちら様ですか?」

『提督ー、今はいっても大丈夫かなぁ?』

 

この声は蒼龍あたりかな?

そう思ったのでまだ着替え中だったので、

 

「少し待ってくれ。もう少しで着替え終わるから」

『わかりました』

 

それなので私はすぐに着替えを済ませて寝室の扉を開ける。

そこにはいつも通りの蒼龍の姿が……なかった。

なぜかちょっと女子大生みたいな長髪の美人が立っていた。

 

「……え? え、えっと……どちら様ですか?」

「あ、提督ひどいー。私、蒼龍だよー!」

 

頬をぷっくらと膨らませたどこか可愛い顔をした蒼龍がいたので、

 

「蒼龍なんだな……?」

「そうですよー。うふふ……もしかして見違いました?」

「まぁ、な。髪を下ろしているとかなり印象が変わるんだな。私服まで来ているからどこかの大学生が迷い込んだのかと思ったよ」

「やだやだやだ! 褒め過ぎですよー!」

「そういう言い回しは完璧に蒼龍だな……」

《ですね、提督。私も最初蒼龍さんだと気づきませんでした》

「榛名までそう言うんだ。だとすると今日は一日そう言われちゃうのかなぁ……?」

 

蒼龍はそれで少し残念がっている。

まぁたまのお洒落をしたのに本人だと気づかれないのもあれだよな。

 

「でもなんでまた私服になっているんだ……? 今日は非番だったか?」

「そうでもないんですけどぉ……確か提督今日は町に視察に行くんですよね?」

「ああ。もしかして一緒に行きたいのか……?」

「ぜひ! ちょっと欲しいものがあったんですよー! それで張り切ってお化粧しちゃいました」

「うーん……」

 

少し頭が痛いな。

視察はあくまで町の人との親睦を図るのが目的であり遊びに行くものではないんだけどな。

まぁ楽しそうにしている蒼龍を見ていると何も言えなくなっちゃうのが不思議だよな。

しょうがないか。

 

「それじゃあんまりはしゃぎすぎるなよ?」

「了解です」

 

それで敬礼をしてくる蒼龍。

ふと気づけば手に何かの本を持っている。

タイトルは『九九艦学』。

うん、さっぱりわからんな。

瑞鳳との艦載機についての会みたいな内容かな?

 

 

 

 

 

 

まぁそんなこんなで蒼龍とともに町の視察へとやってきたんだけどよく町の椅子に座っている一人のおばあちゃんが私達を見つけると、

 

「あらー。提督さん、視察ですか?」

「はい。おばあちゃんも特にお変わりはないですか?」

「大丈夫よー。提督さんがしっかりと町を守ってくれていますから最近はしっかりと寝れていますから」

「それならよかったです」

「……ところでそちらのべっぴんさんは……どなたかい?」

「べっぴんさんだなんて……おばあちゃん、私蒼龍だよ?」

「あんれま! 蒼龍ちゃんかい。またお洒落をしちゃってわからなかったよ!」

 

おばあちゃんはそれで本気で驚いていた。

うん、その気持ちはとてもわかるな。

それからおばあちゃんと蒼龍はいくつかお話をしておばあちゃんはどこか羨ましそうな表情をしながらおじきをして帰っていった。

 

「ふぅー……でもやっぱり見た目がそんなに違うのかなぁ?」

「それはそうだろう。普段見慣れていると思っていた私ですら別人かと思ったくらいだからな。それに綺麗だしな」

「いやですよ提督。褒めても何も出ませんよ?」

「本当にそう思っただけなんだけどな……」

 

私は小さい声でそう呟いたけどどうやら聞こえていたようで顔を赤くして蒼龍は黙り込んでしまった。

やっぱりピュアだな蒼龍は。

それから行く先々で私の隣を歩いている人は誰なのか?という視線を幾度もされてさすがに参ったのか、

 

「はぁー……みんなってあんまり普段の私の事を見る目無いですよね?」

「そんなことは無いんじゃないか? 今日はお洒落をしていて美人だと思われているんだからそれでいいじゃないか? 可愛いしな」

「はぁー……」

 

二度目のため息をする蒼龍。なんだ、どうした?

 

「提督ってたまにですけどナチュラルに褒めちぎりますよね?」

「そ、そうか……? ただ思っている事を言っただけなんだが……」

「まぁ、そういうところがみんなに好かれる要因だっていうのは分かっていますよ。ね、榛名?」

《はい。提督はとっても優しいですから》

 

なんだろう? 褒められているのか?そう思っておいた方が気持ち的に楽になるからそう考えておこう。

とそこに、

 

「提督のお姉ちゃん!」

 

私の背後から腰に抱きついてくる久しぶりに見る子が来た。

そう、私の腰に抱きついてきたのは七海ちゃんだったのだ。

 

「あ、七海ちゃん久しぶりだね」

「うん!」

 

七海ちゃんは眩しい笑顔を浮かべて相槌を打っていた。

うん、やっぱり笑顔の似合う子だよね。

 

「それと……蒼龍さんもこんにちは!」

「え? 私が誰か分かるの?」

「え?うん……蒼龍さんは蒼龍さんだよね? 少し綺麗になっているけどすぐにわかったよ」

 

七海ちゃんのその言葉に蒼龍は気分を良くしたのか、

 

「ふふん、提督ー。七海ちゃんはすぐに私だって分かったみたいだけどそこのところはどうなのかなー?」

 

どこかからかい口調の雰囲気だな。

その手に乗るか!

 

「七海ちゃん、蒼龍お姉ちゃんは綺麗だけどどこら辺がそう思ったのかな?」

「うん? そうだね……いつもは髪を両方で結んでいてどこか子供っぽい雰囲気もあったんだけど、今日は髪を下ろしていて長い髪がとても似合う美人さんだよ!」

「はうっ!?」

 

子供の純粋な感想に蒼龍のなにかの琴線に触れたらしい。

少しずつだけどにやけてきているのが分かるな。

これぞ戦法・褒め殺し作戦である。

それからも何度か七海ちゃんに質問をしてその度に蒼龍の事を褒める姿を見れて最終的には、

 

「な、七海ちゃん、提督も……そろそろやめてほしいかな~? 恥ずかしくなってきちゃったよ……」

 

心に余裕が無くなってきたのかもう顔を盛大に真っ赤にさせている姿を見て、

 

「(勝った!)」

 

私は内心ほくそ笑んだ。

なのでそろそろからかうのもやめておく事にした。

 

「ところで七海ちゃんはその分厚い本はどうしたの?」

「うん。海軍の提督になるためのお勉強のための本だよ」

「すごいね! 七海ちゃん、頑張ってね!」

「うん! 私も将来は提督のお姉ちゃんみたいになりたいから頑張るの!」

 

私を目標としてくれるのは嬉しいけどどこかむず痒いな。

それから少し話をして「またねー!」と言って七海ちゃんと別れた後に、

 

「でも、七海ちゃんっていい子ですよねぇ……」

「そうだな。あの子の事も守れるように頑張らないとな」

「そうですね。あ、そうだ。欲しいものをまだ買っていなかった!」

 

それで蒼龍におねだりされたのでしょうがないから目的のお店まで付き合ってやって蒼龍は嬉々として購入していた。

本当に蒼龍はノリは女子大生だから元気だよなと思う私だった。

 

 

 




蒼龍の私服modeは可愛いですよね。
Twitterではケッコンする人が続出していたのをよく見ましたね。



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