ここから、俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE伝説が始まるぜ!!
《ただし、この転成にはデビルスタイルが強制付与されます。かまいませんね? 答えは聞いてない》
え?
特典はワンピース《ニキュニキュの実》の能力・海水克服版+ナギ・スプリングフィールドと同等の魔力でよろしいですね? それでは転生を開始します。なお、転生特典を受けた方には神の気まぐれで
…†…†…………†…†…
転生する際にとんでもないことを聞いた気がする……転生者バーソロミュー・クマです。ちなみに名前は神からもらった能力のオリジナルをリスペクトさせてもらいました。
テメェ風情がクマさんを名乗るだと? いいぜ……ならまずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!! という方……全身全霊で謝る用意はありますが名前は変えませんのであしからず。
さって……………ひゃっはぁあああああああああああああ!! ktkr! 転生者とかキタコレぇええええええええええええええええええええ!!
ここから俺の「俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」伝説が始まるんですね、わかります!!
おまけに転生したのは一時期衰退したものいまだに根強い人気を誇る、ハーレム形成可能要素三拍子……美少女大量・クールかつシリアスな戦闘あり・ラブコメもありがそろったザ・ネギま!!
クマさんの能力もちゃんと手に入れて、
胸が熱くなるなっ!!
そう思っていた時期がおれにもありました……。
「えっと……た、食べないで?」
神様からお決まりの穴パカッ! ヒュードン!! 転生を食らった俺が落ちた先は……なんと魔法が使えないケルベラス渓谷。
なんということでしょう!
「いやいやいやいやいやいやぁあああああああああああああああああああああ!? え、なに!? ほんとなんなの神様!? 俺のこと嫌いだろ実は!? 安心しろ! 俺もお前のこと大嫌いだからぁあああああああああああああああああああ!!」
転生者オリ主とは思えないほど情けない顔をして全力で逃げるおれ。だが、転生した際に与えられた特典に身体能力強化はない。魔法でそれをするつもりだったからもらっていない。
つまり、俺の身体能力は前世基準に準拠しているわけでっ!!
「ぐぁ!!」
三分もしないうちに魔物に追い込まれて今に至ると……。
「なんで!? いくらなんでもひどくね、神様!?」
俺は一しきり俺のことを祟っているとしか思えない神に罵声を浴びせた後、ハァハァと荒い息を漏らしながらなんとか思考を落ち着ける。
「お、落ちつけ俺……と、とりあえず魔物の胃袋の中で引き出し探すんだ。そこに入ってタイムマシンをだな……」
まったく落ち着けていない俺だったが、前世ではよく口走っていたネタが口から飛び出した瞬間あることに気付いた。
「ん? まてよ……俺転生者オリ主。すなわち主人公!! つまり、危機的状況に陥っても、必ず生き延びるフラグは立つ!!」
そう、こんなピンチ回なら必ず……オリ主が経験する展開は!!
「ふはははははは!! 残念だったな、化け物ども! 俺はこうして追いつめられたがお前らもう終わりだ!! なぜなら、ここで俺がピンチになっても必ず現地の優しい強~い人がおれを助けてくれるに決まっているからだ!!」
脳裏に浮かぶのは突如として吹き飛ぶ魔物の中央に立つ、何らかの武器を持った強そうな人物。
大剣もった美少女でも、斧を持った老人でも、杖を持った近接戦闘魔法使いでもなんでもいい。そいつに助けられた俺は、そいつになし崩し的についていくことになり、弟子としてその人を師事!! 神から与えられたこのチート力を使いこなせるようになる。定番だな!!
内心でほくそ笑む俺に何やら得体のしれない自信を感じたのか、ケルベラスの魔獣たちはまるで様子を窺うように俺への攻撃をやめ、うなり声を上げつつ俺を取り囲むようなサークルを作った。
「さぁて……かかってこいよ、虫けらども。俺に襲い掛かったが最後それがお前たちの死の合図だ……」
俺がこいつら倒すわけじゃないけど……決まった!!
…†…†…………†…†…
あれから三十分経ちました。
待てど、暮らせど、現地の優しい強い人なんて来ませんでした。
魔物たちは一分経つと互いに顔を見合わせて首をかしげ、
五分立つとだんだんダレてきて……。
最終的に俺を物凄く哀れなものを見るような目で見てきました……。や、やめろ……そんな目で見るな。人ならともかくお前らにそんな目で見られたらもうちょっと立ち直る自信ない……。
そして現在。
「かみさまぁあああああああああああああああああ!! やっぱりおまえきらいだぁああああああああああああああ!?」
俺は魔物たちボスっぽい巨大な魔物の触手につかまり、あんぐりとあけられたその魔物の口の中に放り込まれかけています。
オワタ……。おれTUEEEEEEEEEEEEE伝説なんてなかった……。内心で調子にのった自分を激しく後悔しながら涙を流す俺。
しかし、魔物はそんなもの関係ないといわんばかりに俺を口の中に放り込もうと、触手にスナップをきかせて俺を放り出す。
どんどんと近づいてくる牙が並んだ巨大な口を見て、俺の脳裏によぎるのは走馬灯。
……魔物に追っかけられた記憶しかないんだけど?
