【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0207話『舞風と踊ろう』

 

 

 

 

 

今日はこれと言って……いや、月初めの翌日なのでEO海域担当艦のみんなが大規模作戦の前の景気づけとしてEO海域を攻略しに行ったので結構せわしなく動いていて忙しいけどなんとかそれも落ち着きを見せてきていた。

月初めと貯めてある任務をEO攻略と並行して遂行していっていたので出撃で減った分の資材はまた任務で資材の回復するという方法であらかた鎮守府近海(1-5)、沖ノ島沖(2-5)、北方AL海域(3-5)、カレー洋リランカ島沖(4-5)までを一気に攻略してもらった。

サーモン海域北方に関してはまだ資材の回復を見てから改めてやろうと考えている。

さしずめ先月に作っておいた零戦21型(熟練・MAX)も任務で零戦52型(熟練・MAX)へと機種転換できたためにうちの零戦52型(熟練・MAX)の数は6機となったので、零戦53型や烈風(601空)、Fw190T改を合わせて対空戦力は充実したのでこれでもう完璧に烈風が使わない事態にまで発展してしまったので、いつかまた改修の餌になる事を祈りながらも倉庫にしまっておこうと考えているしな。

準備は怠りなくしておきたいからな。

改修できることはできるだけしておきたいしまだまだ準備は必要だ。

それで資料を色々と見ていた時に今日の秘書官である舞風がジッと私の顔を覗き込んでいるのに気づく。

 

「……どうした舞風?」

「うん。提督って今日は難しい顔をしているなーって……」

「そうか。すまない、今日は舞風が秘書官だから話したい事とかもあっただろうに放っておいてしまってごめんな」

「あ! ううん、大丈夫だよ! 提督がお仕事を頑張っているなら舞風も邪魔しないように隅の方で踊りの練習でもしているから!」

 

そう言ってニカッと笑う舞風……。

いや、そこは仕事を手伝うとか言ってほしかったかなぁ……。

まぁでも、そこが舞風のいいところなんだよな。

 

「まったく……舞風のおかげで少し肩の力が抜けたのか楽になった気分だよ」

「そう!? そうでしょー。舞風はねー、提督が疲れているならなんでもして気分をリラックスさせることにしているんだー」

 

そう言ってクルリと踊りだしている舞風。

うん、踊りに関してはなんとも分からないけどいい動きはしているよな。

 

「やっぱり那珂仕込みの踊りなのかい……?」

「そうだよ! これって那珂ちゃんさんのおかげかなー? 色々と教えてくれるからねー」

 

それで私は那珂に教わっている舞風の姿を想像する。

それはやっぱりどこか抜けているけど踊りに関しては手を抜かない那珂が熱血指導をしているというなんともスポ根ドラマを見ているような感じで少し笑える光景かもしれない。

 

「あっ! 提督ってば今那珂ちゃんさんとの特訓の光景を思い浮かべて笑ったでしょう!?」

「うっ……鋭いな」

「舞風はそう言うのには敏感なんだから! プンプン!」

 

腕を組んで頬を膨らませている舞風はまるでリスのようで少し微笑ましくも感じるけどこれ以上の機嫌を損ねるのはまずいと思ったのでもう余計な事は考えないようにしておこうか。

 

「すまんすまん。いや、別に変な事は考えていないから安心してくれ。ただ、やっぱり那珂は熱血指導をしているんだろうなってな」

「それはそうだよ! ああ見えて那珂ちゃんさんは手抜きはしないのに定評があるんだから!」

「まぁ四水戦のリーダーだからな」

「うん! 那珂ちゃんさんもお船の時代もそれはもう縦横無尽に戦場を踊っていたもんだからねー」

「そうなのか……」

 

それはそうか。

那珂は軽巡の中ではそれほど活躍したエピソードはないけどあの帝国海軍が完勝したスラバヤ沖海戦でも駆逐隊のみんなとともに活躍してはいるからそれなりに戦果は持っているからな。

 

「ところで舞風はどうしてそんなに踊りに固執しているんだ……? いや、言い難いなら別に言わなくても構わないんだけどな」

「ううん、大丈夫だよ。舞風はね、戦場でもみんなを勇気づけたいといつも思っているの。だけどどうしたらいいかわからない時に那珂ちゃんさんにこうしたらきっと戦いも楽しくなるよ!って教わったの。だから舞風も踊りを頑張っているんだ。のわっちとかはあんまり乗り気じゃないけどそれでも踊りこそがいつまでも絶望しないって証みたいなものなのかな……? ほら、深海棲艦も舞風が躍っていたらそこに狙いを集中するでしょう? そこを華麗に避ける私ってかっこよくないかな!?」

 

そう言って目をキラキラと輝かせる舞風はどこか楽しそうで、でもそれだと辛いんじゃないかと私は思った。

だから、

 

「だけど舞風自身もしっかりと自身を守るように行動してくれないかな? 避ける分には別に構わないけどもし被弾してしまったら自慢の踊りも出来なくなってしまうだろう?」

「うん……そこは少し怖いかな? 踊れなくなったら私の存在意義がかなりなくなっちゃうから……」

 

こりゃ参ったね……と少し気落ちしている笑いをする舞風は少し痛々しかった。

うーん……落ち込ませるつもりでもなかったんだけど……。

うまく言葉が出てこないな。

こういう時はむしろ開き直ってみるのもいいかもしれないな。

 

「それじゃ舞風。気分転換に私と一回踊ってみるか? 踊りに関しては私は素人だけど舞風が指導してくれるならなんとかなりそうだしな。本当に踊るわけじゃないけど私も戦場に出る事はあるから参考にでもできるしな」

「うん! いいよ、提督。この舞風に任せておいてよ!」

「ありがとう。それじゃ榛名は見ていてくれないか……?」

《分かりました。それではお二人の踊りを見ていますね》

 

榛名はニッコリと笑みを浮かべて私達の踊る姿を見ていてくれた。

それから私と舞風は少しの間だけど踊りをして楽しんだ。

そして少し時間が経過して、

 

「ふぅ……踊りって意外と疲れるものなんだな」

「それはそうだよー。さらにこれを海の戦場でやる舞風達の苦労が少しは分かったんじゃないかな?」

「確かに……かなりの度胸が必要そうだな」

「でしょでしょ! それじゃもう一回やろっか! そらワンツー!」

「あはは……それじゃ少し頑張ってみるかね?」

 

また踊りを再開して舞風と一緒に踊るのも楽しいものだなと思った私であった。

 

 

 




今回は舞風回でした。
今現在舞風が練成中ですのでちょうどよかったので。



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