【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0065話『瑞穂と神威の野菜作り』

 

 

 

 

先日に引き続いて雨が降り注いでいる我が鎮守府は戦闘行動を制限されてしまっている為に暇を持て余している艦娘が少なくない数いた。

 

「しかし、今年はあまり降らないという感じの予報をしていたのに結構うちら辺は降っているな」

《そうですね。これでは鳳翔さんも洗濯物が出来なくて嘆いていそうです》

 

榛名の言う事も分かる。

私も中身は男性だけど今は榛名という身体だから女性という扱いにされている為に一緒に洗濯物をさせてもらっている身だけど鳳翔さんが服が干せないと嘆いていた。

そして仕方なく室内に中干をして半乾きになっている服が結構あるのだ。

こういう時に暖房室がある部屋があると便利だけどこの季節はエアコンはなるべく節約で制限している為に使えないのだ。

みんなで宴会をする大広間が今は服干しの場と化しているのはどうだろうか…?

しかしこうと考えればいい。

使える場所は使え、と…。

だから最近宴会は開かれていないのでちょうどよかったと鳳翔さんは嬉々として大広間に服を干していた。

 

「…まぁ、一応は着れないことは無いんだから我慢するとしよう」

《そうですね…ところで提督。本日はどうしますか? また夕立さんが嬉々として執務室に押しかけてきそうですけど》

「そうだな。誰かが執務室に入ってくる前に任務は片付けておくか」

《そうしましょう》

 

と、そんな事を思っているとさっそく執務室の扉を叩く音が聞こえてきた。

誰だろうなと思いながらも、

 

「どうぞー」

 

と言ってその誰かを招き入れる。

それで執務室に入ってきたのは瑞穂と神威だった。

 

「提督…。瑞穂、参りました」

「提督! 神威、瑞穂さんと一緒に少し提督に用があって来ました」

 

そんな言葉とともにその手には傘が握られていた。

そして瑞穂の三方には梅雨modeのアジサイが乗せられていた。

神威の方も髪飾りにアジサイが添えられている。

 

「私に用か。なんだ、言ってみてくれ」

「イヤイライケレ、提督。それでですが提督は確か鎮守府の一角に畑を作っていましたよね?」

「ああ、そうだけどそれがどうした…?」

「はい。神威さんと相談しまして私達もそこを使わせてもらっても構いませんかという相談をしに来たんです」

「別に構わないぞ。畑はやる気があるなら誰でも使えるようにしてあるからな。

それなら武蔵とか天龍にも相談してみると言い。

彼女達も私と一緒に畑を耕す仲だからな」

 

それで二人はパァッ!という笑顔を作って、

 

「ありがとうございます! 神威さんと一緒に今から夏にかけていいものを作りますね」

「ああ、わかった。…だけど今から作っても梅雨の季節もあって夏には間に合わないと思うが…」

 

私はそんな事を言うと二人は少しため息をついて、

 

「提督…? 提督はまだ畑仕事は初心者ですから分からないと思いますが、梅雨の時期に植える野菜というのもあるんですよ?」

「瑞穂さんの言う通りですよ。しし唐にミズナ、モロヘイヤに芽キャベツなどが夏には収穫出来て秋ごろにはサツマイモも収穫できるんですよ?」

 

それを聞いて私はひどく驚いた。

確かにまだまだ私は初心者だなという気持ちにさせられた。

まだまだ畑仕事は奥深いな…。

雨の季節だからこそ育つ野菜も結構あるんだな。

勉強になるな、うん。

 

「すまなかった。私が浅はかだったな」

「いえ、分かってくださればよいのです。それでですがついでと言っては何ですが提督に町に連れてってもらいたいんです」

「ん? 町にか…?」

「はい。野菜を作りたいのはいいんですけどまず種やら肥料、それに色々道具を調達しないといけません」

「その道具が今は不足しているんです…」

 