転生して数十分しか生きていないのだからそれも当然と言えば当然だった……。
まともな走馬灯すら見れなかった自分に嘲笑を浮かべながら、俺は黙って自分の手を見つめた。
プニプニした肉球がついた手を……。
「…………………………………………………………回避方法あったぁあああああああああああああああ!?」
いまさら気づくとかバカっ! 俺ホントバカっ!! なんでもっと早くに思い付かなかったの!? と、自分自身に罵声を浴びせながら、俺はあわてて手をつきだし、魔物の牙に向かって叩きつける!
むにょん……何とも言えない感触の後、魔物の体はまるで砲弾のように弾き飛ばされ渓谷の地面にたたきつけられた!
同時に俺の体も地面に足をつけていないから踏ん張りが利かず、弾き飛ばしの反動によって勢いよく宙を舞った。
「なんでさぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
某エロゲの主人公のような悲鳴を上げながら、ちょっとした戦闘機の気分を味わいながらケルベラス渓谷から飛ぶように抜け出した俺。当然それだけで止まることなどありえず、あの肉球型の力場に包まれながら大陸弾道弾のように飛んだ俺は、その中で一人今まで起こった自体について整理してみた。
能力の制御ができていない。いまさらながらその事実に気付いた俺は、落ちる間際に神様の部下とか言っていた《異世界税関》とかいうやつが言っていた言葉を思い出す。
『なお、転生特典を受けた方には神の気まぐれで
間違いない。このご都合主義の徹底的排除……運よく優しい強い人が通りがかったりもしなければ、戦闘中に起死回生の一手を思いついたりもせず、もらった能力をなぜか初っ端から使いこなせるなんてこともない……この徹底的なムリゲーっぷり。
これは……この力は!!
「あいつ、本気で俺に
俺の第二の人生は、どうやらハードモードでコンティニューされたようだった……。
…†…†…………†…†…
「大将……大将!!」
「ん? ぁ?」
ゆさゆさと肩を揺らされる間隔が体に走り、俺は渋々と目を開いた。
「……なんだ、アルス大佐か? 作戦行動時間か?」
「違います大将。決戦前にあなたにあいたいというアリアドーネの女性騎士が来たから教えてあげたんですよ」
「美人か?」
「そこそこっすね~。それにしてもいっつも思うんですが、大将が今まで付き合ったことがある人みていると、そこまで見た目にこだわる人でもないでしょう? なんでわざわざそんなこと聞くんです?」
「いやなに……。ご都合主義が相変わらずストライキしているのか確認しているだけだ」
「?」
わけがわからないといった顔で首をかしげる長命種の青年に、俺はほんの少しだけ苦笑をうかべながら天幕を出る。
にしても、夢で転生当初の光景を見るとは……ずいぶんと懐かしい光景を見たものだ。当時はまだ俺も若くバカだった……。ハーレムとか俺TUEEEEEEEEEEEとかほんと死ねよ、俺。そんな余裕なかったよ、俺……。
まぶしい若さだったな……。と、ちょっとだけ昔の自分を思い出し黄昏てみる。といっても、俺もまだ20代だが。なんだかデビルスタイルのおかげでやたら苦労したから、精神年齢がそれ以上な気がしてならない今日この頃だった……。
「あっ! よ、《傭兵王》!! お、おはつにおめどおりいたしましゅ!!」
天幕を出た先にいたのは、アルス大佐が言っていたように、そばかすが顔にのこっている美人というか純朴そうな猫耳をはやした女性だった。顔が童顔なのも相まってかまだ少女と言っても通じる気がするが、その体にまとっているのは物々しい魔法甲冑。アリアドーネ騎士団の甲冑だ。いちおう部隊長の階級章もついているためかなりの実力者なのだろう。もっとも、いまは俺を前にして緊張しているのか、顔を真っ赤にして噛みまくっていたので強者特有の威厳は感じられなかったが。
いちおう、威圧感のある体にはならないように筋肉をつけるのは最低限にしたはずだが……やはり、男の軍人というものはゴツイのだろうか? 自分で体を見下ろす限りは服を着ている限り細身に見えるはずだが……。最近鏡を見る暇がトンとなかったので、いまいち自分のスタイルに自信が持てない。
「そんなにかしこまることはない。戦場では下っ端の正規兵にすら顎で使われるしがない平傭兵さ」
「そ、そんなことありません!!」
とりあえず緊張を解きほぐしてあげるために軽い口調で自分の実体を教えてあげたが、このアリアドーネの騎士は納得しなかったようで、顔を真っ赤にしながら一冊の本を取り出してきた。
《赤き翼に匹敵!! 大戦の隠れた英雄》と大々的に書かれた青い表紙。結構有名な雑誌だったと思う。そこには俺の横顔の写真がアップで表紙を飾っていて……って、あれ? いつの間に撮ったんだ? というか、雑誌の取材を受けた記憶もないんだが……。
内心で俺がクビをかしげているともしらず、アリアドーネ騎士は一気呵成にこの記事に書いてあることを読み進めてくれて、
「戦争が始まった初の戦場オストローデ密林で、帝国を不意打ちしようと隠密行動をしていた数百の連合兵士をたった一人で撃退したと聞いています!」
オストローデ密林はケルベラスから飛んだ時に落ちちゃった密林だったんだよな……生息していた生物がやたら強くて抜け出せなくなり、ほとんど原始人みたいな生活していた記憶が……。能力使いこなせるようになってからは、ちょっと向上したけどね?
