【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0232話『栗田、志摩、西村艦隊の出撃』

 

 

 

 

 

ついに後段作戦の最終海域まで解放されたために私達は本腰を入れる気持ちで編成を考えていた。

今回は多分にボスエリアまでのルート解放ギミックが存在するために第一海域から出撃してもらっていた面々を駆り出していく事になっていた。

 

「というわけで、長門。提督代理を務めてもらっても構わないか?」

「構わないが……栗田艦隊として榛名が必要とはいえな……あまり無茶はしないでくれよ?」

「わかっているよ」

「長門! 大丈夫ネ。テートクはワタシが守りマース!」

 

そう。まずは栗田艦隊の連合艦隊編成でクリアしていく事になる。

第一艦隊は旗艦を金剛、私、鈴谷、熊野、千代田、千歳の六名。

第二艦隊は旗艦は大井、雪風、島風、阿武隈(カッコカリしている方)、鳥海、北上の六名。

 

「それじゃまずはギミック解除を念頭に入れて頑張っていくとしようか。志摩艦隊のみんなや西村艦隊の面々も何回も編成を変えていかないとボスマスまでのルートが解放されないからな」

「分かったネー!」

「任せるじゃん!」

「お任せください!」

「それじゃ出撃だ!」

 

そんな感じで私達は何度か指定された場所へと航路を進めていき、そこの敵深海棲艦を倒すという事を繰り返していた。

時には志摩艦隊でも出撃してもらいルートを増やしていったり、西村艦隊のみんなにも出撃してもらい夜戦を繰り返してもらったりした。

そして後は栗田艦隊でとある場所の敵艦隊を倒すだけとなっていき、進んでいくんだけど………、

 

 

「やっぱり少しだけつらいものがあるな……何回撤退したか分からないぞ」

「そうだねー……どうしても第二艦隊に攻撃が行っちゃうからぼろが出ちゃうのはしょうがないよねー」

「それでも進まなければいけませんわ。鈴谷、気持ちを入れ替えなさいな」

「わかってるんだけどねー」

 

道中の戦艦が多めの編成で大破を食らうケースが多発している。

そしてそれを突破しても夜戦マスに突入してしまい、警戒陣で挑んでも相手が相手でよりによってPT小鬼ときた。

それによって攻撃が当たらないから反撃でダメージを食らってしまうとか言う悪循環も発生している。

本当に敵編成が厭らしい構成ばかりで少しだけ嫌になってくるというものだ。

だけど、ついにそれも抜ける事に成功したために私達はその深海棲艦の連合艦隊へと攻撃を開始すべく、

 

「先ほどまでの鬱憤をまとめて晴らすぞ! みんな、攻撃準備を!」

「「「了解!」」」

 

千歳と千代田の二人の艦載機で航空優勢を取ってもらい、私達は攻撃を開始する。

 

「金剛、一気に行くぞ!」

「分かったネー! ファイアー!!」

《提督、私達も頑張りましょう!》

「ああ、榛名! 一斉掃射!!」

「熊野! 提督達に負けてらんないね! いっくよー!」

「そうですわね鈴谷! まいりましょうか!」

 

それからみんなで深海棲艦の群れを圧倒してついにボスまでのルートを解放する事に成功したのであった。

これで私達栗田艦隊のお役目も終了したので私は再び執務室で指揮を取ることになる。

だけどボスへの攻略開始は今日はもうみんなもギミック解除のために疲労が溜まっていたのでまた明日から開始するようにして体力温存を図らせることにした。

そんな中で山城が執務室に入ってきて、

 

「提督……ついに明日からスリガオ海峡の深部に突入するのですね?」

「そうだ。西村艦隊の出番がついにやってきたという訳だな」

「そうですか……ふふふ、楽しみだわ」

 

山城は一見余裕の笑みを浮かべているんだけどどこかしら腕が震えているように見える。

そんな山城の姿に私は椅子から立ち上がって山城のところまで歩いていく。

 

「提督……? どうしたのですか?」

「いや、山城。聞いてくれ……そんなに強くあろうとしないでくれ。強がっているのが見え見えだからもっと心を穏やかに明日を挑んでもらいたい」

「わかっています……大丈夫です。この山城、西村艦隊をきっと支えてみせます。ですが……そうですね。提督、私の手を握ってもらっても構いませんか……?」

「別に構わないけど……理由を聞いていいかい?」

「はい。提督はおそらく敵深海棲艦のボスの情報はもう会得していると思うのでしょうが、どうにも不安が拭えないのです……」

 

先程までの表情が一転して不安一色になっている山城を見て私は深海棲艦のボスの情報を伝えるべきか一瞬迷った。

だけど、伝えないといけない。

だから私は山城の両肩を優しく掴んでやり、

 

「聞いてくれ山城。まだ他のみんなには伝えていないけど今回の深海棲艦のボスは……おそらく扶桑と山城の負の側面が実体化した存在だと思うんだ……」

「それは……どういった事ですか?」

 

どこか私の答えを聞きたくないと言った感じの顔になる山城。

だけど伝えていないのと伝えているのとでは受け止め方が違ってくるからな。

だから私は言う。

 

「先行情報で分かっている事だが今回のボスの名称は『海峡夜棲姫』……二人組の深海棲艦でその姿は山城と扶桑にとても酷似しているんだ」

「そ、そんな……! それじゃ……!」

 

山城も私の言いたいことが分かったのだろう。少し涙目になりながら、

 

「そうだ……西村艦隊で突破してスリガオを越えるためにはその二人に酷似した深海棲艦を倒さないといけないんだ」

「そんな、ことって……あんまりです……」

 

それで地面に手をついて涙を浮かべる山城。

そんな山城の姿を私はいつまでも見ていたいわけではなかったので抱きしめてやり、

 

「だけど、西村艦隊のみんなで乗り越えるって決めたんだろう? だからもし本当に海峡夜棲姫が怨念の集合体なんだとしたら……倒して浄化してやりなさい」

「できるのでしょうか……?」

「決心を揺らがせたらそこですでに心が負けていることになるんだぞ? 私の好きな山城なら諦めないで乗り越えてくれ……」

 

しばらくそうして抱きしめてあげていたが、

 

「……提督。もう、大丈夫です……この山城、必ずその深海棲艦を倒します。それが私達の試練なのですから……!」

「その意気だ。他のみんなにもそれとなく後で伝える……だから重く受け止めるなよ?」

「わかっています。必ず……必ず突破します!」

 

もう山城の顔からは怯えのような感じはなかった。

代わりに必ず突破するという気持ちが感じられた。

もう大丈夫かな……?

信じて送り出そう。私が出来るのはそこまでなんだから。

明日が決戦だな……。

 

 

 




装備編成さらしは今回は多めなのでカットします。
ギミック解除のためにいちいち編成を載せていたら大変ですから。


そして最後に山城をヒロインとして扱いました。



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