それで少し考えて私に相談するのは確かに仕方がない事だと思った。

基本艦娘は視察以外では私随伴の行動でないと町には繰りだせないのだ。

大本営の規則でもし艦娘がありえないと思うが誘拐などされたら大変だという処置で提督随伴でないと鎮守府以外では行動はできないという規則が出来ているのだ。

だから気軽に艦娘達は町に繰り出せないのだ。

それで不満を感じている子達も結構いるのが現状だ。

艦娘達は町の人とも触れ合いたいという気持ちがあるらしく私が町に視察をしに行く際には誰が行くかくじ引きをして決めているとかなんとか…。

酒保でも大体のものは揃えられるのだがいざ欲しいものがないという時にはよく私が町に行く際に買う事が多いのだ。

それで瑞穂たちもそんな事で今回私に相談してきたのだろうな。

その想いには応えないといけないな。

 

「わかった。それじゃ今日は雨が降っているけど任務が終わったら昼食後に午後にでも町に繰り出してみるか?」

「本当ですか!? ありがとうございます提督!」

「提督、イヤイライケレ!」

 

それで瑞穂と神威は手を合わせて喜んでいた。

この笑顔には逆らえないよな。

よし。それじゃ午前中に任務をあらかた片付けておくとしようか。

 

「瑞穂、神威。それじゃ任務を片付けたいので手伝ってもらってもいいか?」

「わかりました。瑞穂、頑張らせてもらいます」

「神威も頑張りますね」

 

それで三人で今日の任務書と格闘してなんとか午前中に本日の任務を終わらせた。

そして昼食時に私は二人と一緒に摂っているけど二人の浮かれ具合がすぐに分かるくらいには楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

 

「二人とも? 今からそんなんじゃ後でばててしまうぞ?」

「そ、そうですよね…でも私達も知識はありますけど野菜作りは初めてですので楽しみなんです」

「その通りです。瑞穂さんの言う事は神威も分かります」

「そうか…それじゃさっさと食べて町に繰り出そうか」

「「はい」」

 

それで昼食を終えた私達は町へと繰りだしていった。

雨も降っているので傘を差してだけどね。

 

「しかし、やっぱり降っているな」

「そうですね提督。でもこういうのも嫌いではありません」

「神威もそう思います。こういう雰囲気も結構好きです」

 

そんな事を話しながらも私達は町のホームセンターへとやってきた。

 

「あ、提督さん。いらっしゃい。本日はどうされました?」

 

店員さんに話しかけられたので、

 

「本日は野菜の種とか肥料や畑仕事の道具を買いに来たんですよ」

「そうですか。でしたら案内しますね」

 

それで店員さんに案内してもらう。

それを聞いていた二人は少し不思議な顔をしながらも、

 

「提督はよく来られるんですか…? 馴染んでいますけど…」

「ああ。武蔵や天龍と一緒によく買い物には来させてもらっているんだ。

買うのは大体野菜の種とか肥料に必要な道具とかだな」

「そうだったんですか…」

 

それで二人は素直に驚いている。

 

「いつもは武蔵が全部担いで持ってくれるんだけど今日は力仕事は苦手なメンバーだから鎮守府に後で買ったものを送ってもらうとしようか」

「わかりました」

 

それで店員さんに案内されてもらって必要な種や道具などを購入して鎮守府宛に送ってもらうように手配してもらった。

それでも野菜の種とかは二人して大事そうに抱えていたけどな。

 

「…とてもいい買い物ができました。ありがとうございます、提督」

「なに…それで鎮守府の食事に貢献してくれるならこれくらいの苦労は厭わないよ」

「提督は優しい人ですね…神威、感激しました」

「ははっ。そんなおだてても何も出さないぞ」

 

そんな話をしながらも私達は鎮守府へと傘を差しながらも笑顔で帰宅した。

 

 

 




今回は瑞穂と神威のグラも関係して書いてみました。
調べてみたら梅雨の時期から植えても夏には収穫できる野菜が結構あるんですよね。勉強になりました。



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