にしても、俺の初めての対人戦闘の記録なんてよく調べたな。帝国でも重要機密のはずだったんだけど……。ちょうど弾き飛ばしの訓練終えたところだったんだよな……。「旅行するならどこへ行きたい?」って一度やってみて、きれいに決まったから調子にのってポンポン飛ばしちゃって……。最後の一人でミスってしまい、反動を受け切れずまた吹き飛ばされ大海のど真ん中に落ちてしまい、若干遭難したのは今ではいい思い出だったりする。やっぱり習得したての技をそう何度も使うものじゃないな……。流石はデビルスタイル……都合よくいきなり使いこなせたりしない。
「さらに、オスティア攻略戦では《黄昏の姫御子》の魔法無効化結界を一撃で粉砕! それによって、紅き翼に敗北したにもかかわらず帝国の撤退はずいぶんと被害が抑えられたと聞いていますよ!?」
いや……まさかあんなところに結界があるなんて思わなかったんだよ。紅き翼がいたから「おぉ……一生会えないと思っていた原作勢に会えた。とりあえずお近づきのしるしに一発かましてみるか!!」と、腕試し的なノリで
おまけにその戦いで目をつけられたのか、
「さらには、あのガトーさんと協力して
いや……。オスティア攻略戦で人間の……しかもろくに身元もわからない俺にも功績を認めて、報酬をくれたヘラスの王族に恩返しする程度のノリだったんだけどね? 瞬間移動も圧力砲も使えるようになっていたから、情報さえあればホント一夜で終わる程度の奴等だったし……。なにより、ここで
「極めつけはなんといっても……」
「そこまでにしてもらえませんか騎士殿? 大将……ガトーさんから連絡です。そろそろこちらにこいとのこと。最終決戦が始まるそうです」
「そうか」
「あ、す、すいません!!」
まだ何かを言おうとしていた騎士に向かって、天幕から顔を出したアルス大佐が苦笑交じりに静止を促し、作戦開始について教えてくれる。
この人ともつい最近会ったばかりなのに、まるで長年の親友に出会った気分だな……。テオドラ皇女が紅き翼に誘拐されて行方をくらましたって聞いて半狂乱になった国王が、傭兵でフットワークが軽い俺と探索技術に優れたこの人にテオドラ皇女の捜索を命じたのがついこの前。
まぁ、結局皇女が自ら出てくるまで見つけることはできなかったんだけど(ここら辺はデビルスタイル持ちのおれが足を引っ張った感が否めなかった……)、探索の旅で一度、
「あ、あの……」
「ん? なんだ?」
「あ、あぅ……何でもないです」
あのときの激闘を思い出し、あれからどれくらいたったかな? と首をかしげる俺に向かって、騎士の少女はなにかを言いたげな顔をして……最終的に諦めた様子でうつむいた。
ん~。これはもしかして原作でもあったあれだろうか?
そう予想したおれは、予備で持っている指ぬきグローブ(さすがにここまでオリジナルと一緒にするのは気が引けたので)とペンをポケットから取りだし、
「はいこれ」
「え?」
そのグローブにサインした後、彼女に渡してみた。
「さっき君のご同僚がナギたちにサインを求めていたから、もしかしてって思っただが……ちがった?」
いや、ホンとは見てないんだけどね? 原作で知っているだけなんだけどね?
