【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0213話『摩耶との特訓』

 

 

 

 

 

執務室で今日の予定や資料などを見ていた時だった。

なにやら外が騒がしい事になっているので窓から顔を出してみてみるとどうやら艦娘達が走り込みなどをしているようだった。

 

「あいつら、なにをしているんだ……?」

《さぁ……朝の稽古でしょうか……?》

 

私と榛名が不思議がっているとそこで中心人物の摩耶が色々と叫んでいた。

 

「おら! レイテ作戦に控えて対空とかもすぐにできるように体を鍛えるぞお前ら!」

「「「はーい!」」」

 

どうやら対空に備えて事前に体も鍛えている感じだな。

脳筋……失礼、対空番長らしいやり方だな。

 

「少ししたら海に出て鳥海が夜戦の演習をするらしいからバシバシいくぞ!」

「潜水艦は私達が役目をしますから安心してくださいね?」

 

そこにはっちゃんが現れてそう言っていた。

そうだよなー……レイテって夜戦が多そうなイメージだからな。

西村艦隊も夜に大勢の艦隊に迎えられて次々と轟沈してしまったからな。

 

「やっぱりみんな不安なんだろうな……あのレイテ沖海戦がモチーフの作戦だから」

《そうですね。結構トラウマを抱えた子も何人かはいますからね》

「そうだな……」

 

それで私は考える。

やっぱり私も一緒になって参加した方がいいかなと。

だけど、

 

《提督……? いま一緒になって鍛えようとか考えていませんでしたか?》

「ばれたか……」

《分かりますとも。提督は演習でもよく先陣を切って攻撃していますからね》

「まぁ、戦艦の射程は長いからな。リシュリューとともにいつも攻撃しあっているし」

 

演習の参加はまぁ今のところみんなには黙認されているけどやはりいまだに心配に思っている子もいるらしいというのが現状だ。

演習弾を使うわけだから別に痛いことは無いんだけどな。

そんな事を考えている間に摩耶の訓練が終わったのか、

 

「よーし! それじゃあたしからの今日の訓練は終了だ。駆け足で艤装をつけて鳥海のところに向かいな」

「「「わかりました!」」」

 

駆逐艦のみんなはそれで海の方へと走っていった。

そんなみんなの後姿を見て摩耶は笑みを浮かべていた。

とそこで摩耶が窓から見ていた私の視線に気づいたのかこちらへと顔を向けてきて、

 

「おう、提督。そんなところで顔を出してどしたー?」

「いや、摩耶の特訓風景を見ていたんだよ。やっぱり対空番長なだけあってかなりの徹底ぶりだったな」

「あたぼうよ! もう誰にも沈んでほしくないからな! それより提督もそんなところにいないで降りて来いよ」

「そうか? それならちょっと待っていてくれ」

「ああ」

 

それで私は執務室を出て摩耶のところへと向かっていった。

少しして外に出て行って摩耶と正面で向かい合ったんだけど、

 

「提督ー……来るのが遅いぞ? せっかく誘ってやったんだからきびきび動いてこないとダメだぞ?」

「すまんすまん。それで私を呼んでなにをするんだ?」

「まぁそうだな。どうせ提督もいざとなったら戦場に出る気ではいるんだろう……? 言っても聞かないからなぁ。それならあたしが提督を鍛えてやるよ」

「それはありがたいけど摩耶は別に否定はしないんだな?」

「まぁ、そりゃあたしも提督の事は心配だけど、それならあたし達が提督を守ればいい話じゃないか」

「ごもっともで。足枷にはなりたくないからな。それじゃお願いしようかな」

「おう。それじゃまずは体をほぐすか!」

 

それから摩耶の訓練が始まった。

これが意外と疲れるものであまり使っていない筋肉を使うなどもしていたので少しして私は体を捻りながらも、

 

「摩耶って意外と教え方が上手いんだな」

「突然どうした? 褒めても優しくしてやんねーぞ?」

「いや、別にそんなことは無いんだけど……」

 

少し失言だったか。

これでも摩耶はみんなから姐御とか呼ばれているから色々と慕われているんだろうし。

 

「提督だって演習に出ずっぱりなんだから色々と前より強くなったんだろ? それならあたしと少し勝負してみないか?」

「内容は……?」

「当然ガチンコだ!」

「そうですよねー」

 

なので私と摩耶は運動を終わらせた後に演習スペースへと向かっていった。

ここでは主に駆逐艦などの子達が射撃演習などを行っているので内容はおのずと分かるというものだ。

 

「提督。あたしから一本でも多く的の数を上回ったら実力を認めてやるよ」

「そうは言うが私の方は連装砲と違って主砲だから装填時間が違うぞ?」

「まぁ細かい事は気にすんなって! そんじゃ始めるか!」

「まぁ付き合うけどな」

 

それから私と摩耶は主砲の打ち合いをしていた。

演習場に砲撃音が響くので少ししたらギャラリーも集まってきたのか、

 

「提督と摩耶さん、なにをしているんだろうね?」

「摩耶さんと的の狙い撃ちの勝負みたいだよ?」

「だからさっきから提督の主砲の音が聞こえてきたのか……」

 

と、色々と話し合われている。

うん……やっぱり戦艦の主砲だから色々と目立つみたいだな。

だけど摩耶はそんな事も気にせずに、

 

「おらおらどうした提督! まだまだ狙いが甘いぞ!」

「くっ! 主砲、てぇっ!!」

 

また主砲から火が吹いて的へと砲弾が向かっていって炸裂する。

同時に機銃も掃射して細かい砲撃も行っていくんだけど相手が摩耶だから分が悪かった。

摩耶はガチガチに対空機銃を積んでいるので私よりも倍の数値の的を射抜いているのだ。

しばらくして演習場の的がなくなったのを確認した私達は、

 

「はぁ、はぁ……まだまだ摩耶には敵わないな」

「あたぼうよ! この対空番長の摩耶様に勝とうなんて十年は早いぜ提督!」

「確かにな……」

 

と、そこで鳥海が夜戦演習を終わらせてやってきたのか、その手にはスポーツドリンクが持たれていた。

 

「摩耶、それに提督もお疲れ様です」

「おう、あんがとな鳥海」

「ありがとう鳥海」

 

私達はありがたくそれを受け取って飲む。

うん、喉が潤ってくるなぁ……。

 

「ですが提督はあまり無茶はしないでくださいね? うちの鎮守府は戦力が不足気味ではないのですからいくらでも代わりはいますから」

「わかった……摩耶も私の我儘に付き合ってくれてありがとな」

「いいってことよ。ま、提督もいい筋だったんじゃないか?」

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 

たまにはこうして実演も交えた訓練もいいものだよなと思う一日だった。

 

 

 




今日は摩耶と朧の進水日でしたので今回は摩耶を選択しました。
日々訓練は大事ですよね。



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