【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0031話『配属の春日丸』

 

 

 

 

 

私は春日丸………大本営で作戦を終えた提督のもとへと配属されるために数多く建造された艦娘、その一人だ。

だからというのもなんだけど、どういった提督に配属されるのかもまだ聞かされていないのが現状だ。

この世界で艦娘として顕現してからは先輩の大本営直轄の大淀さんにこの世界の提督の事を聞く。

話によれば提督は性格は千差万別…当然ですね。人間なんですから。

艦娘になる前の艦船だった頃の記憶でも色々な軍の人を見てきましたから分かります。

 

「いいですか春日丸さん。この世界の提督は基本は私達艦娘を大事に扱ってくれる人が大半です。

ですが中には深海棲艦に対しての恨み、憎しみに捕らわれて艦娘を深海棲艦を倒すだけの兵器としての運用もする提督もいると聞きます」

 

その大淀さんの話を聞いて少し怖くなりました。

もしそんな提督のもとへと行くことになったら艦船だった時代、ろくに活躍できなかった私は役立たずの烙印を押されてしまうかもしれない。

それで恐怖で体を抱きしめていた時でした。

大淀さんが安心した顔になって、

 

「ですが春日丸さん。安心してください」

「え?」

「あなたが配属される予定の鎮守府は少し特殊ですが提督は悪い人ではありませんから」

 

その大淀さんの言葉に少し戸惑う。

なんでそこまで言い切れるものなのかと。

それで話を聞いてみた。

その鎮守府の提督についての事を。

 

「ふふ、そうですね。できれば私もそんな羨ましい鎮守府に配属したいのですが、もうすでにそこには二人も私が配属されていますのでいけないんです。

あ、私の事はいいとしてですね、その鎮守府の提督と艦娘達は少し事情が異なっているんです」

「事情が異なる、ですか…?」

「はい。今でも大本営では扱いが困っているのですが、その提督はこことは違うこの世界に似た世界から鎮守府や艦娘達と一緒に転移してきた異世界人なのです」

 

異世界人…。

それを聞いて驚きました。

まさか異世界から来てしまった人たちがいるなんて。

 

「しかも驚きなのがですね。その提督は戦艦榛名にこの世界に来ると同時に憑依してしまったようで、今では戦える提督として期待されているんです」

「はぁ………」

 

異世界人のついでに艦娘に憑依…。

それだけ聞いただけでもうお腹が一杯になるような気分でした。

特殊という言葉が正しく当てはまりますね。

 

「ですから、そんな提督ですから当然艦娘達の事をこの世界では珍しく平等に扱い、そして平等に愛しているんですよ」

「そうなのですか…」

「はい。あちらの私に話を聞いた時はとても羨ましいと思いましたね」

 

そう言って大淀さんは笑みを浮かべていた。

おそらくそれが本心から来る笑みなのだろう事は分かった。

 

「…でしたら私も平等に扱ってくれるでしょうか…?」

「きっと大丈夫ですよ。だから気をしっかりと持って鎮守府に配属していってください」

「わかりました。春日丸、頑張らせていただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな話を大淀さんとした翌日に私は大本営直轄の輸送車で厳重に警備されながらもその鎮守府へと連れて行ってもらいました。

少し時間が経過して車が到着したのだろう、止まったので降りてみるとそこには立派な建物が多く並ぶ鎮守府がありました。

ここに今日から私が配属されるのですね。

少し緊張しながらもゲートをくぐって鎮守府内へと入っていきます。

 

「それでは私達はこれで…どうかご武運を」

「ありがとうございました。頑張ります」

 

軍の人がそれで敬礼をしながらも鎮守府から遠ざかっていくのを確認した後に、これからどうやって執務室を探そうかと思ったところでした。

前方から少し背が小さいけど赤い和服に帽子を被っていて髪をツインテールにしている女の子が歩いてきました。

その方は私にはどこか懐かしい雰囲気を感じさせる人でした。

その人が私の前まで来ると、

 

「あんたが春日丸か…?」

「はい。私は春日丸です。それであなたは…?」

「わからんの? まぁええわ。でも久しぶりやな春日丸」

「えっ…?」

 

その女性の人は久しぶりと言った。

もしかして艦船の時代に縁があった方でしょうか。

 

「分からんのも無理はないわ。紹介やね。うちは龍驤や」

「龍驤さんですか!?」

 

それで私は嬉しくなって龍驤さんに抱き着いた。

龍驤さんはそれで驚きはしていたけど何度か背中をポンポンと叩いてくれて、

 

「第四航空戦隊以来やね。うちはすぐに沈んでしもうたけどキミも苦労したんやろ?

改装して名前も変わったらしいしな」

「はい…今は春日丸ですがこれから改装していけば大鷹という名前に変わると思います」

「そか…まぁええわ。それじゃともかく司令官のもとに案内したるわ。情報とかなんか聞いてるか?」

「はい。とてもいい人だと大淀さんに教わりました」

「ならええんわ。君の事もきっと大事にしてくれるよ。安心しいや」

「はい」

 

それで少し龍驤さんは嬉しそうに笑みを浮かべながらも執務室へと案内してくれました。

道中で色んな艦娘の人の姿が見えて、

 

「ここには多くの艦娘の方がいるのですね」

「まぁな。なんせうちは今現在大本営が発表している艦娘は全部揃っとるからな」

「すごい…でしたら翔鶴さんや他にも色々な方がいるんですか?」

「ああ、いるで。後で空母寮を案内する際に全員紹介したる。きっとみんなも喜ぶと思うよ」

「わかりました」

 

そして執務室へと案内されて、

 

「司令官! 新人が来たから案内してきたで!」

『わかった。入れてくれ』

 

中から女性の声が聞こえてきた。

それで龍驤さんに促されながらも中へと入る。

そこには優しそうな笑みを浮かべている人がいました。

 

「君が新しく配属される艦娘だね」

「はい。特設航空母艦の春日丸と申します。不束者ですが、勤めを果たしたいと思います」

「そうか。よろしく頼むよ、春日丸。もうあっちで聞いていると思うが私も今は艦娘だ。

だから平等に扱っていくと思う。だから不安とか感じることは無く安心してここで慣れていってくれ」

「わかりました」

「それじゃ龍驤。春日丸を空母寮へと案内してくれ」

「わかったで」

 

それで執務室を後にした私と龍驤さん。

空母寮に移動中に、

 

「な? あんな司令官だからうちやみんなも安心して戦闘ができるんや。

だからキミもここで活躍できるように強くなっていこうな」

「はい! 私にどこまでできるかわかりませんが頑張らせていただきます!」

 

そして空母寮へと到着して、そこで懐かしい人たちと再会できて嬉しい思いになりました。

これから頑張ってまいりましょう。

 

 




丸々春日丸でいれていました。
龍驤とは第四航空戦隊がらみで出してみました。



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