【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0059話『熊野達の改二改装』

 

 

夜となり大本営から電文がかなりの量が送られてきた。

その中にはもちろん熊野の改二の件も記載されていた。

それで私はその電文を持ってきた大淀に、

 

「大淀。熊野達の改二改装の用意を…。改装設計図を三枚頼むよ」

「わかりました。すぐに用意いたしますね」

 

そう言って大淀は準備のために執務室を出ていった。

そして私はすぐに熊野達二人を執務室へと呼ぶ事にした。

電話をかけてからしばらくして、

 

「提督。呼ばれてきましたわ」

「はい。熊野の言う通りわたくし達の改二の件なのでしょう?」

「そうだ。この世界に来て二回目の改二改装だ」

 

私がそう言った瞬間、二人はどこか身構えたような感じがした。

どうした…? 素直に喜ぶと思ったのだが…。

するとクマノンの方が口を開いてある事を言う。

 

「提督…。わたくし達の改二改装の件ですが見送りにはできませんでしょうか?」

 

そのクマノンの言葉に思わず私は目を見開いた。

先日はあれほど楽しみにしていたのにどういった心境の変化だ?

なにか悪いモノでも食べたのか?

いや、熊野達に限ってそんなことは無いと思うが…。

私が見当違いな事を考えている間にも二人は話を続ける。

 

「わたくし達の改二が施行されるとしまして、提督にある事が起こるかもしれないのがわたくし達は怖いのですわ」

「ある事…?」

「ええ。提督もご存じなのでしょう? 提督が戦果を上げたり改二の施行をしたりしたら快く思っていない他の鎮守府の提督達が理由もない逆恨みを提督にするかもしれないのですわ」

「クマノンの言う通りですわ。わたくし達はそれが怖いのです」

 

その告白に私は冷や水を浴びせられたような気分にさせられた。

確かに考えてみればこの世界では熊野達のように高練度に達している艦娘は数に限りがあるという事を。

そしてその大半を私の鎮守府は条件を満たしている。

それで他の提督の視線がさらに厳しくなるというふざけた計算式が成立するのだろう。

見れば熊野達は改二になりたいのだろう、しかしそれを我慢しているのかスカートをギュッと握りしめている。

怖いんだな…。

私がなにかされるのではないかという恐怖で。

だけど、

 

「君たち二人の気持ちはわかった。とても嬉しく感じるよ」

「でしたら…」

「だけど、予定通り二人の改装は執り行う事にする」

「提督!? わたくし達の言葉を聞いていなかったのですか!? 提督の身に危険が迫ってからでは遅いのですわよ!」

 

そう言って熊野は叫ぶ。

 

「大丈夫…。それくらいの逆境は跳ね除けてみせるさ」

「ですが…わたくし達はもしそんな事になったら耐えられません。提督はこの世界ではわたくし達の父親的立ち位置でもあるのですわよ?

もし提督がいなくなってしまったらわたくし達はどうすればいいのか分からなくなってしまいますわ」

 

そう言ってクマノンは目に涙を滲ませていた。

その正直な気持ちが今は辛いけど、私は椅子から立ち上がって二人の前に立ち、そして勢いよく二人を抱きしめる。

 

「きゃっ!?」

「提督…?」

「ありがとう…そこまで思われているなんて思っていなかったからとても嬉しい。

だから信じてほしい。私一人だったら立ち向かえないだろうけど、私は一人じゃない。艦娘達みんながついていてくれる…だからどこまでも頑張れるんだ」

「「提督…」」

 

それで二人とも涙声になってしまっている。

悲しませたくないのに矛盾だな、これは。

 

「そして一人で出来ない事はみんなでやっていけばきっとなんとかなる。

なぁに、私達が力を合わせればどうとでもなる。だから…」

 

私が言葉を続けようとしたところで、熊野に指で口を押さえられて、

 

「提督にそこまで言わせてしまっては熊野の手落ちですわ。ですからそれ以上は言わないでくださいまし」

「そうですわ。提督の身はわたくし達が必ず守ります。ですから信じさせてくださいましね」

 

そう言って二人は少しして名残惜しそうに私から離れて、

 

「分かりましたわ! もう迷いません。提督! わたくし達を改二にしてくださいまし。

そしてもっと強くなって提督も仲間のみんなも守るのですわ!」

「熊野のいう通りですわ!」

 

そこには先ほどまで気落ちしていた二人の姿はなかった。

代わりに覚悟を決めている表情があった。

これならもう大丈夫かな。

 

「よし。では改装室へと向かうとするか。大淀と明石も待っている事だしな」

「「ええ」」

 

それで改装室へと向かい、

 

「提督。準備は出来ています。いつでもどうぞ」

「わかった。それでは二人とも、改装室へと入ってくれ」

「「はい」」

 

それで二人は改装設計図を持って改装室へと入っていった。

そして部屋の中から光が漏れて、しばらくして二人は中から出て来て、

 

「改装された真のレディの力をお見せいたしますわ!」

「ご期待くださいましね」

 

熊野は改二へ、クマノンは航改二へと姿を変えて強気の笑みを浮かべている二人の姿があった。

 

《提督…二人とも覚悟を決めている表情ですね》

「そうだな榛名。私も負けていられないな」

《はい! 榛名も提督の事を守りますね!》

 

榛名とそんな会話を熊野達を見ながらしていたのであった。

 

 

 




熊野達の覚悟の回でした。
実際この世界って横須賀鎮守府の長門が最高の90ですから練度不足で第二次改装できない提督が後をたたない感じなんですよねぇ…。
だから妬みもひがみもされるんです。


任務がやっと一通り終わってその後の深夜の眠い時間に書いたから文章が少なめです。ねむ…。
ノルマはしないといけないから短いけど許してください。




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