【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0198話『大本営の情報に困惑する衣笠』

 

 

 

 

 

本日の秘書官は進水日の日でもあったので衣笠になっている。

なので先日に発令された例の情報の件について聞いてみようと思う。

 

「衣笠、少しいいか?」

「なぁに提督? この衣笠さんにご用かしら? あ、進水日のプレゼントはまだ受け取っていなかったからくれるんならちょうだい♪」

「はいはい」

 

衣笠が両手を出してちょうだいちょうだい言ってきたので私はそれで事前に用意していたプレゼントを渡す。

 

「ぶー……なんか気持ちがこもってないなぁ~?」

「そんなことはないぞー?……それよりあらためて少し話があるんだがいいか」

「なにかしら? 面白い内容……?」

「まぁ、少し物騒な内容とでも言えばいいのか?」

「えー……それじゃなんか嫌だな……」

「まぁ聞きなさい。昨日の大本営からの通達でな」

「うんうん」

「今年の秋の作戦なんだがな。今まで例にない冬との二段作戦になったんだ」

「うぇ!? それって本当なの?」

「ああ」

 

そう言って私は送られてきた電文の紙を出して衣笠に見せる。

衣笠はそれを受け取るとこれでもかという感じで凝視していて「むむむっ……」と唸っている。

そして、

 

「うはー……これはすごい作戦になりそうだね」

「そうだな。だから盤石の態勢で挑まないと足元をすくわれかねないな」

「そうだね。これってやっぱり満潮ちゃん関係でレイテなのかな……?」

「おそらくはな……雪辱戦とはいかないだろうが深海棲艦もかなりの戦力を投入してくるんだろうな。それを迎え撃つのが私達という訳だ」

「総力戦だね……」

「そうだ。だからさらなる練度の向上を図っておいた方がいいと思うんだ」

「そうだね。うちの戦艦空母達はまぁまぁ化け物揃いだけど他はそんなに高くないからね」

「ああ。悩みどころだな」

 

それで思い出すのはいまだに練度を上げられていない速吸の件。

いつか話した事だが来年の夏まで大丈夫だろうと腹を括っていたのが間違いなのかな?

今からでも遅くないから上げておいても損はないけど特殊艦ゆえに上げにくいのもあってなぁ……。

駆逐艦ローテが終われば演習には入れられるんだけど今はあとがつっかえている状態だからな。

 

「はぁー……やっぱりままならないものだな」

「提督、でっかいため息ね」

「すまんな。つい衣笠だとフランクに話せるからどうしても素が出てしまうんだよな」

「そ、そうなんだー……私だと自然で離せるんだね。少し、嬉しいかも……」

 

どこか顔を赤くしている衣笠が気になるがまぁ大丈夫だろう。

さて、ダレていても仕方がないな。

 

「ところで衣笠。最近は重巡のみんなとは仲はいい方か?」

「ん? もちろん仲はいいわよ。青葉とかー、古鷹とかー、加古とかー他にもたくさん」

「そうか」

「そんな事を聞いてきてなにか考え事?」

「うん。満潮が改二で来るだろう? だからそろそろ青葉や高雄、愛宕とかにもそろそろ改二の情報が来てもいい頃だと思うんだよな。何がとは言わないけどこの三人は元の世界では限定グラとか一度もなかったからな」

「あー……結構メタいね」

「まぁな。だから早く実装されたらいいなって思うのもいいかなと……」

「そうだね」

 

それからしばらく話題が途切れたので静かになったんだけど衣笠が率先して話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ! 提督、さっきの電文の内容を館内放送で流さない? きっとみんな驚くと思うよ」

「んーー……確かに驚きそうだけど大丈夫かな?」

「大淀に確認を取ってやれば大丈夫だって!」

「そうかぁ……よし、やってみるか」

 

それで私は大淀を呼ぶ事にした。

しばらくして大淀が執務室に入ってくる。

 

「提督、どうされましたか……? 衣笠さんも私を待っていたようですけど……」

「うん。衣笠の提案なんだけど館内放送で大規模作戦の内容を教えようという試みをしようと思うんだ」

「それは、大丈夫でしょうがかなりの騒ぎになりますよ?」

「なるようになるって! やろうよ大淀ー!」

 

大淀の背後に周って肩を揉んでやっている衣笠は甘え上手なんだなと思いながら、

 

「……仕方がないですね。わかりました。それでは執務室の隣の放送室へと参りましょうか」

「わかった」

「やりぃ!」

 

それから三人で放送室へと歩いていく中、

 

「ですが真面目な話で血気盛んな人達は聴いたら勢い余って暴れ出しそうな感じですけど本当にいいんですね?」

 

二度目の忠告を大淀からもらう。

まぁ言い出したらやらないといけないよなという感じだから。

 

「まぁ大丈夫だろう。その都度対応すればいいんだから」

「でしたら責任は重大ですからね」

「わかっています」

 

そして私は放送室の席に着くとマイクを持って全館に伝わるように操作した後に、

 

「あー……全館に私の声が聞こえていて驚いていると思うが静かに聞いてくれ」

 

私がそう話し出すと外からもなにやら騒ぎになっているようで声が色々聞こえてくる。

だけどもうここまで来たら止まれないよな。

 

「心して聞いてほしい。今年の秋の作戦なのだが、冬の作戦との前篇後篇で分割する大型の作戦となる見込みのようだ。だからみんな、気持ちを高ぶらせるのもよし、一度落ち着いて心を静めるのもよし、限定作戦を見事成功させるために全員一丸となって頑張ろう。私からは以上だ」

 

私はそれで最後に電源を切って放送を終える。

 

「提督、やり切ったね!」

「あはは……少し緊張したな」

「ですがこれからが大変ですよ? 特に青葉さんが悔しがりそうですね」

「そうだな」

 

と、そんな話をしていると結構の足音が近づいてくるのが分かったので、

 

《提督、覚悟を決めましょうね》

「そうだな榛名……」

 

榛名の慰めの言葉をバネにみんなの質問への対応に当たろうと思うのであった。

それからは代わる代わるやってきて対応に一日を費やしたのは言うまでもない。

特にレイテ組が多く来たのはなにかしら予感を感じたんだろうという思いなんだな。

 

 

 




艦これ第一期を超大型作戦で締めくくるというのはロマンがあっていいですよね。
もうレイテで決まりでしょうというのが本音ですね。



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