【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0222話『秋の作戦に向けて』

 

 

 

 

「とうとうやってきましたね」

「そうね……案外早かったようです」

 

私は今加賀さんと今夜中に開始されるだろう深海棲艦との制海権を争うレイテ沖海戦について話していた。

 

「思えば……私ももし生き残っていたのなら五航戦や他のみんなにも少しは貢献できたのかしら……?」

 

加賀さんはそう言ってどこか寂しそうな表情を浮かべる。

やっぱりあの時に沈んでしまった事を後悔しているのだろうな……。

でもそれを言ったら一航戦と二航戦の四人はそれでも頑張って戦った。それだけは分かっている。

だから、

 

「そういうもしもの話はやめないか? 加賀さんらしくないよ。いつも通りに鎧袖一触を通す加賀さんの方が似合っているよ」

「そう……ありがとうございます提督。提督も……この日のためにみんなの育成を頑張ってきたんですから成果が出るといいですね」

「そうだな……戦艦に空母勢は言わずもがな重巡に軽巡の子達も練度は充分。駆逐艦の子達も主力の子達は練度はばっちし。装備群もある程度は頑張れたから後は運がこちらに味方してくれるのを待つのみな感じだな」

「期待しているわ。明確に出るだろう子達は固定要員に使われるでしょうけど、それでもそれ以外だったら私も力になります。赤城さんや二航戦のみんなも同じ思いです。ですから提督はどんと構えていてください。私達はいつも提督の指示があるのなら万全で戦えるのですから」

「ああ……わかっているよ」

 

加賀さんの過度の信頼が少し重くも感じるけどそれでも頑張らねばという気持ちで奮い立つ。

この世界に来て戦うと決めたのだから必ずだれも失わずに勝利をもぎ取らないといけない。誰も沈んでほしくはないからな。

 

《加賀さん、大丈夫です。提督の事を信じましょう》

「榛名……ええ、そうね。お互いに頑張りましょう」

《はい。応援しかできない身ですが私も精一杯頑張ります!》

 

うん。二人も気合が入っているな。

私もこうしてはいられないな。

 

「さて、それじゃ先日に出た情報を纏めておくか。

なんでも今回に仲間になりえるだろう艦娘は海防艦が二隻に噂の涼月、そしておそらく軽巡か重巡級……この子は海外艦だろうな、が仲間になるという話だからな」

「軽巡だったらやっとって感じですね。もう日本の軽巡は出し尽くした感がありますから」

「そうだな。そしてもし本当に軽巡だったなら私はそこまで括っていないけど海外艦だけで連合艦隊が組めるようにもなるという感じだから楽しみだな」

「海外艦だけで連合艦隊ですか……面白そうですけどどこか不安も感じる編成ね」

「まぁそう言うなって。これを目指している提督だって中にはいそうなんだから」

 

そう……海外艦だけでの編成は唯一今まで軽巡だけがいなかったために実現しなかった事だけど再現出来たらおそらく歓喜する提督が後を絶たないだろうしな。

 

「……まぁなにはともあれ、頑張りましょうね提督」

「はい。加賀さんにも活躍できる場があったら出てもらうからな」

「はい。楽しみにしておくわ」

 

そこで加賀さんが普段はあまり笑わないけど笑みを今は浮かべている。

こういう時には本当に信頼されているという実感を持てる瞬間で少し私も嬉しい。

と、そんな感じで加賀さんと楽しく話していると執務室の扉が開いて時雨が入ってきた。

 

「提督、少しいいかい……?」

「どうした時雨?」

「うん……今日の夜から作戦が開始されるけど少し僕も不安になっているみたいなんだ。あの時の事を思い出して少し手が震えてしまっていて……」

「そうか……。あ、加賀さん……?」

 

加賀さんが無言で時雨のところへと歩いていって時雨の手を取ってあげると、

 

「大丈夫よ時雨……あなたは強い子よ。だから西村艦隊のみんなの事を信じてあなたも精一杯頑張りなさい。結果はおのずと分かってくるものだわ。だから提督の方針を信じていつも通りに……余裕の笑みを浮かべながら深海棲艦を殲滅するのよ」

「加賀さん……うん、少しだけ元気が出てきたかもしれない。ありがとう、手の震えもおさまってきたみたいだ」

「そう……それならよかったわ」

 

そう言って加賀さんは時雨の頭を撫でていた。

時雨も気持ちよさそうに笑みを浮かべているしな。

 

「なんだか加賀さんにお株を取られてしまったみたいだな」

「ふふ……いつも提督ばかりに良い思いはさせませんよ?」

「はは、それは参ったなぁ……」

 

苦笑をするも悪い気分ではない。

こういう事も普通に話せる事が嬉しいんだから。

 

「まぁいいけどね。それより時雨。不安もあるだろうけど今回の主役は間違いなく君達だ。だから思いっきり戦ってきてくれ」

「うん、わかったよ。僕も……今度こそみんなであのスリガオ海峡を乗り越えてみせるよ」

「その意気だ」

「うん!」

 

それで時雨も笑顔になってくれたので良かったと思う。

 

「後は今夜の大本営の発表を待つのみだけど艦隊のみんなはどんな感じか知っているか……?」

「うん。みんな気合が入っているよ。特にレイテ沖海戦に参加した子達はかなり気力が溢れている感じだね。坊の岬組のみんなも涼月が仲間になると知ってからはいつもよりはしゃいでいるしね」

「そうね。初霜や雪風もいつもより幸運の値がマシマシな感じで笑顔を振りまいているのを見たわね」

「なるほど……みんながみんな気力は十分という事だな」

「そうだね。だからね提督。みんなはもう提督の事を信じているのは知っていると思うからこれからも信じさせてね?」

「そうね。私も時雨の意見には賛成だわ。提督、腕の見せ所ですよ」

「それは頑張らないといけないな。加賀さん、時雨……私もみんなの事を期待しているから頑張ろうな」

「はい」

「うん」

 

そんな感じで私達は今夜に通達されるだろう時まで時間を適度に過ごしているのであった。

ちなみに加賀さんの進水日のお祝いも渡したけど少し顔を赤くさせただけで私としてはもっと恥ずかしがる加賀さんの姿を見たかったなと思ったのは内緒である。

 

 

 




加賀さんと時雨を出しました。
今日の夜についに秋イベントが開催されます。
練度も備蓄も十分な感じですので頑張りたいと思います。




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