【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0083話『記念日の前日に動き出す者達』

 

 

 

 

私は明日にある子の祝いをするためにとある二人を探していた。

その二人というのは照月に初月だ。

なぜこの二人なのかというと明日の関係で必要な二人なのだ。

それで探していると食堂の方で二人の後姿が見つかった。

よかった……。どうやらあの子は一緒にはいないようだ。

それで声をかけることにした。

 

「照月に初月。ちょっといいか……?」

「あれ? どうしたんですか提督……?」

「ボク達になにか用かい……?」

「ああ。ちょっと明日の事で話し合おうと思ってな」

 

すると照月が少し嬉しそうな顔をして、

 

「ちょうどよかったです! 私達も明日の事で話し合っていたところなんですよ!」

「そうなのか……?」

「ああ。明日は秋月姉さんの進水日だからな。なにかプレゼントにするものを考えていたところなんだ」

「そうか……」

 

そう、明日は秋月の進水日の日なのだ。

それで二人も色々と準備をしようと色々と考えているんだろうな。

私と一緒だな。

 

「それだったら私も一緒に考えさせてもらえないか……?」

「えっ? いいんですか?」

「ああ。明日は秋月の進水日以外にも特別な日でもあるからな」

「……ああ。そういえば明日は秋月姉さんの進水日と一緒に秋月姉さんが提督とケッコンカッコカリをした日だったな」

「あっ! そうだったね! 初月、よく覚えていたね!」

「まぁ……」

 

初月はどうやら覚えていたようで少し複雑な表情を浮かべている。

秋月のことが姉として好きな二人としては心境は複雑怪奇なものなんだろうな。

だけどまだもう一つとある事があるんだ。

 

「それもだけどもう一つ特別な日なんだ」

「……? 秋月姉の進水日とケッコンカッコカリ以外になにかあるんですか?」

「ああ。当時はちょうどというのも言葉が悪いけど、まだ私はその時は秋月の進水日の日の事を知らなかったんだ。その事を知ったのはカッコカリした後の事さ」

「そうだったのかい……?」

「うん。それでだけどその日は私の特別な日でもあるんだ」

「それって……?」

 

照月が首を傾げながら聞いてくる。

二人になら話してもいいだろう。

 

「ああ。明日は私の誕生日の日でもあるんだ」

 

その事を話した瞬間、どこからか鋭い視線を感じた気がしたけどきっと気のせいだ。

 

「そうだったんですか!? うわー、それじゃ明日は本当におめでたい日なんですねー!」

「ああ。照月姉さんの言う通りだな。しかしその件は初耳だったな」

「まぁ、な。今年にこの世界に来てから表だって話したのは榛名と明石だけだったからな」

「……ちなみに提督はそれでおいくつになられたんですか……?」

「それは内緒にしておく……今はもう年齢という概念がないからなぁ」

 

そう、榛名の身体に宿った事で轟沈でもしない限りは半不老の身になったから年齢の事に関してはないに等しいのが現状なんだよな。

私の本当の年齢を知っているのは今は榛名だけだ。

 

「そうか……。聞けないのは残念だが、そうだな。それじゃ明日は秋月姉さんと一緒に祝ってやろう」

「そうだね、初月!」

「二人ともありがとう。それで話は戻るんだけど今私の方は明石に秋月へのプレゼントとしてあるものを製作してもらっているんだ」

「それはどんなのだい……?」

「それは明日までのお楽しみという事で」

「うん。わかったよ提督ぅ! だったら明日はみんなでどこかに出かけないかな?」

「それもいいけど私達がいない間に鎮守府が深海棲艦に襲撃されるかもしれない危険性もあるからなにかと不便で空けるわけにはいかない。だから間宮さんに貸し切りで予約を取っておくよ。時間は明日の夜で大丈夫か……?」

「私は大丈夫です!」

「ボクも大丈夫だ」

「それじゃそれまでに二人もなにか秋月に渡すものを考えておくんだな。酒保にでもいけばなにか見つかるだろうしな。最悪明日の午前中に私の付き添いで町に付き合っても構わない」

「いいんですか!? いひひ……提督ありがとう!」

「ボクもなにか酒保ではプレゼント選びには物足りなかったから提督が付き合ってくれるのならちょうどいいと思う」

「よし。それじゃ明日は町へと買い物に行くとするか」

「わかりました!」

「了解だ」

 

それで話は決まったので私達はそれぞれ秋月への誘いなども計画して準備をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

そんな話をしていた三人だったがそれを密かに隠れて聞いていた人物が一人。

 

「青葉、聞いちゃいました! ふふふ、これはいいネタですね。

まさか明日が司令官の誕生日だったとは……情報不足でした。

もっとこの世界に来てから司令官のあれこれを聞いておくべきでした。

青葉、痛恨の極みです」

 

青葉が一人で唸っていた。

そして、

 

「さて、こうしちゃいられませんね! こんなおいしい話はすぐに広めないと旬じゃなくなってしまいますぅ! 過ぎちゃう前に徹底的に司令官をみんなでお祝いを致しましょうか! くふふ……」

 

そして青葉は自室へと入っていき、艦娘内での秘密のやり取りを執り行って各艦娘達に情報を流していくのであった。

少しして全員に行き渡ったのだろう事を確認した青葉は各自の内線で話し合いを始めていた。

鳳翔や料理好きの子達などは特に乗り気で豪華な料理を作るという話が伝わってきて青葉は思わずほくそ笑む。

これは司令官に恩を売る絶好のチャンスなのではないかと……ッ!?

そんな邪まな考えをしているけど一方で素直に司令官の事を祝ってあげようという気持ちもあるのだ。

だから、

 

「秋月さんには悪いですけど青葉たちは司令官を中心に祝わせてもらいますね。

もちろん秋月さんの事も祝いますけどね……」

 

それで青葉は相変わらず鳴る無線機を片手に計画を練っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてとうのなにも聞かされていない秋月だけは鎮守府に漂う不穏な空気に敏感に反応していたのか、

 

「……なにやら鎮守府の空気が淀んでいますね。なにかが起こる前触れでしょうか……?」

 

自身の進水日の事を忘れているらしくこの空気に、だけど疑問しか浮かべられない少し残念な秋月だった。

果たして秋月に、そして提督に対してのサプライズは成功と相成るのかは明日になってみないと分からない……。

だけど鎮守府中の艦娘の思いは一つの事に集束していた。

明日はいい日にしようと……。

 

 

 




明日はリアルに私の誕生日でそして秋月とのケッコンカッコカリ記念日でもあります。
その日が秋月の進水日だとも知ったのは本当に後の事でした。
偶然って時にすごいですよね……。




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