【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0250話『平和的な薬の副作用(その1)』

 

 

 

私、榛名は久しぶりに提督より早く起きることが出来ました。

まぁ、この間に初めて提督が寝坊をしたこともあったのでつい最近のことなのですが、提督の寝顔を見れるのも役得ですよね。

私の顔を見ていて楽しいかって……? 違います、今は提督の顔でもあるんです。霧島には悪いですけどこれも双子の姉妹みたいなものですね。

それでいまだに布団を被っている提督を起こそうと思いましたので提督に話しかけました。

ですけど、

 

《あれ? なぜか布団のふくらみがいつもより小さくなっているような……?》

 

いつもとは違う違和感を感じて、それからなぜか胸騒ぎがしてしまいましたのですぐに提督を起こすことにしました。

 

《提督! もう朝ですよ! 起きてください!》

「…………」

 

提督からの返事はありません……。

また寝ぼけているのかもしれないのですが今日に限っては少し気分が違いました。

どうしてかって、昨日に明石さんが言っていた事です。

『副作用があるかもしれませんからなにかあったら言ってくださいね?』と……。

だからまさか今になって副作用が起きたのではと心配になったからです。

こういう時にものに触れない自身が恨めしいとも感じてしまいますが仕方がないです。

それから何度も提督を起こすように大声を上げていました。

するとしばらくして布団がもぞもぞと動き出したのでおそらく提督が起きたのでしょうと思いました。

だけど次の瞬間には布団から小さい女の子が出てきて一瞬ですが頭が真っ白になりました。

姿はまるで私が幼子になったかのように……そうですね。松輪さんと同じくらいの女の子が布団から出てきたのです。

 

《て、提督……?》

 

提督(?)は何度か周りを見渡して、

 

「……お姉ちゃん、だれ……? ここはどこ……? どうしてお姉ちゃん透けているの……?」

《い、いやああああーーーーー!!?》

 

私は気が動転して思わず大声で叫んでしまいました。

て、提督が幼子になってしまってさらに記憶もなくなっているようなのです。

これで冷静になれと言うのがおかしい話です。

だけどタイミングがよかったのか、

 

「ヘーイ! テートク、朝デスヨ!」

《金剛お姉さま!? よかった……明石さんを呼んでください、すぐに!!》

「ワッツ!? どうしたの、榛名……?……って、まさかこの小さい女の子は……」

《私との繋がりがある事からおそらく提督です。ですから早く!》

「わ、分かったネ!」

 

お姉さまもお目々ぐるぐるさせながらも電話で明石さんを呼んでいました。

それからしばらくしてバタバタという足音とともに明石さんが寝室に入ってきました。

 

「榛名さん!? 提督のご様子は!?」

「明石……この通りネ……」

 

今、提督は金剛お姉さまに抱っこされながらきっと私の金切り声で衝撃を食らって気絶してしまったのでしょう、スースーと寝息を立てています。

 

「これは……! まさか幼児化ですか」

「多分ネ。これが明石のいう副作用ってモノデスカ?」

「そうだと思います」

《おそらく記憶もないみたいです……私の事が分からなかったみたいですから……》

「そうですか……すぐに医療室に運んでください! 検査しますので!」

 

それからは行動は迅速に進んでいって提督は医療室のベッドに寝かされていました。

だけどさすがに情報封鎖は出来なかったみたいでぞくぞくと艦娘のみなさんが医療室に集まってきていました。

 

「提督が子ども化したって本当ですか!?」

「あ……司令が私より小さい……」

「これはもうスクープですね!」

 

と、みなさんが騒いでいる中で、

 

「静かにしてください。提督が起きてしまいますよ?」

 

明石さんに叱られていましたけど、やっぱりと言う感じで提督が目を覚ましたのか、

 

「う……あれ? また違う部屋……」

「あ、提督起きましたか」

「お姉ちゃんもだれ……?」

「うー……これは一大事ですね。自然に元に戻るのかも分からない以上は下手に治療ができませんから」

「治療……? 私、どこか体が悪いの……?」

 

コテンと首を傾げる提督の可愛いご様子に「はぁ~……」と歓喜から来ているのでしょう甘い吐息を吐くみなさんの姿がありました。

青葉さんなんて鼻血を出しながらも何度もシャッターのボタンを押していますし。

するとみなさんの中から対馬ちゃんが出てきました。

 

「うふふ……また司令に不思議な事が起こりましたね。対馬、とっても嬉しいですよ。よしよしー……」

 

対馬ちゃんがそう言いながらも提督の頭を撫でていました。

提督も対馬ちゃんの不思議な魅力に当てられたのか、

 

「対馬ちゃんって言うの……?」

「はい、対馬です……。司令、可愛いですよ」

「私……可愛いの?」

「はい。とても愛らしいですよ。思わず食べてしまいたいほどに……」

「ひっ!?」

 

その子供らしからぬ妖艶な笑みを浮かべる対馬ちゃんに訳も分からない恐怖からでしょう提督は明石さんに抱きついていました。いいなぁ~……。

 

「あぁ、いいですねー……って、そうじゃなくて対馬ちゃん、提督を怖がらすことは禁止ですよ?」

「ふふふ、すみません」

「ここは適任者に任せましょうか。鳳翔さん、いますかー?」

「はーい。いますよー」

 

明石さんは鳳翔さんを呼ぶとみんなの中を掻き分けて鳳翔さんが温和な笑みを浮かべながら出てきました。

 

「少しの間ですが提督の事をお願いしてもいいですか……? 私も人の事を言えないのがちょっとと思いますけど襲われたらシャレになりませんし、それに下手に歩き回れると迷子になっちゃうかもしれないので」

「わかりました。それじゃ提督、少しの間ですが私に着いてきてください」

「怖くしない……?」

「はい。大丈夫ですよ」

「……わかった」

 

提督は鳳翔さんの手を握ってそのまま空母寮へと向かうみたいです。

 

「それじゃ各自思う事もあるでしょうけど解散してくださーい! 提督に会いに行きたい方は鳳翔さんの許可をもらってからお願いしますねー」

「「「はーい!」」」

 

明石さんの言葉で一時的に解散しましたけど、私は提督に寄り添いながら、

 

《鳳翔さん、それではしばらく提督をお願いしますね。私はなにもできませんから……》

「はい。お任せください。提督は私がきっちり面倒を見ますから」

《はい》

 

その後なんですけど、一応艦隊運営はしないといけませんから最低限近海の哨戒などを回すそうです。

提督代行も長門さんがやってくれるそうで安心ですね。

ただ……。

長門さんの提督を見る目が少し怖かったのは気のせいでしょうか……?あれはまるで小動物を狩る狼のように目が据わっていましたよね……少し不安です。

 

 

 




というわけでしばらくは提督子供シリーズが続くと思います。
三日くらいで終わると思いますので次の新任務や行事には間に合わせようかと。




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