「い、いえ!! 違ってません! ありがとうございます!! うちの家宝にします!!」
いや……ポケットに入っていた程度の予備手袋でそんなことしないで? ものすごい悪いことした気分になるから……。
…†…†…………†…†…
「という感じの子にここに来るまで、三回あっちゃって……」
「なっ!? へ、へん!! 俺だってサインの一つや二つぐらい……」
「ナギそんなくだらないことで張り合ってどうする?」
結局おれが呼び出しを食らってから、集合場所にたどり着けたのは指定された時間を5分オーバーしてからだった。そのため、俺は詠春に普通に怒られてしまい現在絶賛正座中だったりする……。流石デビルスタイル! そうやすやすと俺に集合時間を守らせない!! え、関係ない? サーセン。
「さて……バーソロミューさん。いけますか?」
「クマでいいよ……。呼びにくいだろ?」
いつものように胡散臭い笑顔を浮かべながら聞いてくるアルビレオに苦笑をうかべつつ、俺はラストダンジョンの方へと視線を向けた。
天に、地に……あふれかえる漆黒の悪魔たち。その正面にはアルス大佐と撃退した、
正直悪魔のような有象無象だけなら初戦はアリアドーネ騎士団や、集まってくれた帝国・連合兵に任せてもよかったが、あの女だけはやばい。
圧力砲を数発食らってもなお立ち上がり、至近距離から
おそらく耐久度を極限まで上げた移動砲台型の個体なのだろうと予想をつけつつ、俺はため息交じりに肩をすくめた、
そして俺は考える。転生当初の甘ったれた御都合主義な希望など抱かない。世界は割と厳しめにできていると考えろ。
戦争が始まるまでの10年という長い歳月を糧にし、この世界で生き延びるために死ぬ気で能力と魔法を極めた。これもご都合主義的展開で、とんでもない速さで伸びたりはしなかったが、その分時間をかけて血肉にしていった確かな俺の力。この力はどのような状況でも揺らぐことはない。
それらをかんがみて、自分に有利に働きそうな偶然など起こらないと決めつけて、それでもなおあの幹部に勝てるかどうかを考察し……。
「余裕だ。任せろ」
負ける気がしないと笑ってやった。
あいつらの強さは所詮作られた力だと、ネギまの原作ではいっていた。ライフメイカーによって作られたあいつらは、何の努力もなしにあの力をふるい暴れている。そんなご都合主義の塊のような奴らに、
「
その言葉と同時に俺は両手を掲げ空気の圧縮を始める。それの気づいた女幹部があわてて悪魔たちに指示をだし、数千近い悪魔を突撃させた。
しかし、その突撃は上空で整然と並んでいたアリアドーネ騎士団の弾幕射撃によってあっけなく防がれた。とうぜんその間に、俺の攻撃が完成していて、
「行って来い、主人公ども。こっちはもう一人の主人公に任せな」
「おう!」
「まだ決着はついてねぇんだ。死ぬなよ」
「すまない。助かった」
「今度紅茶でものんで猫耳について熱く語りましょう」
「いや……それは出撃の言葉としてどうなのじゃ?」
「……協力感謝する。あなたがいなかったら俺たちはここまで来られなかった」
ナギ・ラカン・詠春・アル・ゼクト・ガトーと、口々に言いながら空へ舞いあがった彼らを確認した後、俺は合わせられた手をゆっくりと開き肉球の力によって圧縮したその弾を押し出す。
女幹部の顔が引きつり、彼女の周囲に無数の防御結界が張り巡らされる。しかし、その障壁を悪魔にまで回す余裕はなかったのか、漆黒の悪魔は無防備にその一撃を受け入れるしかなかった。
結果、
「
ナギたちが構えていた陣地と、ラストダンジョンに空いた膨大な空間。それを埋め尽くすように広がった巨大な暴風と衝撃波が、悪魔たちを飲み込み跡形もなく消し飛ばした!!
これが、ご都合主義に頼らずただひたすら己を鍛え上げることによって手に入れた、俺十数年分の鍛錬の総決算。
もとは借り物でも、今は胸を張ってこれは俺の力だと告げられる気がした。
本気で尊敬する人物。人吉善吉。ありがとう……俺はお前のおかげで、ここまでたどり着けることができたよ。
内心で柄にもない感謝の言葉を告げる自分に笑いながら、俺は更地になった大地を指差し一言告げる、
「いけ……紅き翼!!」
「おうっ!!」
威勢のいい声と共に六つの閃光がラストダンジョンに向かって飛んで行った。俺はそれを見送った後、がれきの中から這い出してきた白い不気味な血を流す女幹部を睥睨する。
「さて……因縁の決着でもつけるか? 幹部殿」
俺のその言葉を聞き、女幹部はわけのわからない怒声を上げて俺に向かって閃光を飛ばした。俺はそれを右手の肉球ではじきながら、左手の肉球で圧力砲を放つ。
それに続き再び湧き出してきた黒い悪魔たちを、アリアドーネ騎士団が剣を構え迎え撃つ。
激戦が始まった!!