【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0229話『防空棲姫の再来』

 

 

 

 

E3海域作戦名『捷一号作戦、作戦発動!』の攻略を開始しようとしていた私たちは少しの間考えさせられいた。

 

「ふむ……第三海域の敵深海棲艦は三体いるのか」

「はい。情報によりますと一回目の敵が防空棲姫、二体目の敵が駆逐古姫、三体目の敵が空母棲姫という段階だと聞いておりますね」

「15年夏の作戦の再来か……」

 

それで私が思い出すのはランダムな羅針盤、零時迷子、ことごとく落とされる艦載機達……とにかく防空棲姫にはいい思い出がないんだよな。

大淀も私の考えが分かったのか苦笑いを浮かべながらも、

 

「て、提督……大丈夫ですよ。さらなる情報によりますと防空棲姫はあの夏の時に比べて数段弱体化しているという話ですから」

「そうか……それなら、いいんだがな」

 

私はそれでも不安が拭えないでいた。

防空棲姫がここで登場するという事はこの先でのもしかしたら涼月に似た深海棲艦が登場するのではないかという考えを持っているからだ。

多分、最終海域で登場するんだろうなという気持ちになりながらも、

 

「わかった。とにかく編成を組んで出撃してもらおうか」

「はい、了解しました」

 

それで私は防空棲姫攻略艦隊を編成するためにメンバーを呼び出した。

しばらくしてみんなは執務室にやってきた。

第一艦隊は羽黒、リシュリュー、古鷹、ポーラ、筑摩、照月の六名。

第二艦隊は摩耶、千歳、由良、綾波、雪風、妙高の六名。

この十二名を合わせた連合艦隊で防空棲姫を打倒してもらうつもりだ。

 

「まずみんなに伝えることがある。リシュリューとポーラ、照月は会った事がないだろうが今回攻略してもらうのはあの“防空棲姫”だ」

「「「ッ!!」」」

「……あれ? みなさん、どうしたんですかー?」

「少し顔が引き攣っているわね。過去に相当の苦労をさせられたような感じね……」

「私は少し気持ちが分かるかもー……私を手に入れるために提督ってかなり神経をすり減らした感じだったから……」

 

みんなの表情を見て少し困惑しているポーラとリシュリュー、そして何となくだけど分かるという感じの照月。

みんなの気持ちは痛いほど分かるからなぁ。

 

「まぁ、といっても多少の弱体化はされているというからそんなに緊張はしないでほしいのが本音だ」

「だけどよー提督。あの、防空棲姫だぜ? 大丈夫なのか……?」

 

摩耶が少し心配そうにそう聞いてくる。

 

「おそらく大丈夫だろう。今回は軽空母が千歳だけの水上打撃部隊で挑むから艦載機を落とされることは無いだろうしな」

「ま、それもそうだな。やっぱり砲撃戦だよなー」

「それに、あの夏の作戦の時より確実にみんなは強くなっているから勝ちは拾えるだろう」

「雪風たちにお任せください、しれぇ!」

 

ビシッと雪風が敬礼をしてきたので、

 

「ああ。それではさっそくだけど出撃してくれ。多分大丈夫だろうからな」

「「「了解」」」

 

みんなはそれで出撃していった。

 

「きっともう乗り越えられるよな……前の時も乗り越えられたんだから」

「そうですね。照月さんがいるのがその結果の形ですからね」

 

大淀とそんな会話をしながらもみんなが無事に突破してくれるのを祈っているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

……私を手に入れるための作戦で苦労させられたという防空棲姫。

私は今回初めて会うんだけど少しだけ緊張するなー。

 

「照月さん、大丈夫ですよ。きっともう乗り越えられますから」

「そ、そうですよね! 照月、少しだけ不安になっていました」

 

筑摩さんにそう励まされて私もなんとか気持ちを高ぶらせた。

そして道中の深海棲艦を倒していきながらも私達は進んでいく。

羅針盤が示された方へと進んでいくとなにやら少し毛違いの深海棲艦と遭遇する。

 

「フフ……キタンダァ……? ヘーエ……キタンダァ……」

 

その深海棲艦はそう言ってクスクス笑っている。あれが防空棲姫なんだね。

私の超10㎝砲ちゃんと比べてもなお大きい高角砲を従えている防空棲姫はなるほど、確かにあれなら艦載機を簡単に落とせるんだろうなという思いをさせられる。

だけど!

 

「私達はあなたになんか負けないんだから!」

「おう、言ってやれ照月!」

 

摩耶さんにそう言われて私も少しだけ勇気が持てた。

防空棲姫はそれで不気味な笑みを浮かべながらも、

 

「ソーオ……アソンデアゲルワァ……」

 

そう言って高角砲を構えてきた。

 

「艦載機を出します! ポーラさんと筑摩さんも続いてください!」

「わかりました!」

「行きますよ~!」

 

千歳さんとポーラさん、筑摩さんの艦載機や戦闘機の発艦であの防空棲姫に落とされないかと少し心配に思っていたんだけど、

 

「……なんだ。あんまり今回は落としてこないんだね」

 

そんな古高さんの呟きが聞こえてきた。

そう、今回はそんなに艦載機も落とされていない感じだ。

これが弱体化の証みたいなものなのかな……?

とにかく、

 

「制空権を確保! みなさん、私、羽黒に続いてください!」

 

今回の旗艦の羽黒さんの普段ではあまり見せない大声を上げて私達は防空棲姫と他の深海棲艦へと攻撃を開始した。

 

「オノレ……オマエモイタクシテヤルゾ!」

 

防空棲姫も抵抗はしてくるんだけどあきらかに私達の方が実力はあるのは明らかな戦闘になってきた。

そして夜戦へと突入していき、

 

「このあたしの攻撃で、沈めー!」

 

摩耶さんの連撃がさく裂して防空棲姫は、

 

「クッ……コンナコトガアッテイイノカ……」

 

という捨てセリフを残しながらも沈んでいった。

やった! 防空棲姫を倒したよ!

 

「みなさん、やりましたね」

「やりましたー!」

「やったです!」

 

みんなも苦労させられたのを覚えているから喜んでいた。

うん。よかったぁ……。

私も嬉しい気持ちになってくるんだー。

 

 

 




装備編成さらし

第一艦隊

羽黒改二   20.3㎝(3号)連装砲×2、零観、艦隊司令部施設
リシュリュー リシュリュー砲×2、紫雲、一式徹甲弾
古鷹改二   20.3㎝(2号)連装砲×3、零観
ポーラ改   SKC34 20.3㎝連装砲×2、零観、Ro.44水上戦闘機
筑摩改二   二式水戦改(熟練)、二式水戦改、Ro.44水上戦闘機、強風改
照月改    10㎝連装高角砲+高射装置×2、13号対空電探改

第二艦隊

摩耶改二   20.3㎝(3号)連装砲、90㎜単装高角砲、夜偵、FuMO25 レーダー
千歳航改二  TBM-3D、F6F-3N、岩本隊、夜間作戦航空要員+熟練
由良改二   甲標的、三式水中探信儀、三式爆雷投射機
綾波改二   五連装(酸素)魚雷×2、照明弾
雪風改    五連装(酸素)魚雷、四連装(酸素)魚雷×2
妙高改二   20.3㎝(3号)連装砲、五連装(酸素)魚雷×2、熟練見張員



防空棲姫があんまり強く無かったイメージでしたね。




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